img1 img1 img1

◆トップページに移動 │ ★目次のページに移動 │ ※文字列検索は Ctrl+Fキー  

通達:「障害者の態様に応じた多様な委託訓練実施要領」の改正について

 

「障害者の態様に応じた多様な委託訓練実施要領」の改正について

平成23年3月30日能発0330第07号

(各都道府県知事あて厚生労働省職業能力開発局長通知)

 

障害者の職業能力開発施策の推進については、日頃からご配慮をいただき感謝申し上げます。

さて、障害者の態様に応じた多様な委託訓練(以下、「障害者委託訓練」という。)は、障害者の就労支援施策の一つとして、全都道府県において実施してきたところですが、今般、障害者委託訓練の知識・技能習得コースに新たに職業意識の啓発や就職に要する職業能力の付与等を行う座学訓練と企業における実習を組み合わせた、障害者向けの日本版デュアルシステムを導入することとしています。

このため、「障害者の態様に応じた多様な委託訓練実施要領(平成22年3月31日付け能発0331第17号)」を改正し、別添1により行うこととしましたので、その円滑な実施について特段のご配慮をお願いします。

 

別添1

障害者の態様に応じた多様な委託訓練実施要領

平成22年3月31日能発0331第17号

最終改正:平成23年3月30日

1 目的

企業、社会福祉法人、特定非営利活動法人、民間教育訓練機関等地域の多様な委託先を活用し、障害者の能力、適性及び地域の障害者雇用ニーズに対応した職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号)第15条の6第3項に規定する委託訓練(以下「障害者委託訓練」という。)を機動的に実施し、就職又は雇用の継続に必要な知識・技能の習得を図ることにより、障害者の就職の促進又は雇用の継続に資する。

2 実施主体(委託元)

各都道府県に所在する国立・都道府県営の障害者職業能力開発校並びに都道府県が設置する職業能力開発校及び障害者職業能力開発校(以下「能力開発校」という。)とする。

なお、都道府県においては、上記能力開発校の中から障害者委託訓練実施拠点校(以下「拠点校」という。)を定め、障害者委託訓練の円滑な実施を図るものとする。

ただし、障害者委託訓練の契約締結については、能力開発校の長に限定するものではなく、都道府県の会計規則等に従い、都道府県知事(以下「知事」という。)が行うことも可能である。

3 訓練対象者

障害者委託訓練の受講対象者は、次のいずれにも該当する障害者とする。

(1) 障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35年法律第123号。以下「障害者雇用促進法」という。)第2条第1号に規定する障害者であって、公共職業安定所に求職申込を行っている者(ただし、中途障害等により休職中の者(以下「休職障害者」という。)及び雇用契約に基づき企業等に現に在職している障害者(以下「在職障害者」という。)については、公共職業安定所に求職申込みを行うことを必ずしも要しない。)

(2) 公共職業安定所長による公共職業訓練受講の受講指示又は受講推薦(以下「受講あっせん」という。)を受けた者(ただし、訓練期間が2月以下の障害者委託訓練(特別支援学校早期訓練コースを除く。)を受講する場合、受講あっせんにより職業訓練を受講した者が当該職業訓練受講修了後1年以内に就職の促進のために障害者委託訓練を受講する場合並びに休職障害者及び在職障害者が障害者委託訓練を受講する場合については、公共職業安定所長の受講あっせんを必ずしも要しない。)

4 訓練職種

訓練職種は、障害者の態様及び地域の障害者雇用ニーズを勘案し、委託訓練を受講して就職の促進又は雇用の継続が図られると認められる職種を選定するものとする。

5 委託先機関

障害者委託訓練は、個々の障害者の状況及び個々の企業の人材ニーズ等に応じた多様な内容で実施するため、その委託先機関については、企業、社会福祉法人、特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号)第2条第2項に規定する特定非営利活動法人(以下「NPO法人」という。)、民間教育訓練機関等地域におけるあらゆる民間資源を最大限に活用するものとする。

