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通達:勤労者財産形成住宅貯蓄及び勤労者財産形成年金貯蓄における育児休業等取得に伴う預入中断期間の特例措置について

 

勤労者財産形成住宅貯蓄及び勤労者財産形成年金貯蓄における育児休業等取得に伴う預入中断期間の特例措置について

平成26年4月17日基発0417第6号

(各都道府県知事あて厚生労働省労働基準局長通知)

 

租税特別措置法施行令等の一部を改正する政令(平成26年政令第145号。以下「改正令」という。)及び租税特別措置法施行規則等の一部を改正する省令(平成26年財務省令第28号)が、平成26年3月31日に公布され、平成27年4月1日より施行することとされたところです。

上記政省令の改正に伴い、勤労者財産形成住宅貯蓄及び勤労者財産形成年金貯蓄(以下「勤労者財産形成住宅(年金)貯蓄」という。)の利子所得等の非課税制度においては、産前産後休業及び法令の規定に基づき3歳未満の子を養育するためにする休業(以下「育児休業等」という。)を取得する勤労者が所定の申告書を提出することにより、勤労者財産形成住宅(年金)貯蓄の利子等について、2年を超える払込みの中断が生じた場合であっても、引き続き非課税措置を適用する旨の改正がなされたところです。

改正の具体的内容等は下記のとおりですので、御留意の上、勤労者財産形成促進制度の周知普及等につき引き続き御協力をお願いいたします。

 

1 改正の概要

勤労者が、育児休業等をする旨、当該育児休業等の期間その他の事項を記載した改正令による改正後の租税特別措置法施行令(昭和32年政令第43号。以下「新令」という。)第2条の21の2第1項に規定する申告書(以下「育休申告書」という。)を、当該育児休業等を開始する日までに勤務先等及び金融機関の営業所等を経由して当該勤労者の住所地の所轄税務署長に提出した場合には、当該勤労者が締結した勤労者財産形成住宅(年金)貯蓄契約に基づき当該育児休業等の開始の日の直前に金銭等の払込みをすべき日から当該育児休業等の終了の日の直後に金銭等の払込みをすべき日(以下「再開日」という。)までの間に当該契約に基づく金銭等の払込みがないときであっても、当該契約に係る勤労者財産形成住宅(年金)貯蓄の利子等につき、引き続き勤労者財産形成住宅(年金)貯蓄の利子所得等の非課税措置を適用することとされたものである。

(注) 育休申告書は、勤労者財産形成住宅(年金)貯蓄の利子所得等の非課税制度における他の申告書と同様に、所轄税務署長が金融機関の営業所等の長に対し提出を求めるまでの間は、金融機関の営業所等の長が保存することとされている。この取扱いは下記3(5)の期間変更申告書についても同様である(租税特別措置法施行規則等の一部を改正する省令(平成26年財務省令第28号)による改正後の租税特別措置法施行規則(以下「新規則」という。)第3条の6第4項、第3条の16第4項)。

2 改正の趣旨

勤労者財産形成住宅(年金)貯蓄契約を締結している勤労者は、当該契約に基づく定期の払込みが、最後の払込日から2年を経過する日までに行われなかった場合、租税特別措置法施行令第2条の13第1号の規定により、最後の払込日から2年を経過する日以後に支払われる当該財産形成住宅(年金)貯蓄に係る利子等に対して課税されているところである。

しかしながら、政府として子どもが3歳になるまでは希望する男女が育児休業を取得しやすいよう職場環境の整備を働きかけることとしていることや、近年、2年を超える長期の育児休業制度を整備する事業所が増加していること等を踏まえ、育児休業等の取得が勤労者の財産形成において不利益となることのないよう、育児休業等を取得する場合において払込みの中断があった場合の非課税措置の適用に、特例を設けることとされたものである。

(参考) 日本再興戦略(平成25年6月14日閣議決定)

○女性のライフステージに対応した活躍支援

・子どもが3歳になるまでは、希望する男女が育児休業や短時間勤務を選択しやすいよう、職場環境の整備を働きかけるとともに、育児休業中や復職後の能力アップに取り組む企業への助成制度を創設する。

