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公衆の日常生活に欠くことのできない部分とそうでない部分とを含んでいる場合又は附帯事業を営んでいる場合
昭和24年11月1日労収第8208号
(東京都知事あて労政局長通知)
労調法第八条第一項第一号にいう運輸事業とは、人又は物を甲地から乙地に運ぶという本来の運送、輸送の業務そのものに限らずその社会における経済発展の段階に応じて社会通念上これと不可欠一体をなすものを含めた事業をいうと解すべきである。
不可欠一体をなしているか否かの区別はその事業が形式上本来運輸業務を目的とする企業(バス会社等)の内部で行われているか或は別個の企業となつているかの相違だけでは、にわかに判定し得ないが、今日の段階においては別個の企業として営まれていることは多くの場合不可欠一体をなすものでないと判定される。
照会の事案については、申達の文面のみによつてはB自動車整備会社が社会通念から見て独立の自動車修理事業であるのか、或は乗合旅客運送事業と不可欠一体をなすものと認められるかが、十分明瞭でないので、それが公益事業に入るか否か、にわかに断定し難いから、具体的事案を考慮し、右の基準に基づいて決定されたい。
(参考)
管下某市に一定の路線を定め定期的に乗合自動車を運行して旅客を輸送する事業を営むA自動車株式会社(従業員一一〇)があり、これは明らかに労調法第八条にいう公益事業であるが、この会社の自動車の修理保全を主として(九〇%)業とするB自動車整備株式会社(従業員二六)が公益事業に該当するか否かの問題につき別記(略)の通り調査を遂げた結果、昭和十九年六月迄はB整備はA自動車の附属修理工場であつたがそれ以後は別会社として独立した。しかし現在その株式全部をA自動車の重役によつて占められ、重役もまたA自動車の重役の兼任で実質は子会社である(但し定款には何らA自動車との関係を規定していない。)。又B整備の業務停止が直ちにA自動車の業務を停止せしめるものではないが一日々々影響の度を増していくことは確実である。
以上のような状況にあるB整備を公益事業と認むべきか否か。
(昭和24年9月29日 愛媛県知事発)