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非組合員に対する労働協約の適用
昭和30年4月11日
(○○○○○○保険株式会社東京支店○○○○あて労働省労政局労働法規課長通知)
一 貴社労働協約によれば、「従業員」の語のほかに、第二章「組合活動」の項では「組合員」の語も使用されているが、かかる使い分けをした当事者の意思が明らかでないため、御質問に対し、断定的な回答を致し難いが、一般的には次の如く解されるので、これにより判断されたい。
二 一般に労働協約が労働条件その他労働者の待遇に関する基準につき労組法第十六条の効力をもつ範囲は、後記四の場合を除き、当事者たる組合の組合員である従業員に限られ、組合員以外の従業員には及ばない。
三 また、労働協約において組合員以外の従業員の労働条件の基準を明確に規定し、或いは「本協約は全従業員に適用する」との特設の定めをしている場合等、労働条件その他の労働者の待遇に関する基準を組合員以外の従業員にも適用することとしている場合においても、それにより、それら労働者の待遇に関する基準の効力が非組合員たる従業員に対して及ぶものではなく、使用者が非組合員たる従業員の労働条件その他の待遇を当該労働協約の定めるところに従つたものとすべき債務を当該組合に対して負うに止まる。
四 なお、法律の規定により、特に労働協約が組合員以外の他の従業員に対して拡張適用される場合がある。労働組合法第十七条及び第十八条に規定する場合がそれであつて、両条とも拡張適用すべき場合の要件をそれぞれ規定しているが、いずれも拡張適用されるべき対象は、当該労働協約の適用を受けている組合員たる従業員と同種❜❜の従業員に限られる。これら所定の要件が具備されている場合は、組合員以外の同種❜❜の従業員は、その意思如何に拘らず、当該労働協約の適用を受けることになるが、この場合でも、労働組合法第二条但書第一号に該当する者(所謂部課長等使用者の利益代表者)は、一般に右にいう同種❜❜の従業員とは解されないから、前記両条による労働協約の拡張適用を受けない。
(参考)
労働法及び当社労働協約の適用に関し別紙の如き疑義が御座居ますので御質問致します。御多忙中誠に恐縮とは存じますが文書を以て御回答を得たくこの段御願い申し上げます。
質疑事項
同封致しました「労働協約」は○○○○○○保険式会社と○○○損害保険労働組合の統制の下にある○○○○支部との間に締結致しました「労働協約」でありますが、本協約第二条に於いて組合員の範囲から除外せられた
一 本店 部長、次長、人事課長、庶務課長、会計課長
二 支店 支店長(東京、大阪支店の次長、部長を含む)
三 顧問 嘱託
四 その他会社と組合で協議して決定した者
の法的性格について左記の点を御質問致します。
労働条件は労働者と使用者が対等の立場に於て決定すべきもの(基準法第二条)との規定がありますが右の如き部署にある“使用者”であると同時に“労働者”であると云う相対的性格を有する(基準法第九条・第十条)者が右労働協約及び就業規則の作成に当つて現実に会社から意見希望を求められる事なく勿論一組合員としても意見具陳の機会も与えられず而も出来上つた“協約”には“従業員”として拘束されているような結果とみられるがこの様な場合これら部署にある者は本協約に拘束されないか又若し拘束されるとすれば如何なる法規を以て、如何なる保護が与えられるか御回答を戴きたく右宜敷く御願い致します。
(昭和30年3月29日 ○○○○○○保険株式会社東京支店○○○○発)