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食品工場及び業務用厨房施設における液化石油ガス及び都市ガスの消費設備による一酸化炭素中毒事故の防止に関する関係団体等に対する注意喚起の実施について
平成23年6月21日基安化発0621第1号
(都道府県労働局労働基準部健康安全主務課長あて厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課長通知)
「業務用厨房施設における一酸化炭素中毒による労働災害防止について」については、平成21年12月4日付け基安化発1204第1号(以下「基安化発1204第1号」という。)により、「業務用厨房施設におけるガス機器による事故防止対策の周知について」については、平成22年2月23日付け基安化発0223第1号により、「業務用厨房施設における一酸化炭素中毒事故の防止に関する関係団体等に対する注意喚起の実施について」については、平成22年6月18日付け基安化発0618第1号により、「業務用ガス給湯器(厨房排気ダクト直結型)による一酸化炭素中毒事故の防止に関する関係団体等に対する注意喚起の実施について」については、平成23年1月14日付け基安化発0114第1号により、それぞれ通知したところである。
今般、食品工場及び業務用厨房施設における液化石油ガス及び都市ガスの消費設備において、換気不十分等による不完全燃焼により事故が発生したことから、別添のとおり、経済産業省原子力安全・保安院保安課長、ガス安全課長及び液化石油ガス保安課長より当職あて、関係団体等に対して、改めて標記事故防止に関する注意喚起の協力依頼があったところである。
ついては、従前発出してきた基安化発1204第1号等による業務用厨房施設に対する指導の徹底に加え、今回の要請を踏まえ、食品工場に対する指導を徹底するにあたり、各種機会を通じ管内の関係団体等に対し、別添要請事項について幅広に周知徹底等に努められたい。
○食品工場及び業務用厨房施設における一酸化炭素中毒事故の防止について(要請)
平成23年6月3日事務連絡
(厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課長あて経済産業省原子力安全・保安院保安課長、経済産業省原子力安全・保安院ガス安全課長、経済産業省原子力安全・保安院液化石油ガス保安課長通知)
上記の件について、原子力安全・保安院は別添(NISA―251b―11―1)のとおり、食品工場及び業務用厨房施設において液化石油ガス及び都市ガスの消費を行う者に対して注意喚起を行うこととしました。
つきましては、食品工場及び業務用厨房施設の液化石油ガス及び都市ガスの消費設備による一酸化炭素中毒事故防止のため、関係機関及び関係団体に対し、別添事項について注意喚起を行うよう要請します。
○食品工場及び業務用厨房施設における一酸化炭素中毒事故の防止について(要請)
平成23年6月3日平成23・05・17原院第5号
(経済産業省原子力安全・保安院)
(NISA―251b―11―1)
毎年、食品工場及び業務用厨房施設における液化石油ガス及び都市ガス(以下「ガス」という。)の消費設備による一酸化炭素(以下「CO」という。)中毒事故が発生しています。平成22年は15件発生しており、2名が死亡しています。
また、平成23年にも既に4件の事故が発生しています。事故原因は換気が不十分で、消費設備が不完全燃焼を起こし、COが発生したものです。
原子力安全・保安院は、食品工場及び業務用厨房施設におけるガスの消費設備によるCO中毒事故を防止するため、下記の事項について、ガスの消費設備の使用者及び管理者に対して注意喚起をします。
記
1.ガスの消費設備の使用中は必ず換気(給排気)を行うこと。
特に夏期、冬期等冷暖房機を使用する時期においても、換気をせずに室内でLPガス又は都市ガスの消費設備を使用しないこと。
