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委託訓練実施要領
平成13年12月3日能発第519号
最終改正 26年 3月31日能発0331第6・7号
[目次]
第1章 委託訓練に共通する事項
第1 目的
第2 実施主体
第3 訓練対象者
第4 委託先機関について
第5 人材ニーズの的確な把握と訓練コースの設定
第6 訓練コースの設定基準
第7 訓練コースの種類
第8 訓練時間及び訓練期間
第9 委託費
第10 託児サービスの提供について
第11 委託費の支払い
第12 就職支援実績に応じた委託費の支給に関する事項
第13 委託先機関、訓練コースの要件
第14 訓練人員
第15 訓練受講料
第16 委託先機関の選定
第17 契約の締結
第18 契約先機関の実施する就職支援等
第19 訓練の修了
第20 退校等の処分
第21 就職者の把握及び報告
第22 労働災害補償保険の特別加入
第23 託児サービスの実施について
第24 実施状況報告及び調査
第25 予算措置等
第26 その他
第2章 各訓練コースに関する事項(知識等習得コース)
第1 求人セット型訓練について
第2 母子家庭の母等の職業的自立促進のための支援について
第3 委託先機関の実施する就職支援について
第4 ジョブ・カードを活用したキャリア・コンサルティング及び能力評価について
第3章 各訓練コースに関する事項(実践的人材育成コース)
第1 目的
第2 委託先機関
第3 主な対象者
第4 主な対象分野
第5 訓練期間
第6 委託費
第7 訓練コースの設定
第8 大学等が実施する設定の特例
第4章 各訓練コースに関する事項(資格取得コース)
第1 委託費
第5章 各訓練コースに関する事項(母子家庭の母等の特性に応じた訓練コース)
第1 訓練の設定
第6章 各訓練コースに関する事項(刑務所出所者向け職業訓練コース)
第1 訓練受講中の事故発生に備えた取扱い
第7章 各訓練コースに関する事項(定住外国人向け職業訓練コース)
第1 就職支援について
第8章 各訓練コースに関する事項(日本版デュアルシステム(座学先行コース))
第1 訓練コース内容
第2 訓練期間と訓練時間
第3 委託費
第4 訓練計画の策定
第5 コースの設定
第6 訓練導入講習の設定
第7 実習型訓練の設定
第8 委託先機関の実施する就職支援について
第9 ジョブ・カードを活用したキャリア・コンサルティング及び能力評価について
第10 訓練受講中の事故発生に備えた取扱い
第9章 各訓練コースに関する事項(日本版デュアルシステム(企業実習先行コース))
第1 訓練コース内容
第2 訓練期間と訓練時間
第3 委託費
第4 委託先の開拓
第5 コースの設定
第6 実習型訓練の設定
第7 フォローアップ訓練の設定
第8 委託先機関の実施する就職支援について
第9 ジョブ・カードを活用したキャリア・コンサルティング及び能力評価について
第10 訓練受講中の事故発生に備えた取扱い
[別紙]<編注:略>
別紙1―1 就職状況報告
別紙1―2 就職状況報告一覧(参考)
別紙2 委託訓練契約書(参考)
別紙3 委託訓練契約書(参考:就職支援経費対象コース)
別紙4 委託訓練契約書(参考:資格取得コース)
別紙5 準備講習委託契約書(参考:母子家庭の母等の職業的自立促進事業)
別紙6 委託訓練契約書(参考:日本版デュアルシステム(座学先行コース))
別紙7―1 委託訓練契約書(参考:日本版デュアルシステム(企業実習先行コース))
別紙7―2 委託訓練契約書(参考:日本版デュアルシステム:フォローアップ訓練)
別紙7―3 企業実習先行コース企業評価書
別紙8 委託訓練契約書(参考:託児サービス付き訓練コース)
別紙9 託児サービス利用申込書(参考)
別紙10 認可外保育施設指導監督基準チェック表
別紙11 託児サービス日誌(参考)
別紙12 様式4―1 評価シート(参考:日本版デュアルシステム)
別紙13 様式4―2 評価シート(参考:就職支援経費対象コース)
[別添]<編注:略>
別添1―1 委託費算出方法等(フローチャート)
別添1―2 委託訓練実施に当たっての委託費の算出方法等について
別添2 就職状況に係る確認調査実施マニュアル
別添3―1 インフルエンザ等の感染症(感染症名)
別添3―2 インフルエンザ等の感染症(親族の範囲)
別添3―3 感染症の発生により企業実習が実施されなかったことの経緯書
第1章 委託訓練に共通する事項
第1 目的
厳しい雇用情勢が続く中で、再就職に当たり、職業能力の開発を必要とする求職者に対する多様な職業訓練の受講機会を確保するため、専修学校等の民間教育訓練機関をはじめ、大学・大学院、事業主、職業訓練法人、NPO法人等の幅広い教育訓練資源を最大限に活用することが重要となっている。
このため、委託訓練の実施の仕組みについて、以下のとおり定めることとする。
第2 実施主体
実施主体は都道府県及び市町村(以下「都道府県等」という。)が設置する公共職業能力開発施設(以下「能開施設」という。)とする。
ただし、委託訓練の契約締結については、能開施設の長に限定するものではなく、都道府県等の会計規則等に従い、都道府県知事等(以下「知事等」という。)が行うことも可能である。
第3 訓練対象者
(1) 委託訓練の受講生は、次のいずれにも該当する者とする。
