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会社と多数組合の間に締結された労働協約並びに妥結書の効力
昭和29年7月20日労発第209号
(神奈川県知事あて労働省労政局長通知)
(1) 一の工場事業場において常時使用される同種の労働者の四分の三以上の数の労働者が一の労働協約の適用を受けるときは、当該工場事業場に使用される他の同種の労働者は、別に労働組合を組織していると否とに拘らず、また他の労働協約の適用を受けていると否とを問わず、当然に当該労働協約の適用を受けることとなるのであつて、少数者が他の労働協約の適用を受けている場合には、その労働協約は、拡張適用される協約にてい❜❜触又は重複する限りにおいてその効力を停止することとなる。
なお、労働協約を締結している多数組合が、会社全体として、同種の労働者の四分の三以上を占めているとしても、労働組合法第十七条の規定による拡張適用は、個々の工場事業場ごとに、同条に規定する要件を満しているか否かによつて決定されるものである。
(2) 使用者と労働組合との間で団体交渉を行つた結果作成された妥結書は、労働組合法第十四条に規定する要件を備えていれば労働組合法上の労働協約として、同法第十七条による効力を有するものである。
(3) 多数組合の締結した労働協約が、労働組合法第十七条の規定により、少数組合に所属する労働者に拡張適用される場合には、当該労働協約の有効期間中は、当該労働協約の拡張適用される部分の規定を変更することになるような内容の団体交渉を強制することは許されないから、その限りにおいて、少数組合との団体交渉を拒否しても不当労働行為とはならないと解する。
なお、少数組合が、多数組合と同種の要求を提出している場合については、その具体的事業に応じて判断すべきものである。
(参考)
当社には、従業員のうち約六千二百名をもつて組織される労働組合と、約八百名をもつて組織される労働組合があり、なおその外に役職上の非組合員と、いずれの組合にも加入していない右二組合の組合員と同種の約四百名の従業員(未組織労働者)がいる。
(1) 会社と多数組合の間に労働協約が締結されたときは、その協約の所謂規範的部分は、少数組合と会社の間の協約の有無に拘らず、またその適用を受けた為、従来より不利になると否とを問わず、労働組合法第十七条の規定により当然少数組合の組合員及び未組織労働者に適用されると解すべきか。
(2) 多数組合の労働条件その他労働者の待遇に関する要求に基き団体交渉等の結果会社と多数組合の間に妥結された妥結書は、労働協約として、前項の場合と同様に、少数組合の組合員及び未組織労働者に適用されると解すべきか。
(3) 前二項の協約、妥結書が少数組合の組合員及び未組織労働者に適用されるとすれば、それらに規定する労働条件その他労働者の待遇に関する基準または多数組合の提出している労働条件等に関する要求と同種の要求について少数組合と団体交渉を行うことは無意味であるから会社はかかる団体交渉の申入れを拒否しても不当労働行為にはならないと解してよいか。
また妥結書の内容について少数組合が反対していても、会社は同組合員が受領を拒否した場合には、供託の手段を用いても実施しなければならないと解すべきか。
(昭和29年4月27日 ○○自動車(株)人事部長発)