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通達:一酸化炭素中毒による労働災害の発生状況等について

 

一酸化炭素中毒による労働災害の発生状況等について

平成28年12月6日基安化発1206第1号

(都道府県労働局労働基準部健康主務課長あて厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課長通知)

 

一酸化炭素中毒による労働災害については、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第578条(内燃機関の使用禁止)及び各種通達等に基づき、これまでも予防対策の徹底を図ってきたところであるが、今般、別添1のとおり、昨年の一酸化炭素中毒による労働災害の発生傾向等を取りまとめ、死亡災害の発生している建設業の関係団体あてに活用を要請したので、関係事業者等に対する指導等の参考とされたい。

なお、食料品製造業等事業場における一酸化炭素中毒の防止については、別添2の経済産業省からの要請事項について留意の上、各種機会を捉え、管内の関係団体等に対する周知等に努められたい。

(基本通達)

・一酸化炭素による労働災害の防止について(平成23年7月22日基安化発0722第2号)

(個別分野の主要通達)

・業務用厨房施設における一酸化炭素中毒による労働災害防止について(平成21年12月4日基安化発1204第1号)

・鉄鋼業における一酸化炭素中毒の防止に係る点検の実施結果について(平成18年4月18日付け基安化発第0418001号)

・「鉄鋼業における化学物質管理マニュアル」の送付について(平成17年6月1日付け基安化発第0601001号)

・アーク溶接作業における一酸化炭素中毒の防止について(平成16年9月21日基安化発第0921002号)

・コーヒー液の抽出工程等における一酸化炭素中毒等の防止について(平成16年6月24日基安発第0624003号)

・建設業における一酸化炭素中毒予防のためのガイドラインの策定について(平成10年6月1日基発第329号の1)

 

[別添1]

○建設業における一酸化炭素による労働災害の防止について(要請)

平成28年12月6日基安化発1206第2号

((別記団体の長)あて厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課長通知)

一酸化炭素中毒の防止については、平成23年7月22日付け基安化発0722第1号「一酸化炭素による労働災害の防止について(要請)」において、貴会会員に対して具体的な措置事項等を周知徹底するようお願いしたところです。

一方で、本年もこれまでに一酸化炭素中毒と疑われる死亡災害が2件(2人)発生するなど、その後も一酸化炭素中毒による労働災害が散見されています。

今般、安全衛生活動に活用しやすいよう、別紙1,2,3の通り、一酸化炭素中毒についての発生傾向等をとりまとめましたので、貴会関係事業場に対して周知するとともに貴会における安全衛生活動にご活用いただき、内燃機関を使用する際の換気、警報装置の使用、労働衛生教育の実施など、一酸化中毒防止のために実施すべき事項を改めて徹底いただくようお願いします。

なお、添付資料は、後日、厚生労働省ウェブサイトに掲載いたします。

別記

(1) 労働災害防止団体

建設業労働災害防止協会

(2) 建設業関連団体

社団法人日本土木工業協会

社団法人全国建設業協会

社団法人日本建設業団体連合会

全国建設業協同組合連合会

社団法人全国中小建設業協会

社団法人建設産業専門団体連合会

全国仮設安全事業協同組合

社団法人全国解体工事業団体連合会

一般社団法人住宅リフォーム推進協議会

社団法人日本建築板金協会

社団法人日本ビルヂング協会連合会

社団法人日本エレベータ協会

全日本電気工事業工業組合連合会

社団法人日本電設工業協会

社団法人日本空調衛生工事業協会

社団法人日本左官業組合連合会

社団法人日本鳶工業連合会

日本建築仕上学会

日本建築仕上材工業会

社団法人日本ボイラ整備据付協会

(3) その他関連業界団体

社団法人全国建設機械器具リース業協会

社団法人住宅生産団体連合会

社団法人日本保安用品協会

日本呼吸用保護具工業会

別紙1

一酸化炭素中毒による労働災害の発生状況

表1 過去3年の一酸化炭素中毒による労働災害の推移

 

平成25年

平成26年

平成27年

3年計

休業4日以上の死傷災害 [件]

35

20

36

91

休業4日以上の死傷者数 [人]

58(4)

35(5)

51(5)

144(14)

