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通達:認定職業訓練施設における「日本版デュアルシステム」の実施について

 

認定職業訓練施設における「日本版デュアルシステム」の実施について

平成16年4月1日能発第0401050号

(各都道府県知事あて厚生労働省職業能力開発局長通知)

 

現在、高い失業率、無業者・フリーターの増加など若者が自らの可能性を高め、活かす機会が十分確保されないことが社会的な問題となっているが、このような状況が続けば、若年者本人に職業能力が蓄積されない問題が生ずるとともに、我が国の経済基盤にも長期的に重大な影響を及ぼす懸念がある。

こうした状況に対応するため、今般、教育訓練機関において行う教育訓練(Off―JT)と、企業における業務の遂行の過程内で行う職業訓練(OJT)を組み合わせた養成プログラムを通じて、若年者を一人前の職業人に育てる新たな人材育成システムとして「日本版デュアルシステム」を、認定職業訓練施設(職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号。以下「法」という。)第24条第1項の規定による認定を受けた職業訓練を実施している施設をいう。以下同じ。)においても導入促進等を図ることとした。このデュアルシステムにおいては、企業におけるOJTと一体となった職業訓練を行うとともに、修了時に実践力等に係る能力評価も行うことにより、企業の求人内容の高度化等のニーズに応えるとともに、学校卒業者等のフリーター化・無業化の防止等にも資することが期待されている。

認定職業訓練施設における日本版デュアルシステムの具体的な実施については、今般、別紙のとおり「認定職業訓練施設における日本版デュアルシステム実施要領」(以下「実施要領」という。)を策定したので、各都道府県におかれては、その内容を十分にご了知いただき、日本版デュアルシステムの普及促進等を図るための認定職業訓練施設関係者等への周知、相談援助等について、特段のご配意をお願いする。

また、実施要領に規定するデュアル訓練に該当する訓練科については、下記のとおり、職業能力開発校設備整備費等補助金(認定職業訓練助成事業費補助金)(以下「補助金」という。)において、補助要件緩和等が行われることとなるので、その旨ご了知願いたい。

 

従来、補助金の対象となる認定職業訓練は、訓練生の2/3以上が当該認定職業訓練(法第24条第1項の規定による認定を受けた職業訓練をいう。以下同じ。)を実施する中小企業(当該認定職業訓練を中小企業主の団体又は連合団体が実施する場合にあっては、その構成員である中小企業)に雇用されている者であるものに限定していたところであるが、実施要領に規定するデュアル訓練が行われている場合にあっては、当該認定職業訓練を実施する中小企業以外の中小企業に雇用されているデュアル訓練に係る若年対象者(当該認定職業訓練が開始された日において35歳未満である者をいう。)についても、当該認定職業訓練に係る中小企業に雇用されている者に準じて、補助金の算定が行われることとなるものであること。

 

別紙

認定職業訓練施設における日本版デュアルシステム実施要領

認定職業訓練施設(職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号。以下「法」という。)第24条第1項の規定による認定を受けた職業訓練を実施している施設をいう。以下同じ。)における日本版デュアルシステムに係る認定職業訓練は、この要領に定めるところによるものとする。

第1 趣旨・目的

この要領は、認定職業訓練施設におけるデュアルシステムに係る職業訓練の適切な実施を確保するとともに、その導入の促進を図り、もって、企業の求人内容の高度化等のニーズに応えるとともに、就職に向けた意欲のある若年者の無業化の防止等に資することを目的とする。

第2 定義

この基準において「デュアル訓練」とは、若年対象者(当該認定職業訓練(法第24条第1項の規定による認定を受けた職業訓練をいう。以下同じ。)が開始された日において35歳未満である者をいう。以下同じ。)に対して行われる認定職業訓練であって、第3に規定する基準に適合するものをいう。

第3 デュアル訓練に係る基準

(1) デュアル訓練の内容等

次のいずれにも該当する認定職業訓練であること。

イ 職業能力開発促進法施行規則(昭和44年労働省令第24号。以下「規則」という。)第10条に規定する普通課程、規則第11条に規定する短期課程(当該職業訓練に係る訓練期間が9月以上1年以下のものであって、訓練期間1年につき、おおむね1,400時間以上を目安に設定されているものに限る。)、規則第12条に規定する専門課程、規則第13条に規定する専門短期課程(当該職業訓練に係る訓練期間が9月以上1年以下のものであって、訓練期間1年につき、おおむね1,400時間以上を目安に設定されているものに限る。)、規則第14条に規定する応用課程又は規則第15条に規定する応用短期課程(当該職業訓練に係る訓練期間が9月以上1年以下のものであって、訓練期間1年につき、おおむね1,400時間以上を目安に設定されているものに限る。)に係るものであること。

