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通達:利益代表者の範囲を定めた労働協約

 

利益代表者の範囲を定めた労働協約

昭和25年7月17日

(○○電工○○工場労組書記長あて労働省労政局労働組合課長通知)

 

(1) 労働組合法第二条第一号にいう「使用者の利益を代表する者」の範囲は、同法第五条及び第二十条の規定によつて、労働委員会のみがこれを有権的に決定する権限を持つのであつて、当事者のこれに対する意見は、労働委員会の決定に対する参考資料たるに止まり、事実上当事者の合意は尊重されるであろうけれども、法律上労働委員会に対しては何等拘束力を有しない。

(2) 従つて、労働委員会により利益代表者の範囲の決定があつたときは、当事者は協約条項の如何に拘らず、これに従わなくてはならない。

(3) 協約条項と労働委員会の決定とが食い違つた場合には、労働委員会の決定に従う旨を労働組合が確約し、立証しなければ、労働組合法及び労働関係調整法上の手続に参与し、救済を受することは出来ないから、労働協約もその範囲において制限を受ける。従つて協約も出来れば早急に労働委員会の決定に従つてその条項を書き改めることが妥当である。

 

(参考)

○○労働組合は昨年十二月法人登記の名目を以て地方労働委員会へ組合法第二条に定められてある組合資格審査の請求をした(当該地方労働委員会は本資格審査の為の組合提出審査書類と共に労使双方を審訊し七月十二日決定書を送附してきた)。然し乍ら労働協約上の問題と地労委の協約に対する権限とはそれぞれ労働組合法に基礎を置く点から見て労働協約に違法性の認められない場合(例えば非組合員が労使同意に依つて明文化された場合)地労委がこの協約の決定に反して組合の資格審査を行つた場合は労働法上如何なる解釈となるか、即ち労使同意に依つて決定した協約に対してもこの協約を無視して法の立場から地労委が資格を審査しても違法行為とはならないか、又労働協約は当然その部分のみ法的効力を失する事になるか。

(昭和25年7月13日 ○○電工○○工場労組書記長発)