休業1~3日の死傷者数 [人]

46

41

36

123

注:( )内は死亡災害で内数。

資料出所:労働者死傷病報告、工業中毒等特殊疾病(障害)情報報告により厚生労働省が集計

表2 平成27年の一酸化炭素中毒による労働災害の発生傾向(発生源等・業種別)

 

建設業

食料品製造業

飲食店

鉄鋼業

その他

内燃機関

16(1)

3

 

 

8(2)

27(3)

 

 

 

発電機

10(1)

 

 

 

 

10(1)

車両、船舶(エンジン)

1

3

 

 

3(2)

7(2)

コンプレッサー

2

 

 

 

 

2

高圧洗浄機

 

 

 

 

3

3

コンクリートカッター、はつり機

2

 

 

 

2

4

アーク溶接装置

1

 

 

 

 

1

ガス機器

 

6

1

 

5

12

鉄鋼設備

 

 

 

2

1

3

炭・練炭

1

 

 

 

1

2

火災

1

 

3(1)

 

2(1)

6(2)

その他

 

 

 

 

1

1

計 (人)

18(1)

9

4(1)

2

18(3)

51(5)

注:( )内は死亡災害で内数。

資料出所:労働者死傷病報告等により厚生労働省が集計。休業4日以上及び死亡。

 

別紙2

一酸化炭素による労働災害の概要(全国、平成27年、休業4日以上の死傷災害)

業種

業種コード

原因

発生源等

作業

状況等

被災程度

発生月

都道府県

鉄道・軌道業

4 1 1

換気不十分

内燃機関(自動車エンジン)

除雪

倉庫のシャッターを開ける前に除雪機を始動

死亡

2

北海道

製造業(食料品製造業)

1 1 4

換気不十分

ガス機器(調理器具)

工場

不完全燃焼。換気不十分か。

休業

6

福島県

建設業(土木工事業)

3 1 7

換気不十分

練炭

ブロック脱枠作業

地面を掘削した穴の内部。コンクリートブロックの型枠の部品にたまった水が凍結しないようにするため、穴の上部をシートで養生していた

休業

3

福島県

建設業(建築工事業)

3 2 1

換気不十分

内燃機関(溶接機)

溶接作業

エンジン溶接機。

休業

12

東京都

建設業(建築工事業)

3 2 1

換気不十分

内燃機関(発電機)

左官補修

数cm空いた扉の自然換気のみ

休業

12

東京都

鉄道・軌道業

4 1 1

換気不十分

調理

売店の調理で多量の炭を使用。換気扇は稼働。

休業

11

東京都

建設業(建築工事業)

4 1 1

換気不十分

内燃機関(発電機)

X線探査のフィルム固定

別業者がそばで鉄骨溶接のため発電機を使用

休業

9

東京都

製造業(その他)

1 12 9

火災

火災(電気配線の短絡)

アルミ切断作業後

集じん機ケーブルの上に集じん機のキャスターが乗っていたためケーブルが短絡

死亡

9

東京都

建設業(建築工事業)

3 2 9

火災

火災(不明)

塗装作業

 

休業

2

東京都

建設業(建築工事業)

3 2 1

換気不十分

内燃機関(コンプレッサー)

塗装作業

バルコニーで吹付塗装のため養生シートで作業場所を覆っていた

休業

1

東京都

建設業(土木工事業)

3 1 1

その他

内燃機関(船エンジン)

潜水作業

隣の船の排ガスが潜水器の吸気口から侵入

休業

6

神奈川県

清掃・と畜業

15 1 9

換気不十分

ガス機器(ガスバーナー)

水質分析の蒸留作業

水の入ったフラスコを5連トーチバーナーで加熱。窓を閉め切り、換気扇は停止。

休業

7

富山県

警備業

17 2 1

機器不良

内燃機関(自動車エンジン)

機械警備待機

車内で待機中に、車のボルト緩みにより排気ガスが流入

休業

10

長野県

建設業(その他)

3 3 9

換気不十分

内燃機関(発電機)

鋼製支保ケレン作業

水路内。グラインダーのための発電機。

休業

8

長野県

建設業(その他)

3 3 9

換気不十分

内燃機関(発電機)

