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通達:特定化学物質等障害予防規則の施行について

 

特定化学物質等障害予防規則の施行について

昭和47年9月18日基発第591号

最終改正 平成30年5月28日基発0528第1号

 

労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「法」という。)および労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号。以下「令」という。)の規定に基づき、特定化学物質等障害予防規則(昭和47年労働省令第39号。以下「特化則」という。)は、昭和47年9月公布され、同年10月1日からその大部分の規定が施行されることとなった。

今回のこの規定の制定は、法および令の施行に伴い、従来の特定化学物質等障害予防規則(昭和46年労働省令第11号。以下「旧規則」という。)の内容に検討を加えるとともに、一定の有害物についての製造等の禁止、製造の許可および流通段階における有害表示の規則等を新たに規制し、健康障害の防止の充実を期することとしたものである。

ついては、今回の制定の趣旨を十分に理解し、関係者への周知徹底をはかるとともに、とくに下記事項に留意して、その運用に遺憾のないようにされたい。

なお、旧規則における通達は、特化則にこれに相当する規定があるものについては、当該規定に関して出されたものとして取り扱うこと。

 

Ⅰ 旧規則との主な相違

1.有害物の製造等禁止及び製造許可の制度が法により新設されたことに伴い、規制対象物質の分類を整理し、新たに「許可物質」の分類が設けられる等旧規則の第1類物質を中心にその分類が改められたこと。

2.第2類物質にコールタールが追加されたこと。

なお、労働省告示において、コールタールの抑制濃度が新たに定められるとともに、水銀の抑制濃度の値が改められたこと(第2条及び第7条第2項関係)。

3.特定第1類物質を製造する事業場において、特定第1類物質を計量し、容器に入れ、又は袋詰めする作業を行なう場合であって遠隔操作等によることが著しく困難であるときは、事業者は一定の型式の局所排気装置及び除じん装置を設置すべきことが定められたこと(第3条及び第9条関係)。

4.許可物質を使用する一定の作業について、事業者は、局所排気装置及び除じん装置を設置すべきことが定められたこと(第4条及び第9条関係)。

5.局所排気装置に設置すべき排ガス処理装置に係る処理方式について、一部追加して定められたこと(第10条関係)。

6.事業者は、特定化学物質等作業主任者技能講習を修了した者のうちから特定化学物質等作業主任者を選任しなければならないと定められたこと(第27条関係)。

7.試験研究のために令第16条第1項の製造等禁止物質を製造しようとする場合等における手続き及び製造等の際従うべき基準について定められたこと(第46条及び第47条関係)。

8.令第17条の製造許可物質を、製造しようとする者が受けるべき許可の単位及び手続並びに許可に際して適合していなければならない基準が、試験研究機関で製造しようとする場合と工場で製造しようとする場合とに区分して規定されたこと(第48条~第50条関係)。

9.特定化学物質等その他この省令に規定する物に係る事業場を設置し、移転し、又は主要構造部分を変更しようとする場合の事前の届出について規定したこと(第52条関係)。

 

Ⅱ 細部事項

1.第2条関係

(1) 第1号の「第1類物質」は、旧規則の第1類物質のうちのベンジジン及びその塩を除いた物とされたこと。

(2) 第2号の「許可物質」は、第1類物質のうち法第56条に基づく製造許可を要する物で、ジクロルベンジジン、アルファーナフチルアミン、オルトートリジン、ジアニシジンおよびこれらの塩並びにこれらの物をその重量の1%をこえて含有する製剤その他の物とされたこと。

(3) 第3号の「特定第1類物質」は、第1類物質のうち、許可物質以外の物とされ、オーラミン、マゼンタが該当すること。

(4) 第4号の「第2類物質」は、旧規則の第2類物質にコールタールが追加されたものとされたこと。

(5) 第5号の「特定第2類物質」は、旧規則の「第2類物質」と「第3類物質」のいづれにも規制されていた物質をいい、塩素、シアン化水素、ニッケルカルボニル、弗化水素、硫化水素および硫酸ジメチルが該当すること。

(6) 第6号の「第3類物質」は、旧規則の「第3類物質」から「特定第2類物質」を除いた物質とされたこと。

2.第3条関係

(1) オーラミン又はマゼンタを製造する事業場において、当該物質を容器詰めする等労働者に取り扱わせる場合には、原則として当該物質を湿潤な状態なものとするか又は遠隔操作によらなければならないこととされているが、これらの措置を講ずることが著しく困難なときは、当該作業を作業中の労働者の身体に直接接触しない方法により行ない、かつ、当該作業を行なう場所に一定の型式のフードを有する局所排気装置を設置すべきことが第3項において定められたこと。

