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通達:健全な労使関係の確立促進のための労使関係法の周知徹底等について

 

健全な労使関係の確立促進のための労使関係法の周知徹底等について

昭和48年11月2日

(各都道府県労政主管部長あて労働省労政局労働法規課長通知)

 

最近の労使関係は、経済的社会的諸条件の変化や労働者の意識の変化等の諸環境の変化のなかにおいて、各都道府県労政機関の御高配により全般的には安定しており、大部分の企業においては、労使間の種類の問題は合理的に処理されているものとみられる。しかしながら、今日なお、合理化、労働組合の分裂、新旧労働組合の対立等に関連して、労使関係の取扱いに習熟せず、あるいは、労使関係法を熟知していない中小企業等において、不当労働行為事件、暴力行為事件等が発生し、その紛争がこじれて長期化する事例もみられるところである。そして、このような紛争の過程において、労働基準法、職業安定法等の問題がからんで発生している例も少なからず見受けられるところである(別紙参照)。そのような紛争のなかには、国会等においても取り上げられ、当該事案の解決のため労政機関が適切な指導を行うよう要請されたものもある。

ところで、健全な労使関係の確立促進については、すでに昭和四十六年七月二十四日付け労発第七一号各都道府県知事あて労政局長通達において、健全な労使関係を確立するための要諦は、労使双方の相互信頼関係の育成にあり、労使は、いずれの側においても、法が禁ずる行為を行つてはならないことはもちろんのこと、違法とまでいえないものであつても労使の相互信頼関係の育成に逆行する行為は努めて避けるべきであるとし、労政機関に御配慮願うべき事項をお示ししたところであるが、上記の実情にかんがみ、標記につき、各都道府県労政機関におかれても、重ねて下記に留意のうえ、なお一層の御高配を煩わしたい。

 

1 労使に対する労使関係法の周知徹底

労使紛争がこじれて長期化する事例は、主として中小企業にみられるところである。このように労使紛争の解決が難航する原因には、種種のものがあると考えられるが、その一つとしては、これらの労使が労使関係に関する基本的考え方及び労使関係法令を熟知していないことがあげられる。したがつて、労政機関としては、中小企業の労使を中心として、あらゆる機会をとらえ、労使関係に関する基本的考え方及び労使関係法令の周知徹底を図る必要がある。特に、使用者に対しては、不当労働行為は、労働組合法によつて厳に禁止されているところであり、かつ、かかる行為はもとより、それと疑わしきものも、労使の信頼関係を阻害するもつとも大きな要因の一つであることを十分に理解せしめる必要がある(「団結権、団体交渉その他の団体行動権に関する労働教育行政の指針について」(昭和三十二年一月一四日発労第一号)第四参照)。

なお、使用者に対する上記の周知にあたつては、経営者協会、商工会議所等使用者の団体を活用することも有効と認められる場合があるので、念のため申し添える。

他方、暴力その他の不法な実力行使は、それが、労使いずれの側によるものであるにせよ、また、いかなる事情によるものであるにせよ、絶対に避けなければならないことは多言を要しないところである。しかるに、今日なお、労使紛争の過程において暴力行為等の事件が発生し、これが紛争の解決を一層困難にしている例もみられることにかんがみ、暴力の行使はいかなる場合においても許されない法治国家における最少限の要請であることをはじめ、「労働関係における不法な暴力の行使の防止について」(昭和二十九年一一月六日発労第四一号)の趣旨を関係者に十分に周知させる必要がある。

2 関係行政機関との連携強化

最近の労使紛争においては、不当労働行為、争議行為の正当性等集団的労使関係法に関する問題のみならず、労働基準法、職業安定法等他の労働関係法令と関連する問題が労使紛争とからんで発生している例もあり、また、ときには、労働関係法令以外の法令の違反の問題が労使紛争のなかで提起されることもある。したがつて、労政機関としては、このような紛争の処理にあたつては、労働基準監督機関、職業安定機関等労働関係諸機関とより一層密接な連携体制をとることはもとより、必要に応じ、各都道府県内部の他の局部や国の地方機関とも十分連絡をとつて、相協力して適時適切な措置を講ずることは必要である。