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通達:不当労働行為である解雇の効力

 

不当労働行為である解雇の効力

昭和25年6月15日労収第2141号

(長野県知事あて労働省労政局長通知)

 

労組法第七条第一号は、労働者の団結権及び団体交渉その他の団体行動権を保護助成するために、労働者の正当な組合活動に対する使用者の抑圧、阻害行為を禁止するものであつて強行法規であるから、それに違反する解雇は違法行為であつて無効と解する。

改正労組法において旧労組法のとつていた直罰主義を廃して労働委員会による救済命令制度を設けたのは、旧労組法はその第十一条違反に対しては労働委員会の請求によつて使用者を処罰することとし、刑罰の威力によつてかかる行為の発生を防止せんとしたのであるが解雇そのものに対する救済は被解雇者が民事訴訟をもつて解雇無効確認等の裁判を求めなければならず、金銭的時間的余裕をもたない労働者にとつて救済に欠ける所があつたので、それを改め労働委員会の救済命令による敏速な原状回復を図ることにするという専ら政策的考慮に基くものであつて、旧法において無効とせられた不当労働行為の効力を改正法が有効とみとめる趣旨でないことはいうまでもない。従来の裁判例も第七条第一号違反の解雇を無効と解することにおいて一致している。

 

(参考)

一 使用者の不当労働行為に基く労働者解雇の私法上の効力は、旧労組法第三十三条が直罰主義をとつていたこと及び憲法第二十八条の規定からして、これを無効と解していたが、それでよかつたのか。

二 そうだとすれば使用者の不当労働行為に対する直罰主義を排した労組法の下においては、使用者が新労組法第七条第一号の規定に違反してなした労働者解雇の私法上の効力は一応有効であると解しなければならないか。

(昭和25年3月20日 長野県知事発)