◆トップページに移動 │ ★目次のページに移動 │ ※文字列検索は Ctrl+Fキー
労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令及び石綿障害予防規則等の一部を改正する省令の周知及び指導に係る留意点について
平成18年9月1日基監発第0901002号・基安労発第0901001号・基安化発第0901001号
(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局監督課長・安全衛生部労働衛生課長・安全衛生部化学物質対策課長通知)
労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令(平成18年政令第257号。以下「改正政令」という。)及び石綿障害予防規則等の一部を改正する省令(平成18年厚生労働省令第147号。以下「改正石綿則」という。)の周知については、平成18年8月23日付け基発第0823004号「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令及び石綿障害予防規則等の一部を改正する省令の周知について」により指示されているところであるが、具体的な周知及び指導に当たっては、下記の点に留意の上、関係事業者等に対する改正政令及び改正石綿則の周知及び指導に遺漏なきを期されたい。
記
1 改正政令について
これまでの都道府県労働局(以下「局」という。)及び労働基準監督署(以下「署」という。)における石綿含有製品の代替化に係る指導等の状況を踏まえ、次に示す事項に留意し、局署管内の実情に応じて適切に周知及び指導を行うこと。
(1) 重点事項
ア 平成18年9月1日以降、石綿及び石綿をその重量の0.1%を超えて含有するすべての石綿含有製品について、改正政令附則第3条に規定する適用除外製品等(以下「適用除外製品等」という。)を除き、製造、輸入、譲渡、提供及び使用(以下「製造等」という。)が禁止されること。
イ 平成18年9月1日前に製造、輸入されたいわゆる在庫品についても、製造等が禁止されること。なお、同日において現に使用されている物については、同日以後引き続き使用されている間は、製造等の禁止の規定は適用されないが、これを改修等により新たな物に交換する場合には、石綿を含有しない物とする必要があること。
(2) 周知及び指導の対象
製造等が禁止されることについては幅広く対象をとらえて周知する必要があるが、平成17年7月15日付け基発第0715001号の記の2により監督指導等の対象とした事業場、石綿等を含有する部材を設備の中で使用している事業場(例えば、石綿材のガスケットを使用している化学工場で、年に数回取り替え作業がある等の事業場)など、局及び署において把握している石綿含有製品を製造等している、又は過去に製造等をしていた事業者について指導の対象とすること。
(3) 留意事項
ア 改正政令の施行日前に適用除外製品等以外の石綿含有製品の製造等を行っているとして局又は署で把握している事業者に対しては、平成18年9月1日以降、製造等を行っていないことを個別指導等により確実に確認すること。
なお、製造等を行わないこととした事業場については、石綿取扱作業に従事していた労働者に対する石綿健康診断の実施義務があること等を重ねて指導すること。
イ 適用除外製品等の製造等(使用を除く。)を行う事業者に対しては、適用除外製品等のリストが記載されたラベル又は文書を製品に添付することにより、当該製品が改正政令附則第3条に掲げる用途や条件以外に使用できないことについて譲渡又は提供をする相手方に通知するよう指導を行うこと。
ウ 適用除外製品等を使用している事業者に対しては、次の事項について引き続き指導を行うこと。
① 適用除外製品等について、代替製品メーカー等と協力して実証試験等を行い、代替が可能と判断されたものから速やかに石綿を含有しない代替物に交換すること。
② 実証試験において、なお代替化が困難とされる部位に使用される石綿含有製品については、施設・設備・機械等の設計、施工方法の変更等を検討することにより、代替化の促進に努めること。
エ 規制対象となる物の石綿含有率が1%から0.1%に改められたことにより、対象事業場が拡大することも考えられるので、今後とも対象の把握に努め、必要な周知及び指導を行うこと。
