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緊急人材育成支援事業実施要領
平成21年6月8日職発第0608002号・能発第0608020号
(各都道府県知事あて厚生労働省職業安定局長・厚生労働省職業能力開発局長通知)
最終改正 平成23年 2月 3日職発0203第 6号、能発0203第 2号
緊急人材育成・就職支援基金事業として実施する緊急人材育成支援事業に係る業務の実施については、「緊急人材育成・就職支援基金事業の実施について」(平成21年6月5日付け厚生労働省能発第0605002号)によるほか、以下のとおりとする。
1 基金による職業訓練の実施
(1) 目的
深刻な経済危機の中で、製造業を中心とした雇用調整により離職を余儀なくされた非正規労働者等については、今後も悪化が予想される雇用失業情勢の影響を受け、失業期間が長期化していくことが懸念されるところである。
雇用保険を受給できない者(求職者給付の受給資格がない者又は受給が終了した者、自営廃業者等)については、職業訓練機会を拡充するため、専修学校、教育訓練企業等の民間教育訓練機関をはじめ、大学・短期大学、事業主、職業訓練法人、NPO法人等(以下「教育訓練機関等」という。)の、人材育成に関わる、幅広い社会資源を最大限に活用することが重要となっている。
このため、基金による職業訓練(以下「基金訓練」という。)の実施の仕組みについて以下のとおり定め、公共職業安定所(以下「安定所」という。)が中心となって総合的に推進する職業訓練、再就職、生活への支援の円滑な実施に資するものとする。
(2) 基金訓練の実施機関
基金訓練の実施機関(以下単に「実施機関」という。)は、専修学校、各種学校、教育訓練企業等の民間教育訓練機関、大学・短期大学、事業主、職業訓練法人、NPO法人、社会福祉法人、認定職業訓練施設、農林水産業等の団体、事業主団体等、遍く基金訓練に相応しい教育訓練資源を有する機関とし、中央職業能力開発協会(以下「協会」という。)は、これらの機関に対して基金訓練の実施を勧奨し、訓練コースの設定・コーディネート、訓練計画の認定、訓練の的確な実施等について必要な援助を行うものとする。
(3) 訓練対象者
基金訓練の受講者は、訓練開始予定の日において、次のいずれにも該当する者とする。
① 安定所に求職申込みを行っている者
② 現在有する技能、知識、職業経験等と労働市場の状況から判断して基金訓練を受講することが適切であると判断され、キャリア・コンサルティングを経て公共職業安定所長(以下「安定所長」という。)による受講勧奨を受けた者
③ 訓練を受けるために必要な能力等を有する者
④ 公共職業訓練の受講修了後1年未満でない者
⑤ 従前に受講した基金訓練又は公共職業訓練(本通達施行後に受講を修了したものに限る。)の期間と、新たに受講しようとする基金訓練の期間が合計して24か月を超えない者
(4) 基金訓練の種類
基金訓練として、以下の訓練を実施する。
ア 職業横断的スキル習得訓練コース(3か月程度)
文書作成、表計算・図表作成、プレゼンテーション制作等の職業横断的な情報技術等(以下「ITスキル等」という。)が不十分な者を対象に訓練を実施する。
イ 新規成長・雇用吸収分野等訓練コース
医療、介護・福祉、情報技術(以下「IT」という。)、電気設備、農林水産業等の新規成長分野又は雇用吸収の見込める分野、その他地域の人材ニーズがある分野で求められる基本能力習得のために、以下の構成による訓練を実施する。
(ア) 基礎演習コース(3~6か月程度)
若年者等に配慮し、演習・実習を中心に多様なカリキュラム編成とする。
就職に必要な基礎力の養成と、主要な業界、業種に係る短期間の体験等の提供等を内容とし、実践的演習に向けたレディネス(職業準備性)の付与及び具体的な職業選択へ向けた動機付けを支援することを目的として実施する。
(イ) 実践演習コース(3~6か月程度)
新規成長分野、雇用吸収分野等における職種について、座学形式、座学と企業実習等を組み合わせたデュアル形式、事業所における実習形式等により、より実践的な能力を習得することを目的として実施する。
ウ 社会的事業者等訓練コース
2(4)に示す社会的事業者等において、以下のいずれかに該当する訓練を実施する。
(ア) ワークショップ型訓練(3か月~1年程度)
ワークショップ型訓練(合宿型訓練(以下「合宿型若者自立プログラム」という。)は3~6か月程度、それ以外は6か月~1年程度)は、社会的事業等の事業内容に関わる職場を模した作業環境等でのワークショップ(ロールプレイ、職務のエッセンスを抽出した作業訓練、課題発見学習等)、基礎知識習得のための座学等を効果的・弾力的に組み合わせた教育プログラムにより、社会的事業等や関連分野の企業等への就職に当たり求められる職場環境・作業への適応、働く自信の回復、基礎的な技能の習得等を目的として実施する。