ロ 当該認定職業訓練が、(2)に規定するデュアル訓練実施計画に基づき実施されるものであること。

ハ 当該認定職業訓練の内容が、次のいずれにも該当するものであること。

(イ) Off―JT(認定職業訓練施設において行われる座学又は実技に係る職業訓練をいう。以下同じ。)及び企業実践訓練(OJT(雇用契約に基づく業務遂行の過程における企業実務を通じた実践的な技能及びこれに関する知識の取得に係る職業訓練をいう。以下同じ。)及び企業実習(雇用契約に基づかない企業内実習に係る職業訓練をいう。以下同じ。)に係る職業訓練をいう。以下同じ。)が一体的かつ並行的に組み合わせられているものであること。

(ロ) Off―JTに係る訓練時間が、訓練時間全体の2割以上であること。

(ハ) 企業実践訓練に係る訓練時間の合計が、訓練時間全体の2割以上であること。

(ニ) OJTに係る訓練時間が、訓練時間全体の8分の1以上であること。

ニ 当該認定職業訓練の実施体制等が、(3)に適合するものであること。

ホ 当該認定職業訓練の課程を修了した者に対し、(4)に規定する能力評価が行われるものであること。

(2) デュアル訓練実施計画の策定

当該認定職業訓練について、イに規定する作成者によりロに掲げる事項を記載したデュアル訓練実施計画が策定されるものであるとともに、当該認定職業訓練施設がこれをとりまとめ、原則として、訓練開始時に、その計画の内容が受講生に明示されるものであること。

イ 作成者

デュアル訓練実施計画のうち、Off―JTに係る部分については、当該認定職業訓練施設が作成するものとし、OJT及び企業実習に係る部分については、当該OJT及び企業実習の実施に係る企業が作成するものとすること。ただし、当該企業がOJT及び企業実習に係る部分のデュアル訓練実施計画を作成することが困難な場合にあっては、当該部分のデュアル訓練実施計画は、認定職業訓練施設が作成するものとする。

ロ デュアル訓練実施計画の内容

(イ) デュアル訓練の期間(OJTに係る雇用契約の期間を含む。)、訓練職種、OJT及び企業実習並びにOff―JTを実施する場所

(ロ) デュアル訓練のカリキュラム

(ハ) デュアル訓練の指導体制

(ニ) デュアル訓練期間中における労働条件の内容

(ホ) デュアル訓練期間中における保険の取扱い

(ヘ) デュアル訓練を修了した場合における能力評価の方法

(ト) デュアル訓練期間中における訓練生の遵守事項

(チ) デュアル訓練を修了した場合における雇用の取扱い

(リ) デュアル訓練実施計画の内容を変更する場合における手続

(ヌ) その他デュアル訓練の実施に必要な事項

(3) デュアル訓練の実施体制等

イ 指導体制

次の指導体制で行われるものであること。

(イ) Off―JTに係る指導体制は、現行の認定職業訓練の基準と同様のものであること。

(ロ) OJT及び企業実習に係る指導体制は、OJT及び企業実習の実施に係る企業が相応の技能・知識を備えた指導員が選任されているものであること。また、当該指導員は、訓練生の技能の定着を図るとともに訓練生が危険・有害な活動に携わることのないよう配慮するものであること。

ロ 費用負担

訓練の費用の負担については、当事者間で定められるものであること。

ハ 災害保険

訓練生が労働者災害補償保険法の適用を受けていない期間について、民間の損害保険に加入する措置が講じられているものであること。

(4) 能力評価の実施

当該認定職業訓練の課程を修了した場合において、次に定める方法により能力評価が行われるものであること。

イ Off―JTに係る能力評価については、当該Off―JTの実施に係る認定職業訓練施設が、それぞれのOff―JTコースについて、当該認定職業訓練施設が設定している評価方法に基づき能力評価を行う。

ロ OJT及び企業実習に係る能力評価については、当該OJT及び企業実習の実施に係る企業が、認定職業訓練施設の協力を必要に応じて得つつ、次に掲げる事項を基本とした能力評価項目を設定して能力評価を行う。