① 公共職業安定所(以下「安定所」という。)に求職申込を行っている者
② 職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号。以下「能開法」という。)、職業能力開発促進法施行規則(昭和44年労働省令第24号。以下「能開則」という。)、及び「職業訓練運用要領」(平成10年6月29日付け能発第160号「職業訓練の運用について」別添)に基づき地域の各訓練コースの分野・水準、定員の設定状況等に鑑み設定される委託訓練コースを受講することが適切であると判断され、職業訓練受講指示要領(昭和56年6月8日付け職発第320号、訓発第124号)、職業訓練受講推薦要領(昭和61年1月8日付け職発第11号)及び「求職者支援制度業務取扱要領」(平成23年9月1日付け職発0901第4号、能発0901第5号)に基づき公共職業安定所長(以下「安定所長」という)の受講指示、受講推薦又は支援指示を受けた者
このうち、日本版デュアルシステム(委託訓練活用型)訓練の対象者は、キャリア・コンサルティングを受けた結果、企業実習を通じた実践的な職業訓練の受講が必要であると安定所長に判断された者。
(2) 「定住外国人向け職業訓練コース」については(1)に加え、次のいずれにも該当する者
① 身分に基づき我が国に在留する外国人(日本の国籍を有しない者(日本の国籍を取得した者を含む)をいう。)
② 一定程度の日本語能力を有するものの、本章第7(1)の知識等習得コースを受講する上で配慮が必要である者
第4 委託先機関について
委託訓練の委託先については、専修学校等の民間教育訓練機関等、委託訓練の適切な実施が可能であるものとする。
なお、学校教育法(昭和20年法律第26号)に規定する大学及び高等専門学校(以下「大学等」という。)、職業訓練法人、特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号。以下「NPO法」という。)第2条第2項に規定する特定非営利活動法人(以下「NPO法人」という。)等の教育訓練資源を最大限に活用することとする。
第5 人材ニーズの的確な把握と訓練コースの設定
(1) 都道府県等は、情報通信、介護等の雇用吸収力を有する分野の職種、中小企業の発展に資する職種、企業法務、財務分野等の企業の基盤となる人材に係る職種及び求職者の応募・就職が見込まれる職種を中心として、委託先機関の特性に応じた多様な訓練コースの設定に努め、求職者の動向等を勘案して定員、地域、実施時期等を定めることとする。
(2) 就職に資する訓練コースを設定するに当たっては、人材ニーズを的確に把握した上で実施すること。このため、各都道府県においては、平成24年1月30日付け能能発0130第2号「公共職業訓練の設定に係る都道府県と都道府県労働局との連携について」及び平成24年4月18日付け「関係機関の連携等による職業訓練関係業務の効果的な実施について」(以下「連携通知」という。)に基づき関係機関と連携の上、安定所等の求人・求職情報による職業訓練ニーズを踏まえたコースの設定の検討を行うこと。
また、労働者派遣事業所、民営職業紹介事業所及び各事業主団体等へのヒアリング等により労働市場のニーズを幅広く把握するとともに、各都道府県の実施する産業政策(重点産業、企業誘致計画等)や雇用対策等から、雇用の拡大の見込まれる産業、職業、人材像を総合的に把握すること。
(3) 各都道府県の協議会等を活用しながら、職業安定機関、民間の職業能力開発機関、経済団体等との連携を図ること。
(4) 上記(2)及び(3)において把握した人材ニーズ等を総合的に分析し、必要とされる職業能力開発の目標を明らかにし、連携通知に基づき、都道府県労働局(以下「労働局」という。)と協議の上、地域の教育訓練資源を効果的に活用し、就業に必要な水準の能力を習得できる訓練コースを設定すること。
(5) 訓練コースの設定に当たっては、新規学卒者等の若者の職業能力開発を推進するため、社会人として必要な基礎的な資質の不足等、若年層の特性に配慮したカリキュラムの設定(コミュニケーション能力の向上を図る科目の設定等)に努めること。
第6 訓練コースの設定基準
(1) 訓練コースの内容については、把握したニーズに基づき、多様な設定が可能であるが、次のいずれにも該当しないものとすること。
なお、事業主又は事業主団体への委託訓練の場合は、当該事業主への就職促進に資するものであれば、下記イ、ハ、ホについて、「資格取得コース」の場合は、下記ニについて、この限りではないものとすること。
イ 直接、職業能力の開発・向上に関連しないものや、一定の関連性があっても一般的に趣味・教養・生活等との関連性が強いもの、職業能力のごく一部を開発・向上するに過ぎないもの、通常の就職に当たって特別の教育訓練を要しないもの。
ロ 概ね高等学校普通科の教育までで習得できる基礎的、入門的水準のもの。
ハ 通常の雇用・就業形態を勘案した場合、その職業能力を習得したとしても安定した雇用・起業等に結びつくことが期待し難いもの。
ニ 業務独占又は業務独占的資格の存する職業に係るものであって、当該資格取得に資するために1年以上の訓練コース設定が必要なもの。
ホ 資格取得を目的としたもののうち、当該資格の社会的認知度が総じて低いもの、合格者数が相当程度少なく、かつ、総量規制がなされているもの、専ら公務員としての就職の要件となっているもの。