このうち、合宿型若者自立プログラム(3~6か月程度)は、様々な要因により、相当期間、教育訓練を受けず、就労することもできない若者に対して、合宿形式による集団生活の中での生活訓練、労働体験、社会的事業等分野の業務についてのOJT等を組み合わせた教育プログラムにより、社会人、職業人として必要な基本能力の習得、勤労観の醸成を図るとともに、働くことについての自信と意欲を付与することにより、就労に導くことを目的として、平成22年度末まで実施する。
(イ) OJT型訓練(6か月~1年程度)
社会的事業等分野の経営、事業遂行への参画に係るOJT(日常の業務に就きながら行われる訓練をいう。以下同じ。ここでは、社会的事業等経営者のいわゆる「鞄持ち」研修、事業スタッフとしての実務研修等をいう。)、社会的事業等経営上の知識習得のための座学等を効果的・弾力的に組み合わせた教育プログラムにより、社会的事業等経営上の実践的知識・技能の習得を目的として実施する。
2 実施機関の確保
(1) 実施機関の開拓
協会は、平成23年9月末までに以下の数の基金訓練が実施されるよう、専修学校、各種学校、教育訓練企業等の民間教育訓練機関、大学・短期大学、事業主、職業訓練法人、NPO法人、社会福祉法人、認定職業訓練施設、農林水産業等の団体、事業主団体等に対して基金訓練の実施を勧奨し、実施機関の開拓を行うものとする。
① 職業横断的スキル習得訓練コース ② 新規成長・雇用吸収分野等訓練コース ・ 医療分野・介護・福祉分野 ・ IT分野 ・ 電気設備分野 ・ 農林水産分野 ・ 上記以外の新規成長・雇用吸収が見込める分野 ・ その他地域の人材ニーズに対応した分野 ③ 社会的事業者等訓練コース |
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合計 35万人 |
開拓に当たっては、各地域ごとに、求職者の動向、人材ニーズ、教育訓練資源等を把握した上で、分野ごとの開拓目標数、開拓方法等を決定するものとする。
(2) 訓練コース設定等に対する援助
協会は、実施機関において再就職困難者等の再就職に資する訓練コースが設定されるよう、以下により必要な助言、援助を行うものとする。
ア 基本的な考え方
実施機関は、それぞれの特性に応じて、職業横断的に求められるITスキル等、又は介護・福祉、IT等の新規成長分野や雇用吸収力を有する分野の職業に求められるスキルを中心として、地域や業界の人材ニーズに対応して再就職に資する訓練コースを設定するものとする。
イ 訓練コースの設定の形態
実施機関は、訓練コースを設定するに当たっては、次のような手法によるものとする。
なお、新規成長・雇用吸収分野等訓練コースについては、基礎演習コースと実践演習コースの双方を設定することが望ましいため、単独の実施機関で双方を設定できない場合には、複数の実施機関が共同で訓練コースを設定することができるものとする。ただし、これが困難である場合には、単独の実施機関が基礎演習コース又は実践演習コースのみを設定することとして差し支えないものとする。
(ア) 協会が実施機関に対してあらかじめモデルカリキュラム等を示し、実施機関がこれを踏まえて新たに訓練コースを設け、実施するもの。
(イ) 実施機関が現在行っている内容の教育訓練について、必要に応じ一定の修正を加えた上で、訓練コースとして設定して実施するもの。
(ウ) 事業主等が実際に実施している業務内容を踏まえ、協会が事業主等と連携し、就業現場を活用した実践的な訓練コースを設け、実施するもの。
ウ 訓練指導担当者の養成・支援
協会は、実施機関に対して、必要に応じ、基金訓練を担当する訓練指導担当者を対象とする講習会を開催するなど、実施機関による効果的な基金訓練が設定されるよう支援するものとする。
エ 委託訓練実施機関における留意事項
委託訓練実施要領(平成13年12月3日付け能発第519―2号)に基づく委託訓練の委託先機関においては、当該委託訓練又は当該委託訓練受託のための手続を中止し、新たに基金訓練の訓練コースを設定することはできないものとする。
(3) 認定基準の策定
協会は、基金訓練が求職者の再就職に真に資するものとして設定、実施されるよう、基金訓練が満たすべき基準(以下「認定基準」という。)を策定し、厚生労働本省に協議の上、公表するものとする。