6 訓練コース

障害者委託訓練は、職業能力開発促進法施行規則(昭和44年労働省令第24号)第9条に規定する短期課程の普通職業訓練(e―ラーニングにより行う訓練を含み、その他の通信の方法によって行う訓練を除く。)として、求職者である障害者個々の職業能力開発目標を明確にした上で、その目標を達成するために、次の(1)から(4)のうち、最も効果的な訓練コースにより実施し、在職障害者に対しては(5)の在職者訓練コースのみにより実施するものとする。

なお、障害者委託訓練受講後に、委託元の能力開発校において障害者本人の希望、能力等を評価し、再度訓練を実施することが最も適当であると考えられる場合にあっては、評価を踏まえた訓練の目標を明確にした上で障害者委託訓練の訓練コースを複数回受講することができるものとする。但し、在職者訓練コースについては、同コースを受講した場合であって、修了後1年を経過していない場合、同コースに係る同一科目及び内容の訓練を受講することはできないものとする。

(1) 知識・技能習得訓練コース

専門学校、各種学校等の民間教育訓練機関、障害者に対する支援実績のある社会福祉法人等、障害者を支援する目的で設立されたNPO法人等を委託先として、障害者の就職の促進に資する知識・技能の習得を目的として実施する知識・技能習得訓練コースは次により実施するものとする。

イ 訓練期間は、原則として3月以内とする。訓練時間は、月当たり100時間を標準に、下限の時間を80時間として、訓練受講生の障害の程度及び訓練職種に応じて定めるものとする。その際、1単位時間を45分以上60分未満とする場合にあっては、当該1単位時間を1時間と見なすものとする。

ロ 精神障害者等、その障害特性により、短時間の訓練から始めて訓練時間を段階的に延長することが効果的である障害者については、総訓練時間300時間・訓練期間6月以内で弾力化前の訓練期間を2倍まで延長し弾力化して実施することも可能とする。訓練期間を弾力化した場合は、訓練時間について月当たりの下限は設けず、総訓練時間の下限は、弾力化する前の訓練月数に80を乗じた時間数とする。

ハ 民間教育訓練機関、社会福祉法人、NPO法人等における訓練で習得した知識・技能の応用、定着を図ることを目的として、イ及びロによる訓練期間内に、職場実習を実施することも可能とする。

この場合、職場実習先企業は知識・技能習得訓練コースを受託する法人等が開拓するものとする。

ニ 民間教育訓練機関、社会福祉法人、NPO法人等における集合訓練だけでは直ちに就職することが困難と見込まれる対象者については、当該法人等における訓練で習得した知識・技能の応用、定着を図ることを目的として、当該訓練の後に1月以上の職場実習を組み合わせた知識・技能習得訓練コースを通算6月以内で実施することも可能とする。

この場合、職場実習先企業は知識・技能習得訓練コースを受託する法人等が開拓する。また当該組み合わせ訓練は、あらかじめ職場実習を組み合わせた期間を設定した上で行うことが望ましいが、これにより難い場合には、訓練受講中に訓練期間等を変更することにより対応することも可能とする。

ホ 就業経験がない等の理由により直ちに就職することが困難と見込まれる対象者については、集合訓練前に行う概ね4日間の基礎的な職業能力を付与することを目的とした講座(以下「職業能力講座」という。)から、集合訓練後の受託法人等における訓練で習得した知識・技能の応用、定着を図るための1月以上3月以内の職場実習までを一体的に行う障害者向け日本版デュアルシステムによる知識・技能習得訓練コースを通算6月以内で実施することも可能とする。

この場合、職業能力講座は、知識・技能習得訓練コースを受託する法人等自らが行うとともに職場実習先企業は当該受託法人等が開拓する。当該訓練は職業能力講座、集合訓練及び職場実習を一体的に行うことにより一層の効果が期待されるため、原則としてあらかじめ職場実習を組み合わせた期間を設定した上で行うこと。