ヘ 特別の法律に基づかない医療類似行為に係る能力習得を目的とし、訓練実施上、身体への接触が不可避なもの。
ト その他就業に必要な職業能力習得に資する訓練コース設定とするためには、委託訓練期間、委託費等の要件に明らかに当てはまらないものとなるもの。
チ 船員職業安定法第6条第1項に規定する船員の養成に係るもの。
(2) 地域の実情を踏まえて、新規学卒未就職者、若年者、中高年齢者等を主な対象とした訓練コースを設定することは差し支えない。
(3) 特定都道府県の住民のみを対象とした訓練コースの設定はできないものであること。
第7 訓練コースの種類
能開則第9条に規定する短期課程の普通職業訓練(通信の方法によって行う訓練を除く。)として、求職者向けに以下の訓練を実施する。
ただし、下記(3)については、普通課程の普通職業訓練に位置付けることを原則とする。
(1) 知識等習得コース
求職者に必要な知識・技能等の職業能力を付与するための訓練コース
なお、知識等習得コースの受講生のうち、就労経験のない又は就労経験に乏しい、いわゆる長期失業状態にある母子家庭の母及び父子家庭の父並びに自立支援プログラムに基づき、福祉事務所を通じて受講を希望する児童扶養手当受給者及び生活保護受給者について、委託訓練に先立ち、訓練受講及び就職への意識啓発を目的とした準備講習を実施するコースを「母子家庭の母等の職業的自立促進コース」とする。
(2) 実践的人材育成コース
企業において中核的な役割を果たす人材等の高い仕上がり像を目指す訓練コース
(3) 資格取得コース
介護福祉士又は保育士の資格の取得を目的とした訓練コース
(4) 母子家庭の母等の特性に応じた訓練コース
配偶者等からの暴力により、精神的なダメージ等を負った母子家庭の母等に対し、訓練の実施に当たり、指導上の配慮、心理的な配慮を行うとともに、託児サービスを提供する、情報通信分野の基礎力に係る訓練コース
(5) 刑務所出所者向け職業訓練コース
刑務所出所者に対する農作業等に係る訓練コース
(6) 定住外国人向け職業訓練コース
定住外国人向けに日本語能力等に配慮した訓練コース
(7) 日本版デュアルシステム(委託訓練活用型)
民間教育訓練機関等を活用した座学訓練と事業主等への委託による企業実習及び企業実習先での能力評価を行う職業訓練
①座学先行コース
民間教育訓練機関等における座学訓練を先行させ、座学訓練受講後に企業等における実習型訓練を実施する訓練コース
②企業実習先行コース
企業等における実習型訓練を先行させ、実習を通じた受講生の評価に基づき、実習型訓練受講後に必要に応じて民間教育訓練等におけるフォローアップ訓練を実施する訓練コース
第8 訓練時間及び訓練期間
(1) 知識等習得コース
総訓練時間については300時間を標準とし、50時間以上(資格取得を主な目的とするものであり、これ未満の時間を設定することが適当であるものは、この限りではない。ただし、能開則第11条の5の規定のとおり、総訓練時間が12時間以上であること。)であること。なお、訓練期間は1年以下とする。
知識等習得コースのうち、母子家庭の母等の職業的自立促進コースを単独で実施する場合は、月あたりの標準訓練時間を80時間とすることができる。
(2) 実践的人材育成コース
訓練期間は、1年を上限に、6か月~1年を標準とすること。
(3) 資格取得コース
訓練期間は2年以下とする。
(4) 母子家庭の母等の特性に応じた訓練コース
総訓練時間が50時間以上であること。なお、訓練期間は2か月以下とする。
(5) 刑務所出所者向け職業訓練コース
総訓練時間が50時間以上であること。なお、訓練期間は1年以下とする。
(6) 定住外国人向け職業訓練コース
総訓練時間については知識等習得コースに準ずるものであること。
(7) 日本版デュアルシステム(委託訓練活用型)
①座学先行コース
訓練期間は6か月を上限に4か月を標準とすること。
②企業実習先行コース
企業実習及びフォローアップ訓練の期間について、それぞれ3か月を上限とし、企業実習については2か月以上でかつ総訓練時間が150時間以上とするが、企業実習とフォローアップ訓練を合わせてセットする場合には、その合計訓練期間が2か月以上でかつ総訓練時間が150時間以上とすること
※ 入校式や修了式は訓練時間から除くこと。なお、ジョブ・カードを活用したキャリア・コンサルティングについては、訓練時間に含めて差し支えないこと。
第9 委託費
訓練コースの委託費の単価は、受講生1人1月当たり下記の価格を上限とし、個々の経費の積み上げによる実費とすること。
(1) 知識等習得コース:訓練期間が1月を超えるものについては、「就職実績に応じた委託費の支給に関する事項」により算出した額。なお、上記対象外の場合は、60,000円(外税)とする。
(2) 実践的人材育成コース:90,000円(外税)を標準に、各コースの仕上がり像を勘案し、必要な額を設定すること。ただし、150,000円(外税)を上限とする。
(3) 資格取得コース:
90,000円(外税)
ただし保育士については 60,000円(外税)
(4) 母子家庭の母等の特性に応じた訓練コース:60,000円(外税)
(5) 刑務所出所者向け職業訓練コース:90,000円(外税)
(6) 定住外国人向け職業訓練コース:90,000円(外税)
(7) 日本版デュアルシステム(委託訓練活用型)
①座学先行コース:60,000円(外税)
②企業実習先行コース:60,000円(外税)