鋼製支保ケレン作業

休業

製造業(その他)

1 13 1

換気不十分

内燃機関(コンクリートカッター)

コンクリート切断

工場内でコンクリートカッター使用中に他の労働者が被災

休業

8

岐阜県

漁業

7 2 1

機器破損

内燃機関(船エンジン)

損傷箇所確認中

排気パイプ損傷。確認のため船内床下へ進入

死亡

11

静岡県

建設業(建築工事業)

3 2 1

換気不十分

内燃機関(コンプレッサー)

塗装作業

バルコニーで吹付塗装のため養生シートで作業場所を覆っていた

休業

10

静岡県

製造業(食料品製造業)

1 1 4

換気不十分

ガス機器(オーブン)

工場

給排気ファンを稼働し忘れ

休業

4

静岡県

製造業(食料品製造業)

1 1 4

換気不十分

ガス機器(オーブン)

工場

休業

製造業(食料品製造業)

1 1 9

換気不十分

ガス機器(給湯器)

調理

換気扇は停止。給湯器に不調あり。

休業

2

愛知県

製造業(食料品製造業)

1 1 9

換気不十分

ガス機器(給湯器)

調理

休業

建設業(その他)

3 3 1

換気不十分

内燃機関(発電機)

ケーブル切替工事休憩中

騒音防止のため発電機を車内に設置。

死亡

1

愛知県

飲食店

14 2 9

不明

ガス機器(ガスコンロ)

調理

 

休業

7

大阪府

建設業(建築工事業)

3 2 3

換気不十分

内燃機関(はつり機)

改装工事

エンジン付きはつり機。窓1つの自然換気のみ

休業

6

大阪府

製造業(食料品製造業)

1 1 4

換気不十分

ガス機器(ガスコンロ)

工場

換気扇は停止。停止に気づかず。

休業

4

大阪府

建設業(建築工事業)

3 2 2

換気不十分

内燃機関(発電機)

改修工事

マンション内で手持式削岩機のための発電機。近隣への騒音・粉じん飛散防止のため窓を閉めていた

休業

11

兵庫県

建設業(建築工事業)

3 2 2

換気不十分

内燃機関(発電機)

改修工事

休業

建設業(建築工事業)

3 2 2

換気不十分

内燃機関(発電機)

改修工事

休業

建設業(建築工事業)

3 2 2

換気不十分

内燃機関(発電機)

改修工事

休業

建設業(建築工事業)

3 2 9

換気不十分

内燃機関(コンクリートカッター)

コンクリート切断

排気ファン一台あり

休業

3

岡山県

清掃・と畜業

15 1 9

換気不十分

内燃機関(高圧洗浄機)

トイレ清掃

ガソリンエンジン付きの高圧洗浄機。

休業

2

岡山県

社会福祉施設

13 2 1

換気不十分

ガス機器(カセットコンロ)

調理

窓1つを全開にして自然換気は実施

休業

1

岡山県

飲食店

14 2 9

火災

火災(不明)

接客

1階(別事業場)で出火。2階から逃げ遅れ

死亡

10

広島県

飲食店

14 2 9

火災

火災(不明)

接客

休業

飲食店

14 2 9

火災

火災(不明)

接客

休業

製造業(鉄鋼業)

1 10 1

設備からの漏えい

鉄鋼設備

補修工事

原料過供給のため原料投入部分のシール弁が閉じず、一酸化炭素が高炉から噴出

休業

9

広島県

製造業(鉄鋼業)

1 10 1

設備からの漏えい

鉄鋼設備

補修工事

休業

製造業(その他)

1 13 1

設備からの漏えい

鉄鋼設備

補修工事

休業

製造業(その他)

1 13 1

設備からの漏えい

その他(電気炉)

保守作業

フィルター交換作業の際に、電気炉内部の一酸化炭素を換気する前に炉を開放

休業

1

山口県

製造業(食料品製造業)

1 1 2

内燃機関停止忘れ

内燃機関(自動車エンジン)

就寝中

階下のフォークリフトのエンジンを切り忘れたまま就寝

休業

8

香川県

製造業(食料品製造業)

1 1 2

内燃機関停止忘れ

内燃機関(自動車エンジン)