なお、精神障害等、その障害特性により短時間の訓練から始めて段階的に訓練時間を延長することが効果的である障害者については、上記ロの範囲内で弾力化した訓練の実施を可能とする。

ヘ 上記ハ、ニ、ホの職場実習部分は、知識・技能習得訓練コースを受託した法人等が企業に再委託して実施することを原則とし、ホの職業能力講座は、受託法人等が実施する。なお、職場実習部分が月の過半数を占める場合においては、当該月に係る下限の時間は、下記6(2)の規定を適用する。

(2) 実践能力習得訓練コース

企業等を委託先として、事業所現場を活用して障害者の実践的な職業能力の開発・向上を目的として実施する実践能力習得訓練コースは、次により実施するものとする。

イ 訓練期間は、原則として3月以内とする。訓練時間は、月当たり100時間を標準とし、下限の時間を60時間とする。

ロ 精神障害者等、その障害特性により、短時間の訓練から始めて訓練時間を段階的に延長することが効果的である障害者については、総訓練時間300時間・訓練期間6月以内で弾力化前の訓練期間を2倍まで延長し弾力化して実施することも可能とする。訓練期間を弾力化した場合は、訓練時間について、月当たりの下限は設けず、総訓練時間の下限は、弾力化する前の訓練月数に60を乗じた時間数とする。

ハ 訓練は指導担当者を配置して実施する。

ニ 訓練内容は、当該事業所における事業資源を有効活用し、事業主等が実際に実施している業務に関する作業実習(事業所内での座学等を含む。)を中心に、実践的な職業能力の習得を図り、訓練受講生ごとに定めた訓練目標を達成するものとする。

(3) e―ラーニングコース

e―ラーニングコースは、インターネットを利用して、教材の配信、受講状況の管理、技能習得指導等を行うe―ラーニングのノウハウがある在宅就業支援団体(障害者雇用促進法第74条の2に定める法人。以下同じ。)等の機関を委託先とし、障害者の雇用・就業の促進に資するIT技能等の習得を図ることを目的として、次により実施するものとする。

イ 訓練期間は、原則として3月以上とし、上限は6月とする。訓練時間(訓練受講生の自習を含んだ時間)は、月当たり100時間を標準に、下限の時間を80時間として、訓練受講生の障害の程度及び訓練内容に応じて定めるものとする。その際、1単位時間を45分以上60分未満とする場合にあっては、当該1単位時間を1時間と見なすものとする。

ロ 訓練の対象者は、職業能力開発施設への通所が困難な障害者等であって、自宅に必要な情報通信環境を有しているとともにパソコンの基本操作及びe―メールでの通信方法を習得しており、e―ラーニングでの受講が可能な状態にある者とする。

ハ e―ラーニングコースを受託した機関は、訓練受講生のカリキュラム進捗状況、理解度を一定期間ごとに把握し、その後の効果的な訓練の実施を図るものとする。

(4) 特別支援学校早期訓練コース

上記3の訓練対象者のうち、特別支援学校高等部等に在籍する生徒に対して、就職に向けた職業能力の開発・向上を目的として実施する特別支援学校早期訓練コースは、次により実施するものとする。

イ 訓練対象者は、特別支援学校高等部等に在籍する生徒のうち、10月時点で就職先が内定しておらず、翌年3月に卒業予定の就職希望者で、受講推薦により受講するものとする。

ロ 訓練期間は、原則として3ヶ月以内とする。訓練時間は、月当たり100時間を標準とし、下限の時間を60時間とする。

ハ 短時間の訓練を継続的に実施することが効果的である障害者については、総訓練時間300時間・訓練期間6月以内で弾力化前の訓練期間を2倍まで延長し弾力化して実施することも可能とする。訓練期間を弾力化した場合は、訓練時間について、月当たりの下限は設けず、総訓練時間の下限は、弾力化する前の訓練月数に60を乗じた時間数とする。