認定基準は、雇用の拡大の見込まれる産業、職業、人材像を総合的に踏まえた上で、以下の要件を踏まえて策定するものとする。
なお、社会的事業者等訓練コースについては、以下のほか(4)イによるものとする。
ア 訓練体制等の整備に関する事項
(ア) これまでの実施機関の訓練実績等にかんがみ、安定した事業運営が可能と認められること。
(イ) 適切な施設・設備を確保するとともに、適切な指導が可能であると認められる訓練指導担当者を配置するものであること。
(ウ) 登録キャリア・コンサルタント(キャリア・コンサルタントとしての一定の資格・経験を有する者であって、ジョブ・カード講習を受講し、厚生労働省又は登録団体に登録された者)を配置するもの又は配置が見込まれるもの(ジョブ・カード講習受講資格を有する者を配置、これらの者の採用、配置転換による確保を計画しているなど)、その他キャリア・コンサルティングの実施体制を確保するものであること。
イ 訓練の実施内容に関する事項
(ア) 訓練受講料が無料であること。ただし、受講者本人の所有に帰するテキスト代、実習服、宿泊に伴う個人の生活費(食費、宿泊費)等は、受講者本人の負担とする。
(イ) 訓練期間が、3か月以上1年以下であること。
(ウ) 実施しようとする訓練の目標、カリキュラムの内容、訓練時間等に整合性を有すること。
なお、訓練時間が、1か月当たり原則100時間以上であること。
(エ) 基金訓練を行う一単位の訓練生数が、おおむね10人から30人までであること。ただし、離職者等の発生状況及び地域労働市場の動向等により、これにより難いもの、新規成長・雇用吸収等訓練コースのうち事業主、事業主団体がOJTを主体に実施するもの及び社会的事業者等訓練コースについては、1人(合宿型若者自立プログラムは2人)を単位とすることができるものとする。
(オ) 以下のいずれにも該当しないものであること。
なお、事業主又は事業主団体が実施主体である場合は、当該事業主への就職促進に資するものであれば、下記a、b及びdについて、この限りではないものとすること。
a 直接、職業能力の開発・向上に関連しないものや、一定の関連性があっても、一般的に趣味・教養・生活等との関連性が強いもの、職業能力のごく一部を開発・向上するに過ぎないもの、通常の就職に当たって特別の教育訓練を要しないもの。
b 通常の雇用・就業形態を勘案した場合、その職業能力を習得したとしても安定した雇用・起業等に結びつくことが期待し難いもの。
c 業務独占又は業務独占的資格の存する職業に係るものであって、当該資格取得に資するために1年を超える訓練コース設定が必要なもの。
d 資格取得を目的としたもののうち、(i)当該資格の社会的認知度が総じて低いもの、(ii)合格者数が相当程度少なく、かつ、総量規制がなされているもの、(iii)専ら公務員としての就職の要件となっているもの。
e 特別の法律に基づかない医療類似行為に係る能力習得を目的とし、訓練実施上、身体への接触が不可避なもの。
ウ 実施機関が講ずる措置に関する事項
(ア) 5による就職支援等を的確に実施するものであること。
(イ) 6により協会が行う訓練の実施状況及び就職状況に係る調査及び報告に協力し、指導に従うものであること。
(ウ) 8の(4)イに定める手続きにのっとり、遅滞なく受講者ごとの支給申請書及び所要の確認書類に、出欠状況報告を添付して、当該実施機関の所在地を管轄する安定所の確認を受けて、協会に提出するものであること。
(エ) 訓練により習得した知識・技能が修了に値すると認められ、さらに、8割以上の出席があったことをもって修了とし、該当する受講者に対して、所定の様式に基づく修了証を発行すること。
(オ) 訓練期間中における受講者の安全衛生について十分配慮するものであること。
(カ) 「個人情報の保護に関する法律」(平成15年法律第57号)に基づき、受講者及び受講希望者の個人情報の適切な管理を行うものであること。
(キ) 受講者が訓練受講中又は通所途上において負傷し、疾病にかかり、又は死亡した場合に、それを補償するための傷害保険への加入、災害見舞金制度の整備等の措置を講ずるものであること。
(ク) その他本事業の適正・円滑な運営を確保するために必要となる安定所等との連携・連絡を遅滞なく適切に行うものであること。
(4) 社会的事業者等訓練コースに関する事項
ア 目的
新たな雇用創出分野として期待されるとともに、個人が尊重され、社会に貢献していることが感得できる働き方の実現にも資する、社会的事業者等による教育訓練機会を提供することにより、訓練受講者の効果的な能力開発と就業実現に資するとともに、これらの社会的事業者の担い手を育成して、社会全体の人材育成機能の更なる向上にも寄与するための訓練を実施する。
