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鉛中毒予防規則等の一部を改正する省令の施行及び関係告示の適用等について
平成16年3月19日基発第0319008号
(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)
鉛中毒予防規則等の一部を改正する省令(平成15年厚生労働省令第174号。以下「改正省令」という。)並びに平成15年厚生労働省告示第374号(特定化学物質等障害予防規則の規定に基づき労働大臣が定める性能を定める件の一部を改正する件。)、平成15年厚生労働省告示第375号(鉛中毒予防規則第30条の2の厚生労働大臣が定める構造及び性能。以下「第375号告示」という。)、平成15年厚生労働省告示第376号(鉛中毒予防規則第32条第1項の厚生労働大臣が定める要件。以下「第376号告示」という。)、平成15年厚生労働省告示第377号(特定化学物質等障害予防規則第7条第2項第4号及び第50条第1項第8号ホの厚生労働大臣が定める要件。以下「第377号告示」という。)及び平成15年厚生労働省告示第378号(特定化学物質等障害予防規則第8条第1項の厚生労働大臣が定める要件。以下「第378号告示」という。)は、平成15年12月10日に公布され、一部の規定を除き、それぞれ同日から施行又は適用されたところである。
本改正は、一定の要件を具備するプッシュプル型換気装置について、鉛等及び焼結鉱等の蒸気及び粉じん並びに一定の化学物質等のガス、蒸気及び粉じんの発散を防止するための設備としての有効性が確認されたことを踏まえ、鉛中毒予防規則(昭和47年労働省令第37号。以下「鉛則」という。)及び特定化学物質等障害予防規則(昭和47年労働省令第39号。以下「特化則」という。)において、局所排気装置と同様に、鉛等及び焼結鉱等の蒸気及び粉じん並びに一定の化学物質等のガス、蒸気及び粉じんの発散源に係る措置の一つとして位置付けるとともに、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「安衛則」という。)についても所要の整備を行ったものである。
ついては、下記の事項に留意して、その運用に遺漏なきを期されたい。
記
Ⅰ 改正省令関係
第1 改正の要点
1 事業者が労働者を鉛業務及び一定の化学物質等に係る作業に従事させるときに設けなければならない設備として、プッシュプル型換気装置を認めること。(鉛則第5条から第18条まで、第20条、第23条、第26条、第29条、第34条、第35条、第37条及び第58条並びに特化則第3条から第5条まで、第9条、第10条、第28条、第29条、第30条、第38条の12、第38条の13、第38条の16、第50条及び第50条の2関係)
2 プッシュプル型換気装置について、一定の性能及び構造を有するものでなければならないこととすること。(鉛則第30条の2及び特化則第7条関係)
3 局所排気装置、プッシュプル型換気装置等について、一定の要件を満たすように稼働させなければならないこととすること。(鉛則第32条及び特化則第8条関係)
4 建築物貸与者が二以上の事業者に建築物を貸与する場合にその共用部分の機能を有効に保持するため必要な措置を講じなければならない装置として、プッシュプル型換気装置を追加すること。(安衛則第672条関係)
5 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「法」という。)第88条第1項(同条第2項において準用する場合を含む。)の規定に基づき事業者が労働基準監督署長にその設置等の計画について届け出なければならない機械等として、鉛則及び特化則の規定に基づき設置するプッシュプル型換気装置を追加すること。(安衛則別表第7関係)
第2 細部事項
1 鉛則関係
(1) 第26条関係
プッシュプル型換気装置に除じん装置を設けるときは、吸込み側フードから吸引された粉じんを含む空気を除じんするためのものであることから、排気側に設けること。
(2) 第32条関係
局所排気装置、全体換気装置及び排気筒については、改正前の鉛則第32条第1項において「労働者が鉛業務に従事する間、当該装置を稼働させなければならない」こと及び同条第2項において「当該装置を有効に稼働させるために必要な措置を講じなければならない」こととされていたところであるが、今回の省令の改正に伴い、局所排気装置等に係る稼働の要件を第376号告示により明確化することとしたこと。
また、第2項の「有効に稼働させる」とは、第376号告示に規定する稼働の要件を満たしていることをいうこと。