ただし、1月当たりの訓練時間が100時間未満のもの(上記(3)については除く。また、知識等習得コースのうち、母子家庭の母等の職業的自立促進コースを単独で実施する場合は、1月当たりの訓練時間が80時間未満のものとする。)にあっては、上記の価格を訓練時間の割合で按分する。なお、1単位時間を45分以上60分未満とする場合にあっては、当該1単位時間を1時間とみなす。
なお、訓練実施経費の委託単価を上記の金額を超えて設定しようとする場合は、厚生労働省への事前協議を必要とするものであること。
第10 託児サービスの提供について
知識等習得コース、実践的人材育成コース、母子家庭の母等の特性に応じた訓練コース、定住外国人向け職業訓練コースの受講生については、託児サービスを提供することができる。具体的な取扱いについては、別記のとおりとする。
第11 委託費の支払い
(1) 委託費の支払い及び支払い時期
委託費は、委託先機関の請求により、訓練の行われた期間について訓練終了後に支払われるものであること。
(2) 委託費支払い基準
委託費の額は受講生1人につき訓練実施後1か月(訓練開始日又はそれに応当する日を起算日とし、翌月の応当する日の前日までの区切られた期間を「1か月」として取り扱う。ただし、中途退所者が発生した月については、退校までの日とする。以下「算定基礎月」という。)毎に算定することとし、当該算定基礎月において、あらかじめ定められた訓練時間の80%に相当する時間の訓練を受講した者を対象に委託費を算定し、委託先機関に対して支払いを行うこと(当該要件を満たす月について以下「支払対象月」という。)。
また、算定基礎月において、あらかじめ定められた訓練時間の80%に相当する訓練を受講していない場合であっても、訓練開始日から訓練終了日までの全訓練期間(受講生が中途退所した場合は退校までの期間)における訓練時間の80%に相当する時間の訓練を受講した者に対しては、全訓練期間について支払対象月とする。
(3) 訓練期間が3か月を超える場合の特例
上記に関わらず、訓練期間が3か月を超える場合は、必要に応じて3か月を単位として、3か月経過毎に支払いを行うことができるものとする。
この場合、3か月の訓練実施後に支払い対象となる算定基礎月について、訓練の出欠状況が確認できる書類を提出させて、月ごとに算定基準を満たしているかを確認し、支払対象月を対象に支払いを行うこと。
また、算定基礎月においてあらかじめ定められた訓練時間の80%に相当する訓練を受講していない場合であっても、3か月を単位として当該3か月における訓練時間の80%に相当する時間の訓練を受講した者に対しては、当該3か月全期間について支払対象月とする。この場合、訓練開始日から訓練終了日までの全訓練期間による算定は行わないこととする。
(4) 支払額
支払対象月に1人当たりの月額単価を乗じた委託費を支払うものとする。
なお、訓練の開始日又はそれに応当する日を起算日とし、受講生が中途退所した場合、又は委託契約を解除した場合等、あらかじめ定められた訓練終了日より訓練が早期に終了した場合は、委託費の額は1か月毎に算定し、当該支払対象月について
① 訓練が行われた日(以下「訓練日数」という。)が16日以上又は訓練が行われた時間(以下「訓練時間」という。)が96時間以上である時は月額単価とし、
② 訓練日数が16日以上又は訓練時間が96時間以上のいずれにも該当しない場合は、訓練をすべき日数(日曜日、国民の祝日その他委託先機関が休日とした日(ただし、夏季冬季等の休日等を除く。)及び翌月の応当日の前日より前に訓練が終了する場合にあっては終了日以降の日を除く。)を分母に、訓練日数を分子にして得た率に、月額単価を乗じて得た額を当該月の支払額とする(1円未満の端数は切り捨てる。)。
例外として、資格取得コースについては、全て暦月毎に(1日~月末まで)計算することによって得た額とすることとし、訓練期間中に、夏季冬季等の休暇により訓練すべき日数がない月がある場合、当該月は出席時間80%要件を満たすものとして取り扱うこととする。
(5) 複数年度の支払い
年度をまたぐ訓練実施に伴い、債務負担行為を活用した複数年度契約を行う場合、契約書に記載された年度毎の契約額の範囲内において、年度毎に要した委託費について委託先機関の請求に基づき支払うものであること。
その場合、契約書に記載された複数年度契約のうち初年度分に要した経費に関しては、その訓練期間、訓練が終了しているか否かに関わらず、当該年度末をもって委託先機関から請求させる必要があるものであること。
算定基礎月が年度をまたぐ場合、訓練開始日又はそれに応当する日を起算日として翌月の応当日から訓練開始年度終了時(3月31日)まで、次年度開始日(4月1日)から訓練開始日に応当する日の前日及び当該月(4月)の応当日から訓練終了日に応当する日の前日までをそれぞれ単位とし、各期間について支払対象月となるか算定すること。
また、1ヶ月間の途中で年度をまたぐ場合、当該またぐ月の訓練開始年度に訓練日数が16日以上又は訓練時間数が96時間以上であれば、訓練開始年度に支払う委託費は1か月分とする。
訓練日数が16日以上又は訓練時間が96時間以上のいずれにも該当しない場合は、訓練をすべき日数を分母に、訓練日数を分子にして得た率に、月額単価を乗じて得た額を当該月の支払額とする(1円未満の端数は切り捨てる。)。