イ 本事業の対象となる実施機関
以下のいずれにも該当するものであること。
(ア) 法人格を有する団体であること。
(イ) 営利を目的とせず、社会教育、環境保全、人権擁護、男女共同参画社会の形成、子供の健全育成など、特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号)第2条別表の特定非営利活動に相当する、社会性の高い事業を展開しているものであること。
(ウ) 社会的事業等分野での就業又は起業若しくは経営参画を希望する者に対する人材育成機能を備えているものであること。
(エ) 宗教、政治活動を目的としたものでないこと。
ウ 主な対象者
(ア) ワークショップ型訓練
非正規労働者、ニート等の若者、障害者、母子家庭の母等で、社会的事業等分野での就業を希望する者。ただし、合宿型若者自立プログラムにおいては、合宿型若者自立プログラムにより就職の実現が見込まれる概ね40歳未満の無業者。
(イ) OJT型訓練
NPO法人等の起業、経営参画を希望する者。
(5) 訓練計画の認定
協会は、(1)により開拓した法人等が作成した訓練計画のうち、認定基準に適合するものを基金訓練として認定するものとする。訓練計画の期間は、最長で1年間とする。
なお、実施機関において、基金訓練を実施するに当たり、従来実施していた委託訓練の実施規模が著しく減少している等の状況が把握された場合には、基金訓練に加え、委託訓練についても、引き続き実施枠の確保が図られるよう助言、指導を行うものとする。
(6) 緊急人材育成支援事業協議会の設置
協会は、実施機関の開拓、訓練計画の認定等、基金訓練の的確な運用を行うために、都道府県労働局、都道府県、専修学校及び各種学校等を会員とする団体、学識経験者等を構成員とする「緊急人材育成支援事業推進協議会」を都道府県ごとに設置し、必要な協議を行うものとする。
3 的確な訓練受講の確保のための援助
(1) 基金訓練に係る情報提供
協会は、訓練コースが設定された場合、以下のような情報を収集し、安定所と連携して、求職者に提供するものとする。
① 実施機関に関する事項(実施機関名、所在地、連絡先、主たる事業内容等)
② 訓練内容に関する事項(訓練科目名、訓練の目標、目標資格、訓練定員、訓練期間等)
③ 応募に関する事項(応募対象者、応募期間、選考時期、選考方法等)
④ 費用負担に関する事項(受験料、自己の所有に帰属する教材費等の経費等)
⑤ 就職に関する事項(就職支援の内容、想定される就職先等)
⑥ その他求職者にとって有用と考えられる各種情報に関する事項
(2) 受講に係る相談等
協会は、登録キャリア・コンサルタントを採用し、全国の安定所に巡回させる等により、基金訓練の周知、キャリア・コンサルティング、これらを踏まえたジョブ・カードの交付等を行うこととする。なお、訓練の周知を行うに当たっては、基金訓練が、公共職業訓練に比較して、より基礎的な学力の向上や、実践的な演習に向けたレディネス付与、具体的な職種選択に向けた動機付けに係る支援を含む内容であることを説明するものとする。
(3) その他
安定所が行う職業相談及び受講勧奨並びに訓練受講者に対する再就職支援の実施等については、別途通知するところによる。
4 ジョブ・カード講習等の実施
協会は、教育訓練機関等による訓練コースの設定等のために必要な援助の一環として、ジョブ・カード等の作成指導、キャリア・コンサルティング等の円滑な実施に資するため、ジョブ・カード講習を実施するとともに、新規成長・雇用吸収分野に係るキャリア・マップ、能力評価基準等の活用に関する専門的知見の習得に資する講習を実施するものとする。
5 実施機関による就職支援等の実施
実施機関は、訓練期間中及び訓練修了後を通じ、キャリア・コンサルティング、これを踏まえた訓練受講者の就職促進に努めることとする。実施機関が実施する就職支援等の内容については、その内容は訓練計画に明記するものとする。
なお、具体的な就職支援内容については、職場見学等の機会の提供(協会が実施するものへの協力を含む。)、ジョブ・カード等(職務経歴書・履歴書を含む。)の作成指導、面接指導、これらを含むキャリア・コンサルティング、求人情報の提供、職業紹介(無料職業紹介事業又は有料職業紹介事業の許可を受けている場合に限る。)、訓練修了前1か月以降における求職活動のための安定所への来所勧奨、その他上記の支援を実施するための時間の確保等が考えられる。
6 訓練実施状況等の確認等
(1) 訓練実施状況の確認等