ニ 訓練は指導担当者を配置して実施する。

ホ 訓練内容は、原則として職場実習を組み合わせた知識・技能習得訓練コース(職場実習部分が訓練期間の過半を占めるものに限る)又は実践能力習得訓練コースのいずれかに準じたものとする。

(5) 在職者訓練コース

在職障害者に対して、雇用継続に資する知識・技能を付与するための在職者訓練コースは、次により実施するものとする。

イ 訓練期間は、原則として3月以内とし、訓練時間は下限12時間、上限160時間とし、訓練受講生の障害の程度及び訓練職種に応じて定めるものとする。

ロ 訓練の設定は、以下①から③の3コースとする。なお、訓練受講対象者である障害者を雇用する企業は、自ら、当該受講者を対象とした在職者訓練コースを設定することはできないものとする。

① 在職者訓練コース〈知識・技能習得〉

専修学校、各種学校等の民間教育訓練機関、障害者に対する支援実績のある社会福祉法人等、障害者を支援する目的で設立されたNPO法人等を委託先として、知識・技能の習得を目的として、座学型で実施する。

② 在職者訓練コース〈指導員派遣〉

在職障害者が現に勤務する企業等に、委託訓練を受託した民間教育訓練機関、社会福祉法人、NPO法人等の専門家等が赴き、企業の現場に即応した訓練を実施する。

③ 在職者訓練コース〈e―ラーニング〉

インターネットを利用して、教材の配信、受講状況の管理、技能習得指導等を行うe―ラーニングのノウハウがある在宅就業支援団体(障害者雇用促進法第74条の2に定める法人)等の機関を委託先とし、IT技能等の習得を図る。

なお、在職者訓練コース〈e―ラーニング〉の受講者については、職業能力開発施設への通所が困難な障害者等であって、在宅勤務をしており、自宅に必要な情報通信環境を有しているとともに、パソコンの基本操作及びe―ラーニングでの受講が可能な状態にある者とする。

また、e―ラーニングコースを受託した機関は、訓練受講生のカリキュラム進捗状況、理解度を一定期間ごとに把握し、その後の効果的な訓練の実施を図るものとする。

ハ 在職者訓練コース〈知識・技能習得〉及び在職者訓練コース〈e―ラーニング〉については、1単位時間45分以上60分未満とする場合にあっては、当該1単位時間を1時間と見なす。

(6) 留意事項

イ 知識・技能習得訓練コースにおける職場実習及び実践能力習得訓練コースについては、事業所現場を活用して実施するものであることから、訓練に関係のない作業に従事させないこと及び安全、衛生、その他の作業条件について、労働基準法及び安全衛生法の規定に準ずる取扱を行うことに留意する。

ロ 知識・技能習得訓練コースにおける職場実習先での指導については、知識・技能習得訓練コースを受託した法人等が支援するものとする。

ハ e―ラーニングコース及び在職者訓練コース〈e―ラーニング〉を受託した機関においては、適切な方法により訓練受講生の個人認証(本人確認)を行うとともに、添削指導及びスクーリング又は訪問指導等による面接指導を行うものとする。

ニ e―ラーニングコースを受託した機関は、訓練修了生の雇用・就業機会の確保に努めるものとする。

7 訓練人員

委託訓練を行う一単位の訓練受講生数は、訓練コースごとに、委託先機関の受託能力及び訓練効果が認められる人数で設定する。

8 委託料

(1) 委託料の額

障害者委託訓練を受託した機関に支払う委託料は、訓練受講生1人につき次のとおりとする。

イ 知識・技能習得訓練コース

原則、訓練受講生1人当たり月額6万円(外税。以下同じ。)を上限として、委託契約書に定めた額とする。この額を超えて設定しようとする場合は、厚生労働省への事前協議を必要とする。