<またぐ月の訓練開始年度の計算式> (月額単価)×(またぐ月における訓練開始年度の訓練日数)/(またぐ月における1ヶ月間の訓練すべき日数) |
なお、またぐ月の訓練終了年度分の算出については、次のとおり計算して得た額とする。
<またぐ月の訓練終了年度の計算式> (月額単価)-(訓練開始年度の計算式で算出した開始年度経費額) |
また、訓練開始日から訓練開始年度終了時まで、次年度開始日から訓練終了日までを単位とし、それぞれの期間における訓練時間の80%に相当する時間の訓練を受講した者に対して、当該全期間について支払対象月とし、訓練開始日から訓練終了日までの全訓練期間による算定は行わないこととする。
(6) インフルエンザ等の感染症を理由とした欠席についての取扱い
インフルエンザ等の感染症(学校保健安全法施行規則(昭和33年文部省令第18号)第18条に規定する感染症をいう。以下同じ。)(別添3―1参照)に感染し、他の受講生の健康に被害を与え得る受講生が、能開施設の長の指示により出席停止となった場合、又は自宅待機が必要であったと能開施設の長が認める場合、当該受講生が訓練を欠席した期間については、委託費支払いの出席要件80%以上の算定に当たって、算定対象としないものとする(訓練時間から除くものとする)。
なお、感染したことの確認は、医師又は担当医療関係者の証明書等の証明書類(薬剤情報提供書(医療機関又は調剤薬局の処方箋等)、診療明細書や領収証を含む。)を提出させることにより行うものとする。
また、親族(民法第725条に規定する親族、すなわち6親等以内の血族、配偶者及び3親等以内の姻族をいう。以下同じ。)(別添3―2参照)又は受講生本人の同居人(上記親族以外の者を指す。以下「同居人」という。)がインフルエンザ等の感染症に感染し、医師又は担当医療関係者が、受講生本人を含む親族又は同居人の自宅待機が必要と判断した場合についても、同様の取扱いとする。
(7) 補講等の取扱い
受講料は無料としており、補講等を実施する場合の費用についても、訓練生の負担とはしないものとする。なお、当該補講等を実施したことにより、欠席した時間と同程度の受講が認められる場合、予め定めた訓練時間数を上限とし、受講時間として算出することとする。
訓練終了(予定)日の翌日以降に実施する補講等は、費用を徴収しない場合でも、委託費の算出対象となる訓練時間には含まないものとする。
ただし、普通課程の普通職業訓練である資格取得コース及び短期課程の普通職業訓練のうち資格取得に係る法定講習であって、無料補講等の実施が困難な訓練コースは、資格取得のために必要な補講等を実施する場合、その費用を訓練生の負担とすることができ、当該補講等を実施した時間については、以下のとおりとする。
なお、補講等に係る費用を訓練生が負担する必要がある場合、訓練コースの募集時に予め訓練受講希望者に対し、費用負担額を周知すること。
イ 補講等に係る費用を訓練生から徴収する場合
補講等分の時間は受講時間の算定に含めないこととする。
ロ 補講等に係る費用を訓練生から徴収しない場合
補講等を実施したことにより、欠席した時間と同程度の受講が認められる場合、予め定めた訓練時間数を上限とし、受講時間として算出することとする。
(8) 委託費の返還
委託先機関が委託契約の内容又はこれに付した条件に違反した場合には、能開施設は当該委託先機関に対し、すでに支払った委託費の額の全部又は一部を返還させるものとすること。
第12 就職実績に応じた委託費の支給に関する事項
(1) 目的
委託訓練における就職状況は、施設内訓練に比し低い状況となっている。このため、委託先機関において実施した訓練コースの安定的な雇用に係る就職率に応じて委託費を支給することにより、就職率の向上とともに、求職者の安定的な雇用の実現を図る。
(2) 対象となる委託訓練コース
「知識等習得コース」のうち訓練期間が1月を超えるものを対象とする。ただし、以下の場合を除くものとする。
イ 訓練コース内容に占める職場を活用した実習等による訓練の比率が9割以上のもの
ロ 求人セット型訓練
ハ 事業主が委託先機関となり、定員が1~3名程度の少人数で実施する訓練コース(事業主団体が委託先機関となり、傘下事業主に訓練の一部を再委託する形態による訓練コースを含む)
ニ 新規の訓練コース設定等が困難な場合に、民間教育訓練機関等が一般向けに既に開設しているもので都道府県が事前に認定を行った訓練コースから、個々の求職者が自らのニーズ等を踏まえて自主的に選択したものについて、訓練の委託を行い、実施するもの
ホ 実態として全国的に特別な対策としての側面を併せ持つ等の訓練コース
(3) 委託費
委託費は、以下の訓練実施経費と就職支援経費の和により算出するものとする。
(4) 訓練実施経費
訓練実施経費の単価は、直接訓練を実施することに係る個々の経費の積み上げとし1人1月50,000円(外税)を上限とすること。ただし、1月当たりの訓練時間が100時間未満のものにあっては、上記の価格を訓練時間の割合で按分する。なお、1単位時間を45分以上60分未満とする場合にあっては、当該1単位時間を1時間とみなす。
なお、訓練実施経費の委託単価を上記の金額を超えて設定しようとする場合は、厚生労働省への事前協議を必要とするものであること。
その他、訓練実施経費の支払いについては、本章第11「委託費の支払い」を準用することによって得た額とする。
(5) 就職支援経費
