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通達:外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の公布について(通知)

 

外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の公布について(通知)

平成28年11月28日能発1128第1号

(各都道府県労働局長あて厚生労働省職業能力開発局長通知)

 

「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(平成28年法律第89号。以下「法」という。)については、本日公布され、一部施行(その他の部分について公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行予定)されたところである。

法は、技能実習に関し、技能実習計画の認定及び監理団体の許可の制度を設け、これらに関する事務を行う外国人技能実習機構を設けること等により、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図るものである。これにより、人材育成を通じた開発途上地域等への技能等の移転による国際協力の推進を図ることを目的としている。

ついては、法の趣旨及び内容は下記のとおりであるので、十分に了知の上、その円滑な施行に遺漏なきを期されたい。

なお、法の施行のために必要な関係省令等については、今後制定することとしているところであり、制定後おって通達するので、御了知ありたい。

 

第1 法の趣旨

技能実習制度は、開発途上地域等への技能等の移転を図り、その経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的とする制度として、我が国の国際貢献において重要な役割を果たしている。

一方で、同制度に関しては、制度の趣旨を理解せず、国内の人手不足を補う安価な労働力の確保策として使われており、その結果、労働関係法令の違反や人権侵害が生じている等の指摘があり、指摘されている問題点の改善を行い、制度の趣旨に沿った運用の確保を図る必要がある。また、こうした制度の適正化を前提に、この制度の活用を促進するため、制度の拡充を図ることも求められている。

そこで、技能実習を実施する実習実施者やその実施を監理する監理団体に対し必要な規制を設け、管理監督体制を強化するとともに、技能実習生の保護に係る措置等を定め、併せて優良な実習実施者や監理団体に対してはより高度な技能実習の実施を可能とするものである。

 

第2 法の内容

1 目的(法第1条関係)

法は、技能実習に関し、基本理念を定め、国等の責務を明らかにするとともに、技能実習計画の認定及び監理団体の許可の制度を設けること等により、出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号。以下「入管法」という。)その他の出入国に関する法令及び労働基準法(昭和22年法律第49号)、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)その他の労働に関する法令と相まって、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図り、もって人材育成を通じた開発途上地域等への技能等の移転による国際協力を推進することを目的としたこと。

2 定義(法第2条関係)

(1) 技能実習(法第2条第1項関係)

法において「技能実習」とは、企業単独型技能実習及び団体監理型技能実習をいい、「技能実習生」とは、企業単独型技能実習生及び団体監理型技能実習生をいうものとしたこと。

(2) 企業単独型技能実習(法第2条第2項関係)

法において「企業単独型技能実習」とは、次に掲げるものをいうものとしたこと。

ア 第一号企業単独型技能実習(本邦の公私の機関の外国にある事業所の職員である外国人又は本邦の公私の機関と主務省令で定める密接な関係を有する外国の公私の機関の外国にある事業所の職員である外国人が、技能等を修得するため、在留資格(入管法別表第1の2の表の技能実習の項の下欄第1号イに係るものに限る。)をもって、これらの本邦の公私の機関により受け入れられて必要な講習を受けること及び当該機関との雇用契約に基づいて当該機関の本邦にある事業所において当該技能等に係る業務に従事することをいう。)

イ 第二号企業単独型技能実習(第一号企業単独型技能実習を修了した者が、技能等に習熟するため、在留資格(入管法別表第1の2の表の技能実習の項の下欄第2号イに係るものに限る。)をもって、本邦の公私の機関との雇用契約に基づいて当該機関の本邦にある事業所において当該技能等を要する業務に従事することをいう。)

ウ 第三号企業単独型技能実習(第二号企業単独型技能実習を修了した者が、技能等に熟達するため、在留資格(入管法別表第1の2の表の技能実習の項の下欄第3号イに係るものに限る。)をもって、本邦の公私の機関との雇用契約に基づいて当該機関の本邦にある事業所において当該技能等を要する業務に従事することをいう。)

(3) 企業単独型技能実習生(法第2条第3項関係)

法において「企業単独型技能実習生」とは、次に掲げるものをいうものとしたこと。

ア 第一号企業単独型技能実習生(第一号企業単独型技能実習を行う外国人をいう。)

