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外国人技能実習制度への介護職種の追加等について(通知)
平成28年11月28日社援発1128第6号
(都道府県知事、政令市・中核市長、地方厚生(支)局長あて厚生労働省社会・援護局長通知)
本日、「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(平成28年法律第89号。以下「技能実習法」という。)が、公布され、一部施行(その他の部分について公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行予定)されたところである。技能実習法は、技能実習に関し、技能実習計画の認定及び監理団体の許可の制度を設け、これらに関する事務を行う外国人技能実習機構を設けること等により、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図り、人材育成を通じた開発途上地域等への技能等の移転による国際協力の推進を図ることを目的とされるものである。
また、同日、「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律」(平成28年法律第88号。以下「改正入管法」という。)が公布されたところである。改正入管法は、専門的・技術的分野の外国人の積極的受入れと留学生の活躍支援という観点から、介護の分野においても、我が国の介護福祉士の資格を有する外国人を対象とする「介護」という名称の在留資格を設け、介護又は介護の指導を行う業務に従事する活動を行うことを可能とするものであり、具体的には、介護福祉士養成施設を卒業して介護福祉士の国家資格を取得した者が対象とされる予定である。
今後、外国人技能実習制度に関しては、厚生労働省として、「産業競争力の強化に関する実行計画」(2015年版(平成27年2月10日閣議決定)及び2016年版(平成28年2月5日閣議決定))に基づき、質の担保など、介護サービスの特性に基づく要請に対応できるよう具体的な制度設計を進め、技能実習法の施行に併せて、技能実習制度の対象職種への介護職種の追加を行うこととしている。
ついては、技能実習制度の対象職種に介護を追加する趣旨、介護職種の追加に当たっての今後の対応等については下記のとおりであるので、ご了知願いたい。また、各自治体におかれては、貴管下市町村のほか、事業者、関係団体等に対し、その周知徹底方をお願いする。
記
第1 技能実習法の趣旨・その対象職種に介護職種を追加する趣旨
技能実習制度は、開発途上地域等への技能等の移転を図り、その経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的とする制度として、我が国の国際貢献において重要な役割を果たしている。
一方で、同制度に関しては、制度の趣旨を理解せず、国内の人手不足を補う安価な労働力の確保策として使われており、その結果、労働関係法令の違反や人権侵害が生じている等の指摘があり、指摘されている問題点の改善を行い、制度の趣旨に沿った運用の確保を図る必要がある。また、こうした制度の適正化を前提に、この制度の活用を促進するため、制度の拡充を図ることも求められている。
そこで、技能実習法により、技能実習を実施する実習実施者やその実施を監理する監理団体に対し必要な規制を設け、管理監督体制を強化するとともに、技能実習生の保護に係る措置等を定め、併せて優良な実習実施者や監理団体に対してはより高度な技能実習の実施を可能とするものである。
また、技能実習制度の対象職種への介護職種の追加についても、技能実習制度の趣旨に沿って「人材育成を通じた開発途上地域等への技能等の移転による国際協力の推進を図ることを目的」とするものであり、介護人材の不足への対応を目的とするものではない。日本は他国と比較し、高齢化が急速に進展しており、認知症高齢者の増加等、介護ニーズの高度化、多様化に対応している日本の介護技術を海外から取り入れようとする動きも出てきている。こうしたことを踏まえれば、日本の介護技術を他国に移転することは、国際的に意義のあるものであり、技能実習制度の趣旨にも適うものである。
第2 介護職種の追加に当たっての今後の対応
技能実習制度への介護職種の追加については、「産業競争力の強化に関する実行計画」(2015年版(平成27年2月10日閣議決定)及び2016年版(平成28年2月5日閣議決定))において、質の担保など、介護サービスの特性に基づく要請に対応できるよう具体的な制度設計を進め、技能実習制度の見直しの詳細が確定した段階で、介護サービスの特性に基づく要請に対応できることを確認の上、新たな技能実習制度の施行と同時に対象職種への追加を行うこととされている。なお、新たな技能実習制度の施行は、技能実習法の公布の日から起算して1年以内に政令で定める日とされている。
今後、この方針に基づき、介護の職種追加に向け、介護サービスの特性に基づく様々な懸念に対応するため、厚生労働省において介護分野の有識者等に参加・検討いただいた「外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会」の中間まとめ(平成27年2月4日)(以下「中間まとめ」という。)で示された以下の3つの点について適切な対応を図るよう制度設計を進めることとしている。
(1) 介護職に対するイメージ低下を招かないようにすること。
(2) 外国人について、日本人と同様に適切な処遇を確保し、日本人労働者の処遇・労働環境の改善の努力が損なわれないようにすること。
(3) 介護のサービスの質を担保するとともに、利用者の不安を招かないようにすること。
具体的には、中間まとめの中で、上記の3つの点について適切な対応が図られるようにするために検討を要する事項とされた以下の項目につき、中間まとめで示された具体的な対応の在り方、制度設計等の進め方に沿って、技能実習制度本体の見直しによる対応に加え、介護固有要件の設定など具体的な方策を併せ講じていく予定である。
(1) 移転対象となる適切な業務内容・範囲の明確化
(2) 必要なコミュニケーション能力の確保(例:入国時は(日本語能力試験の)「N3」程度が望ましい水準、「N4」程度が要件。2年目は「N3」程度が要件等)
(3) 適切な公的評価システムの構築(適正な技能実習を実施するための実習成果を評価できる技能実習評価試験の構築)
(4) 適切な実習実施機関の対象範囲の設定(例:訪問系サービスは対象としない等)
(5) 適切な実習体制の確保(例:小規模な受入機関(常勤職員数30人以下)の場合、常勤職員総数の10%まで等)
(6) 日本人との同等処遇の担保
(7) 監理団体による監理の徹底(監理団体についても、介護固有要件を検討。)
なお、介護固有の要件については、技能実習法の主務省令に基づく厚生労働大臣告示で定め、介護職種を追加する省令と併せて、新たな技能実習制度の施行までに公布する予定である。
(参考資料)
① 「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の概要」等
② 「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の公布について(通知)」(平成28年11月28日能発1128第1号)(各都道府県労働局長あて厚生労働省職業能力開発局長通達)
③ 「介護に従事する外国人の受入れ」(改正入管法の概要資料)
(参考資料②)<編注:略。通達名をクリックして表示>
平成28年11月28日能発1128第1号
(各都道府県労働局長あて厚生労働省職業能力開発局長通知)
(参考資料③)