協会は、訓練計画を認定したすべての実施機関について、奨励金の申請等に係る確認を行うとともに、当該計画の有効期間中におおむね月1回を目途に関係職員等をして、訓練及び就職支援の実施状況の調査を行わせ、的確に行われていない場合には、必要な指導、助言を行うものとする。
(2) 就職状況等の確認等
実施機関は、訓練修了者及び就職のための訓練中退者(以下「訓練修了者等」という。)の下記の事項について、訓練修了者等からの書面の提出により、訓練修了者等の属性を含めて把握を行うとともに、協会に対し当該把握結果を報告するものとする。また、報告の際には、訓練修了者等からの書面を添付するものとする。
ア 全基金訓練共通
訓練修了3か月以内の就職状況(就職のための訓練中退者の場合は、訓練中退時の就職状況)、その他の帰すう
イ 合宿型若者自立プログラムのみ
アに加え、訓練修了時の就職状況及び訓練修了後6か月経過後の就労状況等
ウ 未就職卒業者に対する基金訓練(基礎演習コースのうち内かんで定めるもの)のみ
アに加え、訓練修了時の就職状況
(3) 訓練計画の認定の取消し
訓練コースが認定基準に合致しなくなった場合、実施機関に基金訓練の運営における不適正な行為があった場合、又は実施機関が協会の指導・助言に従わず、若しくは所定の報告を行わない場合には、協会は、当該実施機関の訓練計画の認定を取り消すことができるものとする。
7 就職実績が低調な訓練コースに対する措置
実施機関において実施した訓練コースの就職率が60%未満となった場合、当該実施機関がその後同種の訓練コースの実施を予定しているときには、協会は、就職実績が向上するよう、訓練計画の見直し、就職支援体制の整備等に関して改善指導・助言を行い、必要に応じて改善計画を提出させるものとする。
8 訓練・生活支援給付金の支給
(1) 目的
協会は、訓練受講中の生活保障を行い、円滑な訓練受講に資するため、基金訓練又は公共職業訓練の受講者に対して、訓練・生活支援給付金を支給するものとする。
(2) 支給対象者
訓練・生活支援給付金は、支給申請時に、以下の①から⑧までのいずれにも該当し、かつ、支給申請時に①の訓練が行われる日(以下「訓練日数」という。)が10日以上ある者に対して、支給するものとする。
なお、学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定されている学校の平成22年度新規学校卒業者等(平成20年度及び平成21年度の新規学校卒業者で未就職の者を含む。)であって、公共職業安定所に求職申込みを行い、現在有する技能、知識等と労働市場の状況から判断し、基金訓練又は公共職業訓練の受講が適切と判断され、キャリア・コンサルティングを経て公共職業安定所長による受講勧奨又は受講推薦を受けた者については、④の要件は適用しないこととする。
① 安定所長の受講勧奨又は受講推薦により、基金訓練又は公共職業訓練を受講する者
② 雇用保険法(昭和49年法律第116号)第10条第2項及び第3項に規定する求職者給付の受給ができない者
③ 雇用対策法施行規則(昭和41年労働省令第23号)第1条の4に規定する就職促進手当及び第2条に規定する訓練手当の受給ができない者
④ 世帯の主たる生計者
⑤ 年収が200万円以下であり、かつ、世帯全体の年収が300万円以下である者
⑥ 世帯を構成する者全員の保有する金融資産の合計が800万円以下である者
⑦ 現在住んでいる土地・建物以外に、土地・建物を所有していない者
⑧ 過去3年間に不正行為により国の給付金等の支給を受けた者でない者
(3) 支給金額
訓練・生活支援給付は、(2)の支給対象者となることを確認した日の属する算定基礎月(訓練開始前の者にあっては訓練開始日、訓練受講中の者にあっては受給資格認定申請のあった日の翌日(ただし、雇用保険受給者にあっては、求職者給付の給付の終了日までに受給資格認定申請をした場合は、求職者給付の給付が終了した日の翌日)又はそれに応当する日を起算日とし、翌月の応当日の前日までの区切られた各1か月間をいう。以下同じ。)において、以下の額を支給するものとする。ただし、算定基礎月における訓練日数が10日に満たない場合は支給しないものとする。
① 被扶養者を有しない者 月額10万円
② 被扶養者を有する者 月額12万円
(4) 支給の手続き
訓練・生活支援給付金は支給対象者からの請求により、以下により支給するものとする。
ア 受給資格の認定
安定所は、受講勧奨又は受講推薦を行うに当たり、訓練・生活支援給付金の支給を希望する者については、訓練・生活支援給付受給資格認定申請書を提出させ、所要の確認書類及び申請者本人の自筆署名による申告書が添付されていることを確認し、当該確認書類に基づき、(2)の支給対象者に係る事項について確認した上で、提出された書類一式を都道府県労働局を経由して協会へ取り次ぐものとする。協会は、申請書及び所要の確認書類を審査し、受給資格の決定を行うものとする。
