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クレーン製造許可の取扱いについて
平成8年3月21日基発第134号
(都道府県労働基準局長あて労働省労働基準局長通知)
クレーン製造許可における形式の取扱いについては、昭和47年9月18日付け基発第598号「クレーン等安全規則の施行について」の記の第2の1の(1)により、取り扱っているところである。
また、横行機能を有するホイストを使用したクレーンの製造許可については、昭和38年3月30日付け37基収第10306号「クレーン等安全規則及びクレーン構造規格に関する疑義について」記のⅠの2の(4)により、取扱いが示されているところである。
しかしながら、近年、クレーンに係る技術の進歩、用途の多様化等が進展しており、このような状況に適切に対処するため、クレーン製造許可に関して必要な規制の在り方について見直しを行った結果、今後、下記により取り扱うこととしたところである。
貴職におかれては、本通達の趣旨を十分理解し、関係者への周知を図るとともに、その運用に遺憾のないようにされたい。
なお、本通達をもって、別紙1に掲げる通達をそれぞれの定めるところにより改正する。
おって、別添のとおり関係団体に対し、周知方協力要請を行ったので了知されたい。
記
1 クレーン製造許可における型式の取扱いについて
クレーン等安全規則第3条第1項ただし書の「型式が同一であるクレーン」とは、製造許可におけるクレーンの種類、構造部分の材料、構造部分の形状、能力及び工作方法が、既に許可を受けているクレーンと同一の区分であるものをいうものであること。
なお、上記の区分については、以下によること。
(1) 製造許可におけるクレーンの種類
別紙2クレーン分類表(以下「分類表」という。)の小分類により区分し、その小分類に属する細分類のクレーンは許可製造においては、同一の種類とするものであること。
したがって、製造許可申請書(クレーン等安全規則様式第1号)には小分類の種類を記入させること。
また、分類表の小分類が「ホイスト式」と「トロリ式」に分けられているクレーンにおいて、「トロリ式」の製造許可を有する場合については、「ホイスト式」のクレーンであって、その他の型式に係る事項が同一であるものを製造するときは、別途製造許可を要しないこと。
なお、複数のフックを有するクレーンについては、以下に定めるところにより取り扱うこと。
イ 複数のフックを有するクレーンであって、同時に巻上げ又は巻下げを行わないものについては、単独のフックを有するクレーンと同一の分類として取り扱うこと。
ただし、この場合、それぞれのフックが単独に操作され、「共づり」が出来ない制御機構になっていることが条件とされること。
ロ 主巻と補巻の巻上げ又は巻下げを同時に行う作業を目的とするクレーン及び複数のフックを用いた「共づり」作業を目的とするクレーンは、単独のフックを有するものとは別の分類として取り扱うこと。
なお、この製造許可を有する場合において、単独のフックを有するクレーンであって、その他の型式に係る事項が同一であるものを製造するときには、別途製造許可を要しないこと。
また、製造許可に当たっては、「共づり」作業等における災害の防止のため、次のような安全装置を備えるよう指導すること。
(イ) 主巻と補巻の巻上げ又は巻下げを同時に行う作業を目的とするクレーン
主巻フックに係る荷重と補巻フックに係る荷重の合計値が、主巻の定格荷重を超えない装置及び補巻にかかる荷重が、補巻の定格荷重を超えない装置
(ロ) 複数のフックを用いた「共づり」作業を目的とするクレーン
各々のフックの定格荷重を超えない装置、巻上げ及び巻下げの同調装置並びにトロリの衝突防止装置
(2) 構造部分の材料の区分
次のイからニまでにより区分し、これらに属さない鋼材、非鉄金属等については、その種類ごととすること。
イ 普通鋼(炭素鋼及び低合金鋼のうち引張強さの最小値が610N/mm2以下のものをいう。)
ロ 高張力鋼(炭素鋼及び低合金鋼のうち引張強さの最小値が610N/mm2を超えるものをいう。)
ハ ステンレス鋼
ニ 木材
ただし、ロ又はハの製造許可を有する場合において、イの鋼材を用いたクレーンであって、その他の型式に係る事項が同一であるものを製造するときは、別途製造許可を要しないこと。
なお、ロの「高張力鋼」及びハの「ステンレス鋼」に係る製造許可に当たっては、平成8年2月1日付け基発第47号の「クレーン構造規格及び移動式クレーン構造規格の適用について」の記のⅡの第1の4及び43に留意すること。
