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通達:労政事務所の行う斡旋について

 

労政事務所の行う斡旋について

昭和23年2月24日労発第96号

(各都道府県知事あて労働省労政局長通知)

 

現下の危機を突破し、経済の復興を図るためには、労働争議の早期平和的解決の極めて必要なことはいうまでもない所であつて、そのためには労働関係の民主的合理的処理のために設けられた専門機関たる労働委員会の積極的機能の昂揚に俟たねばならないのであり労働関係行政庁としては、委員会との連繋を緊密にして争議の解決のため積極的に協力をなす必要がある。殊に労政行政の第一線機関たる労政事務所においては、労働関係当事者との接触を一段密接にして、労働情勢特に、労働争議の早期把握に努めて、労働委員会の機能発揮に遺漏なからしめるよう全面的協力をなすことが必要である。

なお最近労政事務所が、自ら労働争議の斡旋を行つて、相当の成功を収めている例が屡々見受けられるのであるが、公務員たる労政事務所長或は職員が自ら斡旋を行うに際しては特に左記につき充分留意せしむるよう致されたい。

 

一 労働争議は、両当事者が誠意を以て自主的に解決すべきことが、労調法を貫く精神であるから(同法第二条等)、労政事務所長或は所員たるものは、この点に留意し、当事者の自主的解決努力を極力尊重勧奨し、いやしくも干渉にわたるが如きことのないようにする。

二 斡旋は、労働委員会の斡旋員によつて行われるものと(同法第十条乃至第十五条)、同法第十六条に規定してある如く、当事者双方の合意又は労働協約の定めがある場合、右斡旋員以外の者によつて行われるものとがある。しかし後者の方法により労政事務所或いは所員が斡旋を行う場合には特に当事者双方の依頼ある場合に斡旋を行うべきで、苟くも、当事者双方に働きかけ斡旋を自己に依頼するように持ちかけるが如きことがあつてはならないこと。

三 斡旋は当事者双方の主張をきき、自主的に相互の歩み寄りをつける努力に対する協力であるから、前項の趣旨に基き、当事者が自主的に合理的な一致点を見出す如く努力すべきであつて、いやしくも労政事務所が強圧的態度に出ることのないよう留意すべきこと。

四 斡旋については当該事件の性質、経過並びに当事者の意向等に格段の注意を払い絶えず本庁及び労働委員会との連繋を緊密❜❜にすること。

五 事件が複雑にして、自らの斡旋によつては解決し得る見込みがない場合には徒らに事件を混迷に陥し入れないよう適時に手を引き適宜迅速に労働委員会の斡旋乃至調停を受くるよう当事者に勧奨し、事件の解決の機を失することのないよう格段の配慮をなすこと。