(2) 第2項の「湿潤な状態のもの」とは、当該物質をスラリー化したもの又は溶媒に溶解させたものをいうものであること。

(3) 第3項の「囲い式フード」とは、下図に例示するごときもので、作業に支障のない範囲でできるかぎり発生源を覆うようにした型式のフードをいうものであること。

図


(4) 第3項の「ブース式フード」とは、下図に例示するごときもので、発生源の周りの側面を壁でできるかぎり囲い、その開口部を作業に支障のない範囲でできるだけ狭くした型式のフードをいうものであること。

図


(5) 第3項の「労働者の身体に直接接触しない方法」とは、製品を入れたホッパーから、スクリューフィダー等により直接収かんする等の方法をいうこと。

3.第4条関係

本条は、粉状の許可物質を使用して、染料等を製造する事業場において、許可物質を取り扱う労働者が、当該物質の粉じんの飛散により汚染することを防止するため、一定の作業を行なうときは、当該作業場所に、一定の型式のフードを有する局所排気装置を事業者が設置するよう新たに規定したものであること。なお、「粉状のもの」とは、当該物質をスラリー化したもの又は溶媒に溶解させたもの以外のものをいうこと。

4.第7条関係

第2項は、第5条第1項の局所排気装置が備えるべき性能を規定したもので、第3条第3項又は第4条の局所排気装置については、適用されないものであること。なお、第3条第3項又は第4条の局所排気装置については、その対象物質の特殊性にかんがみ、その粉じんによるばく露を確実に予防できるようフードの型式を囲い式のもの又はブース式のものとする方法で措置が定められていること。

5.第8条関係

本条は、第5条第1項の局所排気装置のみならず、新たに追加された第3条第3項および第4条の局所排気装置についても、所定の除じん装置を設け、これを有効に稼働させるべきことを定めたものであること。

6.第10条関係

硫酸ジメチルの処理方法として、従来、直接燃焼方式が採用されてきたが、直接火気を取り扱うことから生ずる危険を防止するため、アンモニア水又は苛性ソーダ液による吸収方式が追加して規定されたこと。

7.第12条関係

(1) 本条は、アルキル水銀化合物の製造装置、収納容器等の清掃、用後処理等に際しアルキル水銀化合物を含有する残さいスラッジを廃棄する場合には、分解その他の処理により除毒した後でなければ、廃棄してはならないことを規定したものであること。なお、当該残さいスラッジが、廃棄物の処理および清掃に関する法律施行令(昭和46年政令第300号)第6条第2項の廃棄物であって、その埋立処分を行なう場合は、同項に規定する埋立処分の基準によって行なわれなければならないことに留意すること。

(2) 「除毒」の方法には、焙焼処理、コンクリート固型化等の方法があること。

8.第27条関係

昭和49年9月30日までの間は、衛生管理者の免許を受けた者のうちから特定化学物質等作業主任者を選任することができることとされていること(附則第5条)。

9.第30条関係

(1) 本条は、法第45条及び令第15条第8号の規定により、定期に自主検査を行なわなければならないこととされた第29条第1項各号に掲げる装置について検査すべき事項を、装置の種類に応じて定めたものであること。

(2) 第1項第1号ホの「吸気及び排気の能力」については、所定要領によって環気中の有害物質の濃度の測定を実施することによる検査の実施が必要であるが、この方法によることが困難な場合は、局所排気装置の性能が確保されている場合の測定位置における制御風速をあらかじめ測定により明らかにしておき、検査の場合、風速を測定し、前記風速と比較することにより局所排気装置の性能の有無を検査しても差支えないこと。

(3) 第1項第1号ヘの「必要な事項」とは、ダンパーの調節、排風機の注油状態等をいうこと。

(4) 第1項第2号ホの「処理能力」については、除じん、排ガス又は排液処理の効果を確保するための測定が必要であること。

(5) 第1項第2号ヘの「必要な事項」とは、除じん装置等の性能が低下した場合における排気または排液の量の調整等を含むこと。

10.第31条関係

(1) 本条は、旧規則第23条の規定と同趣旨のものであるが、最近の配管からの漏えい事故の発生に鑑み、配管のうち、継手部、バルブ等の箇所についての点検について新たに追加規定したものであること。

(2) 第1項第2号ハの「配管に近接して設けられた」とは、例えば、下図に示すごとく有害物用の配管の保温用として添管して設けられたものをいうこと。

図


11.第35条関係

(1) 本条は、定期自主検査又は点検を行なった結果、異常を認めた場合は、補修等の措置を講ずべきことを規定したものであり、これらの措置が講ぜられない限り当該設備については稼動させてはならないものであること。