(3) 第35条関係
第2項第2号ホの「送気、吸気及び排気の能力」の検査に当たっては、第375号告示に規定されている要件を満たしていることを確認しなければならないこと。
(4) 第58条関係
第3項第3号に規定する船舶、タンク等の内部その他の場所における作業については、プッシュプル型換気装置の設置が有効な措置とはならないことから、第3項ただし書の規定により呼吸用保護具の使用を免除されることとはならないこと。
なお、局所排気装置、全体換気装置又は排気筒(鉛等若しくは焼結鉱等の溶融の業務を行う作業場所に設ける排気筒に限る。)については、従来からの取扱いを変更するものではないこと。
2 特化則関係
(1) 第8条関係
局所排気装置については、改正前の特化則第8条第1項において「第一類物質又は第二類物質に係る作業が行われている間、稼働させなければならない」こと及び同条第2項において「当該装置を有効に稼働させるため必要な措置を講じなければならない」こととされていたところであるが、今回の省令の改正に伴い、局所排気装置に係る稼働の要件を第378号告示により明確化することとしたこと。
また、第2項の「有効に稼働させる」とは、第378号告示に規定する稼働の要件を満たしていることをいうこと。
(2) 第9条関係
プッシュプル型換気装置に除じん装置を設けるときは、吸込み側フードから吸引された粉じんを含む空気を除じんするためのものであることから、排気側に設けること。
(3) 第10条関係
プッシュプル型換気装置に排ガス処理装置を設けるときは、吸込み側フードから吸引されたガス又は蒸気を処理するためのものであることから、排気側に設けること。
(4) 第30条関係
第1項第2号ホの「送気、吸気及び排気の能力」の検査に当たっては、第377号告示に規定されている要件を満たしていることを確認しなければならないこと。
3 改正省令附則関係
(1) 施行期日等
改正省令は、公布の日から施行することとしたこと。
ただし、安衛則第672条の改正規定については、平成16年1月10日から施行することとしたこと。
(2) 経過措置
イ 改正省令の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例によること。
ロ 改正省令の施行日前において設置されている装置であって、第375号告示に規定する密閉式プッシュプル型換気装置又は開放式プッシュプル型換気装置の要件に適合するもの(鉛業務に係るものに限る。)は、改正省令に規定するプッシュプル型換気装置に該当するものであること。したがって、当該装置を改正省令の施行日以後に鉛則第2章に規定するプッシュプル型換気装置として使用する場合は、法第88条第1項(同条第2項において準用する場合を含む。)の規定による計画の届出を行う必要があること。
ハ 改正省令の施行日前において鉛則第2章に規定する局所排気装置(鉛則第24条第4号に規定する囲い式フードを有するものに限る。)に該当するものであって、改正省令の施行日以後に第375号告示に規定する密閉式プッシュプル型換気装置の要件に適合させて使用するもの(鉛業務に係るものに限る。)は、改正省令に規定するプッシュプル型換気装置に該当するものであること。したがって、当該装置を改正省令の施行日以後に鉛則第2章に規定するプッシュプル型換気装置として使用する場合は、法第88条第1項(同条第2項において準用する場合を含む。)の規定による計画の届出を行う必要があること。
ニ 改正省令の施行日前において設置されている装置であって、第377号告示に規定する密閉式プッシュプル型換気装置又は開放式プッシュプル型換気装置の要件に適合するもの(特定化学物質等の製造又は取扱い業務に係るものに限る。)は、改正省令に規定するプッシュプル型換気装置に該当するものであること。したがって、当該装置を改正省令の施行日以後に特化則第3条、第4条第3項又は第5条第1項に規定するプッシュプル型換気装置として使用する場合は、法第88条第1項(同条第2項において準用する場合を含む。)の規定による計画の届出を行う必要があること。
ホ 改正省令の施行日前において特化則第3条、第4条第3項又は第5条第1項に規定する局所排気装置(囲い式フードを有するものに限る。)に該当するものであって、改正省令の施行日以後に第377号告示に規定する密閉式プッシュプル型換気装置の要件に適合させて使用するものは、改正省令に規定するプッシュプル型換気装置に該当するものであること。したがって、当該装置を改正省令の施行日以後に特化則第3条、第4条第3項又は第5条第1項に規定するプッシュプル型換気装置として使用する場合は、法第88条第1項(同条第2項において準用する場合を含む。)の規定による計画の届出を行う必要があること。
