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第二十一条第三項と労委規則第六条との関係、地労委の規則等の制定権
昭和38年12月25日
(群馬県商工労働部長あて労働省労政局労働法規課長通知)
【第二十一条第三項と労委規則第六条との関係】
労働委員会規則第六条第一項は、原則として使用者委員、労働者委員及び公益委員の各過半数が出席した場合に総会の議事を開くものとすると規定しているが、労働組合法第二十一条第三項は、使用者委員、労働者委員及び公益委員各一人以上が出席しなければ会議を開き、議決をすることができないと規定している。しかし、この両者の規定は矛盾するものではなく、労働組合法は、労働委員会の性格上、その会議を開き、議決を行なうための最低限の要請として各側委員一人以上の出席を定めているものであり、これに対し、労働委員会規則は、労働委員会の円滑な運営を確保するためには、一般に各側委員の各過半数の出席がある場合に総会の議事を開くこととすることが適当であるとの判断に基づき、その原則を定めているに過ぎず、もとより例外を認めない趣旨でもない。したがつて、総会の会議、議決につき労働組合法上の要件を充たしているかぎり、かりに労働委員会規則の規定に違反していると認められるような場合であつても、その議決の効力には影響はないものと考えられる。
なお、労働組合法第二十一条の改正に関する意見は、今後の参考といたしたい。
(参考)
労働組合法第二十一条第三項によると労働委員会は、使用者委員、労働者委員及び公益委員各一人以上が出席しなければ会議を開き、議決することができないと規定されている。他方、労働委員会規則第六条(総会の定足数)に総会は原則として使用者委員、労働者委員及び公益委員の各過半数が出席した場合に議事を開くものとするとの規定があり、原則としての文言で一応法と規則の矛盾を回避しているやに考えられるが、労働組合法第二十一条第三項の規定による定足数をもつて定例総会が成立することも想定されるので、地労委の委員会構成人員数と民主主義の原理からしても、総会については過半数出席をもつて成立するとの要件整備の法改正をなすべきものと思うが如何。(要旨)
(昭和38年11月1日 群馬県地労委事務局長発)
【地労委の規則等の制定権】
労働組合法第二十六条は、中央労働委員会は地方労働委員会が行なう手続に関する規則を制定する権限を有する旨を明らかにしている。また、地方自治法第百三十八条の四第二項においては、「普通地方公共団体の委員会は、法律の定めるところにより、……その権限に属する事務に関し、規則その他の規定を定めることができる。」とされているので、地方労働委員会が規則を制定しうるためには「法律の定め」がなければならないのであるが、労働組合法その他の法律においては、そのような規定は存在しない。(その点、人事委員会及び公平委員会について地方公務員法第八条第四項の規定があり、都道府県公安委員会について警察法第三十八条第四項の規定があるのと、相違するところである。)したがつて、地方労働委員会の行なう手続に関する規則が、中央労働委員会によつて制定されるほかは、地方労働委員会そのものは、その事務に関し規則その他の規程を制定する権限を有しないものと解される。
ただし、地方労働委員会がその内部的な事務処理の手続、方法ないし基準について何らかの内規的な定めをすることは、委員会の事務処理の権限のうちに当然に含まれていると解される。
(参考)
知事は地方自治法第十五条によりその所掌事務の処理について規則規程の制定権があるが、特別法で設置を見ている地方労働委員会は労働組合法第二十六条により規則の制定権は中央労働委員会のみに専属し地方労働委員会には受権はないと考えるが如何。
(昭和38年11月1日 群馬県地労委事務局長発)