2 改正石綿則について
改正石綿則第1条の規定による改正後の石綿則(以下「新石綿則」という。)の措置の遵守を徹底するため、次によりその規制の内容及び対象に即した的確な周知及び指導を図ること。
(1) 重点事項
ア 吹き付けられた石綿等の封じ込め及び囲い込みの作業についても、除去作業と同様に事前調査、作業の届出等が義務付けられたこと。(新石綿則第3条から第9条まで、第13条、第14条、第27条関係)
イ 労働者がばく露するおそれがある石綿等が吹き付けられた建築物に臨時に就業させるときは、呼吸用保護具及び作業衣又は保護衣を使用させなければならないこと。(新石綿則第10条関係)
ウ 石綿等が付着した器具、工具、足場等については、付着した物を除去した後でなければ作業場外に持ち出してはならないこと。(新石綿則第32条の2関係)
エ 作業の記録及び健康診断の結果の記録の保存期間について、石綿等を取り扱う作業に常時従事しないこととなった日から40年間保存することとされたこと。作業環境測定の結果及びその評価の記録の保存期間についても併せて40年間に延長されたこと。(新石綿則第35条から第37条まで、第41条関係)
(2) 周知及び指導の対象
ア 吹き付けられた石綿等の封じ込め又は囲い込みの作業に係る措置(上記(1)のア関係)
吹き付けられた石綿等の除去、封じ込め又は囲い込みの作業を行う事業者を含む建設事業者全般を対象とすること。
イ 石綿等が吹き付けられた建築物等における臨時の業務に係る措置(上記(1)のイ関係)
建築物の天井裏、エレベータの昇降路等における設備の点検、補修等の作業、掃除の作業等を行う事業者を対象とすること。これらの事業者の中央団体としては、(社)日本クレーン協会、(社)ボイラ・クレーン安全協会、(社)日本エレベーター協会、(社)日本電設工業協会、全日本電気工事業工業組合連合会、(社)全国ビルメンテナンス協会等があるが、これらの団体の地方支部等との連携にも留意すること。
また、石綿等が吹き付けられている建築物の管理を行う事業者についても対象とすること。
ウ 器具、工具、足場等の持ち出し禁止(上記(1)のウ関係)
建築物等の解体等の作業を行う事業者及び仕事の発注者のほか、足場等の仮設機材等を貸出す事業者についても周知の対象とすること。仮設機材等の貸出し事業者の中央団体としては、(社)仮設工業会、全国仮設安全事業協同組合、(社)軽仮設リース業、(社)全国建設機械器具リース業協会等があるが、これらの地方支部等との連携にも留意すること。
エ 記録の保存期間の延長(上記(1)のエ関係)
過去に石綿等を製造し、又は取り扱う業務を行っていた事業者のほか、建築物等の解体等の作業を行う事業者、適用除外製品等を製造し、又は取り扱っている事業者を対象とすること。
(3) 留意事項
ア 石綿等が吹き付けられた建築物における臨時の業務を行う事業者に対しては、吹き付けられた石綿等の状況について建築物の管理者に確認する等労働者を臨時に就業させる建築物の石綿に関する情報収集に努めさせ、石綿によるばく露のおそれがある場合には、保護具等を使用するよう指導すること。
イ 作業の記録及び健康診断の結果の記録の保存期間については、単に延長されただけではなく、起点の考え方が変更されていることについても確実に周知を図ること。
なお、作業の記録、健康診断の結果の記録、作業環境測定の結果及びその評価の記録の保存は、書面のほか電磁的記録による保存で差し支えないものであるが、電磁的記録による場合は、厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令(平成17年厚生労働省令第44号)の定めによることに留意すること。
ウ 建築物等の解体等の作業を行う事業者及び仕事の発注者並びに石綿等が吹き付けられている建築物の管理を行う事業者に対する周知に当たっては、平成17年3月18日付け基発第0318004号「石綿障害予防規則の周知について」(以下「0318004号通達」という。)の記の2の(1)で示された事項に留意すること。
3 その他
周知用のリーフレット(改正政令の概要)及びパンフレット(改正石綿則の概要)を作成し、局署に別途送付しているので、これらを活用するとともに、0318004号通達の記の3で示された事項に留意すること。