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通達:企業内キャリア形成推進事業実施要領の改正について

 

企業内キャリア形成推進事業実施要領の改正について

平成16年3月31日能発第0331003号

(中央職業能力開発協会会長、都道府県職業能力開発協会会長、独立行政法人雇用・能力開発機構理事長、各都道府県知事あて厚生労働省職業能力開発局長通知)

 

職業能力開発行政の推進に当たっては、平素よりご尽力をいただき感謝申し上げる。

企業内キャリア形成支援推進事業については、平成13年10月1日付け能発第416号「労働者のキャリア形成支援の推進について」の別添2「企業内キャリア形成推進事業実施要領」(以下「実施要領」という。)に基づき、厚生労働省が中央職業能力開発協会(以下「中央協会」という。)へ事業の委託を行い、委託を受けた中央協会より都道府県職業能力開発協会(以下「都道府県協会」という。)が再委託を受けて実施してきたところである。

平成16年度より、当該事業については従前の委託契約方法を改め、厚生労働省が中央協会及び都道府県協会とそれぞれ委託契約を締結することにより実施することとしたところである。

これに伴い、今般、実施要領を下記のとおり改正することとしたので、中央協会及び都道府県協会におかれては、その取扱いには遺漏なきを期されたい。

また、独立行政法人雇用・能力開発機構及び都道府県職業能力開発主管課におかれては、本改正の趣旨について御了知願いたい。

 

1 実施要領の改正

実施要領を別添のとおり改正する。

2 適用期日

この改正は、平成16年4月1日から適用する。

 

別添

企業内キャリア形成支援推進事業実施要領

第1 趣旨

技術革新、労働移動の増加等の様々な変化の中で雇用の安定・拡大を図るためには、労働者自らがその適性や職業能力を的確に把握しつつ、求められる職業能力の変化に柔軟に対応し、効果的に職業能力を発揮することができるよう職業能力開発を推進することが重要な課題である。

こうした職業能力開発を推進するに当たっては、労働者の自発的な職業能力開発の取組みを促進することが必要であり、そのためには、労働者が自らの職業生活設計に即して必要な職業訓練等を受ける機会が確保され、必要な実務経験を積み重ね実践的な職業能力を形成していくこと(以下「キャリア形成」という。)が極めて重要なものとなる。

企業内において事業主がその雇用する労働者のキャリア形成を計画的かつ段階的に推進していくためには、事業内で選任された職業能力開発推進者(以下「推進者」という。)がその役割を十分に果たすことが求められるところである。

このため、事業主をはじめ推進者等に対し、企業内キャリア形成支援推進事業として第3に掲げる事業を積極的に展開することにより、企業内における労働者のキャリア形成の効果的な推進を図ることとする。

第2 実施体制

1 本事業は、中央職業能力開発協会(以下「中央協会」という。)及び都道府県職業能力開発協会(以下「都道府県協会」という。)において実施するものとする。

なお、本事業を円滑かつ効果的に実施するため、中央協会と都道府県協会は互いに十分な連絡、調整を行うものとする。

2 都道府県協会は、本事業の円滑な推進を図るため、次のとおり、キャリア形成推進員を配置するとともに、人材育成コンサルタントを登録するものとする。

(1) キャリア形成推進員は、企業経営に関する知識を有し、かつ、企業における人事・労務管理又は職業能力開発に豊富な経験を有する者等をもって充てるものとし、本事業における業務全般を実施するものとする。

なお、都道府県協会は、独立行政法人雇用・能力開発機構(以下「機構」という。)都道府県センターに設置されるキャリア形成支援コーナーに、主として事業主等に対して労働者のキャリア形成支援に関する専門的な相談援助に関する業務を担当する者としてキャリア形成推進員の一部を配置するものとする。

(2) 人材育成コンサルタントは、職業能力開発に関する企画又は指導の業務の経験を有する者をもって充てるものとし、主に都道府県内の事業主等を訪問することにより、事業主等に対して第3の1の(1)の職業能力開発サービスセンター業務を実施するものとする。

第3 事業の内容

1 企業内キャリア形成支援に係る助言・指導、情報提供等の実施

地域における労働者のキャリア形成の推進に資するため、都道府県協会において、事業主等に対し、次に掲げるキャリア形成支援に関する専門的な助言・指導、情報提供等を行う職業能力開発サービスセンター業務(以下「サービスセンター業務」という。)を実施するものとする。

また、中央協会は、サービスセンター業務の円滑かつ効果的な実施について都道府県協会に対して的確な助言、情報提供、連絡調整等の各種支援を行うものとする。

(1) サービスセンター業務の内容

イ 助言・指導、情報提供等(普及・啓発等を含む。)

① 労働者の職業生活設計に即した自発的な職業能力の開発及び向上を促進するために事業主が講ずる措置に関する指針(平成13年厚生労働省告示第296号)の周知啓発

② 職業能力開発促進法第11条に基づく計画(以下「事業内職業能力開発計画」という。)の作成に関する助言又は指導

③ 技術革新や高齢化に対応した職業能力開発の効果的な実施に関する助言

④ 公共職業能力開発施設や各種給付金制度等の利用に関する助言又は情報提供

⑤ 労働者のキャリア形成支援に関する各種情報の提供(普及、啓発等を含む。)

⑥ 職業能力習得制度(ビジネス・キャリア制度)に関する情報提供又は相談

⑦ その他相談援助、情報提供に係る必要な事項

ロ 情報の収集

① 労働者のキャリア形成支援に関する各種情報の収集

② 事業主が行う職業能力開発に関する各種の情報及び資料の収集

③ 事業主や労働者の教育訓練ニーズの把握

(2) サービスセンター業務の展開

都道府県協会は、上記(1)の業務を行うに当たっては、職業能力開発サービスセンター窓口における応対、事業主等への訪問、移動相談、集団指導(各種説明会を含む。)、視聴覚教材・図書の貸与その他各都道府県協会の創意工夫によるものを組み合わせて効果的に展開するものとする。

