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中小企業勤労者財産形成助成金制度の実施について
昭和五一年四月一日基発第二九九号
(各都道府県労働基準局長あて労働省労働基準局長通達)
勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律(昭和五〇年法律第四二号。以下「改正法」という。)の施行については、昭和五〇年一〇月一日付け労働省発基第一〇六号により労働事務次官から通達されたところであるが、改正法のうち第八条の二(中小企業勤労者財産形成助成金)を加える規定及び勤労者財産形成促進法施行令の一部を改正する政令(昭和五〇年政令第一八六号)のうち第二九条を加える規定が昭和五一年四月一日から施行されることとなり、勤労者財産形成促進法施行規則(昭和四六年労働省令第二七号)に「中小企業勤労者財産形成助成金」の手続事項に関する規定を加える「勤労者財産形成促進法施行規則の一部を改正する省令」(昭和五〇年労働省令第一一号)が昭和五一年四月一日付けで公布・施行されることとなることに伴い、関係規定の細部の取扱いについて下記のとおり定めたので、その取扱いについて遺憾なきを期せられたい。
なお、改正法のうち第六条の改正規定関係(「勤労者財産形成貯蓄契約関係」)及び第六条の二を加える規定関係(「勤労者財産形成給付金契約関係」)の細部の取扱いについては、既に昭和五〇年一〇月一日付け基発第五七六号により当職から通達済みであるので念のため申し添える。
おつて、「勤労者財産形成促進法施行規則の一部を改正する省令」は、別添のとおりである。
記
一 助成金の支給対象とされる事業主の範囲
勤労者財産形成促進法第八条の二の助成金(以下「助成金」という。)の支給対象とされる事業主は、前年の四月一日からその年の三月三一日までの期間(以下「算定期間」という。)内に勤労者財産形成給付金契約(以下「給付金契約」という。)に基づき信託金等の払込みを行つた事業主で、その常時雇用する勤労者の数が一〇〇人(小売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については、五〇人)以下のものに限られていることに留意する(改正後の勤労者財産形成促進法(以下「新法」という。)第八条の二及び改正後の勤労者財産形成促進法施行令(以下「新令」という。)第二九条)。
ここで、「信託金等」とは、新法第六条の二第一号に規定する信託金等であることに留意する。また、「その常時雇用する勤労者」とは、臨時に期間を定めて雇用される者(日々雇い入れられる者を含む。)、季節的業務に雇用される者、試用期間中の者等を除く常用の勤労者をいい、「一〇〇人(五〇人)以下である」とは、常態として一〇〇人(五〇人)を超えない実態にあることをいう。
事業の種類は、原則として、日本標準産業分類により分類されるものであるが、事業主が二以上の事業を営んでいる場合には、当該事業主の全体の生産額(若しくは出荷額)又は勤労者数のうちの最大部分を占める生産額(若しくは出荷額)又は勤労者数により当該事業主の事業を区分するものとする。
二 支給対象となる信託金等
助成金の支給は、事業主が給付金契約に基づき最初に信託金等の払込みを行つた日から起算して七年以内に給付金契約に基づき払込みを行つた信託金等についてのみ行われることとされていることに留意する(新令第二九条)。
「信託金等の払込みを行つた日から起算して七年」とは、応当日計算をした場合の七年のことである。また、七年以内に払込みを行つた信託金等に限られていることから、それに基づき最初に信託金等の払込みを行つた給付金契約が解約された場合にあつても、当該最初の信託金等の払込日がこの「七年」の起算点となり、また、事業主について二以上の給付金契約が締結されている場合(当該事業主に係る給付金規程が一に限り実施されている場合であると、当該事業主に係る給付金規程が二以上実施されている場合であるとを問わない。)にあつても、それらの給付金契約のうちそれに基づく最初の信託金等の払込日がこの「七年」の起算点となる。
三 支給額の算定
助成金は、事業主が算定期間内に払込みを行つた信託金等の額から(一)の額の合計額を控除して得た額について(二)の(1)又は(2)の事業主の区分に応じ、それぞれに掲げる率を乗じて得た額とされている(新令第二九条)。この場合において、事業主について二以上の給付金契約が締結されている場合には、それらの給付金契約を通じての信託金等の額であることに留意する。
(一)① 当該算定期間に係る継続雇用者(算定期間を通じて雇用されていた者をいう。以下同じ。)以外の者のために払込みを行つた信託金等の額の合計額
② 当該算定期間に係る継続雇用者で、その者のために払込みを行つた信託金等の金額が五万円を超える者がある場合におけるその五万円を超える部分の金額及びその者のために払込みを行つた信託金等の金額が一万円未満のものがある場合におけるその金額
(二)① 常時雇用する勤労者の数が二〇人(商業又はサービス業を主たる事業とする事業主については、五人)以下である事業主 一〇〇分の一〇
② ①以外の事業主 一〇〇分の五
四 支給請求手続
(一) 助成金の支給の請求を行おうとする事業主(以下「請求事業主」という。)は、給付金契約に基づいて信託金等の払込みを行つた算定期間ごとに、当該算定期間の末日の属する年の翌年の二月末日までに、助成金の支給請求書を雇用促進事業団に提出するものとする。この場合、主たる事業の種類、事業規模及び継続雇用者についてはその事務所又は事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長から、最初に給付金契約に基づいて信託金等の払込みを行つた日及び給付金契約に基づいて払込みを行つた勤労者ごとの信託金等の金額については当該請求事業主に係る給付金契約の相手である取扱機関から、それぞれ証明を受けることが必要とされている(改正後の勤労者財産形成促進法施行規則第三条)。
(二) したがつて、労働基準監督署においては、請求事業主からの業種、事業規模及び継続雇用者であることの証明の依頼を受けてこれを行うこととなるが、この事務処理に当たつては、次の点を留意してこれを行われたい。
① 業種 その業種が明らかである請求事業主を除き、必要に応じて、当該算定期間についての業種が明らかとなる資料(例えば、当該事業主の発行する事業概要、事業案内等、労働保険の概算・確定保険料申告書(様式第六号)の控(以下「労働保険関係書類」という。)等)の提出を求めるものとする。
なお、二以上の事業を含む事業主については、一を参照のこと。
② 事業規模 その常時雇用する勤労者の数が明らかである請求事業主を除き、必要に応じて、当該算定期間についての常時雇用する勤労者の数が明らかとなる資料(例えば、労働者名簿、労働保険書類等)の提出を求めるものとする。
なお、「当該算定期間についての常時雇用する勤労者数」は、一のとおりの意味であるが、その算定期間に含まれる日に係る資料により明らかにされるものであつても差し支えない。
③ 継続雇用者であること 必要に応じ、継続雇用者であることが明らかとなる資料(例えば、労働者名簿、賃金台帳等)の提出を求めるものとする。
(三) 請求事業主に二以上の事務所又は事業場がある場合の取扱い
請求事業主に二以上の事務所又は事業場がある場合には、その主たる事務所の所在地を管轄する労働基準監督署において請求事業主に係る証明事務(二)の①~③を行うものとする。
(四) 説明に係る文書の取扱い
請求事業主からの労働基準監督署長あての証明に係る文書の控え等については、事業主及び雇用促進事業団において保存するものとし、労働基準監督署においてはこれを保存することを要しないものとする。