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通達:健全な労使関係の確立促進について

 

健全な労使関係の確立促進について

昭和46年7月24日労発第71号

(各都道府県知事あて労働省労政局長通知)

 

労使関係の指導及び労働教育については、かねてから御高配をわずらわしているところであるが、最近、合理化問題、公害問題、新旧労働組合の対立、労働組合指導者の交替等に関連して労使間に少なからざる摩擦が生じている事例があり、国会等においてもこのような事案の解決のため労政機関が適切な指導を行うよう要請されているところである。各都道府県労政機関においても、上記実情にかんがみ、健全な労使関係の確立の促進を図るため、下記事項に留意の上、なお一層の御配慮を煩わしたい。

 

憲法第二十八条及び労働組合法の労使関係に対する基本的な考え方については、「団結権、団体交渉その他の団体行動権に関する労働教育行政の指針について」(昭和三十二年一月一四日発労第一号)により既に明らかにされているところであるが、健全な労使関係を確立させるための要諦は、労使双方の相互信頼関係の育成にあり、労使間に相互不信感がある場合には、無用の摩擦が生じ易い。したがつて、労使は、いずれの側においても、労働組合法の禁止する不当労働行為や正当な団体行動権の限界を逸脱する違法な行為を行なつてはならないのは勿論のこと、違法な行為とまではいえないものであつても、相互信頼関係の育成に逆行する行為は、努めて避けるようにすることが必要である。

労政機関としては、一般労働教育の実施等に当つては、上記の考え方を十分考慮し、労使、特に、労使関係の取扱いに習熟していない中小企業等の使用者に対して、啓蒙に努めるとともに、健全な労使関係の確立の観点からみて問題がある事案が生じた場合には、実情把握に努め、必要に応じて、適切な指導、助言に努められたい。この場合、労使関係に対する不当な介入とならないよう厳に留意するとともに、関係行政機関、特に人権問題に関係があると考えられる事案については法務局人権擁護部又は地方法務局人権擁護課とも十分連絡をとつて、適切に対処されたい。

なお、中小企業における主要争議の事例については従来半年ごとに報告願つているところであるが、上述のごとき事案で全国的に重要と認められるものについては、同報告とは別に随時労政局あて報告されたい。