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上部団体の争議指令による労調法第三十七条違反
昭和25年9月2日労収第5466号
(山形県経済部長あて労働省労政局労働法規課長通知)
一 一般に公益事業に従事する労働組合の連合体が、労調法第三十七条に規定する手続により争議行為をなし得るに至つた場合には、その下部組織の労働組合も同一の事項については争議行為をなし得るのであるから、その事項について当該下部組合が争議行為を行うためには別個に労調法第三十七条の手続を経る必要はない。
なお、所謂山猫ストの正当、不当の問題は、労調法第三十七条とは別個に論ずべきものである。
二 もし、当該争議行為が労調法第三十七条違反であると仮定した場合❜❜❜❜❜❜、照会の(2)については組合規約その他具体的な事案に基づいて判断すべきものであるが、一般的には、地区本部の争議行為指令に対して、組合規約又は従来の慣行上分会が分会大会の決議若しくは分会執行部の指令等の分会としての独自の行為なしに地区本部の指令に従つて争議行為を行う場合には、その争議行為につき当該分会は、労調法第三十九条の「違反行為について責任ある❜❜❜❜団体」とはいえないから当該分会執行部員は、労調法第三十九条の処罰範囲には該当しない。
三 照会の(4)については違法なる争議行為を行つたことに対し、使用者が支部長及び分会の執行役員を就業規則違反の理由で解雇することは、労組法第七条第一号の不当労働行為には該当しない。
(参考)
(1) 公益事業に関する単一組織の労組が労調法第三十七条に規定する手続により、争議権を獲得し、その下部機構である地区本部が中央本部の指令なく又は中央本部指令に違反してストに入った即ち所謂「山猫スト」の場合、そのストは労調法第三十七条第一項違反か。換言すれば、単一組合が争議権を獲得しても中央本部の指令なく又は指令に違反して下部機構である地方本部が争議行為を行う場合は地区本部自体が労調法第三十七条の手続きにより争議権を獲得する要があるか。
(2) もし、前号のストが労調法第三十七条違反とすれば処罰範囲は、理論的には地区本部の役員のみならず支部及び分会の役員迄及ぶべきか。(勿論労働委員会の請求を待って論ずべきであるが。)
(3) 中央本部指令に反するその下部機構である地区本部のスト指令を受けた一分会(支部承認)がその指令に基づきストに入つた場合若しそのストが労調法第三十七条違反とするならば、その責任ある団体の中に支部及び分会も入るか。即ち処罰の範囲は理論的には地区本部、支部、分会の役員に及ぶべきか。
(4) 前号の場合、もし、違反ストとするならば、支部長及び分会の執行部が全員スト責任者として就業規則違反の理由で解雇された場合の労組法第七条第一号との関係如何。
(昭和25年8月2日 山形県知事発)