(3) 構造部分の形状の区分
次のイ又はロにより区分すること。
イ 形材のみを単材で使用し、構造部分としたもの
ロ ボックス型、トラス型等イ以外の構造のもの
ただし、ロの形状の製造許可を有する場合において、イの形状のクレーンであって、その他の型式に係る事項が同一であるものを製造するときは、別途製造許可を要しないこと。
(4) 能力の区分
製造できる最高のつり上げ荷重で製造許可を受けたものとし、つり上げ荷重が当該製造許可を受けたつり上げ荷重以下のクレーンは能力の区分が同一であるとみなされること。
ただし、複数のフックを有するクレーンの能力については、以下に定めるところにより取り扱うこと。
イ 主巻と補巻等の複数のフックを有し、原則として個々のフックが単独で操作されるクレーンにあっては、そのうちの最大の定格荷重を能力とすること。
なお、この場合、製造許可申請書等のつり上げ荷重については「At(主巻)/Bt(補巻)」と記入させるとともに、クレーン構造規格第56条第2項に規定する銘板のつり上げ荷重についても同様に表示させること。
ロ 「共づり」をするクレーンにあっては、それぞれのフックの定格荷重の合計の値を能力とすること。
なお、この場合、製造許可申請書等のつり上げ荷重について、「At+Bt」と記入させるとともに、クレーン構造規格第56条第2項に規定する銘板のつり上げ荷重についても同様に表示させること。
(5) 工作方法の区分
次のイ又はロにより区分すること。
イ ボルト止め、リベット止め等溶接以外の方法のみによるもの
ロ 溶接によるもの
ただし、ロの工作方法の製造許可を有する場合において、イの工作方法によるクレーンであって、その他の型式に係る事項が同一であるものを製造するときは、別途製造許可を要しないこと。
2 横行機能を有するホイストを使用したクレーンの製造許可について
(1) 横行機能を有するホイストを使用したクレーンの製造については、ガーダ等の構造部分を製造する者と当該ホイストを製造する者が共同して製造するものとして取り扱うこと。
なお、輸入したホイストを使用したクレーンの製造許可の申請については、輸入したホイストの部分を含めてガーダ等の構造部分を製造する者が行うこと。
(2) 上記(1)にかかわらず、横行機能を有するホイスト(以下「甲ホイスト」という。)を製造又は輸入する者(以下「甲」という。)が単独で甲ホイストを用いたクレーンの製造許可を有している場合であって、かつ、クレーンのガーダ等の構造部分を製造する者(以下「乙」という。)が既に他のホイストを製造する者との共同製造許可を有する場合については、乙が既に共同製造許可を有する型式と同一である型式の甲ホイストを用いたクレーンを製造しようとするときには、甲、乙については、別途製造許可を要しないこと。
本件については、クレーン設置届に、甲が有する製造許可の写しを添付させ、確認すること。
なお、この取扱いは、ホイスト式天井クレーン、ホイスト式つち型クレーン、ホイスト式壁クレーン及びホイスト式橋形クレーンに適用されるものであること。
別紙1
1 昭和38年3月30日付け37基収第10306号「クレーン等安全規則及びクレーン構造規格に関する疑義について」の記のⅠの2の(4)、(9)、(10)及び(11)を削る。
2 昭和40年2月10日付け基発第137号「クライミングクレーン等の取扱いについて」の記の1の(3)を削る。
3 昭和41年2月10日付け基発第59号「検査担当者会議における質疑事項の回答について」の別紙のⅡの2の問3及びその答並びに問4及びその答を削る。
4 昭和41年3月1日付け基収第537号「クレーン等安全規則第3条関係の疑義について」の別紙甲の記の1及び別紙乙のその答を削る。
5 昭和46年5月22日付け基発第395号「ブロック検査担当者会議における質疑事項の回答について」の別紙のⅢの第1の1を削る。
6 昭和46年9月7日付け基発第621号「クレーン等安全規則の一部を改正する省令の施行について」の別紙1を削る。
7 昭和46年11月25日付け基発第771号「ブロック検査担当者会議における質疑事項の回答について」の別紙のⅠの2の問2及びその答を削る。
8 昭和47年9月18日付け基発第598号「クレーン等安全規則の施行について」の記の第2の1中「第3条」及び「別紙1」を削る。
9 昭和55年4月25日付け基発第205号「労働安全衛生法関係手数料令の一部を改正する政令の施行について」の記の1の1の②を次のように改める。