就寝中

休業

製造業(食料品製造業)

1 1 2

内燃機関停止忘れ

内燃機関(自動車エンジン)

就寝中

休業

建設業(その他)

3 3 9

換気不十分

内燃機関(発電機)

塗装前の養生作業

屋内。発電機を稼働したまま作業した

休業

3

高知県

製造業(その他)

1 17 1

火災

火災(モーター)

消火・避難誘導

モーターが何らかの原因で発火

休業

11

福岡県

公園・遊園地

14 3 2

換気不十分

内燃機関(高圧洗浄機)

洗浄作業

ガラス温室内

休業

1

熊本県

公園・遊園地

14 3 2

換気不十分

内燃機関(高圧洗浄機)

洗浄作業

休業

畜産業

7 1 1

換気不十分

ガス機器(ストーブ)

入雛作業

鶏舎内。入雛に先立ち、鶏舎を暖めるため、扉等を閉め切って暖房用ガスストーブを使用。入雛作業時に被災。

休業

12

鹿児島県

畜産業

7 1 1

換気不十分

ガス機器(ストーブ)

入雛作業

休業

畜産業

7 1 1

換気不十分

ガス機器(ストーブ)

入雛作業

休業

旅館業

14 1 1

換気不十分

内燃機関(コンクリートカッター)

コンクリート切断

屋外への扉を開放し自然換気は実施

休業

5

鹿児島県

注:「労働者死傷病報告」、「工業中毒等特殊疾病(障害)情報報告」等により厚生労働省が作成。状況等は推定を含む。

注:表は都道府県順に並んでいる。

注:業種は、労働基準法及び労働基準局報告例規に基づく分類

 

別紙3

近年における一酸化炭素中毒による労働災害(例)

業種

被災状況

発生状況

発生原因

建設業

中毒1名

マンション新築現場の通風が不十分な躯体内において、内燃機関式のコンプレッサーを用いてバルコニー天井の吹付塗装作業を行っていたところ、当該コンプレッサーを吹付塗装を行う作業エリア内に設置していたため、一酸化炭素が充満し中毒になった。

換気が不十分な場所での内燃機関の使用

作業標準不徹底

作業標準書未作成

建設業

中毒4名

地面を掘削して作った穴の内部で、コンクリートブロック型枠の部品に溜まった水が凍結しないよう、練炭を燃やしていたところ、穴の中で型枠組立作業を行っていた作業者4名が一酸化炭素中毒になった。型枠全体をブルーシートで養生していた。

換気不十分

呼吸用保護具未着用

一酸化炭素濃度測定未実施

危険有害性の認識不足

建設業

中毒4名

休憩時間中に資材小屋内において、ガソリンエンジン式発電機の排気ガスで暖をとっていたところ、4名が気分が悪くなり、一酸化炭素中毒となった。

換気が不十分な場所での内燃機関の使用

安全衛生教育不十分

建設業

中毒3名

店舗の天井の塗装工事中、発電機を建物外に置かず店舗内の扉近くに置き、開口部を2方向設け扇風機で発電機に向かって風を送っていた。気分が悪くなり、受診し一酸化炭素中毒と診断された。

換気が不十分な場所での内燃機関の使用

危険有害性の認識不足

建設業

中毒1名

飲食店舗内の冷凍機等設置工事現場において、被災者はコンクリートカッターで土間を切断する工事を行っていたところ、気分不良を訴えて休憩していたが、その後会話もできない状態となった。救急搬送され一酸化炭素中毒と診断された。

換気が不十分な場所での内燃機関の使用

呼吸用保護具未着用

建設業

中毒2名

工場内に足場で囲いを作り、粉じん飛散防止のためにシートで目張りしたエリア内で、作業者2名がエンジン式のロードカッターを30分間使用し退室した。その後、天井板の撤去を作業者4名が同エリア内で開始したところ、約40分後、3名が体調不良を訴え、うち2名が救急搬送された。一酸化炭素中毒と診断された。

