img1 img1 img1

◆トップページに移動 │ ★目次のページに移動 │ ※文字列検索は Ctrl+Fキー  

通達:協約違反の作業所閉鎖、当事者が争議行為であることを否定している行為

 

協約違反の作業所閉鎖、当事者が争議行為であることを否定している行為

昭和28年11月9日労発第249号

(福岡県知事あて労働省労政局長通知)

 

【協約違反の作業所閉鎖】

一 当事者が争議行為でない旨言明していたとしても、その行為が現実に労働関係についての主張を貫徹することを目的とする行為、又は、これに対抗する行為であつてそれが客観的に業務の正常な運営を阻害する行為であれば、労調法第七条にいう争議行為である。従つて軍側がロツク・アウトでない旨を言明したことのみでは当該行為は、当然に争議行為でなくなるものではない。

二 本件をロツク・アウトと解するならば、使用者は争議行為の予告義務を定めた協約の所定の条項について、違反の責を免れない。従つて、組合側に対し、これについての損害賠償の責任を負うものと解する。

三 本件を仮にロツク・アウトでないと解するならば、小倉労管所長宛のアルホード大佐書簡によつた本件就業禁止は、軍の都合による休業と見る他はないから、所定の休業手当を支払わなければならない。但し、同書簡記載の事由以外に就業禁止の事由があつて、それが使用者の責に帰すべからざるものである場合はこの限りでない。

四 調達庁は、駐留軍労務者に対しては法律上雇用主としての地位にある。従つて、本件の場合に於いては、これをロツク・アウトと解するならば、協約当事者たる調達庁は、対労務者の関係においては、右の協約条項違反の責を免れない。また仮に軍の都合による休業と解するならば調達庁は労働基準法第二十六条に定める休業手当を支払うべきであると解する。

なお、調達庁と軍との求償関係については、本職の権限外の事項であるから回答を差控える。

 

(参考)

全駐労小倉支部では「モータープールの職場明朗化」をとなえ、去る八月三日、四日の両日に亘り小倉労組独自の四十八時間ストを実施したが、軍側は之に対応し、別紙のとおり小倉綜合補給廠司令官アルホード大佐名により八月四日の午後九時にいたり小倉労管所長を通じて就業禁止命令を発した。

一方組合側においては争議予告どおり同日(四日)の二十四時にスト態勢をといたが軍と組合側の意見は一致せず最終的に妥結をみたのは八月六日の午前七時四十分であつた。

1 別紙の軍命令はストに対応する軍のロツクアウトと解してよろしいか(注、組合側はロツクアウトとみており軍側はロツクアウトでないと言明している。)。

2 若し右の軍命令を組合側が言う如くロツクアウトととれば、中央労働協約第二十七条の二に基く二日前の通知予告義務違反の事実が考えられるがその場合の民事上の責任如何。

3 次に軍側では右軍命令をロツクアウトでないとしているが、その場合、軍側の都合による休業だから労働基準法第二十六条の休業手当を支払うべきと考えられるが如何。

4 現実の状態に於いては軍は飽くまで支払を拒否しておるが若しこの争議がロツクアウトであるとした場合並びに(2)(3)の見解が妥当とした時夫々の場合における軍と政府との責任の所在如何。

(別紙)

K・G・D司令官アルホード大佐より八月四日に発せられた書簡

○○小倉労管所長あて

今次ストの基本となつている組合が主張する十項目については、組合員事務所及び軍との間に満足すべき協定に達していない。本官はここに問題の十項目に関する完全なる協約が出来るまで、現在ストに参加している如何なる従業員の当軍施設への復帰を許す事が出来ないのを通告する。以上の協約は書面によつてなされ、且つ労管所長、組合委員長及び小倉綜合補給廠司令官によつて証明されるべきものである。

貴下が遅滞なく、この決定を県知事及び組合長に通告することを要求する。貴下は更に収入の道を制限された従業員側に於て不必要な辛苦をさけるために以上の協約が出来る限り遅滞なくして完了出来る様貴事務所組合及び当指令部間の交渉の準備をすることを要する。

(昭和28年10月6日 福岡県労働部長発)

【当事者が争議行為であることを否定している行為】

当事者が争議行為でない旨言明していたとしても、その行為が現実に労働関係についての主張を貫徹することを目的とする行為、又は、これに対抗する行為であつてそれが客観的に業務の正常な運営を阻害する行為であれば、労調法第七条にいう争議行為である。従つて軍側がロツク・アウトでない旨を言明したことのみでは、当該行為は、当然に争議行為でなくなるものではない。

(照会)

全駐労小倉支部では「モータープールの職場明朗化」をとなえ、去る八月三日、四日の両日に亘り小倉労組独自の四十八時間ストを実施したが、軍側は之に対応し、別紙のとおり小倉綜合補給廠司令官アルホード大佐名により八月四日の午後九時にいたり小倉労管所長を通じて就業禁止命令を発したがこの軍命令はストに対応する軍のロツクアウトと解してよろしいか(注、組合側はロツクアウトとみており軍側はロツクアウトでないと言明している)(要旨)

(昭和28年10月6日 福岡県労働部長)