2.ガスの消費設備の使用者及び管理者は、ガスの消費設備の使用開始時及び使用終了時に当該設備の属するガスの消費施設の異常の有無を点検するほか、1日に1回以上、ガスの消費設備の態様に応じ、当該設備の作動状況について点検し、異常のあるときは、当該設備の使用中止、補修その他の危険を防止する措置を講じること。
3.ガスの消費設備及び換気設備は、日頃から手入れをすること。特に台風、地震又は積雪後は換気扇に異常がないことを確認すること。また、停電中は、換気扇及び給排気設備が作動しない場合があるので、停電中にやむを得ずガスの消費設備を使用する場合は、窓を開けて換気をする等十分に注意すること。
4.万一の不完全燃焼に備えてCO警報器の設置が望ましいこと。
<参考>
食品工場におけるLPガスと都市ガス使用中の一酸化炭素中毒事故一覧
(平成22年)
|
年 |
月日 |
県名 |
死亡 |
重症 |
軽症 |
計 |
事故概要 |
ガス種 |
1 |
平成22年 |
1月15日 |
山口県 |
0 |
0 |
4 |
4 |
小型換気扇2台を運転しながら従業員4名で餅米を蒸す作業をしていたが、給気もなく長時間蒸し器バーナーを燃焼したことにより一酸化炭素が発生し、中毒を起こしたものと推定される。事故後、燃焼器の一酸化炭素濃度測定を行ったが、異常はなかったが、一酸化炭素警報器を設置することとした。 |
LP |
2 |
|
7月13日 |
山形県 |
0 |
0 |
3 |
3 |
食品工場で、玉こんにゃくのたれを製造するため、従業員1名が攪拌鍋で調味料を加熱していたところ、急に気分が悪くなり、一酸化炭素中毒状態となった。さらに、助けに来た従業員2名も、一酸化炭素中毒状態となった。原因は、換気扇を使用していなかったため、攪拌鍋の燃焼器が不完全燃焼し、一酸化炭素が発生したためであった。一酸化炭素検知器の設置及び保安教育を徹底することとした。 |
LP |
3 |
|
7月14日 |
高知県 |
1 |
0 |
0 |
1 |
精肉加工工場で、作業者1名が真空パックを熱湯に浸け、肉とパック(ビニール)を密着させる作業を実施していた。作業中は、牛を電動ノコギリで解体する騒音や虫等の異物混入を防ぐため、密閉された空間で換気扇も使用せず、エアコンのみを使用していた。このことから、密閉された空間で、多量の一酸化炭素を吸引したことによる一酸化炭素中毒により死亡したものと考えられる。湯沸器、鋳物コンロの一酸化炭素濃度を測定したが、湯沸器は正常で、ほとんど一酸化炭素は検出されなかった。鋳物コンロについては、鍋を載せない状態では正常に燃焼していたが、鍋を載せた数分後に一酸化炭素濃度の上昇を確認した。 |
LP |
4 |
|
12月1日 |
福岡県 |
0 |
0 |
4 |
4 |
食品工場内でシューマイを蒸すため蒸し器を使用していたところ、作業員4名が体調不良を感じたため蒸し器の使用を停止し、従業員全員が屋外に退避した。その後、工場関係者が消防に通報し、体調不良を訴えた従業員4名が病院に救急搬送され、一酸化炭素中毒と診断された。原因は、蒸し器上部の換気扇の故障による換気不良と考えられる。 |
LP |
(平成23年)
|
年 |
月日 |
県名 |
死亡 |
重傷 |
軽傷 |
計 |
事故概要 |
ガス種 |
1 |
平成23年 |
3月19日 |
広島県 |
0 |
0 |
3 |
3 |
パン製造工場において、パン焼き機を使用していたところ、従業員3名が気分が悪くなり病院に搬送された。検査の結果、一酸化炭素中毒と診断され治療を受けた。パン焼き機を使用した際に発生した一酸化炭素が、当時換気設備を使用していなかったことにより室内に充満したものと考えられる。 |
都市ガス |
2 |
|
3月24日 |
宮崎県 |
0 |
0 |
6 |
6 |
魚の燻製を行っている食品工場において、換気扇が故障したにも関わらず、作業を継続したため、作業員6名が気分が悪くなり、救急車で病院に搬送された。 |
LP |
<参考>
平成22年業務用厨房施設等における一酸化炭素中毒事故(一覧表)
|
発生日 |
場所 |
人身被害 |
事故概要 |
機器分類 |
ガス種 |
|
死亡 |
中毒 |
||||||
1 |
2010年2月3日 |
東京 |
0 |
1 |