換気が不十分な場所での内燃機関の使用

呼吸用保護具未着用

作業標準未作成

危険有害性の認識不足

安全衛生教育不十分

建設業

中毒2名

建物解体工事現場で、被災者らはガソリン式高圧洗浄機を使用して居室天井部分の断熱材をはがす作業を行っていた。洗浄機は隣接する廊下に設置し、排気ガスをその廊下に排出していたが、作業現場を訪れた責任者が、倒れている被災者2名を発見し、病院にて一酸化炭素中毒と診断された。

換気が不十分な場所での内燃機関の使用

安全衛生教育不十分

運輸業

死亡1名

被災者は、午前7時ごろ、プラットホームに隣接する小屋内において、何らかの理由で出入口のシャッターを開けないまま、除雪機を暖気運転していたところ、小屋内に充満した一酸化炭素により、中毒を発症した。

換気が不十分な場所での内燃機関の使用

作業標準不徹底

安全衛生教育不十分

資料出所:厚生労働省

 

[別添2]

○食品工場及び業務用厨房施設における一酸化炭素中毒事故の防止について(要請)

平成28年7月11日28商ガ安第14号

(厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課長あて経済産業省商務流通保安グループ高圧ガス保安室長・経済産業省商務流通保安グループガス安全室長通知)

上記の件について、経済産業省は別添のとおり、食品工場及び業務用厨房施設において液化石油ガス及び都市ガスの消費を行う者に対して注意喚起を行うこととしました。

つきましては、食品工場及び業務用厨房施設の液化石油ガス及び都市ガスの消費設備による一酸化炭素中毒事故防止のため、関係機関及び関係団体に対し、別添事項について注意喚起を行うよう要請します。

別添

食品工場及び業務用厨房施設における一酸化炭素中毒事故の防止について

近年、食品工場及び業務用厨房施設において都市ガス及び液化石油ガス(以下、「ガス」という。)の消費設備による一酸化炭素(以下「CO」という。)中毒事故が発生しています。平成28年は5月末時点で、1件(死者0名、症者1名)発生したほか、平成27年は4件(死者0名、症者16名)発生しました。これらの事故原因は、機器の経年劣化や換気が不十分なため、消費設備が不完全燃焼を起こし、COが発生したものです。

食品工場及び業務用厨房施設においてひとたびCO中毒事故が発生した場合、従業員のみならず来店者も被災する可能性があることから、換気、点検、手入れ、業務用換気警報器設置等の重要性について、業務用厨房の所有者、従業員、アルバイト等の理解を促すことが重要です。

経済産業省は、食品工場及び業務用厨房施設におけるガスの消費設備によるCO中毒事故を防止するため、下記の事項について、ガスの消費設備の使用者及び管理者に対して注意喚起をします。

1.ガスの消費設備の使用中は、必ず換気(給気及び排気の両方)を行うこと。特に夏期、冬期等冷暖房機を使用する時期においても、室内でガスの消費設備を使用する際には、必ず換気を行うこと。なお、現場において換気し忘れを防止するための工夫を実践すること。

2.ガスの消費設備の使用者及び管理者は、ガスの消費設備の使用開始時及び使用終了時に当該設備の異常の有無を点検するほか、1日に1回以上、ガスの消費設備の態様に応じ、当該設備の作動状況について点検し、異常のあるときは、当該設備の使用中止、補修その他の危険を防止する措置を講じること。

3.ガスの消費設備及び換気設備は、日頃から手入れをすること。特に台風、地震、積雪等の自然災害後は当該設備の異常の有無を点検し、異常のあるときは、当該設備の使用中止、補修その他の危険を防止する措置を講じること。また、停電中は、換気扇及び給排気設備が作動しない場合があるので、停電中にやむを得ずガスの消費設備を使用する場合は、窓を開けて換気をする等の措置を講じること。

4.排気ガス中に含まれる油脂等を有効に除去するために排気取入口に設置されるグリス除去装置(グリスフィルター)や、悪臭防止のために排気ダクト内に設置される脱臭フィルター等は、使用し続けると油脂等が付着して目詰まりを起こし、十分な換気量が確保できなくなることから、当該フィルターの定期的な清掃又は交換を実施すること。

5.万一の不完全燃焼に備えて業務用換気警報器の設置が望ましいこと。

参考1:平成28年食品工場及び業務用厨房施設における一酸化炭素中毒事故一覧

参考2:平成27年食品工場及び業務用厨房施設における一酸化炭素中毒事故一覧

問い合わせ先:経済産業省 商務流通保安グループ

高圧ガス保安室 (食品工場)

