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通達:地労委がした資格審査の決定処分に対する再審査の申立て及び取消訴訟の提起

 

地労委がした資格審査の決定処分に対する再審査の申立て及び取消訴訟の提起

昭和39年9月11日

(群馬県商工労働部長あて労働省労政局労働法規課長通知)

 

一 労働委員会がした処分については、行政不服審査法(昭和三十七年法律第一六〇号)による不服申立てをすることができないものとされているので(労組法第二十七条の三)、地方労働委員会(以下「地労委」という。)がした労働組合が労組法第二条及び第五条第二項の規定に適合するかどうかの審査(以下「資格審査」という。)の決定処分についても、行政不服審査法による審査請求又は異議申立ては認められない。

しかし、労組法第二十五条第二項及び労働委員会規則第二十七条第一項の規定に基づき、地労委がした資格審査の決定処分について不服がある労働組合は、中央労働委員会(以下「中労委」という。)に対して再審査の申立てをすることができる。ただし、不当労働行為の救済の申立てがあつた場合になされる資格審査の決定については、最高裁の判決において救済命令又は救済命令を却下する処分と離れて独立の処分としての意義を有するものではないとされているから(最高裁第三小法廷昭三二・一二・二四判決 日通会津若松事件参照)、その資格審査の決定に対する再審査を申し立てることはできず、労働組合は不当労働行為の救済の申立てを却下する処分について再審査を申し立てるべきものと解される。

なお、行政不服審査法による不服申立てをすることができないのは、労働委員会の処分❜❜についてであつて、労働委員会の不作為❜❜❜についての不服申立てまでできない趣旨ではないので、地労委が資格審査の申立てに対して相当の期間内に処分をしないときは、行政不服審査法第七条に基づき、当該地労委に不作為についての異議申立てをすることはできる。ただし、行政不服審査法第七条によれば、行政庁の不作為については当該不作為庁の直近上級行政庁に対しても審査請求をすることもできることとなつているが、中労委は地労委の直近上級行政庁とは解し難いので、地労委の不作為について中労委に対して審査請求をすることはできないものと解する。

二 労働委員会がした不当労働行為に関する命令の取消しの訴えについては、労組法第二十七条において行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)の特例が定められているが、資格審査の決定処分及びその再審査の申立てに対する裁決の取消しの訴え等については、何ら労組法等に特例は定められていないので一般法たる行政事件訴訟法の定めるところによることとなる(行政事件訴訟法第一条)。

(一) 行政事件訴訟法においては、処分の取消しの訴えと審査請求との関係についていわゆる訴願前置主義が廃止され、処分の取消しの訴えは、法律の別段の規定のない限り、法令の規定による審査請求が認められている場合にも、直ちに提起することを妨げないものとされている(同法八条第一項)。したがつて、地労委がした資格審査の決定処分についても、再審査の申立てに対する中労委の裁決を経ることなく、直ちに裁判所にその処分の取消しの訴えを提起することができる。

なお、その結果、中労委に対する再審査の申立てと併行して、裁判所に対して処分の取消しの訴えが提起される場合も生ずるが、この場合においては、裁判所は、当該再審査の申立てに対する裁決があるまで、訴訟手続を中止することができる(同法第八条第三項)。

(二) 行政事件訴訟法においては、取消訴訟についていわゆる原処分主義がとられ、処分の取消しの訴えとその処分に対する審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えとをともに提起しうる場合には、裁決の取消しの訴えは、原処分の違法を理由として提起することはできない(同法第十条第二項)。したがつて、労働組合の資格審査に関しても、再審査の申立てに対する中労委の裁決の取消しの訴えは、地労委の資格審査の決定処分の違法を理由として提起することはできず、裁決の手続上の違法を理由としてその取消しを求めることができるにすぎない。それ故、資格審査に関する実質的な主張は、たとい再審査の申立てに対する中労委の裁決がなされた後においても、もつぱら地労委の処分の取消しの訴えにおいてのみ行われうるところである。

なお、この点については、不当労働行為に関する命令の取消しの訴えについては、いわゆる裁決主義がとられて、中労委の再審査命令が出された後は、中労委の再審査命令に対してのみ取消しの訴えを提起することができるものとされていること(労組法第二十七条第七項、第十一項)とは異なるものである。

(三) 行政事件訴訟法においては、行政庁を被告とする取消訴訟は、その行政庁の所在地の裁判所の管轄に属するのが原則であるが(同法第十二条第一項)、特別管轄として、処分又は裁決に関し事案の処理に当つた下級行政機関の所在地の裁判所にも取消訴訟を提起することができるものとされている(同法同条第三項)。しかしながら再審査の申立てに対する中労委の裁決に関しては、地労委は「事案の処理に当つた下級行政機関」とは解されないので、中労委の裁決の取消しの訴えは、中労委の所在地の裁判所の管轄のみに属するものと解される。

(四) 行政事件訴訟法においては、処分又は裁決を取り消す判決は、その事件について、当事者たる行政庁その他の関係行政庁を拘束し(同法第三十三条第一項)、申請を却下若しくは棄却した処分又は審査請求を却下し若しくは棄却した裁決が判決により取り消されたときは、その処分又は裁決をした行政庁は、判決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分又は審査請求に対する裁決をしなければならないものとされている(同法同条第二項)。したがつて、労働組合の資格審査に関しても、その申立てを却下し若しくは棄却した地労委の決定処分又は再審査の申立てを却下し若しくは棄却した中労委の裁決が裁判所の判決により取り消されたときは、その決定処分をした地労委又は裁決をした中労委は、判決の趣旨に従い、改めて申立てに対する決定又は裁決をしなければならないことは当然である。

 

(参考)

地労委がした資格審査の決定処分に対する再審査の申立て及び行政訴訟の提起について御説明願いたい。(要旨)

(昭和39年5月16日 群馬県商工労働部長発)