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通達:逆締付条項と支配介入、協約中においてその適用範囲を限定している場合

 

逆締付条項と支配介入、協約中においてその適用範囲を限定している場合

昭和32年10月8日

(兵庫県商工労働部長あて労働省労政局労働法規課長通知)

 

【逆締付条項と支配介入】

「組合員は従業員でなければならない。」といういわゆる逆締付条項がある場合においても、当該組合は、組合員の範囲について右協約条項によつて拘束されるものではなく、組合が従業員以外の者を加入せしめても、債務不履行の責は負わないものと解する。

(参考)

本組合と会社との間の同協約第七条は、「組合員は工場所属の工員に限る。」と逆締付条項を設け、組合が今年五月の大会に於て組合規約を一部変更し組合員の資格喪失の項に「・・・・・資格を喪失する。但し会社の行つた解雇を正当な解雇と認めず係争中の場合を除く。」と改訂したのに対し、会社は協約第七条に違反し、債務不履行になるからとの理由で、改訂部分の取消を要求したが、この会社の態度及び逆締付条項に対する見解はどうか。(要旨)

(昭和32年8月8日 ○○製鉄葺合工場労組法対部長発)

 

【協約中においてその適用範囲を限定している場合】

労働協約の適用を受けるのは、原則として、締結当事者たる労働組合の組合員である従業員に限られ、組合員以外の従業員には及ばない。

従つて、御質問の協約の適用範囲に関する条項は、右の旨を確認した趣旨の規定に過ぎないものと考えられる。

しかしながら、労組法第十七条及び第十八条は、当該条文に定めている一定の要件をみたす場合には、例外的に、組合員以外の従業員にも当該労働協約が拡張適用される旨を規定している。右労組法第十七条の規定は、同条に定めている一定の要件をみたす場合には、協約締結当事者の意思如何にかかわりなく、組合員以外の従業員にも拡張適用されることを定めているものであるから、かりに締結当事者間において、「組合員以外の者には適用しない」旨の特段の条項を設けたとしても、該条項は、右拡張適用がなされる限度において効力を有しないこととなる。

(参考)

労働協約における「この協約は組合員に限りこれを適用し、第五条第一項各号の一に該当する従業員にはこれを適用しない。」という労働協約の適用範囲を定める条項は、労組法第十七条に違反するものではないか。(要旨)

(昭和32年8月8日 ○○製鉄葺合工場労組法対部長発)