Ⅱ 関係告示関係
第1 制定の要点
1 第375号告示関係
鉛則第2章の規定により設けるプッシュプル型換気装置に係る構造及び性能の要件として、捕捉面における気流の風速等を規定すること。
2 第376号告示関係
鉛則第2条に規定する局所排気装置及び同令第2章の規定により設ける局所排気装置、同令第2章の規定により設けるプッシュプル型換気装置、同令第16条の規定により設ける全体換気装置並びに同令第2条に規定する排気筒及び同令第2章の規定により設ける排気筒に係る稼働の要件を規定すること。
3 第377号告示関係
特化則第3条、第4条第3項、第5条第1項及び第50条第1項第6号の規定により設けるプッシュプル型換気装置に係る構造及び性能の要件として、捕捉面における気流の風速等を規定すること。
4 第378号告示関係
特化則第3条、第4条第3項又は第5条第1項の規定により設ける局所排気装置及びプッシュプル型換気装置に係る稼働の要件を規定したこと。
第2 細部事項
1 第375号告示関係
(1) 第1号関係
イ 第1号ロの「鉛等又は焼結鉱等の蒸気又は粉じんの発散源にできるだけ近い位置に吸込み側フードを設けること等」の「等」には、例えば、鉛等又は焼結鉱等の蒸気又は粉じんの発散源から吸込み側フードまでの間に柵等を設けて立入禁止措置を講ずることが含まれること。
ロ 第1号ホの「気流の方向に垂直な平面」の範囲は、ブース内に限られるものであること。
(2) 第2号関係
イ 開放式プッシュプル型換気装置のうち、吹出し側フードの開口部と吸込み側フードの開口部が対面し、これらの間において捕捉気流の向きが変わらないものにあっては同号イに掲げる要件、それ以外のものにあっては同号ロに掲げる要件を満たすものであること。
ロ 第2号イ(6)の「気流の方向に垂直な平面」の範囲は、換気区域内に限られるものであること。
なお、ここでいう「下降気流」とは、吹出し側フードの開口部から発生した気流が床面におおむね垂直に下降するものをいうこと。したがって、気流が床面に対して斜めに下降する斜降流により発生する気流並びに定盤等の作業台を有するもので、労働者の呼吸域及びそれより高い位置で気流が床面におおむね垂直に下降しない気流は、下降気流に含まれないものであり、「吸込み側フードから最も離れた位置の鉛等又は焼結鉱等の蒸気又は粉じんの発散源を通り、かつ、気流の方向に垂直な平面」が存在することが必要であること。
ハ 第2号イ(7)の要件は、換気区域内に作業の対象物が通常の作業位置にあり、かつ、作業者が通常の作業を行っている場合であっても満たすものであること。
ニ 第2号ロ(2)の「換気区域」を定めるための気流の確認は、周辺に作業の対象物、作業台等が通常の作業位置にある状態で行うこと。この場合の確認は、スモークテスター等の発煙体を用いて気流を可視化することにより測定するほか、あらかじめ同じ装置により得られた測定結果を用いる方法があること。
なお、当該換気区域については、安衛則様式第26号の「吹出し側フード、吸込み側フード及びブースの構造を示す図面」を作業場内の見やすい場所に掲示すること等により作業に従事する労働者に周知させるよう指導すること。
2 第376号告示関係
第1号及び第4号の「常態として超えないように稼働させること」とは、一作業直の時間中に平均して超えないように稼働させることをいうものであること。
3 第377号告示関係
(1) 第1号関係
イ 第1号ロの「第一類物質又は第二類物質のガス、蒸気又は粉じんの発散源にできるだけ近い位置に吸込み側フードを設けること等」の「等」には、例えば、第一類物質又は第二類物質のガス、蒸気又は粉じんの発散源から吸込み側フードまでの間に柵等を設けて立入禁止措置を講ずることが含まれること。
ロ 第1号ハの「気流の方向に垂直な平面」の範囲は、ブース内に限られるものであること。
(2) 第2号関係
イ 開放式プッシュプル型換気装置のうち、吹出し側フードの開口部と吸込み側フードの開口部が対面し、これらの間において捕捉気流の向きが変わらないものにあってはイに掲げる要件、それ以外のものにあってはロに掲げる要件を満たすものであること。
ロ 第2号イ(4)の「気流の方向に垂直な平面」の範囲は、換気区域内に限られるものであること。