② 「天井クレーン」には、天井クレーン型スタッカー式クレーン及び天井クレーン型スタッカークレーンが含まれるものであること。
別紙2
クレーン分類表
大分類 |
中分類 |
小分類 |
細分類 |
天井クレーン |
普通型天井クレーン |
ホイスト式天井クレーン |
|
トロリ式天井クレーン |
クラブトロリ式天井クレーン |
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ロープトロリ式天井クレーン |
|||
特殊型天井クレーン |
旋回マントロリ式天井クレーン |
||
すべり出し式天井クレーン |
|||
旋回式天井クレーン |
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製鋼用天井クレーン |
装入クレーン |
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レードルクレーン |
|||
鋼塊クレーン |
|||
焼入れクレーン |
|||
原料クレーン |
|||
鍛造クレーン |
|||
ジブクレーン |
ジブクレーン |
塔形・門形ジブクレーン |
塔形ジブクレーン |
高脚ジブクレーン |
|||
片脚ジブクレーン |
|||
低床ジブクレーン |
低床ジブクレーン |
||
ポスト形ジブクレーン |
|||
クライミング式ジブクレーン |
|||
つち形クレーン |
ホイスト式つち形クレーン |
||
トロリ式つち形クレーン |
クラブトロリ式つち形クレーン |
||
ロープトロリ式つち形クレーン |
|||
クライミング式つち形クレーン |
|||
引込みクレーン |
ダブルリンク式引込みクレーン |
||
スイングレバー式引込みクレーン |
|||
ロープバランス式引込みクレーン |
|||
テンションロープ式引込みクレーン |
|||
壁クレーン |
ホイスト式壁クレーン |
||
トロリ式壁クレーン |
クラブトロリ式壁クレーン |
||
ロープトロリ式壁クレーン |
|||
橋形クレーン |
普通型橋形クレーン |
ホイスト式橋形クレーン |
|
トロリ式橋形クレーン |
クラブトロリ式橋形クレーン |
||
ロープトロリ式橋形クレーン |
|||
マントロリ式橋形クレーン |
|||
特殊型橋形クレーン |
旋回マントロリ式橋形クレーン |
||
ジブクレーン式橋形クレーン |
|||
引込みクレーン式橋形クレーン |
|||
アンローダ |
橋形クレーン式アンローダ |
クラブトロリ式アンローダ |
|
ロープトロリ式アンローダ |
|||
マントロリ式アンローダ |
|||
アンローダ |
特殊型アンローダ |
旋回マントロリ式アンローダ |
|
引込みクレー式アンローダ |
ダブルリンク式アンローダ |
||
ロープバランス式アンローダ |
|||
ケーブルクレーン |
固定ケーブルクレーン |
固定ケーブルクレーン |
|
揺動ケーブルクレーン |
|||
走行ケーブルクレーン |
片側走行ケーブルクレーン |
||
両側走行ケーブルクレーン |
|||
橋形ケーブルクレーン |
|||
テルハ |
テルハ |
||
スタッカークレーン |
スタッカー式クレーン |
天井クレーン型スタッカー式クレーン |
|
床上型スタッカー式クレーン |
|||
懸垂型スタッカー式クレーン |
|||
荷昇降式スタッカークレーン |
天井クレーン型スタッカークレーン |
||
床上型スタッカークレーン |
|||
懸垂型スタッカークレーン |
注
1) 大分類「橋形クレーン」に属する各橋形クレーンには、それぞれの片脚橋形クレーンが含まれること。
2) 「ホイスト式」には、サスペンション式及びトップランニング式があり、チェーンブロックを巻上げ装置として使用するものが含まれること。
3) モノレール形式のクレーンは、「テルハ」に含まれること。
4) この表に掲げる細分類の種類に属さないクレーンは、独立した種類とすること。
別添
○クレーン製造許可の取扱いについて
平成8年3月21日基発第134号の2
(社団法人日本クレーン協会会長、社団法人ボイラ・クレーン安全協会会長あて労働省労働基準局長通知)
標記について、別添のとおり、都道府県労働基準局長に対し指示をしたところでありますが、貴協会におかれましても傘下会員に対し、別添通達の趣旨について、周知方をお願いします。