イ 第二号企業単独型技能実習生(第二号企業単独型技能実習を行う外国人をいう。)

ウ 第三号企業単独型技能実習生(第三号企業単独型技能実習を行う外国人をいう。)

(4) 団体監理型技能実習(法第2条第4項関係)

法において「団体監理型技能実習」とは、次に掲げるものをいうものとしたこと。

ア 第一号団体監理型技能実習(外国人が、技能等を修得するため、在留資格(入管法別表第1の2の表の技能実習の項の下欄第1号ロに係るものに限る。)をもって、本邦の営利を目的としない法人により受け入れられて必要な講習を受けること及び当該法人による実習監理を受ける本邦の公私の機関との雇用契約に基づいて当該機関の本邦にある事業所において当該技能等に係る業務に従事することをいう。)

イ 第二号団体監理型技能実習(第一号団体監理型技能実習を修了した者が、技能等に習熟するため、在留資格(入管法別表第1の2の表の技能実習の項の下欄第2号ロに係るものに限る。)をもって、本邦の営利を目的としない法人による実習監理を受ける本邦の公私の機関との雇用契約に基づいて当該機関の本邦にある事業所において当該技能等を要する業務に従事することをいう。)

ウ 第三号団体監理型技能実習(第二号団体監理型技能実習を修了した者が、技能等に熟達するため、在留資格(入管法別表第1の2の表の技能実習の項の下欄第3号ロに係るものに限る。)をもって、本邦の営利を目的としない法人による実習監理を受ける本邦の公私の機関との雇用契約に基づいて当該機関の本邦にある事業所において当該技能等を要する業務に従事することをいう。)

(5) 団体監理型技能実習生(法第2条第5項関係)

法において「団体監理型技能実習生」とは、次に掲げるものをいうものとしたこと。

ア 第一号団体監理型技能実習生(第一号団体監理型技能実習を行う外国人をいう。)

イ 第二号団体監理型技能実習生(第二号団体監理型技能実習を行う外国人をいう。)

ウ 第三号団体監理型技能実習生(第三号団体監理型技能実習を行う外国人をいう。)

(6) 実習実施者(法第2条第6項関係)

法において「実習実施者」とは、企業単独型実習実施者及び団体監理型実習実施者をいうものとしたこと。

(7) 企業単独型実習実施者(法第2条第7項関係)

法において「企業単独型実習実施者」とは、実習認定を受けた技能実習計画に基づき、企業単独型技能実習を行わせる者をいうものとしたこと。

(8) 団体監理型実習実施者(法第2条第8項関係)

法において「団体監理型実習実施者」とは、実習認定を受けた技能実習計画に基づき、団体監理型技能実習を行わせる者をいうものとしたこと。

(9) 実習監理(法第2条第9項関係)

法において「実習監理」とは、団体監理型実習実施者等と団体監理型技能実習生等との間における雇用関係の成立のあっせん及び団体監理型実習実施者に対する団体監理型技能実習の実施に関する監理を行うことをいうものとしたこと。

(10) 監理団体(法第2条第10項関係)

法において「監理団体」とは、監理許可を受けて監理事業を行う本邦の営利を目的としない法人をいうものとしたこと。

3 基本理念(法第3条関係)

(1) 技能実習の基本理念として次の事項を定めるものとしたこと。

ア 技能実習は、技能等の適正な修得等のために整備され、かつ、技能実習生が技能実習に専念できるようにその保護を図る体制が確立された環境で行われなければならないこと。

イ 技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならないこと。

4 関係者の責務(法第4条から第6条まで関係)

(1) 国の責務(法第4条第1項関係)

国は、この法律の目的を達成するため、3の基本理念に従って、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図るために必要な施策を総合的かつ効果的に推進しなければならないものとしたこと。

(2) 地方公共団体の責務(法第4条第2項関係)

地方公共団体は、(1)の国の施策と相まって、地域の実情に応じ、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図るために必要な施策を推進するように努めなければならないものとしたこと。

(3) 実習実施者の責務(法第5条第1項関係)

実習実施者は、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護について技能実習を行わせる者としての責任を自覚し、3の基本理念にのっとり、技能実習を行わせる環境の整備に努めるとともに、国及び地方公共団体が講ずる施策に協力しなければならないものとしたこと。