なお、ここでいう「下降気流」とは、吹出し側フードの開口部から発生した気流が床面におおむね垂直に下降するものをいうこと。したがって、気流が床面に対して斜めに下降する斜降流により発生する気流、定盤等の作業台を有するもので、労働者の呼吸域及びそれより高い位置で気流が床面におおむね垂直に下降しない気流は、下降気流に含まれないものであり、「吸込み側フードから最も離れた位置の第一類物質又は第二類物質のガス、蒸気又は粉じんの発散源を通り、かつ、気流の方向に垂直な平面」が存在することが必要であること。
ハ 第2号イ(5)の要件は、換気区域内に作業の対象物が通常の作業位置にあり、かつ、作業者が通常の作業を行っている場合であっても満たすものであること。
ニ 第2号ロ(2)の「換気区域」を定めるための気流の確認は、周辺に作業の対象物、作業台等が通常の作業位置にある状態で行うこと。この場合の確認は、スモークテスター等の発煙体を用いて気流を可視化することにより測定するほか、あらかじめ同じ装置により得られた測定結果を用いる方法があること。
なお、当該換気区域については、安衛則様式第26号の「吹出し側フード、吸込み側フード及びブースの構造を示す図面」を作業場内の見やすい場所に掲示すること等により作業に従事する労働者に周知させるよう指導すること。
4 第378号告示関係
第1号イの「常態として超えないように稼働させること」とは、一作業直の時間中に平均して超えないように稼働させることをいうものであること。
Ⅲ 関係通達の改正等
1 昭和47年9月18日付け基発第589号「鉛中毒予防規則の施行について」関係
記の第2の9の(2)中「第35条第2項第2号」を「第35条第2項第3号」に、「第37条第2号ニ」を「第37条第3号ニ」に改める。
2 昭和47年9月18日付け基発第591号「特定化学物質等障害予防規則の施行について」関係
(1) 記のⅡの9の(4)中「第1項第2号ホ」を「第1項第3号ホ」に改め、同(5)中「第1項第2号ヘ」を「第1項第3号ヘ」に改める。
(2) 記のⅡの16の(7)中「第12号」を「第14号」に改める。
3 昭和54年12月26日付け基発第645号「プッシュプル型換気装置の性能及び構造上の要件等について」関係
(1) 記以外の部分中「監督・指導」を「対応」に改める。
(2) 記の第1の本文中「(以下「プッシュプル型局所換気装置(開放槽用)という。)」を「(形成する一様な捕捉気流に有害物質の発散源の全体を含むものを除く。以下「プッシュプル型局所換気装置(開放槽用)という。)」に改める。
(3) 記の第1の本文中「及び平成10年労働省告示第30号(粉じん障害防止規則第11条第2項第4号の規定に基づき労働大臣が定める要件を定める件)」を「、平成10年労働省告示第30号(粉じん障害防止規則第11条第2項第4号の規定に基づき労働大臣が定める要件を定める件)、平成15年厚生労働省告示第375号(鉛中毒予防規則第30条の2の厚生労働大臣が定める構造及び性能)及び平成15年厚生労働省告示第377号(特定化学物質等障害予防規則第7条第2項第4号及び第50条第1項第8号ホの厚生労働大臣が定める要件)」に改める。
(4) 記の第2の本文に「プッシュプル型換気装置のうち、前記第1の①のプッシュプル型換気装置(開放槽用)及び③のプッシュプル型しゃ断装置は、有機溶剤中毒予防規則(昭和47年労働省令第36号。以下「有機則」という。)、粉じん障害防止規則(昭和54年労働省令第18号。以下「粉じん則」という。)、鉛中毒予防規則(昭和47年労働省令第37号。以下「鉛則」という。)及び特定化学物質等障害予防規則(昭和47年労働省令第39号。以下「特化則」という。)で規定するプッシュプル型換気装置としては認められないものであること。なお、プッシュプル型換気装置に係る法令上の取扱い等の詳細については、以下のとおりであること。」を加え、同1の「有機溶剤中毒予防規則(昭和47年労働省令第36号。以下「有機則」という。)」を「有機則」に改め、同2の「特定化学物質等障害予防規則(昭和47年労働省令第39号。以下、「特化則」という。)」を「特化則」に改める。
(5) 記の第2の3の(5)を次のように改める。
(5) プッシュプル型局所換気装置(開放槽用)等(労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号)第15条第1項第8号に規定するプッシュプル型換気装置を除く。)を設置している事業者に対しては、有機則第20条の2、第21条及び第22条、鉛則第35条、第36条及び第37条、特化則第30条、第32条、第33条及び第34条の2並びに粉じん則第17条、第18条、第19条及び第20条に準じて当該装置の自主検査、点検及びそれらの記録を行うよう指導すること。
(参考)
○ 鉛中毒予防規則等の一部を改正する省令新旧対照表
○ プッシュプル型換気装置の性能及び構造上の要件等について