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同意約款違反の解雇の効力
昭和31年12月3日労収第2775号
(千葉県知事あて労働省労政局長通知)
労働協約上「組合員を解雇しようとするときは組合の同意を要する」旨の所謂同意約款が存する場合、使用者が組合員を解雇しようとするときは、組合の同意を得なければならないことは当然であり、これに違反してなされた解雇は、特別の事由のない限り、無効と解すべきである。
しかしながら、右約款は、本来解雇に関する使用者の恣意を排除せんとする趣旨のものであつて、労使が相互に信義則に基き、約款本来の趣旨を尊重して事の処理に当るべきであるから、使用者側において、企業の必要上解雇するにつきやむを得ない事情があり、組合の同意を得るべく相当の努力を傾倒しているにも拘らず、組合側において正当な理由なくしてこれを拒否し続けている場合は、組合側の「同意拒絶権の濫用」と見得る場合があり、かかる場合は組合側の最終的了解を得ずして解雇を行つても同意約款違反とはならないとするのが一般的な考え方である。しかしながら「同意拒絶権の濫用」と目されるのは、使用者側が相当の努力を傾倒していて然も組合の拒絶が信義則上甚だ妥当を欠く場合であつて、形式的な交渉、協議によつて組合の同意が得られなかつたという事実のみを以てしては、未だ必ずしも「同意拒絶権濫用」とはいえない場合が多い。
従つて、本件照会事案の解雇が同意約款違反を構成するか否かは、ひとえに当該人員整理の必要性及びその緊急性並びにこれを実施するに当つて採られた労使の協議の度合及び協議態度等の事実関係の如何に懸つてくることになるのであるが、具体的事案であつて現に裁判所に係属しているものについては、当職として一方の資料に基き断定的判断を下すことは妥当でないと思われるので、参考までに、この種事案に関する裁判例の若干を別添摘記する(略)から、冒頭に記した所とあわせ判断せられたい。
(参考)
労働協約における会社が組合員を解雇するときは、組合の同意を要する旨のいわゆる解雇同意約款に違反する解雇の効力如何。(要旨)
(昭和31年11月24日 ○○新聞従業員組合委員長発)