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通達:当事者の消滅と協約の効力

 

当事者の消滅と協約の効力

昭和23年10月1日

(長野県知事あて労働省労政局長通知)

 

一 民法第七十三条の適用があり、清算法人は「清算の目的の範囲内においては清算の結了に至るまで存続するものと看做」されるから協約は当然失効とはならない。しかしこの場合其の法人は清算目的の範囲内においてのみ存続するものと看做されるのであつて、協定締結の際と事情は著しく異つているのであるから、農業会の方では、組合に対して事情の著しい変更と理由として協約の全部又は一部に対して解除を要求することができると解すべきである。

イ 民法第三〇六条第三号及び第三一一号第八号の先取特権は退職金については認められない。

ロ 当該会社が株式会社であり、労働協約によつて退職金額が具体的に規定されている場合には商法第二九五条により「会社と使用人との間の雇用関係に基き生じたる債権」として会社の総財産の上に先取特権を認められる。

 

(参考)

一 八月十四日付にて解散になつた農業会において労働協約が締結されており、その協約の効力に関し、農業会解散によつて当然失効となるという見解と、農業会が解散しても民法第七十三条の解散法人の類推適用があるとする見解とがあるが、これに対する見解如何。

二 協約の規定中に退職金規定(具体的に規定されている)があり、その協約の当事者である会社が解散した場合、その協約の規定による債権関係は、一般個人間との債権関係と同一地位にありや、(この場合、労働組合が解散しておらない場合である)又は協約書によつて民法第三〇六条の三号の先取権ありや。

(昭和23年9月16日 長野県知事発)