深夜閉店中で無人の飲食店厨房内において、開店前の仕込みを開始した時、気分が悪くなり病院へ行ったところ、CO中毒の可能性があると診断された。 原因を含めて現在詳細調査中。 |
業務用めんゆで器 |
LP |
2 |
2010年5月24日 |
東京 |
0 |
2 |
消防から飲食店厨房内にて食器洗浄機を使用したところ従業員2名が病院へ搬送されたとの通報を受け、ガス事業者が現地に出動したところ、食器洗浄機の排気から高濃度のCOが測定された。さらに調べたところ換気設備の給排気部に大量の埃が詰まっており、定格排気量の10分の1程度の換気しか行われていなかったことが判明した。従業員に聞いたところ、食器洗浄機から異臭を感じたため、厨房天井に設置されていたエアコンの風を当該機器に向けていたとのことであった。メーカー調査の結果、当該機器の熱交換器部に水漏れがあることが確認された。水漏れの原因は、熱交換器の受熱器の内部に大量のスケールが付着したために、熱交換が不十分な状態で燃焼していることにより、熱影響により繰り返し応力を受け、熱交換器に亀裂が生じ水漏れが生じたものと考えられる。COの発生については、水漏れにより当該機器の給気フィルター上に滴下したことにより、給気フィルターから吸入する空気量が低下したことによるものと推定される。これに、換気設備の給排気量不足及びエアコンの風の影響などの複合的な要因が重なった結果、従業員がCO中毒となるに至ったものと推定される。 |
業務用食器洗浄機 |
都市ガス |
3 |
2010年7月26日 |
埼玉 |
0 |
3 |
特別養護老人ホームにおいて、食器洗浄機を使用したところ、従業員3名が一酸化炭素中毒の症状を訴え、病院に搬送された。 原因は、食器洗浄機に取り付けられたステンレス製排気筒に外力が掛かったことにより排気筒の溶接部が剥がれたため、排気筒が閉塞され排気不良となったものと推定される。 なお、事故当日は排気扇は稼働していた。 |
業務用食器洗浄機 |
LP |
4 |
2010年8月12日 |
福島 |
0 |
1 |
飲食店において、長期不使用であったフライヤーを使用したところ、不完全燃焼が発生し、従業員1名がCO中毒と診断された。 原因は、長期不使用時のゴミの侵入を防ぐ目的で、フライヤーの排気口をアルミホイルで塞いだまま使用したため、排気不良により機器内部に排ガスが滞留し、不完全燃焼となったもの。 |
業務用フライヤー |
LP |
5 |
2010年8月18日 |
香川 |
0 |
1 |
飲食店において、厨房で作業中の従業員1名が気分が悪くなり、病院へ搬送されたところ一酸化炭素中毒と診断された。 原因は、麺ゆで器のバーナーの劣化、バーナーの清掃による口径の変化及び排気ダクトの金網の目詰まりにより不完全燃焼が発生し、換気能力不足及びエアコン使用に伴い店舗入り口を閉めていたことにより排気が十分になされていなかったため、不完全燃焼で発生した一酸化炭素が屋内に充満したものと推定される。 |
業務用めんゆで器 業務用フライヤー 業務用こんろ |
LP |
6 |
2010年8月24日 |
沖縄 |
0 |
3 |
厨房において、業務用蒸し器を用いて餅作りを行っていたところ、従業員3名がCO中毒の症状を訴え、病院に搬送され治療を受けた。 原因は、排気扇の排気口が目詰まりを起こしていたため、十分な排気が行われず、エアコンを使用するためにドアを閉め切って作業を行っていたことにより給気不足も生じたため、給排気不足から蒸し器が不完全燃焼を起こし、一酸化炭素を含む排気が室内に充満したものと推定される。 |
業務用蒸し器 |
LP |
7 |
2010年9月6日 |
山形 |
0 |
4 |
保育園の厨房で作業をしていた調理スタッフ4名が、気分が悪くなり病院に搬送され、CO中毒と診断された(いずれも軽症)。事故発生当時、厨房内では業務用一口こんろを覆うような大鍋(直径54cm)を使って調理をしていた。また、窓が全て閉め切られていた状態で排気装置を稼働していなかった。こんろに大鍋を載せて燃焼試験を行ったところ、人体に悪影響を及ぼす程度のCOが発生していることが確認された。以上から、こんろを覆うような大鍋を使用したため、二次空気の不足によりこんろが不完全燃焼となりCOが発生したところ、室外に排出されずに室内に滞留したためCO中毒に至ったものと推定される。 |