なお、(2)の④から⑧までの要件の確認及び⑥の該当の有無の確認については、確認書類によることが困難な場合又は本人より申立てがあった場合には、申請者本人の自筆署名による申告書によることとして差し支えないものとする。
イ 支給の決定
実施機関(本項目においては、公共職業訓練を実施する公共職業能力開発施設を含む。)は、受講者から委任状の提出を受け、訓練開始日が属する算定基礎月の支給については受講開始後速やかに、当該算定基礎月に係る訓練・生活支援給付支給申請書及び所要の確認書類を、協会に提出するものとする。以降の支給については算定基礎月の前の1か月間の訓練が終了するごとに、当該算定基礎月に係る申請書及び所要の確認書類に、当該算定基礎月の前の1か月に係る出席状況報告を添付して(算定基礎月の起算日が訓練開始日又はそれに応当する日以外の日である受講者については、当該算定基礎月の前の1か月間に係る出席状況報告を添付すること。)、当該実施機関の所在地を管轄する安定所での確認を受けて、協会に提出するものとする。確認書類については、前回の申請時から異動のないものについては、その旨の誓約書を以て足りるものとする。
協会は、申請書及び所要の確認書類を審査し、支給の決定を行うものとする。
なお、協会において、申請書等の提出が適切になされていない実施機関を把握した場合には、6の(1)により、速やかに適切な提出を指導するとともに、必要に応じて訓練実施状況の確認を行うものとする。
ウ 訓練修了日が属する算定基礎月に係る支給の特例
イにかかわらず、訓練修了日が属する算定基礎月に係る支給については、当該算定基礎月に係る訓練日数が10日間に達した後に、当該算定基礎月に係る申請書及び所要の確認書類に、当該算定基礎月の前の1か月及び当該算定基礎月における訓練日数(最初の10日間)に係る出席状況報告を添付して、当該実施機関の所在地を管轄する安定所での確認を受けて、協会に提出するものとする。
エ 支給の終了
以下の(ア)又は(イ)に該当する場合には、当該訓練については、以後、訓練・生活支援給付を支給しないものとする。
(ア) 支給対象者が、算定基礎月の前の1か月間において、訓練日数の8割以上を出席しなかった場合(訓練開始前又は訓練開始後1か月を経過せずに受給資格認定申請を行った者の最初の算定基礎月の給付を除く。)
訓練修了日が属する算定基礎月については、当該算定基礎月の前の1か月だけでなく、当該算定基礎月の前の1か月に当該算定月における訓練日数(最初の10日間)を加えた期間においても、8割以上を出席しなかった場合(当該算定基礎月の訓練日数の8割以上を出席した場合を除く。)には支給を行わないものとする。
ただし、いずれの場合においても、法令の定めがある事由により出席できなかった場合又は、下記のいずれかに該当する場合については、この限りではない。
① 支給対象者本人の疾病又は負傷による場合(医師等の証明書があり、その期間が継続して7日以内の場合に限る。)
② 企業の面接や採用試験を受ける場合(当該企業の証明書がある場合に限る。)
③ 天災等による場合
(イ) 支給対象者の訓練・生活支援給付金の支給を受けた月数が、それ以前に訓練・生活支援給付金の支給を受けた月数と合計して24か月を超える場合
オ 不正行為に関する調査
協会が、不正受給防止のための確認及び偽りその他不正な行為に関する調査を行う場合には、必要に応じて、原則として委託先団体を通じて実施機関の協力を又は原則として都道府県労働局を通じて安定所の協力を求めることができるものとする。この場合、都道府県労働局及び安定所は、協会からの依頼を受けて、必要な範囲において、本人からの聴取、その結果の協会等への報告等の協力を行うものとする。
また、安定所は、不正な行為に関する疑義を把握した場合には、速かに都道府県労働局を通じて、協会にその旨を通知するものとする。
カ 不正行為に対する処分
協会は、偽りその他不正な行為を行い、又は行おうとしたことが明らかとなった者については、既に支払った訓練・生活支援給付の全部又は一部を返還させることとするほか、必要な措置を講ずるものとする。
キ 他の給付、貸付等との調整
訓練・生活支援給付金は、就職安定資金融資、技能者育成資金融資、住宅手当緊急特別措置事業による給付、総合支援資金の貸付、地方公共団体等が実施する類似の給付金・貸付金の支払いを受けている者には、支給しないものとする。