就職支援経費の単価は、受講生全員を就職させるために必要な就職支援の実施に係る経費相当額として、下記イに定める額とする。
イ 支給額
就職支援経費の額については、下記ハにより算出する「就職支援経費就職率」に応じ、それぞれ以下に定めるところによるものとする。ただし、対象月のうち、「支払対象月」に該当しない月がある者については、当該月を対象月数から除くこととする。
ただし、1月当たりの訓練時間が100時間未満のものにあっては、下記の価格を訓練時間の割合で按分する。なお、1単位時間を45分以上60分未満とする場合にあっては、当該1単位時間を1時間とみなす。
① 就職支援経費就職率 80%以上 20,000円(外税)
② 就職支援経費就職率 60%以上80%未満 10,000円(外税)
③ 就職支援経費就職率 60%未満 支給なし
ロ 支払額
就職支援経費の支払い額の算出方法は、以下によって計算される額を支給する。
<就職支援経費の支払額> 受講者数×就職支援経費×対象月数 |
なお、「対象月数」については、3月を越える訓練であっても終了月を含む直前3月のみとする。ただし、訓練終了月が1月(訓練開始日又はそれに応当する日を起算日とし、翌月の応当する日の前日までの期間)に満たない場合には、訓練終了月を除いて算定することとして差し支えない。
また、受講生が中途退所した場合、又は委託契約を解除した場合等、あらかじめ定められた訓練終了日より訓練が早期に終了した場合は、委託費の額は、本章第11(4)を準用することによって得た額とする。
ハ 就職支援経費就職率
就職支援経費就職率の算定方法は以下のとおりとする。
<就職支援経費就職率> |
当該就職支援経費の対象となる「対象就職者」とは、以下のとおりとする。
① 訓練修了後3か月以内(この場合の「訓練修了後3か月以内」とは、「訓練修了日の翌日から起算して90日以内」とする。以下同じ。)に就職(就職のための中退者を含む。)又は内定した者のうち、「雇用期間の定め無し」又は「4か月以上」の雇用期間により雇い入れられた者(この場合の「4か月以上」とは、「雇い入れの日から起算して120日以上」とする。)及び自営を開始した者(以下「対象就職者」という。)
② ただし、訓練修了後3か月以内に、4か月未満の雇用期間により就職又は内定したものであって、その後、訓練修了後3か月以内に、「雇用期間の定め無し」又は「4か月以上」の就職又は内定した者については、「対象就職者」として取り扱うものとする。
③ 就職した者のうち、一般労働者派遣事業(登録型派遣事業)により派遣される場合は、就職者は訓練修了後3か月以内に派遣先に就業(就業予定は除く)した者に限ることとし、自営業の場合は、訓練終了後3か月以内に設立又は開業し、かつ法人設立届出書又は個人事業開廃届出書の写しを提出した者に限るものとする。
④ 委託先機関又はその関連事業主に雇用された又は内定した場合は、雇用保険の加入者又は加入予定者に限ることとし、委託先機関は下記ホの報告の際に、雇用保険被保険者資格取得確認通知書(雇用保険被保険者資格取得届等受理後に安定所長から事業主に交付)の写しを提出するものとする。
⑤「内定」は、下記ホの訓練修了者等からの書面に就職予定日の記載がある場合のみ可とする。
⑥「訓練修了者」からは、下記ホの報告の日以前に、複数の職業訓練に係る受講指示を受けたことにより、再度の訓練受講中である又は予定している者を除くものとする。
ニ 委託費の返還
委託先機関が委託契約の内容又はこれに付した条件に違反した場合については、本章第11(8)を準用するものとする。
ホ 実施状況報告及び調査
実施状況報告及び調査については、本章第24「実施状況報告及び調査」を準用するものとする。
(6) 確認調査等
イ 就職状況等に係る確認調査
本章第24「実施状況報告及び調査」に基づき、随時出欠状況を確認し不正行為等の有無を確認するとともに、本章第21「就職者の把握及び報告」に基づき、委託者は、就職状況等について一定数の確認調査を行うものとする。
なお、確認調査の具体的な実施については、別添2「就職状況に係る確認調査実施マニュアル」に基づくこと。
ロ 不正受給に対する措置
偽りその他不正の行為により就職支援経費の支給を受けたこと、又は受けようとしたことが明らかとなった委託先機関については、委託者は、不正に係る委託訓練の委託契約を締結した日から2年間、受託機会を与えないこととするほか、必要な措置を講ずるものとする。
(7) その他
この項に該当する訓練コースを委託する場合には、別紙3「委託訓練契約書(参考:就職支援経費対象コース)」により、契約を締結するものとする。
第13 委託先機関、訓練コースの要件
(1) 教科内容、施設・設備等の確保
委託先機関は、訓練コースの設定に当たって、職業訓練の水準維持のため、能開則第11条の規定に基づく適切な教科内容、施設・設備等を確保すること。
具体的な運用に当たっては、能開則別表第2の普通課程の普通職業訓練に係る訓練基準(訓練時間を除く。)及び能開施設の施設内で実施している短期課程の普通職業訓練の訓練基準等を参考にすること。
(2) 訓練の指導を担当する者の配置
訓練の指導を担当する者は、職業訓練指導員免許を有する者又は能開法第30条の2第2項の規定に該当する者であり、職業訓練の適切な指導が可能であると認められる者(担当する科目の訓練内容に関する実務経験を5年以上有する者、学歴又は資格によって担当する科目の訓練内容に関する指導能力を明らかに有すると判断される者等職業訓練の適切な指導が可能な者を含む。)であること。
