img1 img1 img1

◆トップページに移動 │ ★目次のページに移動 │ ※文字列検索は Ctrl+Fキー  

通達:港湾労働法における登録日雇港湾労働者の団体交渉

 

港湾労働法における登録日雇港湾労働者の団体交渉

昭和41年11月24日労収第428号

(兵庫県知事あて労働省労政局長・職業安定局長通知)

 

一 団体交渉の当日現に雇用されている者は、たといその者が日雇労働者であつても、労働組合法第七条第二号にいう「使用者が雇用する労働者」である。したがつて、これらの者が加入する労働組合の代表者は、同号にいう「使用者が雇用する労働者の代表者」であつて、かかる代表者が、これらの組合員が雇用されているときの労働条件等について、使用者に団体交渉を申し入れてきた場合、使用者は、他に正当な理由がない限り、これに応ずることを拒むことはできないものと解する。

上記の団体交渉において、常時当該組合の組合員が当該使用者に雇用されており、今後も、特別の事情がない限り、そのような状態が継続するであろうと客観的に認められる場合は、当該使用者に雇用される組合員が常に同一人ではなく、また、その人数が日によつて変動するとしても、当該使用者は、当日現に雇用されている日雇労働者のその当日の労働条件以外のことに当該組合の代表者が言及したことのゆえをもつて、その団体交渉を拒否することはできないものと解する。

なお、この場合、たとい、組合員が「常時」当該使用者に雇用されているとはいえない場合であつても、隔日、毎週相当日数等のごとく定期的に雇用されている場合又は定期的とはいえないまでも、現在まで繰り返し雇用されている場合であつて、かつ、特別の事情がない限り、今後もそのような状態が継続するであろうと客観的に認められる場合も上記と同様に解する。

二 照会のあつた問題についての一般的見解は以上のとおりであるが、港湾労働法による登録日雇港湾労働者は、一般に、雇用される使用者が特定しておらず、当該港湾における使用者のいずれかに雇用されることとなるものであるから、個個の使用者との交渉によつて事案の解決を図るということもさることながら、使用者側における交渉の窓口を一本化する等当該港湾における実態に即して交渉の窓口を整備し、この窓口を通じて労働組合側と交渉するという方法をとることが、むしろ当該港湾における合理的な労使関係の確立に資することになると考えられるので、貴職におかれては、これらの点を十分お含みの上、適切な指導にあたられたい。

 

(照会)

港湾労働法における登録日雇労務者については、雇用する側も雇用される側も共に流動的である点から特異な問題があると思われるが、これら登録日雇労務者が組合を結成し、事業主に対して賃金引上げ、労働時間の短縮等労働条件の改善を求めて団体交渉を要求してきたときに、これを事業主が現に雇用関係が存在しないことを理由として拒否することが、次の各場合における事業主の各々について、労働組合法第七条第二号違反として不当労働行為に該当することはないか。

1 港湾労働法施行後、労働組合員である登録日雇労務者を雇用し、今後も雇用することが確実である事業主のばあい。

2 法施行後、組合員である登録日雇労務者を雇用した事実はあるが、今後雇用するかどうかについては不明な事業主のばあい。

(注)

1 神戸港公共職業安定所における登録日雇労務者は七月二八日現在約二、七〇〇名であり、この中約一、四〇〇名が労働組合に加入している。

2 事業主は神戸港における船内・沿岸等各業種にわたる荷役業者約二三〇社あり、これらのすべてに対して組合は諸要求を提出し、これについて団体交渉に応ずるよう主張しているものである。

3 これら数多い事業主のすべてが、労働組合に所属する組合員を雇用するとはいいきれず、雇用した労務者が組合員であるかどうかは流動的である。

(昭和41年8月1日 兵庫県労働部長発)