(4) 監理団体の責務(法第5条第2項関係)

監理団体は、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護について重要な役割を果たすものであることを自覚し、実習監理の責任を適切に果たすとともに、国及び地方公共団体が講ずる施策に協力しなければならないものとしたこと。

(5) 実習実施者又は監理団体を構成員とする団体の責務(法第5条第3項関係)

実習実施者又は監理団体を構成員とする団体は、実習実施者又は監理団体に対し、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図るために必要な指導及び助言をするように努めなければならないものとしたこと。

(6) 技能実習生の責務(法第6条関係)

技能実習生は、技能実習に専念することにより、技能等の修得等をし、本国への技能等の移転に努めなければならないものとしたこと。

5 基本方針(法第7条関係)

主務大臣は、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する基本方針を定めなければならないものとしたこと。

6 技能実習計画(法第8条から第22条まで関係)

(1) 認定

ア 技能実習を行わせようとする本邦の個人又は法人は、主務省令で定めるところにより、技能実習生ごとに、技能実習計画を作成し、これを主務大臣に提出して、その技能実習計画が適当である旨の認定を受けることができるものとしたこと。(法第8条第1項関係)

イ 技能実習計画には、技能実習生の氏名及び国籍、技能実習の区分、目標、内容及び期間その他の事項を記載しなければならないものとしたこと。(法第8条第2項関係)

ウ 団体監理型技能実習を行わせようとする申請者は、実習監理を受ける監理団体の指導に基づき、技能実習計画を作成しなければならないものとしたこと。(法第8条第4項関係)

エ 申請者は、実費を勘案して主務省令で定める額の手数料を納付しなければならないものとしたこと。(法第8条第5項関係)

オ 主務大臣は、アの認定の申請があった場合において、その技能実習計画が次のいずれにも適合するものであると認めるときは、その認定をするものとしたこと。(法第9条関係)

① 技能実習の目標及び内容が、技能実習の区分に応じて主務省令で定める基準に適合していること。

② 技能実習を修了するまでに、技能実習生が修得等をした技能等の評価を技能検定、技能実習評価試験等により行うこと。

③ 団体監理型技能実習に係るものである場合は、申請者が、技能実習計画の作成について指導を受けた監理団体(その技能実習計画が第三号団体監理型技能実習に係るものである場合は、7(1)ア①の一般監理事業に係る許可を受けた者に限る。)による実習監理を受けること。

④ 第三号企業単独型技能実習又は第三号団体監理型技能実習に係るものである場合は、申請者が技能等の修得等をさせる能力につき高い水準を満たすものとして主務省令で定める基準に適合していること。

⑤ ①から④までのほか、所要の認定基準に適合していること。

カ 認定の欠格事由に該当する者は、アの認定を受けることができないものとしたこと。(法第10条関係)

キ 主務大臣は、外国人技能実習機構(以下「機構」という。)に、アの認定に関する事務の全部又は一部を行わせることができるものとしたこと。(法第12条関係)

ク 主務大臣は、6、8及び9の規定を施行するために必要な限度において、実習実施者、監理団体等に対し、報告若しくは帳簿書類の提出若しくは提示を命じ、若しくは出頭を求め、又は当該主務大臣の職員に質問若しくは立入検査をさせることができるものとしたこと。(法第13条第1項関係)

ケ 主務大臣は、キにより機構にアの認定に関する事務の全部又は一部を行わせるときは、6の規定を施行するために必要な限度において、次に掲げる事務を機構に行わせることができるものとしたこと。(法第14条第1項関係)

① 実習実施者、監理団体等に対して必要な報告又は帳簿書類の提出若しくは提示を求める事務

② その職員をして、関係者に対して質問させ、又は実地に実習実施者、監理団体等の設備若しくは帳簿書類その他の物件を検査させる事務

コ その他変更の認定、改善命令、認定の取消し等について所要の規定を設けるものとしたこと。(法第11条、第15条及び第16条関係)

(2) 実習実施者による実施の届出等

ア 実習実施者は、技能実習を開始したときは、遅滞なく、開始した日その他主務省令で定める事項を主務大臣に届け出なければならないものとしたこと。(法第17条関係)