(2) 「その他の措置」とは、補修には至らない程度のものであって、当該設備の有効稼動を保持するために必要な措置をいうこと。

12.第46条関係

(1) 本条は、法第55条ただし書の規定により、ベンジジン等製造禁止物質を試験研究のため製造し、輸入し、又は使用する場合の手続について規定したものであること。

(2) 法第55条ただし書の規定による製造は、試験研究する者が直接行なうべきものであり、他に委託して製造することは認められないこと。ただし、輸入にあたり、輸入事務の代行を商社等が行なうことは差支えないが、商社等があらかじめ禁止物質を輸入しておき、試験研究者の要請によって提供することは認められず、従って、輸入する場合も試験研究に必要な最小限度の量であることが必要であること。

13.第47条関係

第1項の「作業の性質上著しく困難である場合」とは、禁止物質を製造するにあたって、その量が少量であるため、工業的な製造設備を設けることが困難であることから、製造装置の密閉化ができず、手動によって操作しなければならない場合をいう。

14.第48条関係

(1) 本条は、法第56条第1項の規定により行なわれる製造の許可の単位について規定したものであること。したがって、同一の事業場において、2種類の物質が製造されている場合には、それぞれが許可の対象となり、また、1種類の物質について、2系列で製造されている場合にも、それぞれの系列別に許可を受けさせる必要があること。

15.第49条関係

(1) 本条は、法第56条第1項の製造の許可を受けようとする場合の手続等について規定したものであること。

(2) 法第56条第1項の製造の許可を受けた者がその工程について、設備等の一部を変更しようとする場合(主要構造部分について変更しようとする場合を除く。)又は作業方法を変更しようとする場合には、あらかじめ、次の事項を記載した書面を許可申請書を提出した労働基準監督署長に提出させること。

イ 変更の目的

ロ 変更しようとする機械等又は作業方法

ハ 変更後の構造又は作業方法

なお、法第56条第1項の製造の許可を受けた者が、製造工程を変更しようとする場合、許可物質の生産量を増加しようとする場合等においては再び同項の許可を受けさせること。

また、法第56条第1項の製造の許可を受けた者が設備等の主要構造部分を変更しようとする場合には、法第88条第1項の規定に基づく第52条の特定化学設備等設置届を提出させること。

16.第50条関係

(1) 本条の基準は、製造設備および作業方法について規定したものであり、本条の基準に適合していないと認められるときは、法第56条第5項の適合命令により基準に適合させる必要があること。

(2) 許可物質の製造については、本許可基準のほか、許可基準を除く本則(例えば、第22条(設備の改造等の作業)第23条(退避等)第24条(立入禁止)第25条(容器等)第27条(作業主任者)等)の適用があることに留意すること。

(3) 第1号の「それ以外の作業場所と隔離し」とは、許可物質の製造に係る作業が行なわれている作業場所とそれ以外の作業が行なわれている作業場所との建屋が別棟であるか、又は隔壁をもって区画することをいうこと。

(4) 第2号の「労働者の身体に当該物が直接接触しない方法」とは、各装置間の落差を利用して配管により行なうこと、スクリューフィダー又はバケットコンベアなどを用いて機械的に行なうことをいうものであること。

(5) 第4号は、許可物質の製造工程において、許可物質の発散が多いふるい分け機又は真空ろ過機について設ける覆いの構造について規定したものであり、同号の「内部を観察できる構造」とは、当該装置の覆いの一部をガラス又は透明なプラスチックをもって造り、当該場所から内部を観察できるような構造をいうこと。また、同号の施錠等の「等」には、当該装置の覆いを緊結すること等をいうこと。

(6) 第6号は、許可物質を製造する事業場において、製品を容器詰めする作業等、許可物質を取り扱う場合で、湿潤な状態のものとし又は隔離室での遠隔操作によることが著しく困難である場合の措置について規定したものであること。なお、「湿潤な状態」「粉状のもの」の解釈については、第3条および第4条において解説したところによること。

(7) 第12号は、製造設備からサンプリングする場合の措置について規定したものであること。なお、サンプリングは、所定位置において、できるだけ風上に位置し、あらかじめ定められた量以上は採取しないこと。

(8) 第2項第3号の「必要な知識を有する者」には、許可物質に関して製造者の衛生を確保するため必要な内容及び時間を以て法第59条第1項(同条第2項で準用する場合を含む。)の安全衛生教育が行われた者があること。

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