知識・技能習得訓練コースの一環として行う障害者向け日本版デュアルシステムによる訓練を行う場合は、職業能力講座については訓練受講生1人当たり日額2,000円を上乗せし、8千円を上限とする。職場実習については訓練受講生1人当たり月額9万円を上限とする。

なお、6(1)ヘによる契約により、知識・技能習得訓練コースの一環として職場実習を行う場合は、知識・技能習得訓練コース受託機関は、委託料のうちから当該職場実習に係る経費を職場実習先企業に対して支払うことができるものとする。

また、6(1)ロの訓練期間を弾力化した場合の委託料については、当該訓練期間について訓練受講生1人当たり18万円を上限とし、弾力化する前の訓練月数により設定する。

ただし、障害者向け日本版デュアルシステムによる訓練の場合は、集合訓練について訓練受講生1人当たり18万8千円、職場実習について訓練受講生1人当たり27万円を上限とし、弾力化する前の訓練月数により設定する。

ロ 実践能力習得訓練コース

訓練受講生1人当たり月額6万円を上限とする。

なお、6(2)ロの訓練期間を弾力化した場合の委託料については、当該訓練期間について訓練受講生1人当たり18万円を上限とし、弾力化する前の訓練月数により設定する。

ハ e―ラーニングコース

訓練受講生1人当たり月額6万円を上限として、委託契約書に定めた額とする。この額を超えて設定しようとする場合は、厚生労働省への事前協議を必要とする。

なお、e―ラーニングコースを受託した機関が6(4)の面接指導として、スクーリング又は訪問指導等を他の機関(e―ラーニングコース委託先機関が在宅就業支援団体でない場合は、在宅就業支援団体又は他の障害者の在宅就業を支援する団体をいう。以下同じ。)と共同又は他の機関(以下「面接指導共同実施機関等」という。)に再委託して実施する場合は、委託料のうちから当該面接指導に係る経費を面接共同実施機関等に対して支払うことができるものとする。

ニ 特別支援学校早期訓練コース

訓練内容に応じて、上記イ又はロの取扱いに準じるものとする。

ホ 在職者訓練コース

訓練受講生1人当たり、訓練時間数に応じた単価を以下のとおりとし、委託契約書に定めた額とする。なお、この額を超えて設定する場合には、厚生労働省への事前協議を必要とする。

12時間以上20時間まで 20,000円

20時間を超えて40時間まで 40,000円

40時間を超えて60時間まで 60,000円

60時間を超えて80時間まで 80,000円

80時間を超えて120時間まで 120,000円

120時間を超えて160時間まで 160,000円

また、在職者訓練コース〈e―ラーニング〉を受託した機関が面接指導を行い、スクーリング又は訪問指導等を他の機関に再委託して実施する場合は、委託料のうちから当該面接指導に係る経費を面接指導共同実施機関等に対して支払うことができるものとする。

(2) 委託料の支払い

委託料については、委託先機関の請求により、訓練の行われた期間又は時間について、訓練修了後に支払いを行う。

(3) 委託料の減額

訓練受講生が中途退所等により委託契約書で定めた期日前に訓練を終了した場合の委託料の算定は、次によるものとする(在職者訓練コースを除く。)。なお、在職者訓練コースについては、実施した訓練時間に応じた委託料とし、訓練時間が12時間に満たない場合には、1時間当たり1,000円とし、訓練を行った時間を乗じることによって算出された額により委託料を支払うこととする。

イ 中途退所までに実施した訓練時間数が、総訓練時間数に対して8割以上である場合は、減額は行わない。

ロ 中途退所までに実施した訓練時間数が、総訓練時間数に対して8割に満たない場合は、1人当たりの委託契約額を総訓練日数(計画日数)で除して委託日額(円未満切り捨て)を算定し、訓練開始日から中途退所日までに訓練を行った日数(遅刻、早退等があった日も含む。)を乗じることによって算出された額により委託料を支払うこととする。