イ 主務大臣は、機構にアの届出の受理に係る事務を行わせることができるものとしたこと。(法第18条関係)

ウ 実習実施者は、アのほか、技能実習を行わせることが困難となった場合の届出、帳簿の備付け、実施状況報告等を行わなければならないものとしたこと。(法第19条から第21条まで関係)

エ その他6の規定の実施に必要な事項は、主務省令で定めるものとしたこと。(法第22条関係)

7 監理団体(法第23条から第45条まで関係)

(1) 許可

ア 監理事業を行おうとする者は、次に掲げる事業の区分に従い、主務大臣の許可を受けなければならないものとしたこと。(法第23条第1項関係)

① 一般監理事業(監理事業のうち②に掲げるもの以外のものをいう。)

② 特定監理事業(第一号団体監理型技能実習又は第二号団体監理型技能実習のみを行わせる団体監理型実習実施者について実習監理を行う事業をいう。)

イ 厚生労働大臣は、アの許可をしようとするときは、あらかじめ、労働政策審議会の意見を聴かなければならないものとしたこと。(法第23条第6項関係)

ウ 申請者は、実費を勘案して主務省令で定める額の手数料を納付しなければならないものとしたこと。(法第23条第7項関係)

エ 主務大臣は、機構に、アの許可についての事実関係の調査の全部又は一部を行わせることができるものとしたこと。(法第24条関係)

オ 主務大臣は、アの許可の申請があった場合において、その申請者が次のいずれにも適合するものであると認めるときでなければ、その許可をしてはならないものとしたこと。(法第25条第1項関係)

① 本邦の営利を目的としない法人であって主務省令で定めるものであること。

② 監理事業を適切に運営するための外部役員又は外部監査の措置を講じていること。

③ 外国の送出機関から団体監理型技能実習生になろうとする者からの団体監理型技能実習に係る求職の申込みの取次ぎを受けようとする場合にあっては、外国の送出機関との間で当該取次ぎに係る契約を締結していること。

④ 許可の申請が一般監理事業に係るものである場合は、申請者が団体監理型技能実習の実施状況の監査その他の業務を遂行する能力につき高い水準を満たすものとして主務省令で定める基準に適合していること。

⑤ ①から④までのほか、所要の許可基準に適合していること。

カ 許可の欠格事由に該当する者は、アの許可を受けることができないものとしたこと。(法第26条関係)

キ 監理団体は、職業安定法第30条第1項及び第33条第1項の規定にかかわらず、技能実習職業紹介事業(監理団体の実習監理を受ける団体監理型実習実施者等のみと当該監理団体の実習監理に係る団体監理型技能実習生等のみとの間における技能実習に係る雇用関係の成立をあっせんすることを業として行うものをいう。)を行うことができるものとしたこと。(法第27条第1項関係)

ク 監理団体は、監理事業に通常必要となる経費等を勘案して主務省令で定める適正な種類及び額の監理費を団体監理型実習実施者等へあらかじめ用途及び金額を明示した上で徴収することができるものとするとともに、この場合を除き、監理団体は、監理事業に関し、団体監理型実習実施者等、団体監理型技能実習生等その他の関係者から、いかなる名義でも、手数料又は報酬を受けてはならないものとしたこと。(法第28条関係)

ケ 主務大臣は、7の規定を施行するために必要な限度において、実習実施者、監理団体等に対し、報告若しくは帳簿書類の提出若しくは提示を命じ、若しくは出頭を求め、又は当該主務大臣の職員に質問若しくは立入検査をさせることができるものとしたこと。(法第35条第1項関係)

コ その他許可証、許可の条件、許可の有効期間、変更の許可、技能実習の実施が困難となった場合の届出、事業の休廃止、改善命令、許可の取消し等について所要の規定を設けるものとしたこと。(法第29条から第34条まで、第36条及び第37条関係)

(2) 監理団体の遵守事項

ア 監理団体は、自己の名義をもって、他人に監理事業を行わせてはならないものとしたこと。(法第38条関係)

イ 監理団体は、6(1)アの認定を受けた技能実習計画に従い、団体監理型技能実習生が団体監理型技能実習を行うために必要な知識の修得をさせるよう努めるとともに、団体監理型技能実習を実習監理しなければならないものとしたほか、監理団体は、団体監理型技能実習の実施状況の監査その他の業務の実施に関し主務省令で定める基準に従い、その業務を実施しなければならないものとしたこと。(法第39条第1項及び第3項関係)