(3) 能力開発情報システムの活用等

中央協会は、能力開発情報システム(中央協会及び都道府県協会において収集、蓄積している職業能力開発に関する各種情報をデータベース化し、都道府県協会等に提供する情報システムをいう。以下「ADDS」という。)の運用・管理を行うものとする。

都道府県協会は、上記(1)の業務を行うに当たっては、ADDSを積極的に活用するものとする。

また、中央協会及び都道府県協会は、ADDSが有効に活用されるために、上記(1)の業務等を通じて得られる情報の量及び質の両面における拡大に取り組むとともに、蓄積された情報のうち有用なものについては、インターネットを利用して広く提供するものとする。

2 キャリア形成支援を担う人材の育成

都道府県協会は、推進者に対して、労働者の職業生活設計に即した効果的な職業能力の開発及び向上の支援に必要な知識及び技法を付与することを目的として、職業能力開発推進者講習(以下「推進者講習」という。)を実施するものとする。

また、中央協会は、推進者講習の円滑かつ効果的な実施について都道府県協会に対して的確な助言、情報提供、連絡調整等の各種支援を行うとともに、推進者等に対してキャリア形成支援に関する情報提供を行うものとする。

(1) 推進者講習の実施方法

推進者講習は、次により実施するものとする。

① 各年度について、各都道府県の実情を踏まえ実施するものとするが、原則として年4回以上実施するものとすること。

② 講義及び演習(例:キャリアシート(労働者が自らを振り返り今後のキャリア選択の方向性やその実現を図るための手段・方法を整理するための様式をいう。以下同じ。)の記入、ロールプレイ、グループ討議等)の組合せにより行うものとすること。

(2) 推進者講習のテーマ

推進者講習のテーマは、おおむね次のとおりとする。

① 企業内における労働者のキャリア形成支援と推進者の役割に関すること。

② 事業内職業能力開発計画の作成及びその円滑な実施に関すること。

③ 労働者に対して行うキャリア形成に関する相談、指導等に関すること。

④ キャリア・コンサルティングの基礎的技法に関すること(自己理解の支援を主とした導入レベルのキャリア・コンサルティング等)。

⑤ 企業内における職務の内容と求められる能力要件の明確化に関すること。

⑥ キャリア形成支援に対する助成制度に関すること。

⑦ その他企業内における職業能力開発に関すること。

(3) 受講者

推進者講習の受講者は、推進者として選任された者、選任が予定される者又は企業内における職業能力開発について権限を有する者等推進者と同等の役割を担う者(以下「推進者等」という。)とする。

なお、推進者等の受講を妨げない範囲で、企業内その他の機関等において労働者のキャリア形成支援を担う者の受講を認めて差し支えないものとする。

(4) 講師の委嘱

推進者講習を担当する講師は、講習内容に関し十分な知識及び経験を有し、適切と認められる者を委嘱するものとする。

(5) 教材

推進者講習において使用する教材は、講習内容に応じ適切と認められるものとする。

(6) 修了証書の交付

推進者講習の修了者に対して、講習名、氏名、所属事業所名及び受講年月日を記載した都道府県協会会長名の修了証書を交付するものとする。

3 推進者の選任状況の把握

(1) 推進者選任届の受付

都道府県協会は、サービスセンター業務、推進者講習の開催等を通じて、事業主等に対し、推進者の選任義務(努力義務)について周知するとともに、当該選任(変更、解任を含む。)に係る届出(以下「推進者選任届」という。)の提出を促進し、推進者選任届の提出があった場合は、これを受け付けるものとする。

(2) 推進者選任台帳の整備

都道府県協会は、受け付けた推進者選任届に基づき、推進者選任台帳を整備し、推進者の選任状況について随時的確に把握するものとする。

また、中央協会は、都道府県協会において整備した推進者選任台帳に基づき、都道府県全体における推進者の選任状況について把握するものとする。

4 普及啓発、情報提供に係る資料の企画・作成

中央協会は、事業主等に対する普及啓発、情報提供等に有用な各種資料の企画・作成を行うものとする。

都道府県協会は、上記1から3に係る業務を行うに当たって、中央協会が作成した各種資料を積極的に活用するものとする。

5 会議・研修等の開催

中央協会は、本事業の円滑かつ効率的な実施のため、都道府県協会を対象とした連絡会議を開催するとともに、キャリア形成推進員及び人材育成コンサルタントに対して資質の向上に資する研修等を企画し、実施するものとする。

第4 関係機関との連携

中央協会及び都道府県協会は、本事業の実施に当たっては、機構都道府県センターのほか、財団法人産業雇用安定センター地方事務所、都道府県、経営者団体、業種別団体、商工会議所等の関係機関と緊密な連携を保ちつつ、事業主等に対し企業内における労働者のキャリア形成支援の推進に資する事項について周知し、その普及及び啓発に努めるとともに、職業能力開発サービスセンターの利用促進、推進者の選任及び推進者講習の受講の促進を図るものとする。

第5 企業情報等の取扱いについて

中央協会及び都道府県協会は、本事業に携わる者及び携わっていた者が業務上知り得た本事業に係る情報、特に企業秘密に属する情報について、それを部外に漏らすことがないよう、情報を適正に管理するものとする。

第6 報告

中央協会及び都道府県協会は、本事業の実績等について定期的に厚生労働省に報告するものとする。