(イ) 職種共通事項

職業人としての意識、ビジネスマナー、コミュニケーション能力その他の当該訓練課程に係る職業人として基本的に備えるべき資質に関する事項

(ロ) 職種別事項

当該訓練課程に係る職務を遂行する上で、実務上必要となる専門的技能及び知識に関する事項

ハ イ及びロの能力評価の結果については、原則として、認定職業訓練施設がこれをとりまとめ、訓練生に対して能力評価書として交付するとともに、当該デュアル訓練に係る課程を修了した場合にあっては、日本版デュアルシステムに係る修了証書を交付するものとする。

第4 報告

(1) 都道府県への報告

デュアル訓練を実施する認定職業訓練施設にあっては、規則第36条の規定による認定職業訓練実施状況報告に併せて、また、随時必要に応じて、デュアル訓練の実施状況に関する報告を管轄都道府県に提出するものとする。

(2) 厚生労働省への報告

都道府県にあっては、別に定めるところにより、(1)による報告の結果を厚生労働省に報告するものとする。

第5 関係者の取り組み等

認定職業訓練施設におけるデュアル訓練については、関係者は、それぞれ以下の措置等について配意する。

(1) 都道府県

都道府県にあっては、認定職業訓練施設におけるデュアル訓練の普及促進を図る観点から、可能な限りイの措置を講ずるとともに、職業能力開発校設備整備費等補助金(認定職業訓練助成事業費補助金)(以下、「補助金」という。)の申請に当たっては、ロの措置を講ずる。

イ デュアル訓練の普及促進に関する措置

(イ) 認定職業訓練施設に対するデュアル訓練の周知(例:認定職業訓練施設に対するデュアル訓練に該当する訓練科の設定の勧奨、他の認定職業訓練施設のデュアル訓練に係る各種取組等に関する情報提供等)

(ロ) 認定職業訓練施設等に対するデュアル訓練の実施に関する相談援助等(例:デュアル訓練の実施を検討している認定職業訓練施設に対する助言、デュアル訓練を実施している認定職業訓練施設や企業に対するデュアル訓練実施計画の策定又は能力評価の実施等における必要な助言等)

(ハ) デュアル訓練を実施している認定職業訓練施設に関する情報の一般への周知(例:ジョブカフェ等において、デュアル訓練を実施する認定職業訓練施設の情報を整理し、来所する若者に対し情報を提供すること、公共職業安定所及びヤングジョブスポット等に対する当該デュアル訓練を実施する認定職業訓練施設に関する情報の提供等)

(ニ) その他デュアル訓練の普及促進に関する措置

ロ 補助金の要件緩和対象に係る所要の確認

デュアル訓練に係る認定職業訓練について補助金の申請を行うに際しては、別に定めるところにより、当該申請に係る認定職業訓練がデュアル訓練に該当する旨及び当該申請に係るデュアル訓練の訓練生が第2に規定する若年対象者に該当する旨の確認を行い、補助金の申請を行うこと。

(2) 認定職業訓練施設

認定職業訓練施設にあっては、デュアルシステムの実施の趣旨を踏まえ、可能な限りデュアル訓練の導入に努めるとともに、デュアル訓練を導入した場合にあっては、可能な限りその内容等について情報提供すること。(例:設定した訓練コースのパンフレット類等を都道府県、ジョブカフェ、ヤングジョブスポット、公共職業安定所等に配布する等)

第6 その他

(1) 実施時期

この基準は、平成16年4月1日から施行する。

(2) 予算措置(認定職業訓練助成事業費補助金における補助要件の緩和)

この実施要領に規定するデュアル訓練は、「職業能力開発校設備整備費等補助金(職業能力開発校設備整備費等事業費・認定職業訓練助成事業費)交付要綱」(平成16年3月26日厚生労働省発能第0326003号。厚生労働事務次官通知)別紙の認定職業訓練助成事業費(運営費)の欄中「日本版デュアルシステムに係る訓練」に該当するものであること。このため、認定職業訓練施設において、当該認定職業訓練を実施する中小企業(当該認定職業訓練を中小企業主の団体又は連合団体が実施する場合にあっては、その構成員である中小企業)以外の中小企業に雇用されている若年対象者に対して、この実施要領に規定するデュアル訓練を行っている場合にあっては、当該デュアル訓練の対象となっている若年対象者は、当該認定職業訓練に係る中小企業に雇用されている者に準じて、当該職業能力開発校設備整備費等補助金の算定が行われるものであること。(「平成16年度職業能力開発校設備整備費等補助金(認定職業訓練助成事業費)における補助対象経費の算定基準について」(平成16年4月1日能発第0401051号小職通知関係))