ウ 監理団体は、監理事業を行う事業所ごとに監理責任者を選任しなければならないものとしたこと。(法第40条第1項関係)

エ 監理団体は、団体監理型実習実施者が団体監理型技能実習に関し労働に関する法令に違反しないよう、監理責任者をして必要な指導等を行わせなければならないものとしたこと。(法第40条第3項から第5項まで関係)

オ 監理団体は、アからエまでのほか、帳簿の備付け、監査報告、個人情報の取扱い、秘密保持等を行わなければならないものとしたこと。(法第41条から第44条まで関係)

カ その他7の事項の実施に関し必要な事項は、主務省令で定めるものとしたこと。(法第45条関係)

8 技能実習生の保護(法第46条から第49条まで関係)

(1) 禁止行為

ア 実習監理者等は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、技能実習生の意思に反して技能実習を強制してはならないものとしたこと。(法第46条関係)

イ 実習監理者等は、技能実習生等又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他技能実習生等と社会生活において密接な関係を有する者との間で、技能実習に係る契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならないものとしたこと。(法第47条第1項関係)

ウ 実習監理者等は、技能実習生等に技能実習に係る契約に付随して貯蓄の契約をさせ、又は技能実習生等との間で貯蓄金を管理する契約をしてはならないものとしたこと。(法第47条第2項関係)

エ 技能実習関係者は、技能実習生の旅券又は在留カードを保管してはならないものとしたこと。(法第48条第1項関係)

オ 技能実習関係者は、技能実習生の外出その他の私生活の自由を不当に制限してはならないものとしたこと。(法第48条第2項関係)

(2) 主務大臣に対する申告

ア 実習実施者若しくは監理団体又はこれらの役員若しくは職員がこの法律又はこれに基づく命令の規定に違反する事実がある場合においては、技能実習生は、その事実を主務大臣に申告することができるものとしたこと。(法第49条第1項関係)

イ 実習実施者若しくは監理団体又はこれらの役員若しくは職員は、アの申告をしたことを理由として、技能実習生に対して技能実習の中止その他不利益な取扱いをしてはならないものとしたこと。(法第49条第2項関係)

9 補則(法第50条から第56条まで関係)

(1) 指導及び助言等(法第50条関係)

ア 主務大臣は、6から9までの規定の施行に関し必要があると認めるときは、実習実施者及び監理団体に対し、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護のために必要な指導及び助言をすることができるものとしたこと。(法第50条第1項関係)

イ 主務大臣は、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護のため、技能実習生からの相談に応じ、必要な情報の提供、助言その他の援助を行うものとしたこと。(法第50条第2項関係)

(2) 連絡調整等(法第51条関係)

実習実施者及び監理団体は、当該実習実施者及び当該監理団体に係る技能実習生であって引き続き技能実習を行うことを希望するものが技能実習を行うことができるよう、関係者との連絡調整その他の必要な措置を講じなければならないものとし、主務大臣は、必要があると認めるときは、実習実施者、監理団体その他関係者に対する必要な指導及び助言を行うことができるものとしたこと。

(3) 技能実習評価試験(法第52条関係)

主務大臣は、実習実施者が円滑に技能等の評価を行うことができるよう、技能実習評価試験の振興に努めなければならないものとしたとともに、公正な技能実習評価試験が実施されるよう、技能実習評価試験の基準を主務省令で定めるものとしたこと。

(4) 事業所管大臣への要請(法第53条関係)

主務大臣は、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護のために必要があると認めるときは、事業所管大臣に対して、当該特定の業種に属する事業に係る技能実習に関し必要な協力を要請することができるものとしたこと。

(5) 事業協議会(法第54条関係)

事業所管大臣は、関係者により構成される事業協議会を組織することができるものとしたこと。

(6) 他の法律の規定に基づく措置の実施に関する要求等(法第55条関係)

主務大臣は、必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に資する情報の提供をすることができるものとしたとともに、実施し得る他の法律の規定に基づく措置があり、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図るため、当該措置が速やかに実施されることが必要であると認めるときは、当該措置の実施に関する事務を所掌する大臣に対し、当該措置の速やかな実施を求めることができるものとしたこと。

