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通達:使用者の意義、日雇及び失対労務者に対する不当労働行為、黄犬契約、雇用される労働者

 

使用者の意義、日雇及び失対労務者に対する不当労働行為、黄犬契約、雇用される労働者

昭和25年12月27日職収第2080号

(栃木県知事あて労働省職業安定局長及び労政局長通知)

 

【使用者の意義】

労組法第七条本文にいう「使用者」とは、同法同条第一号については、同条同号に該当するような行為がなかつたならば客観的にみてその労働者との使用関係が成立すべきであると判断せられ得る者をも含む。

(参考)

労組法第七条にいう使用者とは現に使用関係を有するもののみをいうのであるか、又は使用関係をもちうる可能性のあるものも含めて考えるべきであるか。

(昭和25年9月8日 栃木県知事発)

【日雇及び失対労務者に対する不当労働行為】

質問の前段については、従来公共職業安定所の紹介により日々(継続する場合を含む。)雇入れていた日雇労働者に対し、その者が労働組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことの故をもつて、爾後の雇入れを拒否することは労組法第七条第一号の「解雇その他の不利益な取扱」に該当し、不当労働行為となる。この点については、雇用が、一箇月以上継続するか否かに拘わらない。

緊急失業対策法による失業対策事業についても右に関する限り同様である。

前述の行為が労働者の雇用日中において行われるときは勿論、労働者の雇入れのない日において行われても、その労働者が右のような行為がなければ、当然雇入れられるべきであると客観的に判断せられる場合(例えば輪番制で隔日に就労できることが確実である場合)にはやはり解雇その他の「不利益な取扱」に該当し不当労働行為となることに変りはない。

(参考)

一定の日雇労働者群を雇入対象とする事業においてその事業の実施者が日日雇入れる労働者につき、その当日において現実に雇入れていないものをもすべて含む労働者群中特に一ヵ月以上にわたつて断続的に雇用された日雇労働者に対して、その雇入れを拒否することは労組法第七条第一号にいう「解雇」又は「不利益な取扱」に該当するものであるか。

この場合緊急失業対策法による緊急失業対策事業については如何に解すべきか。

なお雇用している当雇用日中において翌日以降将来にわたつて雇入れを拒否することと雇入れのない中間における前述の措置とは右の発生要件について差異がないものと解すべきか。

(昭和25年9月8日 栃木県知事発)

【黄犬契約】

緊急失業対策法による失業対策事業の事業主体は、同法第十一条により公共職業安定所の紹介する失業者が、その者の能力からみて不適当と認められる場合以外は、その者の雇入を拒むことはできないのであるが、事業主体が公共職業安定所に対し、労働組合員でないこと若しくは労働組合に加入せず又は労働組合から脱退することを求人の条件として申し入れても公共職業安定所は職業安定法第三条及び同法施行規則第三条により、その失業者を紹介する際に右のような理由によつて差別的な取扱をすることは禁ぜられている。

また、一般の場合については、求人者が一般公募の際或いは公共職業安定所に対する求人申込の際に労働組合員でないこと若しくは労働組合に加入せず又は労働組合から脱退することを求人の条件として表示することのみをもつては、その求人者は未だ労組法第七条本文にいう使用者ではないから、その行為は直ちに不当労働行為とはならない。しかしながら、公募に応じ、或いは公共職業安定所から紹介をうけて雇用を求めてきた者に対して、その者が労働組合員でないこと若しくは労働組合に加入せず又は労働組合から脱退することを雇用条件とした場合においてはその結果使用関係が成立したとき及びその雇用条件なかりせば、使用関係が成立すべかりしときには、その求人者は労組法第七条本文にいう使用者であるから右行為は不当労働行為となる。

(参考)

労組法第七条第一号本文のうち前段は既に雇用関係の確立した労働者についてなされる行為であると思われるが後段においても雇入れをなすための特定人についてのみなされる行為であると解すべきか。

又一般的に不特定の労働者に対する募集及び公共職業安定所に対する求人申込の採用条件としてかかる条件を示すことも該当するものと解すべきか。

(昭和25年9月8日 栃木県知事発)

【雇用される労働者】

労組法第七条第一号但書における「雇用される労働者」とは特定の工場事業場に現実に雇用されている者のみをいう。

従つて、同法同条同号但書にいうような労働協約(クローズド・シヨツプ又はユニオン・シヨツプ)を締結する場合には、その締結時において当該労働組合がその工場事業場に現実に雇用されている労働者の過半数を代表しているものでなければそのクローズド・シヨツプ又はユニオン・シヨツプの約定によつて労働者を解雇することは不当労働行為となることがある。

(参考)

労組法第七条第一号但書において「雇用される労働者」とあるのは、現実に雇用されていることが必要であつて、失業者や雇用されようとしている者は含まないと解すべきものであるか。

なおこの場合緊急失業対策法に基いて失業対策事業における失業者は継続して雇用されるものでも、そのすべてが、「雇用される労働者」に含まれないと解すべきか。

(昭和25年9月8日 栃木県知事発)