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高年齢者雇用確保措置の推進等に係る指導について
平成23年4月1日職発0401第16号
(各都道府県労働局長あて厚生労働省職業安定局長通知)
少子高齢化が急速に進行し、近い将来、社会を支える労働力人口が大幅に減少することが懸念されている中で、今後我が国の経済・社会の活力を維持していくためには、高年齢者が長年培った知識や経験を活かし、意欲と能力のある限り社会の支え手として活躍し続けることができる社会を実現することが必要不可欠である。
また、高年齢者の生活の安定のためには、公的年金の支給開始年齢が、平成25年度には定額部分が65歳に引き上げられ、報酬比例部分の引上げが始まることも踏まえると、60歳台前半における働く場の確保が喫緊の課題となっている。
このため高年齢者の雇用環境を整備し、65歳までの安定した雇用を確保するとともに、実情に応じて70歳まで働ける仕組みを構築する取組を一層促進することが重要である。
こうした状況を踏まえ、高年齢者雇用確保措置に係る指導等については、平成12年9月29日付け職発第583号を下記のとおり改めるので、業務の運営に遺漏なきよう特段の御配慮をお願いする。
記
1 第2の1(1)の最後に次の文を加える。
なお、「新成長戦略」(平成22年6月18日閣議決定)において、平成32年までに60~64歳までの就業率を63%とすることが目標に掲げられている。
2 第2の1(4)中「独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構」の次に「(以下「機構」という。)」を加え、「が雇用安定事業関連業務の実施を委託した法人(以下「機構業務受託法人」という。)」を削り、「都道府県協会」を「機構の地域障害者職業センター雇用支援課等(以下「都道府県高齢・障害者雇用支援センター」という。)」に改める。
3 第2の2を次のように改める。
2 企業における定年及び継続雇用の実情の把握
高年齢者雇用状況報告、指導時における確認及び関係機関からの連絡等により企業における定年及び継続雇用の実情を把握した場合は、当該高年齢者雇用確保措置の現状及び今後の予定について、次の分類により企業を区分すること。
① 64歳までの高年齢者雇用確保措置を講じておらず、平成23年度において法の規定に違反している企業
② 希望者全員が65歳まで働ける制度の導入に向けた啓発指導・援助の対象とする企業
③ ①には該当しないが、平成23年度中に65歳までの高年齢者雇用確保措置を講ずる予定がない企業
④ 継続雇用制度に係る対象者基準等についての指導・助言等を要する可能性のある企業
⑤ 「70歳まで働ける企業」に向けた啓発指導・援助の対象とする企業
4 第2の3(2)中「機構業務受託法人」を「都道府県高齢・障害者雇用支援センター」に改め、同3(2)イを次のように改める。
指導は継続して実施することを原則とし、企業に対応スケジュールを示すよう求め、対応が完了するまで定期的(原則として2か月に1回以上)に電話連絡等により進捗を確認し、必要に応じて再訪問を行うこと。企業に対応スケジュールを示させる場合には、不必要に長い期間とすることのないよう徹底すること。また、指導の過程においては、適宜高年齢者雇用確保措置の実施の阻害要因の分析を行い、その結果を踏まえた上で指導方針を決定すること等により、効果的な指導が行えるよう工夫すること。
第3(2)中ロを削除し、ハをロに改める。
5 第2の3(3)を次のように改める。
(3) 平成22年度において、企業規模が300人以下で、高年齢者雇用確保措置として継続雇用制度の対象者に係る基準を、労使協定を締結することなく就業規則等で定めていた企業について
平成22年度において、企業規模が300人以下で、法附則第5条に基づき、継続雇用制度の対象者に係る基準を、労使協定を締結することなく就業規則等で定めることにより高年齢者雇用確保措置を講じていた企業に対しては、速やかに法附則第5条に基づく経過措置の終了に係る対応状況を確認すること。対応が遅れていることにより上記2の①に該当することとなった企業については、優先的に指導を行うこと。
6 第2の4を次のように改める。
4 文書による指導
個別指導の実施に当たっては、当該企業における高年齢者雇用確保措置に関する取組の状況に応じ、以下の文書を発出することとし、文書発出企業に対しては、その後の取組状況、措置の改善状況を適宜、確認すること。
文書の発出後の計画作成等に関しては、都道府県高齢・障害者雇用支援センターと連携し、高年齢者雇用アドバイザーを活用するなどして、積極的に助言・援助を行い、適切な実施を促すための指導を行うこと。
(1) 高年齢者雇用確保措置の実施に関する指導文書(法第10条第1項に基づく指導)