ハ 障害者向け日本版デュアルシステムによる訓練の上記イ及びロについては、職業能力講座、集合訓練、職場実習ごとに算定する。

(4) 委託料の返還

委託先機関が委託契約の内容又は委託契約に付した条件に違反した場合には、委託元となる能力開発校の校長は、当該委託先機関に対し、すでに支払った委託料の額の全額又は一部を返還させるものとすること。

9 障害者職業訓練コーディネーター等

障害者委託訓練を迅速かつ効果的に実施するため、次の(1)の業務を行う障害者職業訓練コーディネーターを都道府県(原則として拠点校)に配置する。

(1) 障害者職業訓練コーディネーターの職務

イ 個々の障害者の状況の把握。そのための医療、保健、福祉機関等と連携した情報収集及び公共職業安定所との連絡調整

ロ 地域の障害者雇用ニーズ及び個々の企業が求める技能レベル等の特定。そのための公共職業安定所との連絡調整

ハ イ、ロを勘案した個々の障害者に最も効果的な委託先の開拓及び委託訓練カリキュラムのコーディネイト

ニ コーディネイトした委託訓練の進捗状況の評価・管理

ホ 公共職業安定所との連絡調整、その他の地域の関係機関との連携及び連絡調整

(2) 障害者職業訓練コーディネーターの選任

都道府県は、障害者の職業自立に関する支援の経験者であるとともに、地域の障害者、企業、その他障害者の職業自立を支援する関係機関の状況に精通しており、関係機関との緊密な連携が可能な人材を障害者職業訓練コーディネーターに選任する。

(3) 障害者職業訓練コーディネーターの職務の外部委託

都道府県は、9(1)イからハの業務のうち、委託先となる企業の開拓に係る業務については、障害者の就労支援に係るノウハウを有する社会福祉法人等(以下「障害者支援機関」という。)に委託することができる。

(4) 学卒障害者能力開発アドバイザーの配置

6(4)の特別支援学校早期訓練コースの実施に当たり、特別支援学校高等部等の生徒に対する職業訓練を迅速かつ効果的に実施するため、障害者職業訓練コーディネーター、公共職業安定所、教育委員会、特別支援学校高等部等の担任、進路指導担当教員(進路指導主事等)等と連携し、次の業務を行う学卒障害者能力開発アドバイザーを都道府県(原則として拠点校)に配置する。

イ 特別支援学校高等部等の生徒の就職希望、職場実習実施状況及び就職内定に至らなかった者の職業能力開発上の課題の把握

ロ 地域の障害者雇用ニーズ及び個々の企業が求める技能レベル等の特定。そのための公共職業安定所との連絡調整

ハ 職業訓練の受講により就職が見込める者の選定

ニ イ、ロを勘案した個々の生徒に最も効果的な職業訓練実施企業等の開拓及び職業訓練のコーディネイト

ホ 受講予定者の個々の態様に応じた委託訓練カリキュラム作成

ヘ 職業訓練の進捗状況の評価・管理及び修了後のフォローアップ

ト その他関係機関との連絡調整等事業の実施に伴う必要な事項

(5) 障害者職業訓練トレーナーの配置

企業等の現場を活用した委託訓練を推進するため、イからへまでの業務を行う障害者職業訓練トレーナーを都道府県(原則として拠点校)に配置する。

イ 企業現場等を活用した訓練の受講を希望する障害者の障害状況、就職希望等の把握

ロ 個々の障害者の特性や企業ニーズを踏まえた職業訓練カリキュラムの作成

ハ 実践的な職業訓練が可能な企業、社会福祉法人等委託先の開拓

ニ 受託企業に対する訓練実施に当たってのきめ細やかなアドバイス

ホ 訓練期間中の受講生に対する通所等生活支援

ヘ 職業訓練修了者に対する就職支援

10 委託契約の締結

(1) 能力開発校の長又は知事は、障害者委託訓練を委託する場合には、別紙1―1(知識・技能習得訓練コース用)、別紙1―2(実践能力習得訓練コース用)、別紙1―3(e―ラーニングコース用)、別紙1―4―1(特別支援学校早期訓練コース<知識・技能習得>用)、別紙1―4―2(特別支援学校早期訓練コース<実践能力習得>用)、別紙1―5―1(在職者訓練コース〈知識・技能習得〉用)、別紙1―5―2(在職者訓練コース〈指導員派遣〉用)、別紙1―5―3(在職者訓練コース〈e―ラーニング〉用)により、契約を締結するものとする。