業務用こんろ |
都市ガス |
8 |
2010年9月13日 |
奈良 |
0 |
4 |
ショッピングセンター内の鮮魚部の厨房の従業員が魚焼き器を約2時間使用していたところ体調が悪くなり、4名が病院に搬送されCO中毒(軽症)と診断された。調査のため当該魚焼き器を燃焼させたところ、排気中から高濃度のCOが検出された。また、厨房の換気扇は、事故当日の朝に発生した落雷のため使用不能であった。これらのことから、換気扇が稼働していない状況で当該魚焼き器を使用し続けたため、当該魚焼き器から発生したCOを含む排気が厨房内に滞留しCO中毒に至ったものと推定される。 |
業務用焼き物器(魚焼き器) |
都市ガス |
9 |
2010年10月8日 |
埼玉 |
0 |
2 |
労働基準署から、10月8日に一酸化炭素中毒で2名が病院へ搬送されたとの連絡を受け、12月7日にガス事業者が現地立ち会い調査を実施したところ、12月7日付けの診断結果で一酸化炭素中毒の診断結果を確認した。事故発生時は厨房の自然給気口が金属製の板で塞がれていた、また、自然給気口の防虫網に埃が付着していた又、当該機器バーナーの給気フィルターに目詰まりがあった。なお、日頃から使用時は、排気筒内のダンパーを閉の状態にしていたとのことであった。これらから、石窯が正常に燃焼するための給気が十分に行われていなかったこと、石窯のフィルターが詰まっていたこと、並びに排気筒のダンパーを閉の状態で使用していたことの条件が重なったため一酸化炭素が発生したものと推定される。 |
業務用その他(石窯) |
都市ガス |
10 |
2010年10月11日 |
福岡 |
0 |
1 |
商業施設内の総菜販売店にて、午前9時から業務用フライヤーにて揚げ物を開始し1時間程作業したところ、作業員4名のうち1名が気分が悪くなり、病院に行ったところ、CO中毒の可能性が高いと診断された。当該フライヤーを調べたところ、ガス通路の混合管の埃詰まり及びバーナー部の目詰まりにより不完全燃焼が起きることが確認された。原因は、フライヤーのメインバーナーの一次空気取り入れ口に多量の埃が付着し、不完全燃焼を起こし、高濃度の一酸化炭素が発生したことによる。 |
業務用フライヤー |
都市ガス |
11 |
2010年12月19日 |
神奈川 |
1 |
0 |
和菓子店の作業場において、同店の従業員1名が一酸化炭素中毒により死亡する事故が発生した。事故当時、当該従業員はこんろを使ってお湯を沸かしていたとみられるが、事故の原因を含めて、現在詳細調査中。 |
業務用こんろ |
LP |
平成23年業務用厨房施設等における一酸化炭素中毒事故(一覧表)
|
発生日 |
場所 |
人身被害 |
事故概要 |
機器分類 |
ガス種 |
|
死亡 |
中毒 |
||||||
1 |
2011年1月27日 |
三重 |
0 |
1 |
パン屋において、開店前にガスオーブンを使用していたところ、従業員1名が一酸化炭素中毒(軽症)により、病院に搬送され治療を受ける事故が発生した。原因は、何らかの要因によりオーブンから一酸化炭素が発生したこと及び換気扇を使用していなかったため、一酸化炭素を含む排気ガスが室内に滞留したことによるものと推定されるが、現在詳細調査中。 |
業務用オーブン |
LP |
2 |
2011年2月24日 |
東京都 |
0 |
1 |
飲食店の厨房で、めんゆで器を使用中に頭痛を訴え病院にて診察を受けた従業員1名が、一酸化炭素中毒の可能性が高いと診断された。原因は、経年劣化によりめんゆで器の燃焼室に堆積した煤をメーカーによる修理時に取りきれず、不完全燃焼を起こしたものと推定される。なお、修理完了後CO測定はせず、使用可能としていた。さらに、排気ダクトファンの故障により排気が屋外に排出されず、COが厨房内に滞留したことにより、CO中毒になるに至ったものと推定される。 |
業務用めんゆで機 |
都市ガス |