上記2の①の分類に該当する企業のうち、下記の①から③のすべてに該当する企業については、原則として、法第10条第1項に基づき、高年齢者雇用確保措置の実施に関する指導文書(様式第2号。以下「指導文書」という。)を発出するものとする。ただし、現在、労使で協議を行っている企業であり、かつ、当分の間、高年齢者雇用確保措置が実施されないことによる離職者が発生しない企業等については、指導文書を発出しないこととしても差し支えないこと。
また、下記の①から③の全てに該当するが、効果的に指導を実施するためには指導文書を発出しないことが適当だと認められる企業があれば、本省に協議すること。
一方、下記の①から③には該当しないが、緊急性がある場合や効果が見込まれる場合などには、都道府県労働局又は公共職業安定所の判断により文書を発出して差し支えない。
なお、下記①及び②に要する期間については、不必要に長い期間とならないよう留意すること。
① 同一の事由で3回以上個別指導を実施していること
② そのうち少なくとも1回は、企業の経営幹部に対して個別指導を実施していること
③ ①及び②の指導にもかかわらず、何ら具体的な取組がなされていないことが確認されたこと
指導文書の発出に当たっては、関連するパンフレットを添付すること。また、指導文書の発出から2か月程度の期限を付し、高年齢者雇用確保措置に関する計画書(様式第3号。以下「計画書」という。)の提出を求めるとともに、計画書の計画期間の終期から1か月程度の期限を付し、高年齢者雇用確保措置に関する報告書(様式第4号。以下「報告書」という。)の提出を求めるものとすること。なお、計画書の計画期間は2か月程度とすること。提出された計画書の内容が法に違反しているなど適切なものではなかった場合、法に沿った内容となるよう指導を行い、1か月程度の期限を付し、再提出を求めること。
7 第2の5中「機構業務受託法人」を「都道府県高齢・障害者雇用支援センター」に改める。
8 第2の7を削る。
9 第2の6(1)中「②」を「③」に改め、同6(2)を削り、同6(3)を次のように改め、同6(2)とする。
継続雇用制度に係る対象者基準等についての指導等を要する可能性のある企業への対応
上記2の④の分類に該当する企業については、高年齢者雇用状況報告等を活用し、63歳以下の定年を定めている企業であって、定年到達者等に占める基準非該当となり離職する者や定年到達者のうち継続雇用を希望しない者の割合が高い企業等を抽出した上で、継続雇用制度に係る基準の内容や継続雇用後の労働条件等について確認を行い、必要に応じて、基準の内容や労働条件の変更等について指導・助言等を行うこと。
また、労働者等から、継続雇用制度に係る対象者基準の内容や継続雇用後の労働条件等について問題がある旨の情報提供があった場合についても、上記2の④の分類に該当する企業として同様に扱うこと。
第2の6中、(4)を(3)とし、第2の6を7とする。
10 第2の5の次に次の文を加える。
6 希望者全員が65歳まで働ける企業の普及のための啓発指導等
公的年金の支給開始年齢が、平成25年4月以降、定額部分が65歳に引き上げられ、報酬比例部分についても引上げが始まる状況の中で、高年齢者の生活の安定のため、法の趣旨及び基本方針を踏まえ、希望者全員が65歳まで働ける企業の普及に向けた取組を行う必要がある。
このため、基本方針に基づき、平成22年度末を目途にその比率を50%以上とした上で、平成25年3月末までに更なる普及を図るべく、強力に取組を推進する。
これを踏まえ、都道府県労働局及び公共職業安定所においては、希望者全員が65歳まで働ける制度の導入に向けた取組が見込まれる企業を上記2の②に区分し、当該企業に対し、公共職業安定所の職員による訪問等により、希望者全員が65歳まで働ける制度の導入の必要性についての啓発指導、定年引上げ等奨励金の活用の周知等を実施するとともに、必要に応じて、都道府県高齢・障害者雇用支援センターの高年齢者雇用アドバイザー等と連携を図ることで、希望者全員が65歳まで働ける制度の導入を効率的かつ効果的に推進すること。
また、上記2の①の企業に対する個別指導、上記2の③又は④の企業に対する啓発指導等においても、同様に希望者全員が65歳まで働ける制度の導入を促すこと。
なお、ここでの希望者全員が65歳まで働ける企業とは、65歳以上の定年の定めをしている企業、定年の定めを廃止した企業、希望者全員を対象とした65歳以上までの継続雇用制度を導入している企業とする。
11 第2の8中「基本方針において」を「基本方針に基づき、」に、「20%を目指すこととされたことを踏まえ」を「20%以上とした上で、一層の普及を図るべく、今後も」に改め、「必要がある」を削除する。
【参考】(編注:略。通達名をクリックして表示)
平成12年9月29日職発第583号
(各都道府県労働局長あて労働省職業安定局長通知)
最終改正 平成23年4月1日職発0401第16号