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通達:一斉ランチ闘争時の賃金カツト

 

一斉ランチ闘争時の賃金カツト

昭和41年7月5日

(鳥取県商工労働部長あて労働省労政局労働法規課長通知)

 

労働者は、具体的な賃金請求権を取得するためには、労働契約の本旨に従つた労務の提供をしなければならず、具体的には就業規則その他使用者の定めた諸規定、職場慣行及び個別の使用者の指揮命令に従つて労務を提供すべきものである。

一般に、就業規則中に、各労働者の休憩時間の与え方につき、「一一時四十分から十三時四十分までの間において業務に支障のないよう交代に与える」旨の適法な規定があり、他に特段の規定はなく、課長の口頭による指示に従つて休憩することが慣行となつている場合であれば、労働協約等に別段の定めがない限り、たとい、争議時にあつても、使用者は、このような方法によれば足りるものと解せられる。そして、適法な指示により労務を提供すべきこととされている時間に労務を提供しなかつた場合には、当該時間については賃金請求権は発生せず、また、適法な指示によつて休憩時間とされた時間に労務を提供しても、当該時間について賃金請求権は発生しないものと解せられる。

本件照会の場合がこのような場合にあたるかどうかは具体的な事実認定の問題であり、本件照会の文言のみによつて断定できることではないので、本件賃金カツトが正当かどうかについては以上の点に基づいて判断されたい。

 

(照会)

左の場合、使用者の行なおうとする賃金カツトは正当か。

(1) 就業規則

昼食時間は営業の関係上、つぎのとおり就業規則で定め、交代休憩の労基局の許可を受けている。

「一日の休憩時間は昼食時間を含み一時間とする。一一時四十分から十三時四十分までの間において業務に支障のないよう交代に与えるものとし、従業員は休憩時間を自由に利用することができる。」

交代の与え方は、その日の状況により課長が日々指示して休憩時間を与えている。

(2) 争議行為

当日、課長は交代休憩を指示したが、組合はスト予告どおり一斉に十二時から十三時までの間休憩し昼食をした。

(3) 使用者のとつた措置

前半十一時四十分から十二時四十分までの勤務者は十二時からストに入つたのであるから勤務しなかつた四十分間につき、後半の十二時四十分から十三時四十分までの勤務者は十三時までストをしたので二十分間につき、それぞれ賃金カツトをする旨組合に通告した。

(4) 労働組合の反論

前半の休憩者が十一時四十分から十二時まで勤務したことに対して、使用者はこれを黙認していた。このことは八時間についての一時間の休憩は労働基準法に規定されている訳であるから、当十二時四十分からの労働時間中、同時から十三時までの休憩を認めたことになる。(後半の休憩者については、勤務時間である十二時から十二時四十分まで休憩したことを黙認していたのであるから、これ又十三時から十三時四十分までの勤務を認めたことになる。)従つて、使用者の賃金カツトは不当であると使用者に申し入れた。

(昭和41年6月23日 鳥取県商工労働部労政課長発)