3 改正の内容及び留意事項

(1) 本件特例措置の任意性

育休申告書は、育児休業等を取得する勤労者にその提出が義務づけられるものではなく、自らの育児休業等の期間や給与の支給状況を勘案して、必要に応じて提出するものであること。

(2) 育児休業等の範囲

新令で定義された「育児休業等」とは、産前産後休業(出産の日以前42日から出産の日後56日までの間において労務に従事しないことをいう。)及び法令の規定に基づき3歳未満の子を養育するためにする休業をいうこと。(新令第2条の21の2第1項)

(3) 育休申告書を提出できる勤労者

育休申告書を提出できる勤労者は、上記(2)の育児休業等を取得することを予定している勤労者であって、当該育児休業等の開始の日が、本件特例措置の適用を受けようとする勤労者財産形成住宅(年金)貯蓄における最後の払込日から2年を経過する日より前である必要があること。なお、勤労者が子の年齢が3歳に達する日を超えて育児休業等を取得する場合又は施行日前から育児休業等を開始している場合については、次の点に留意すること。(新令第2条の13第1号)

① 子が3歳に達する日を超えて育児休業等を取得する場合

本件特例措置は、3歳未満の子に係る育児休業等を取得する場合について適用されるものであるため、子が3歳に達する日を超えて育児休業等を取得する場合は育休申告書を提出することはできない。また、当初、育児休業等の期間を子が3歳に達する日までの間として記載した育休申告書を提出した勤労者が、勤務先の制度に基づき引き続き子が3歳に達した日後も休業する場合は、下記(5)の育休期間変更申告書を提出することはできず、子が3歳に達する日が育児休業等の終了日とされること。(新令第2条の21の2第1項)

② 施行日前から育児休業等を開始している場合

本件特例措置は、その施行の日以後に育休申告書を提出した場合について適用することとされているため、施行の日(平成27年4月1日)前に育児休業等を開始している者については、本件特例措置の適用対象とならないこと。(新令附則第4条)

(4) 育児休業等の開始日及び育休申告書の提出期限

育休申告書に記載すべき育児休業等の開始日は、産前休業、産後休業、3歳未満の子を養育するための休業のいずれの開始日であっても差し支えないが、当該育休申告書は、その選択した開始日までに提出する必要があること。(新令第2条の21の2第1項)

(5) 育休申告書提出後、育児休業等の期間を変更する場合の手続

育休申告書を提出後、育児休業等の終了日の変更が生じた場合は、新令第2条の21の2第3項に規定する「育児休業等期間変更申告書」(以下「期間変更申告書」という。)を、その変更前及び変更後の育児休業等の期間等を記載し、変更前又は変更後の終了日のいずれか早い日までに、勤務先等及び金融機関の営業所等を経由して勤労者の住所地の所轄税務署長に提出する必要があること。(新令第2条の21の2第3項、新規則第3条の6第4項、第3条の16第4項)

(6) 育休申告書提出後、新たに別の子に係る育児休業等を取得する場合

育休申告書を提出後、当初申告した3歳未満の子に係る育児休業等の終了日以前に、職場復帰を経ることなく、別の3歳未満の子に係る育児休業等を開始する場合は、当該別の子に係る育児休業等の開始日以前に、当初申告した育児休業等に係る期間変更申告書を提出して当初申告した3歳未満の子に係る育児休業等の期間を当該別の子に係る育児休業等の開始日の前日に終了し、併せて当該別の子に係る育休申告書を提出することにより、当初申告した3歳未満の子に係る育児休業等に続き、当該別の3歳未満の子に係る育児休業等の期間についても、継続して非課税措置が適用されること。(新令第2条の21の2第1項及び同条第3項)

(7) 育休申告書の提出先に係る特例

育休申告書は、その者の住所地の所轄税務署長に提出するものとされているが、当該育休申告書が勤務先等を経由して金融機関の営業所等に受理された日をもって、税務署長に提出されたものとみなされること。(新令第2条の21の2第4項)

