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通達:シヨツプ協定と組合加入拒否

 

シヨツプ協定と組合加入拒否

昭和31年12月21日

(岐阜県経済部長あて労働省労政局労働法規課長通知)

 

一 労働者は、労組法第二条の規定に適合する限り、自由に団結して労働組合を組織し得るのであつて、労働組合をいかなる範囲の労働者をもつて組織するかは、一般に、その労働組合を組織する労働者の自由に委ねられており、従つてまた、特定の労働者を加入させるか否かも、一般に当該労働組合が自由に決定し得るものである。

二 もとより、かかる自由もこれを濫用してならないことはいうまでもなく、例えば、労働組合が組合員を除名する場合、或はユニオン・シヨツプ協定が存在するときに、現に雇用されている労働者の組合加入を拒み、且つ当該協定に基きその解雇を使用者に要求するような場合については、この点を考慮する必要があるであろう。

三 一、二に述べたことは、クローズド・シヨツプ協定が締結されている場合についても同様であるが、その場合における組合加入の拒否については、当該労働者が使用者との雇用関係にない場合は、仮りに二の如き濫用の問題が理論上考えられ得るとしても、一般には、当該労働者の労働契約上の権利等裁判上保護を受け得る権利乃至利益の侵害という問題が生じ得ないのであるから、かかる組合加入の拒否の法律的効果を論ずる実益は乏しいものと考えられる。

 

(参考)

一 当組合は、陶磁器の荷造工をもつて組織するいわゆる職業別組合であるが、この組合の規約上組合員となる資格を有する者が加入に必要な所定の手続を経て加入を申入れたとき組合はこの者を正当な拒否理由がない限り加入させなければならないか。

二 更に当組合は、現在使用者と労働協約を締結し、その第四条に「使用者が荷造工を使用する時は本労働組合に加入後の者でなければ使用してはならない」としたいわゆるクローズド・シヨツプ協定をもつているが、この場合の組合加入拒否についてはどう考えられるか。

三 前記各号により、もし組合加入拒否について正当な理由がなければならないとすれば、当組合の組合員の殆んどが、一事業者に雇傭関係を有せず、二―三の事業者を大体専属として作業に従事しているものの、それでも充分な仕事がない現状であるため、団結権の強化とともに、労働市場確保により組合員の利益を擁護する目的で、前記クローズド・シヨツプ協定をもつたのであるが、組合加入を認めることにより、労働市場の減少を来たし、更に折角締結したクローズド・シヨツプ協定の効果もなくなるとして加入を拒否することは正当か。(要旨)

(昭和31年10月27日 岐阜県経済部長発)