9 訓練・生活支援資金融資の実施
(1) 目的
労働金庫は、訓練・生活支援給付のみでは訓練受講中の生活費に不足する者に対し、円滑な訓練受講に資するために、生活に必要な資金(訓練・生活支援資金)を貸し付けるものとする。
(2) 貸付条件
ア 貸付対象者
訓練・生活支援給付金の支給対象者であり、かつ、労働金庫が審査の上、返済が困難ではないと判断する者とする。
イ 上限額等
訓練・生活支援資金融資は、訓練・生活支援給付の支給を受ける月について、以下の額を上限として行うものとする。
① 被扶養者を有しない者 月額5万円
② 被扶養者を有する者 月額8万円
ウ 担保・保証人
担保・保証人は不要とする。ただし、労働金庫が定める信用保証機関を利用することを条件とする。
エ 貸付利率
労働金庫が別途定めるところによる(信用保証料を含めて3.0%の予定)。
オ 返済方法
最終貸付日の翌月まで元金据え置き、初回貸付日から5年以内(貸付額が50万円以上の場合は10年以内)に元利均等月賦償還(最終弁済時年齢65歳)とする。
カ 返済免除
訓練の修了6か月後までに、6か月以上の雇用が見込まれる就職をして雇用保険一般被保険者資格を取得した場合には、貸付額の50%に相当する額の返済を免除するものとする。
(3) 貸付の方法
安定所は、8の(4)アにより訓練・生活支援給付受給資格認定申請書等を受け付けるに当たり、訓練・生活支援資金の貸付を希望する者に対しては、労働金庫が定める具体的な手続を教示した上で、貸付要件の確認書を交付するものとする。貸付申込は本人が労働金庫店舗に出向いて行い、労働金庫が審査及び貸付決定を行うものとする。
(4) 訓練・生活支援資金融資事業に対する補助
協会は、貸付対象者が安定就労を実現した場合に講じる返済免除(任意の代位弁済)又は回収不能(債務不履行を原因とした求償権について、信用保証機関の基準により回収不能と判定したものをいう。)が生じた場合に、所定の信用保証機関が行う信用保証(返済免除に係る代位弁済及び回収不能)事業を対象として、必要な経費の補助を行うものとする。
10 訓練奨励金の支給
(1) 目的
協会は、基金訓練の訓練機会の確保に資するため、実施機関に対して、訓練奨励金を支給するものとする。
(2) 支給金額
訓練奨励金は、当該事由の発生した日の属する算定基礎月において、訓練に1日以上出席した受講者の数(安定所長の受講勧奨を受けた者に限る。)に、以下の月額を乗じて得た額とする。
① 職業横断的スキル習得訓練コース 6万円
② 新規成長・雇用吸収分野等訓練コース
基礎演習コース 10万円
実践演習コース 6万円
③ 社会的事業者等訓練コース 10万円
(3) 支給の手続き
ア 支給の決定
訓練奨励金は実施機関の請求を受け、対象となる受講者の数を確認し、訓練の行われた期間について支払うものとする。訓練奨励金は原則として訓練終了後の支払いとするが、訓練期間が3か月を超える場合、実施機関からの申請があれば、3か月間を単位として訓練の行われた期間について支払うことができるものとする(例:訓練期間6か月間の場合は、3か月と3か月に分割してそれぞれの期間終了後に請求)。
イ 奨励金の返還
実施機関が認定を受けた計画の内容又はこれに付した条件に違反した場合には、協会は当該実施機関に対し、既に支払った訓練奨励金の額の全部又は一部を返還させるものとすること。
ウ 不正行為に関する調査
協会が、不正受給防止のための確認及び偽りその他の不正な行為に関する調査を行う場合には、必要に応じて、原則として委託先団体を通じて実施機関の協力を求めることができるものとする。
エ 不正行為に対する処分
偽りその他不正な行為を行い、又は行おうとしたことが明らかとなった実施機関については、協会は、訓練計画の認定の取り消しなど、必要な措置を講ずるものとする。
11 新規訓練設定奨励金の支給
(1) 目的
協会は、基金訓練枠を拡大するため、基金訓練として新たに訓練コース(職業横断的スキル習得訓練コース及び基礎演習コースを除く)を設定した実施機関に対して、新規訓練設定奨励金を支給するものとし、平成22年度末まで実施する。
(2) 支給金額
ア すべてに共通するもの
訓練コース(職業横断的スキル習得コース及び基礎演習コースを除く)を新たに設定した場合に、その訓練の期間及び定員数に応じて、以下の額を支給するものとする。
なお、同種の訓練コースを反復して実施する場合には、当該コースに係る支給は、初回実施の1コースのみを対象とする。また、若者自立塾特別奨励金の支給対象となった訓練コースについては、同一の建物内で同一主体が同一の訓練コースを新たに設定する場合には、新規訓練設定奨励金は支給しないこととする。
