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労災保険におけるHIV感染症の取扱いに係る留意点について
平成22年9月9日基労補発0909第1号
(都道府県労働局労働基準部長あて厚生労働省労働基準局労災補償部補償課長通知)
標記について、平成22年9月9日付け基発0909第1号「労災保険におけるHIV感染症の取扱いについて」(以下「局長通達」という。)をもって指示されたところであるが、その留意点は下記のとおりであるので、この取扱いに留意の上、円滑な事務処理をお願いする。
記
1 局長通達の背景
医療従事者に発生した針刺し事故後のHIV感染防止に関しては、平成11年8月30日付け健医疾発第90号、医薬安第105号「針刺し後のHIV感染防止体制の整備について」で示されている「医療事故後のHIV感染防止のための予防服用マニュアル」(2007年7月改訂版。国立国際医療センター病院エイズ治療・研究開発センター。以下「マニュアル」という。)及び「抗HIV治療ガイドライン」(2010年3月。平成21年度厚生労働科学研究費補助事業HIV感染症及びその合併症の課題を克服する研究班。以下「ガイドライン」という。)において、HIVに汚染された血液へのばく露後、可及的速やか(可能であれば2時間以内)に抗HIV薬の投与を開始し、以後4週間程度投与を継続することとされている。
当該投与が針刺し事故に際してHIV感染のリスク軽減を図るための必要な対応として記載されていることにかんがみ、HIV感染の有無が確認されるまでの期間に行われた抗HIV薬の投与を療養の範囲に含めて取り扱うこととしたものである。
2 局長通達の記の「感染の危険に対し有効であると認められる場合」について
(1) 抗HIV薬の投与が認められる期間
マニュアル及びガイドラインによれば、針刺し事故等の受傷後、可及的速やか(可能であれば2時間以内)に投与することを推奨し、4週間程度の服用が有効とされていることから、原則として、受傷後4週間まで投与を認めるものである。
なお、受傷後4週間を超える期間の抗HIV薬の請求がなされた場合には、医学的必要性を確認の上判断すること。
(2) 抗HIV薬の範囲
療養の範囲に含めるのは、原則として、マニュアル及びガイドラインに記載されている抗HIV薬の投与に限るものとする。
なお、具体的な薬剤選択及び投薬量については、マニュアル及びガイドラインの例示を参考に受傷等の程度を踏まえた上で判断すること。
3 その他について
(1) 医療従事者以外の針刺し事故等
マニュアル及びガイドラインは、医療現場における医療従事者に限定したものであるが、HIVに汚染された血液にばく露する可能性のある労働者は医療従事者に限定されるものではないことから、局長通達においては、「医療従事者等」としているものである。
したがって、感染性廃棄物を取り扱う労働者がHIVに汚染された血液等により受傷した場合においても、局長通達は適用されるものである。
(2) 医療機関への積極的な周知
局長通達による取扱いは、(社)日本医師会にも周知しているところであるが、都道府県労働局においても、都道府県医師会、郡市区医師会、その他医療関係者等へ積極的に周知すること。