また、訓練を指導する者の配置については、訓練内容が実技のものにあっては15人に1人以上、学科のものにあっては概ね30人に1人以上の配置をすることを標準とすること。
(3) 訓練内容・訓練コースの確認
教科内容等については、就職のために必要な能力習得を適切に実施することができる体制を確保することとし、委託訓練実施計画の提出をもって当該機関の訓練内容・訓練コースが委託訓練として適切かどうか確認することとする。
第14 訓練人員
委託訓練を行う一単位の受講者数は、概ね10人から30人とする。ただし、離転職者等の発生状況及び地域労働市場の動向等によって弾力的に取り扱うものとし、1人以上を単位とすることができるものとする。
第15 訓練受講料
受講料は、無料とすること。
ただし、受講生本人の所有に帰するテキスト代等は、受講生本人の負担とする。この場合にあっては、訓練に真に必要なものに限定するとともに低廉な額となるよう配慮すること。
第16 委託先機関の選定
(1) 委託先機関の選定
イ 委託訓練は、民間教育訓練機関等が能開施設に代わり、公共職業訓練を実施するものであることから、委託先機関の選定、訓練コースの設定に当たっては、真に就職に資するものとなるよう、的確・効果的に行うこと。
このため、新たに民間教育訓練機関等を委託先機関とする場合においては、当該民間教育訓練機関等の学生(講座等受講生)の就職状況、本章第18「委託先機関の実施する就職支援等」における就職支援の実施見込み等を、また、訓練受託実績がある場合には、受託実績(就職率、就職支援への取組み状況等)等を踏まえ選定を行うこと。
また、上記に加え、平成26年度から独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構において、職業訓練サービスの質向上を目指す「民間教育訓練機関における職業訓練サービスガイドライン」(平成23年策定)を活用した「民間教育訓練機関における職業訓練サービスガイドライン研修」が実施されることから、当該研修の受講状況も踏まえた選定を行い、一層の訓練の質の向上に努めること。
ロ 当面、直近の受託訓練コースの就職率が、同一地域の同一・類似分野の他の訓練コースに比べ、有意に低い場合には、当該機関・訓練コースは委託の対象としないこと。
同一地域内において同一・類似の訓練コースがない時は、当該訓練コースの就職率が同一地域内全体の就職率と比較して、著しく低い場合には、当該訓練コースを委託の対象としないこと。
また、特定の訓練分野に係る就職率が、同一地域内の他の分野の就職率と比べて著しく低い場合には、当該特定分野の訓練定員を縮小する等見直しを行うことにより、就職率の確保に努めること。(本章第12(2)に該当する訓練コースについては、当該ロの規定は下記(2)の規定に読み替えるものとする)
ハ 年度当初の時点では計画に基づくすべての訓練コースの設定は行わず、年度途中の雇用失業情勢や人材ニーズの変化等に機動的に対応できるよう、訓練コースの設定や契約方法に工夫を講ずること。
(2) 就職実績に応じた委託費の支給を行う訓練コースにおける特例
就職実績に応じた委託費の支給を行う訓練コースにあっては、委託先機関の選定に当たり、以下の取扱いとすること。
なお、この項における「就職率」の算定に係る就職者については、本章第12(5)ハに定める就職者に限定せず、以下のとおり算出するものとする。
また、「常用」、「臨時」、「パート・アルバイト」、「派遣」の雇用形態で就職した者を就職者とし、「日雇」は就職者に含まないものとする。ただし、「常用」、「臨時」、「パート・アルバイト」、「派遣」により就職した者であっても、「1か月未満」の雇用期間で就職した者は就職者に含まないものとすること。
<委託先機関の選定に係る就職率> |
イ 就職率が初めて35%未満となった場合の取扱い
委託先機関において実施した訓練コースの就職率が初めて35%未満となった場合、当該委託先機関がその後当該訓練コースと同一又は類似の訓練コース(以下「同種の訓練コース」という。)の実施を希望する場合(2回目)には、委託者は、就職実績が向上するよう、訓練内容の見直し、就職支援体制の整備等に関して改善指導・助言を行うものとする。
ロ 就職率が2回目に35%未満となった場合の取扱い
当該委託先機関が、2回目の同種の訓練コースを実施して就職率が35%未満となった場合、それ以後直近の委託者が行う委託先機関選定に当たって、当該委託先機関が2回目と同種の訓練コースの設定を希望する場合には、当該訓練コースは委託の対象としないものとする。
ただし、この場合において、2回目の訓練コースを実施して就職率が35%未満となった場合以後、直近の委託先機関選定までの間において、その後に2回目と同種の訓練コースの実施に関して既に委託契約を締結又は締結を予定している場合には、委託者による改善指導・助言を受けることを前提に3回目の訓練コースを実施又は委託契約の締結、訓練実施を認めることとする。この際、以後直近の委託先機関選定までの間に、実施した3回目の訓練コースの就職率が35%以上となった場合に限り、当該委託先が3回目と同種の訓練コースの設定を希望する場合、委託の対象として差し支えない。
(3) 不正行為に対する処分