03―3501―1706

ガス安全室 (業務用厨房施設)

03―3501―4032

(参考1)

平成28年 食品工場及び業務用厨房施設における一酸化炭素中毒事故一覧

 

月日

県名

死亡

中毒

事故概要

ガス種

1

2月29日

埼玉県

0

1

飲食店において、従業員1名が調理中に気分が悪くなり、一酸化炭素中毒と診断される事故が発生しました。原因は、換気扇を稼働せずに業務用こんろを使用したため、換気不良による不完全燃焼で一酸化炭素が発生し、一酸化炭素が滞留したことによるものと推定される。

LPガス

(参考2)

平成27年 食品工場及び業務用厨房施設における一酸化炭素中毒事故一覧

 

月日

県名

死亡

中毒

事故概要

ガス種

1

2月19日

千葉県

0

7

公共施設において、消費者7名が味噌作りのため3台の鋳物こんろを使用中、作業が一段落したため隣室で休憩していたところ、全員が一酸化炭素中毒と思われる症状となり消防へ通報、救急搬送された先で中度の一酸化炭素中毒と診断された。

原因は、消費者が鋳物こんろを使用中、換気扇を作動させていなかったため換気不良となり、一酸化炭素を含む排気ガスが室内に滞留、中毒に至ったものと推定される。

なお、消防の調査によると、調理場付近の一酸化炭素濃度は205ppmを示していた。

LPガス

2

2月20日

愛知県

0

1

保育園の調理室において、従業員がCF式給湯器を使用中、一酸化炭素中毒となり病院へ搬送された。

原因は、当該給湯器は排気筒を接続せずレンジフード受けの状態で使用されていたが、従業員がレンジフードを作動させず、窓を閉め切った状態で当該給湯器を使用していたため、換気不良となり、室内に一酸化炭素を含む排気ガスが滞留し、一酸化炭素中毒に至ったものと推定される。

なお、当該給湯器はバーナーの経年劣化により、不完全燃焼が起こり、一酸化炭素を含む排気ガスが発生していたことに加え、熱交換器の不具合もあった。

LPガス

3

1月23日

福岡県

0

1

ジャム製造所の調理室内にて、業務用ガスレンジを燃焼していたところ、従業員が体調不良を訴え病院に搬送された。病院にて検査の結果、CO中毒との診断であった。CO検知器、ガス漏れ警報器は設置していたが、作動しなかった。

なお、いずれも、検査の結果、異常はなかった。事故時、換気扇は、作動していた旨の回答を従業員から得ている(給気は自然給気式)。事故時の使用状況を再現したが、COは発生しなかった。しかし、給気口のフィルターの目詰まりが確認された。また、設計時に計算ミスがあり、消費機器の排ガス量に対する排気風量が不足しており、給気口と排気口に適切な離隔がなかった。以上の原因により、一時的に酸素不足等が発生したため、不完全燃焼が生じ、事故に至ったものと推定される。今後は、①日常点検の実施を徹底する。②給気フィルターの交換周期を早める。③給気と排気が確実に行われるよう給排気設備の改善を実施する(排気ファンの風量を増やす。給気口を排気口から離れた位置に増設し、給排気のショートサーキットを防止する。)。④CO警報器を増設する。

LPガス

4

4月10日

静岡県

0

7

製菓工場内において、LPガスの消費設備(平成13年設置)であるパイ焼き用のトンネルオーブンから発生した一酸化炭素が、オーブン室内の排気ファンにて屋外排気されず、隣接する成形室に長時間流入したことにより、成形室で作業していた従業員7名が不快感を訴えた。事故後にトンネルオーブンのバーナーの分解点検を行った。原因は、①ガス量と空気量のバランスがガス量過多の状態となっていたこと、②ガスミキサー内部のテーパー管内壁に不純物が付着していたこと、③二次空気管内に不純物が付着し、閉塞状態になっていたこと、④オーブン室の排気ファンが停止していたことにより、オーブン室(炉内)からの燃焼気体が成形室へ逆流したことと推定される。

LPガス