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中小企業退職金共済法の施行について
昭和三四年一〇月一四日労発第一四九号
(各都道府県知事あて労政局長通達)
標記については、さきに昭和三四年六月二日付労働省発労第一三号をもつて労働事務次官から通牒致し、格段の配慮を煩わしているところであるが、法の施行に伴い、中小企業退職金共済法施行令(昭和三四年政令第二三二号、同年六月三〇日公布施行。以下「施行令」という。)、中小企業退職金共済法施行規則(昭和三四年労働省令第二三号、同年九月一日公布施行。以下「施行規則」という。)等の関係政令、省令も一応整備されたので上記通牒の内容にあわせ、左記により法の施行について一層遺憾なきを期せられたい。
なお、法を円滑に施行するには、都道府県労政行政機構についてもこれを拡充強化する必要があるので、人員、予算その他各般について御高配を煩わしたく、お願いする。
〔記目次〕
一 認定、証明事務について
二 委託金融機関に対する指導事務について
三 積立事業のいわゆる引継に関する指導事務について
四 掛金、退職金等の税法上の取り扱いについて
記
一 認定、証明事務について
(1) 法第六五条の規定により労働大臣の職権で都道府県知事に委任されたものは、次に掲げる権限である(施行令)。
(イ) 法第八条第三項第二号の認定
(ロ) 法第一〇条第三項の認定
(ハ) 法第一四条の認定
(ニ) 法附則第八条第一項の認定
なお、船員法の適用を受ける被共済者に関しては、上記(ロ)、(ハ)の認定権限は、運輸大臣が行うものであり(法第六六条)、これらの権限は、施行令により海運局長に委任されたので念のため。
(2) 都道府県知事(又は労政事務所長)の証明を予定している事項は、おおむね次のとおりである。
(イ) 施行規則第四条第二項第一号の証明
(ロ) 施行規則第三六条第一項の証明
(ハ) 施行規則第三九条の証明
(ニ) 施行規則附則第三条第二項第二号及び第三号の証明
(3) これらの認定又は証明の事務については、原則として労政事務所長に行わせることとし、また、これらの事務を行うにあたつては、中小企業の従業員の福祉の増進と中小企業の振興を図るという法の趣旨、目的に照らし、利用者の便を第一義として迅速的確に処理するよう努め、いやしくも権限が濫用されることのないよう御留意願いたい。
二 委託金融機関に対する指導事務について
法第四六条第一項の規定により、事業団は労働大臣の認可を受けて、金銭の授受に関する窓口業務の一部を金融機関に委託することができることとなつているのであるが、この委託を受ける金融機関の範囲は、銀行(地方銀行を含む。)、相互銀行、商工組合中央金庫、全国信用金庫連合会、全国信用組合連合会とし、信用金庫、信用組合については、夫々の連合会(信用組合については、商工組合中央金庫を含む。)の責任において再委託させる方針であるので、これらの委託金融機関と十分連絡をとり、受託業務の取扱にあたり、法令の解釈等について、誤りのないよう十分指導を願いたい。
三 積立事業のいわゆる引継に関する指導事務について
法附則第八条第一項は、共同退職金積立事業に参加している共済契約者が被共済者のために所要の金額を事業団に納付したときは、所定の月数を掛金納付月数に通算することとしているのであるが、納付すべき金額の計算方法は、かなり複雑であるので誤りの生じないよう十分指導願いたい。
四 掛金、退職金等の税法上の取り扱いについて
事業団に納付する掛金は、その全額が所得税法上の必要経費又は法人税法上の損金とみなされ、また事業団から支給する退職金及び解約手当金(法第一三条第二項ただし書の規定により支給される解約手当金を除く。)は所得税法上の退職所得とみなされることが、所得税法施行規則の一部を改正する政令(昭和三四年政令第三二一号、同年一〇月八日公布施行。)、法人税法施行規則の一部を改正する政令(昭和三四年政令第三二二号、同年一〇月八日公布施行。)によつて明確にされたので、この点周知徹底に努められたい。