また、知事が9(3)により訓練受託企業の開拓に係る業務を障害者支援機関に委託する場合には、別紙1―6(障害者支援機関用)により、契約を締結するものとする。

(2) 障害者委託訓練受託機関は、障害者委託訓練の実施及び実施に伴う次の業務を行う。

イ 訓練受講者の出欠席(e―ラーニングコース・在職者訓練コース〈e―ラーニング〉においては訓練受講生の本人確認及び受講状況)の管理及び指導

ロ 訓練実施状況の把握

ハ 訓練受講者の能力習得状況の把握及び報告

ニ 災害発生時の連絡

ホ 訓練受講者の中途退校に係る事務処理

ヘ その他訓練の実施に伴う必要な事項(e―ラーニングコース・在職者訓練コース〈e―ラーニング〉においては、訓練受講希望者の募集及び在宅就業支援団体等との提携・面接指導の共同実施を含む)

なお、障害者委託訓練は、当該訓練について適切な指導が可能と認められる者に指導を担当させて実施するものであること。

(3) 9(3)により訓練受託企業の開拓に係る業務を委託する場合において、障害者支援機関は、次の業務を行う。

イ 企業等への訪問による障害者委託訓練ニーズの把握・掘り起こし

ロ 訓練受託企業等に対する訓練実施状況のフォローアップ

ハ 障害者委託訓練受託に係る企業向け説明会の実施

ニ 訓練ニーズの需給に配慮した障害者の状況把握のための福祉施設等の訪問

ホ その他訓練受託企業の開拓に係る必要な事項

(4) 委託契約は、次のいずれかに該当するときは変更又は解除することができる。

イ 委託先機関が特別の事情により、委託元の能力開発校の長又は知事に対し、委託契約の変更又は解除の協議をし、同意を得たとき。

ロ 次のいずれかに該当すると委託元の能力開発校の長又は知事が認めたとき。

① 委託契約締結後の事情の変更により、契約書に定める業務を実施できなくなった場合

② 委託先機関が、委託契約の内容又はこれに付した条件に違反した場合

ハ 知事が障害者支援機関に訓練受託企業の開拓に係る業務を委託する場合においては、「委託先機関」を「障害者支援機関」に読み替えて、上記イ及びロの規定を準用する。

(5) 知事が契約を締結する場合は、訓練実施に直接的に関連する業務(委託先機関に対する監督・指導等)については、能力開発校の長が行う旨を契約書に記載するものとする。

11 適切な障害者委託訓練実施計画の策定と関係機関との連携等

各都道府県の職業能力開発主管課においては、障害者職業訓練コーディネーターが十分機能し、機動的に障害者委託訓練が実施されるよう、都道府県関係部局をはじめ、都道府県労働局職業安定部、公共職業安定所、委託元校及び地域におけるその他の関係機関との緊密な連携を図るとともに、障害者委託訓練実施計画の策定、進行管理を行う。

12 障害者委託訓練受講者に係る支援等

委託元の能力開発校は、障害者委託訓練が円滑に運営されるよう受託機関に対して支援を行うとともに、当該訓練生に対する指導・援助及び訓練修了後の就職支援に十分配慮するものとする。