訓練期間 |
定員数 |
|||
1~9人 |
10~14人 |
15~19人 |
20人以上 |
|
3月以上6月未満 |
1人当たり 5万円 |
50万円 |
75万円 |
100万円 |
6月以上9月未満 |
1人当たり 10万円 |
100万円 |
150万円 |
200万円 |
9月以上12月以下 |
1人当たり 15万円 |
150万円 |
225万円 |
300万円 |
また、定員数に対する受講者(公共職業安定所長の受講勧奨を受けた者)の数が25パーセントに満たない訓練コースについては、新規訓練設定奨励金を支給しないこととする(32人以下のコースの具体的な取扱いは下表のとおり)。
定員数 |
1~4人 |
5~8人 |
9~12人 |
13~16人 |
17~20人 |
21~24人 |
25~28人 |
29~32人 |
|
勧奨受講者数 |
支給可 |
1人以上 |
2人以上 |
3人以上 |
4人以上 |
5人以上 |
6人以上 |
7人以上 |
8人以上 |
支給不可 |
0人 |
1人以下 |
2人以下 |
3人以下 |
4人以下 |
5人以下 |
6人以下 |
7人以下 |
イ 社会的事業者等訓練コースの実施機関に限るもの
1施設当たり800万円を限度として、訓練実施のために必要な施設・設備の設置又は整備等を行うために要した費用に4/5を乗じて得た額とする。(当該実施機関の社会的事業者等訓練コースの受講者が計10名以上である場合に限る。)
(3) 支給の手続き
ア 計画の確認
協会は、(2)イの支給を受けようとする実施機関については、2の(5)による計画の認定を行うに当たり、当該計画において、施設・設備の設置又は整備等の計画を確認する。
イ 支給の決定
新規訓練設定奨励金は実施機関の請求を受け、(2)アについては、基金訓練として新たに設定した訓練コースの実施、(2)イについては、施設・設備の設置又は整備等の状況及び訓練コースの実施を確認し、支払うものとする。
ウ 奨励金の返還
実施機関が認定を受けた計画の内容又はこれに付した条件に違反した場合には、協会は当該実施機関に対し、既に支払った新規訓練設定奨励金の額の全部又は一部を返還させるものとすること。
エ 不正行為に関する調査
協会が、不正受給防止のための確認及び偽りその他不正な行為に関する調査を行う場合には、必要に応じて、原則として委託先団体を通じて実施機関の協力を求めることができるものとする。
オ 不正行為に対する処分
偽りその他不正な行為を行い、又は行おうとしたことが明らかとなった実施機関については、協会は、訓練計画の認定の取消しなど、必要な措置を講ずるものとする。
12 事業の委託
(1) 委託する事業
本通達2の(1)、(2)、(3)に係る案の作成、(5)に係る審査、助言等、(6)、3の(1)、(2)、6の(1)、(2)、7、10の(3)アに係る審査、11の(3)ア、イに係る審査に係る事業(以下、これらの事業を「訓練事業」という。)、4の事業(以下「ジョブ・カード講習等事業」という。)及びこれらに付随する事業については、迅速かつ効果的な実施に資するため、当該事業内容に係る高度な専門性を有する他の法人に委託して行うものとする。
(2) 委託先とすることができる法人
ア 訓練事業
訓練事業の委託先とすることができる法人は、以下のすべてに該当するものとする。
なお、事業主、事業主団体がOJTを主体として実施する訓練に係るものについて、別途委託する場合は、以下のア及びイに該当するものとする。
(ア) 地域の人材ニーズ及び実施機関となり得る社会資源の状況に精通していること。
(イ) 人材の育成について高度なノウハウを有し、実施機関に対して的確な助言援助を行えること。
(ウ) 全国各地に拠点を有していること。
イ ジョブ・カード講習等事業
ジョブ・カード講習等事業の委託先とできる法人は、以下のすべてに該当するものとする。
(ア) 直近5年間以内にキャリア・コンサルティングに関する講習実施の実績があること。
(イ) 事業を実施する上で有効なノウハウ等を有し、キャリア・コンサルティングに関する有識者等との連携・協力を行えること。
(3) 委託先の選定
協会は、あらかじめ委託する事業の内容、受託者に求められる条件等の仕様を作成して公示し、公正に委託先を決定するものとする。
13 施行日
本事業は、通知の日から施行する。ただし、1、10及び11は、別途定める日から適用するものとし、8は、別途定める日以降に支給対象者の要件に該当する者について適用するものとする。
9については、労働金庫が指定した日から施行するものとする。