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通達:港湾運送事業における公益事業の範囲の判断基準

 

港湾運送事業における公益事業の範囲の判断基準

昭和34年8月28日労発第125号

(各都道府県知事あて労政局長通知)

 

港湾運送事業が、労調法第八条に規定する公益事業に該当するか否かについては、その港湾運送業が公益事業たる運輸事業と一体をなすもののみを、労調法上の公益事業として取扱つてきたところである(労調法解釈例規第一号第一問第八条関係答(一)(1)(ハ)参照)。しこうして、運輸事業のうち、船員法の適用を受ける船員の従事するものが労調法上の公益事業の範囲に含まれるかどうかについては、これを所管する運輸省の取扱を前提としていたところである。

しかるに今般、船員法の適用を受ける船員の従事する運輸事業が労調法上の公益事業であるか否かに関して、運輸省において別紙一のとおり決定し、昭和三十四年八月十四日付員労第三六三号「労調法第八条に関する事務処理について」(別紙二)をもつて当省に連絡があつた。

これによれば、今回航路表を定めて右の公益事業の範囲を個々具体的に指定する従来の方法を廃止し、船員中央労働委員会の昭和三十四年六月二十六日の決議にかかる基準に該当するものをもつて、労調法上の公益事業として取扱うこととなつた。

従つて、貴職においては、今後、港湾運送事業が労調法第八条の公益事業に該当するか否かの決定の前提として、船員法の適用をうける船員の従事する運輸事業が公益事業に該当するか否かについては、右の運輸省の方針に従つて処理されたい。

よつて、貴県下における前記新基準に該当する事業の具体的範囲については、あらかじめ関係地方海運局と連絡してこれを了知しておき、法の実施運営に万遺憾なきを期せられたい。

なお、昭和二十三年十月六日付労収第九四九号、昭和二十五年六月二十六日付労収第四〇八三号の四及びその他の通達のうち、右に牴触する部分は廃止することとする。

 

(別紙一)

○労働関係調整法の公益事業の労働争議に関する事務処理について

昭和34年7月17日員労第315号

(各地方海運局長あて船員局長通知)

標記の件については、従来の事務処理の実情にかんがみ、基準を更に明確にする必要を認め、船員中央労働委員会にその意見を照会中のところ、今般別紙のとおり船員中央労働委員会の決議がなされた旨通知があつた。

よつて、今回労働関係調整法の公益事業の労働争議に関する事務処理の基準を次のとおり定め、昭和二十三年海員労第一五四号の一および同号の二「労働関係調整法第八条の適用範囲について」通達ならびに之等の追加に関する通達を廃止する。

一 特定の事業が労調法第八条にいう公益事業に該当するか否かについて見解をあきらかにする必要があるときは、船員労働委員会の上記決議の基準に該当するか否かにより決するものとすること。この場合決議文中下記の部分については次のように解すること。

(イ) 離島航路整備法の離島航路の定義には「船舶以外の交通機関によることが著しく不便である地点間を連絡する航路」が含まれているが、次の航路はこれに該当するものとする。

(1) 船舶以外に定期的に運行する交通機関のない地点間を連絡するもの

(2) 船舶以外に定期的に運行する交通機関があつても、その運行の時刻、所要時間、料金の点から見て、船舶によることが通常の交通の手段となつている地点間を連絡するもの。

(ロ) 「郵便物を運送している事業」とは、郵便物運送委託法にもとづき郵政大臣と郵便物運送契約を締結しているとものとする。

(以下略)

 

(別紙)

 

○労働関係調整法第八条の公益事業の範囲に関する基準について

昭和34年6月26日船中労第218号

(船員局長あて船員中央労働委員会事務局長通知)

標記について、昭和三十四年六月二十六日開催の第百六十六回船員中央労働委員会総会において、別紙のとおり決議されたので通知する。

労調法第八条の公益事業の範囲に関する基準について

労調法第八条第一項の公益事業の範囲については、左記の基準によることが適当と認められる。

一 海上運送法第二条第四項の旅客定期航路事業であつて、常時通勤者、通学者を輸送するもの

二 離島航路整備法第二条第二項の離島航路事業であつて、もつぱら観光のみを目的とするもの以外のもの

三 海上運送法第二条第二項の船舶運航事業であつて、国内で郵便物を輸送しているもの

四 公衆の飲料用給水船、し尿船及びじんかい船の事業並びに公衆の日常生活に欠くことのできない貨物を輸送する海上運輸事業であつて前各号に準ずると認められるもの

(注) 昭和二十二年二月二十六日「労調法の公益事業の範囲に関する解釈基準について」

昭和二十三年二月二十日「労働関係調整法第八条の適用をうける航路表」等本件に関する当委員会の従前の決定はこれを廃止する。

 

(別紙二)

○労調法第八条に関する事務処理について(労発第206号回答)

昭和34年8月14日員労第363号

(労政局長あて運輸省船員局長通知)

昭和三十三年十二月二十二日附労第二〇六号「労調法第八条の解釈について」をもつて御照会の件について次のように回答いたします。

海運業その他船員に関連する事業のうち、どの範囲のものを労調法第八条にいう公益事業と解するかについては、従来当方においては昭和二十三年海員労第一五四号通達において航路表を定め、以後その追加の方法によつてその範囲を明確にすることとしておりましたこと御承知の通りであります。この方法によつては最近の変化した情勢に適応した行政が円滑に実施できないうらみがある点に鑑みまして、昨年来新たに別の観点にたつて実情に則した方法でその範囲を明確にすることの検討をすすめ、改めて船員中央労働委員会の意見を徴しましたところ、船員中央労働委員会では、今回別添のように新らしい基準について決議を行いました。よつて当方においては、今後上記決議に述べられた基準に該当するものをもつて公益事業として取扱うこととし、これにともなつて航路表による方法は廃止する旨を今年七月十七日附をもつて管下に通達いたしました。

なお、上記船員中央労働委員会の決議中には具体的適用の場合になお明確さを欠く部分がありますが、その部分については次のように解することとしております。

(イ) 離島航路整備法の離島航路の定義は「船舶以外の交通機関によることが著しく不便である地点間を連絡する航路」が含まれているが、次の航路をこれに該当するものとする。

(1) 船舶以外に定期的に運行する交通機関のない地点間を連絡するもの

(2) 船舶以外に定期的に運行する交通機関があつても、その運行の時刻、所要時間、料金の点からみて、船舶によることが通常の交通の手段となつている地点間を連絡するもの

(ロ) 「郵便物を運送している事業」とは、郵便物運送委託法にもとづき郵政大臣と郵便物運送契約を締結しているものとする。