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会社の分割に伴う労働契約の承継等に関する法律について
平成12年12月27日労働省発労第78号
(各都道府県労働局長あて労働事務次官通知)
会社の分割に伴う労働契約の承継等に関する法律(以下「法」という。)については、第147回通常国会において本年5月24日に成立し、同年5月31日に平成12年法律第103号として公布された。
法は、商法等の一部を改正する法律(平成12年法律第90号。以下「商法等改正法」という。)の施行の日(平成12年5月31日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日)から施行されることとなっている。
本日、商法等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令が平成12年政令第546号として公布され、商法等改正法の施行期日が平成13年4月1日とされたことから、法が平成13年4月1日から施行されることとなった。
法の主たる内容は下記のとおりであるので、その趣旨について周知徹底に遺憾なきを期されたく、命により通達する。
記
第1 趣旨
会社がその営業の全部又は一部を他の会社に承継させる会社分割の制度の創設に伴い、労働者の保護を図るため、労働契約の承継等に関する特例等を定めることとしたものである。
第2 概要
1 法の目的
法は、会社の分割が行われる場合における労働契約の承継等に関し商法(明治32年法律第48号)及び有限会社法(昭和13年法律第74号)の特例等を定めることにより、労働者の保護を図ることを目的とすること。(第1条関係)
2 労働者等への通知
(1) 労働者への通知
商法第二編第四章第六節ノ三及び有限会社法第六章の規定による新設分割又は吸収分割(以下「分割」という。)をする会社(以下「分割会社」という。)は、次に掲げる労働者に対し、商法第374条第1項(有限会社法第63条ノ6第1項において準用する場合を含む。)の分割計画書又は商法第374条ノ17第1項(有限会社法第63条ノ9第1項において準用する場合を含む。)の分割契約書(以下「分割計画書等」という。)を承認する株主総会又は社員総会(以下「株主総会等」という。)の会日の二週間前までに、労働契約を当該分割によって設立し、又は営業を承継する会社(以下「設立会社等」という。)が承継する旨の分割計画書等中の記載の有無等を書面により通知しなければならないこと。(第2条第1項関係)
イ 当該会社が雇用する労働者であって、設立会社等に承継される営業に主として従事するものとして厚生労働省令で定めるもの
ロ 当該会社が雇用する労働者(イに掲げる労働者を除く。)であって、当該分割計画書等にその者が当該会社との間で締結している労働契約を設立会社等が承継する旨の記載があるもの
(2) 労働組合への通知
分割会社は、労働組合との間で労働協約を締結しているときは、当該労働組合に対し、分割計画書等を承認する株主総会等の会日の二週間前までに、当該労働協約を設立会社等が承継する旨の当該分割計画書等中の記載の有無等を書面により通知しなければならないこと。(第2条第2項関係)
(3) 簡易な分割の手続が行われる場合の特例
商法第374条ノ6第1項及び第374条ノ22第1項の規定に基づき株主総会等の承認を得ずに分割を行う簡易な分割の手続(以下「簡易な分割の手続」という。)が行われる場合については、会社は、分割計画書等が作成された日から起算して二週間以内に(1)及び(2)の通知と同様の事項を書面により通知しなければならないこと。(第2条第3項関係)
3 労働契約の承継
(1) 労働契約の承継
2(1)のイに掲げる労働者が分割会社との間で締結している労働契約であって、分割計画書等に設立会社等が承継する旨の記載があるものは、当該分割計画書等に係る分割の効力が生じた時に、当該設立会社等に承継されるものとすること。(第3条関係)
(2) 2(1)のイに掲げる労働者の異議の申出
2(1)のイに掲げる労働者であって、分割計画書等にその者が分割会社との間で締結している労働契約を設立会社等が承継する旨の記載がないものは、2(1)の通知がされた日から分割会社が定める日(分割計画書等を承認する株主総会等の会日の二週間前の日から当該会日の前日までの日に限る。以下「期限日」という。)までの間に、当該分割会社に対し、当該労働契約が承継されないことについて、書面により、異議を申し出ることができること。(第4条第1項関係)
(3) 異議の申出の期限日の定め
分割会社は、期限日を定めるときは、2(1)の通知がされた日と期限日との間に少なくとも13日間を置かなければならないこと。(第4条第2項関係)
(4) 簡易な分割の手続が行われる場合の期限日の定め
簡易な分割の手続が行われる場合の期限日は、分割を行うべき日の前日までの日に限ることとしたこと。(第4条第3項関係)
(5) (2)に規定する労働者の異議の申出の効果
(2)に規定する労働者が異議を申し出たときは、商法等の規定にかかわらず、当該労働者が分割会社との間で締結している労働契約は、分割計画書等に係る分割の効力が生じた時に、設立会社等に承継されるものとすること。(第4条第4項関係)
(6) 2(1)のロに掲げる労働者の異議の申出
2(1)のロに掲げる労働者は、2(1)の通知がされた日から期限日までの間に、分割会社に対し、当該労働者が当該分割会社との間で締結している労働契約が設立会社等に承継されることについて、書面により、異議を申し出ることができること。(第5条第1項関係)
(7) 期限日についての規定の(6)の場合の準用
(3)及び(4)は、(6)の場合に準用することとしたこと。(第5条第2項関係)
(8) (6)に規定する労働者の異議の申出の効果
(6)に規定する労働者が異議を申し出たときは、商法等の規定にかかわらず、当該労働者が分割会社との間で締結している労働契約は、設立会社等に承継されないものとすること。(第5条第3項関係)
4 労働協約の承継等
(1) 労働協約の承継
分割会社は、分割計画書等に、当該分割会社と労働組合との間で締結されている労働協約のうち設立会社等が承継する部分を記載することができること。(第6条第1項関係)
(2) 労働協約の合意に係る部分の承継
分割会社と労働組合との間で締結されている労働協約のうち、労働条件等の基準以外の部分の全部又は一部について、当該分割会社と当該労働組合との間で分割計画書等の記載に従い当該設立会社等に承継させる旨の合意があったときは、当該合意に係る部分は、当該分割の効力が生じた時に、当該設立会社等に承継されるものとすること。(第6条第2項関係)
(3) (2)の合意に係る部分を除く労働協約の取扱い
(2)に定めるもののほか、分割会社と労働組合との間で締結されている労働協約については、当該労働組合の組合員である労働者と当該分割会社との間で締結されている労働契約が設立会社等に承継されるときは、商法等の規定にかかわらず、当該分割の効力が生じた時に、当該設立会社等と当該労働組合との間で当該労働協約((2)の合意に係る部分を除く。)と同一の内容の労働協約が締結されたものとみなすこと。(第6条第3項関係)
5 労働者の理解と協力
分割会社は、当該分割に当たり、厚生労働大臣の定めるところにより、その雇用する労働者の理解と協力を得るよう努めるものとすること。(第7条関係)
6 指針
厚生労働大臣は、分割会社及び設立会社等が講ずべき当該分割会社が締結している労働契約及び労働協約の承継に関する措置に関し、その適切な実施を図るために必要な指針を定めることができること。(第8条関係)
7 施行期日等
(1) 施行期日
法は、商法等改正法の施行の日(平成13年4月1日)から施行すること。ただし、(2)の規定は、法の公布の日(平成12年5月31日)から施行すること。(附則第1条関係)
(2) 関係法律の規定の整備
関係法律の規定の整備を行うこととしたこと。(附則第2条関係)