(8) 育児休業等終了日以前に年金の積立期間の末日が到来した場合の特例

育休申告書を提出後、申告している育児休業等の終了日以前において、勤労者が締結している勤労者財産形成年金貯蓄契約に基づく積立期間の末日が到来する事となった場合は、租税特別措置法施行令第2条の32第1項に規定する「財産形成年金貯蓄の非課税適用確認申告書」の提出期限は、当該育児休業等の期間の終了の日の翌日までとなること。(新令第2条の32第1項第2号)

(注) その他の留意事項(再開日の約定に関連して必要な実務的対応について)

本件特例措置において、再開日は、勤労者が締結している勤労者財産形成住宅(年金)貯蓄契約に基づいて約定される確定日付であるが、契約上、その払込期日が確定されていない場合は、育休申告書の提出時に別途勤労者と金融機関との間で再開日を確定日付として約定する必要があることに留意する。

なお、当該再開日の約定については、次の点にも留意すること。

① 育児休業等期間中の給与支払い日の変更の可能性があること又は勤務先の事務処理の状況により予め約定した確定日付以外の日に金融機関への入金がなされること等が想定されることから、例えば「○年○月分の給与(賞与)から控除した金銭を勤務先が入金する日。ただし、当該給与の支給日(○月○日)から1ヶ月が経過する日までをその限度とする。」などと約定し、個別の契約において再開日が確定的に定まるようにする必要があること。

② 育休申告書に記載した(期間変更申告書を提出している場合は、その変更後の)育児休業等の終了日時点で有効な契約において約定された日付となること。

4 育休申告書が提出された勤労者財産形成住宅(年金)貯蓄に係る課税関係

(1) 従前の払込中断との関係

育休申告書を提出した勤労者は、原則として育児休業等の期間中、契約に基づく払込みを行わないことを前提としていることから、海外転勤者の継続適用特例と同様、勤労者財産形成住宅(年金)貯蓄契約に基づき育児休業等の開始の日の直前に金銭等の払込みをすべき日から再開日までの間、新令第2条の13第1号の規定の適用はない。(新令第2条の13第1号)

(2) 再開日において払込みの再開がなかった場合の課税関係

育休申告書を提出した勤労者は、その育児休業等が終了した日において有効な契約で定めるところの再開日に定期の払込みを再開することとなるが、この再開がなされない場合、育児休業等の終了日後に支払われる利子等に対して課税される。(新令第2条の21の2第2項)

(3) 育児休業等期間中の払込みがあった場合の課税関係

育休申告書を提出後、育児休業等の開始の日から、予め約定した再開日の前日までの間において、適格継続預入等以外の預入等、すなわち契約に基づき賃金から控除された金銭又は勤労者財産形成給付金若しくは勤労者財産形成基金に係る金銭等の払込みがあった場合、当該払込みがあった日後に支払われる利子等に対して課税される。(新令第2条の8第2号)

(4) 育休申告書提出後、再開日前に不適格事由に該当することとなった場合の課税関係

育休申告書を提出後、再開日前において、退職等の新令第2条の12に規定する不適格事由に該当することとなった場合は、再開日に払込みの再開がなされないこととなるが、上記4(2)のように育児休業等の終了日後に支払われる利子等について課税されるのではなく、新令第2条の12の規定により不適格事由が生じた日の属する利子等の計算期間後の計算期間に対応する利子等について課税される。(利子等の計算期間が1年を超えるものについては、不適格事由が生じた日から起算して1年を経過する日後に支払われる利子等について課税。)

ただし、租税特別措置法施行令第2条の19及び第2条の20の規定により、財産形成住宅貯蓄の勤務先異動申告書等の提出をした場合は、引き続き勤労者財産形成住宅(年金)貯蓄の利子所得等の非課税措置の適用を受けることができる。

5 施行期日等

本件改正については、平成27年4月1日から施行される。また、本件特例措置は、平成27年4月1日以後に育休申告書及び期間変更申告書を提出する場合について適用される。(新令附則第1条第3号、第4条)