13 労働者災害補償保険の特別加入

知識・技能習得訓練コースにおける職場実習及び実践能力習得訓練コースについては、労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)第33条に定める労働者災害補償保険(以下「労災保険」という。)の特別加入の対象者とし、その取扱いは、「委託訓練実施要領」(平成13年12月3日付け能発第519号別添)に準じるものとする。

14 訓練受講中の事故発生に備えた保険の取扱い

知識・技能習得訓練コースにおける職場実習及び実践能力習得訓練コースについては、実際の企業現場で訓練を実施することから、訓練中の事故等により訓練受講生が負傷し、あるいは企業の設備や顧客に損害を与える事態に備え、訓練受講生に対して、自身の死亡、負傷、他人に対する損害賠償責任に対する民間保険への加入を勧奨することとする。

15 実施見込み計画数及び実績報告

(1) 実施見込み計画数

障害者委託訓練は、年度当初に有効求職障害者数等及び各都道府県の希望を勘案し、都道府県ごとの実施計画見込み数の調整を行った上で、都道府県に対し、「職業能力開発支援事業委託費(一般会計)」及び「障害者職業能力開発支援事業委託費(労働保険特別会計雇用勘定)」により委託する。

また都道府県においては、「職業転換訓練費交付金(一般会計)」及び「離職者等職業訓練費交付金(労働保険特別会計雇用勘定)」として交付された中から、障害者委託訓練を円滑に実施するための経費を支出することができる。

なお、各都道府県の実施計画数の枠については、四半期経過ごとの実績と今後の見込みに基づき、必要に応じて見直しを行う。

(2) 実績報告

イ 都道府県は、別紙2に定める様式により、

① 各月開始者ごとの障害者委託訓練の実施状況を翌月25日までに、

② 年度計の実施状況については翌年度の7月10日までに、

厚生労働省職業能力開発局能力開発課に報告するものとする。

なお、就職者数及び就業者数については、各月の報告においては、その時点で把握している限りにおいて、記載することとして差し支えないが、各四半期ごとの時点においては、当該四半期までの最新の帰趨状況を把握の上、記載すること。

ロ 委託元能力開発校は、訓練開始者数、訓練修了者等及び訓練受講後1月以内及び3月以内の就職・就業状況を把握し、都道府県に報告するものとする。なお、3月以降の就職・就業状況についても把握できたものについては適宜報告すること。

ハ 都道府県は、別紙3に定める様式により、翌年度の7月10日までに厚生労働省職業能力開発局能力開発課に報告すること。

ニ 6(4)の特別支援学校早期訓練コースを実施した場合は、別紙4に定める様式により、翌年度の7月10日までに厚生労働省職業能力開発局能力開発課に報告するものとする。

ホ 6(5)の在職者訓練コースを実施した場合には、別紙5に定める様式により、

① 四半期ごとの在職者訓練コースの実施状況を各四半期毎の翌月25日までに、

② 年度計の実施状況については翌年度の7月10日までに、

厚生労働省職業能力開発局能力開発課に報告するものとする。

なお、雇用継続者数については、各四半期までの最新の状況を把握の上、記載すること。また、委託元能力開発校は、訓練修了後1ヶ月時点の雇用継続状況を把握し、都道府県に報告するものとする。

へ 障害者福祉計画における障害者委託訓練の目標値に係る進捗状況を別紙6に定める様式により、四半期毎の翌月25日までに厚生労働省職業能力開発局能力開発課に報告するものとする。

ト 9(3)により訓練受託企業の開拓を障害者支援機関に委託する場合は、別紙7に定める様式により、翌年度の7月10日までに厚生労働省職業能力開発局能力開発課に報告するものとする。

16 安全衛生

障害者委託訓練を実施するに当たり、訓練期間中における訓練受講生の安全衛生については十分配慮するものとする。

17 その他

事業の委託等に係る諸手続及び交付対象経費、基準額等については、「障害者の態様に応じた多様な委託訓練事業実施委託要領」に定めるところによる。

附 則

本要領は、平成23年4月1日から適用する。

 

別紙(略)