(7) 地域協議会(法第56条関係)

地域において技能実習に関する事務を所掌する国の機関は、関係機関により構成される地域協議会を組織することができるものとしたこと。

10 外国人技能実習機構(法第57条から第102条まで関係)

(1) 総則

ア 機構は、外国人の技能等の修得等に関し、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図り、もって人材育成を通じた開発途上地域等への技能等の移転による国際協力を推進することを目的とするものとしたこと。(法第57条関係)

イ 機構の法人格、数等について所要の規定を設けるものとしたこと。(法第58条から第63条まで関係)

(2) 設立

ア 機構を設立するには、技能実習に関して専門的な知識と経験を有する者三人以上が発起人になることを必要とするものとしたこと。(法第64条関係)

イ 定款の作成、設立の認可、設立の登記等について所要の規定を設けるものとしたこと。(法第65条から第68条まで関係)

(3) 役員等

ア 機構に、役員として理事長1人、理事3人以内及び監事2人以内を置くものとしたこと。(法第69条関係)

イ 役員の職務及び権限、役員の任命等について所要の規定を設けるものとしたこと。(法第70条から第81条まで関係)

(4) 評議員会

ア 機構に、その業務の円滑な運営を図るため、評議員会を置くものとしたこと。(法第82条関係)

イ 評議員会の組織、評議員等について所要の規定を設けるものとしたこと。(法第83条から第86条まで関係)

(5) 業務

ア 機構は、技能実習に関し6及び7に規定する業務等を行うものとしたこと。(法第87条関係)

イ 業務の委託、業務方法書等について所要の規定を設けるものとしたこと。(法第88条から第90条まで関係)

(6) 財務及び会計

ア 機構は、毎事業年度、予算及び事業計画を作成し、当該事業年度の開始前に、主務大臣の認可を受けなければならないものとしたこと。(法第92条関係)

イ 財務諸表、利益及び損失の処理等について所要の規定を設けるものとしたこと。(法第93条から第98条まで関係)

(7) 監督

機構は、主務大臣が監督するものとし、この法律を施行するため必要があると認めるときは、機構に対し、その業務に関して監督上必要な命令をすること等ができるものとしたこと。(法第99条及び第100条関係)

(8) 補則

機構の定款の変更及び解散について所要の規定を設けるものとしたこと。(法第101条及び第102条関係)

11 雑則(法第103条から法第107条まで関係)

(1) この法律における主務大臣は、法務大臣及び厚生労働大臣とするものとし、この法律における主務省令は、主務大臣の発する命令とするものとしたこと。(法第103条関係)

(2) 主務大臣は、7(1)ケの報告徴収等(7(2)エを施行するために行うものに限る。)の権限の一部を国土交通大臣に委任することができるものとしたこと。(第104条第1項関係)

(3) 主務大臣は、7(1)ケの報告徴収等(7(2)エを施行するために行うものに限る。)に関する事務について、労働基準監督官に行わせることができるものとしたこと。(第105条第1項関係)

(4) 国、地方公共団体及び機構は、技能実習が円滑に行われるよう、必要な情報交換を行うことその他相互の密接な連携の確保に努めるものとしたとともに、機構は、連携のため、主務大臣の権限の行使に関して必要な情報の提供を行わなければならないものとしたこと。(第106条関係)

(5) この法律に定めるもののほか、この法律の実施に関し必要な事項は、主務省令で定めるものとしたこと。(第107条関係)

12 罰則(第108条から法第115条まで関係)

この法律の規定に違反した者について、所要の罰則を設けるものとしたこと。

13 施行期日等(附則第1条から第26条まで関係)

(1) この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとしたこと。ただし、10の規定等については、公布の日から施行するものとしたこと。(附則第1条関係)

(2) 政府は、この法律の施行後5年を目途として、この法律の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、この法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとしたこと。(附則第2条関係)

(3) この法律の施行に関し必要な経過措置等を定めるとともに、技能実習の在留資格を定める入管法の一部改正等関係法律について所要の規定の整備を行うものとしたこと。(附則第3条から第26条まで関係)