偽りその他不正な行為を行い、又は行おうとしたことが明らかとなった委託先機関については、委託者は、不正に係る委託訓練の委託契約を締結した日から2年間受託機会を与えないこととするほか、必要な措置を講ずるものとし、訓練のあっせんを行う安定所等関係機関に情報提供を行うこと。
また、受託機会の制限については、他の要領に基づく委託訓練や求職者支援訓練において不正行為があった場合も同様とする。
詳細は、別添2「就職状況確認調査実施マニュアル」も参考とすること。
(4) 訓練コース内容の明示
訓練コースが設定された場合、能開施設は、受講対象者の条件(何をできる者を対象とするかの条件)、訓練により習得できる内容(できるようになる事柄の内容)、受講生が受けることのできる就職支援の内容、自己負担の内容・金額の目途(受験料、自己の所有に帰属する教材費の経費等)をあらかじめ具体的に明示し、安定所を通じ求職者に示すこと。具体的に求職者に対し提供すべき情報については、別途指示する通知による。
また、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(以下「機構」という。)が運営する訓練コース情報提供システムを活用する等、求職者に対して広く情報提供を行うようにすること。
第17 契約の締結
能開施設の長又は知事等は、訓練を委託する場合には、別紙2「委託訓練契約書(参考)」(ただし、本章第7(3)の「資格取得コース」を委託する場合には、別紙4「委託訓練契約書(参考:資格取得コース)」、また、第7(7)の「日本版デュアルシステム(委託訓練活用型)」を委託する場合には、別紙6「委託訓練契約書(参考:日本版デュアルシステム(座学先行コース))」及び別紙7―1、7―2に定める「委託訓練契約書(参考:日本版デュアルシステム(企業実習先行コース))」により契約を締結するものとする。
なお、年度をまたぐ訓練実施に伴い、債務負担行為を活用した複数年度契約を行う場合は、契約額総額のほか、その内訳として年度毎の契約額及び対応する期間を契約書に記載するものとする。
(1) 委託契約は、次のいずれかに該当するときは変更又は解除することができる。
イ 委託先機関が特別の事情により、能開施設の長又は知事等に対し委託契約の変更又は解除の協議をし、同意を得たとき。
ロ 次のいずれかに該当すると能開施設の長又は知事等が認めたとき。
① 委託契約締結後の事情の変更により当該委託訓練を実施できなくなった場合
② 委託先機関が、委託契約の内容又はこれに付した条件に違反した場合
(2) 知事等が契約を締結する場合は、訓練実施に直接的に関連する業務(委託先機関に対する監督・指導等)については能開施設の長が行う旨を契約書に記載するものとする。
(3) 第9章第7「フォローアップ訓練の設定」により、民間教育訓練機関等の協力を得て予めフォローアップ訓練を設定する場合であって、その訓練実施に当たっては、より効果的、効率的な実施が可能であると能開施設の長が判断する場合には、企業実習と座学を組み合わせた当該訓練を民間教育訓練機関等に一括して委託することができるものとする。
第18 委託先機関の実施する就職支援等
(1) 受講生の選考
委託先機関は、能開施設の求めに応じ、受講生の選考及びその準備(書類選考(応募動機・就職意欲の確認等)、適性検査、面接試験、学科試験問題の作成・実施等)等に参加し、必要な協力を行うこと。
(2) 就職支援の実施
委託先機関は、訓練期間中及び訓練終了後を通じ受講生の就職促進に努めることとする。委託先機関が実施する就職支援の内容については、事前に能開施設に対し明確にし、その内容は委託契約書に明記すること。また、能開施設は、受講生の募集に際し、就職支援の内容を訓練受講希望者に対して明確にすること。なお、具体的な就職支援内容については、職務経歴書・履歴書の作成指導、面接指導、ジョブ・カードを活用したキャリア・コンサルティング、職業相談、求人開拓、求人情報の提供、職業紹介(無料の職業紹介の届出又は許可を受けている場合及び有料職業紹介の許可を受けている場合に限る)等、受講生の就職に資する各種取組みとする。
能開施設は、委託先機関へ求人情報の提供、就職支援に関する技術的支援(求人開拓の実施方法、職業相談の実施方法等)等、巡回就職支援指導員等を活用することにより、委託先機関の行う就職支援の援助を積極的に行うこと。また、巡回就職支援指導員は、就職支援の実施状況を確認するとともに、的確な就職支援がなされていない場合は、委託先機関に必要な指導・助言を行うこと。
(3) 求職者支援制度の実施に伴う措置等について
イ 給付手続き等のための指定来所日への配慮について
求職者支援制度の対象者であるは、月ごとの指定来所日に安定所に来所する必要がある。
このため、安定所が指定来所日の日時を指定するに当たっては、対象者が受講する訓練コースのカリキュラムに配慮し、できる限り受講の継続や訓練の修了に影響が小さい日を選定することとしているが、それでもなお、指定来所日当日においては、受講生が訓練を欠席又は遅刻・早退等せざるを得ない可能性がある。
受講生が欠席又は遅刻・早退等により訓練受講できない訓練内容については、補講等により、可能な限り対応を行うこと。
ロ 職業訓練受講給付金支給申請書への受講証明について
求職者支援制度の対象者である受講生は、指定来所日に安定所に来所し、職業相談を受けるとともに給付金の支給申請を行う必要があり、支給申請の際には、当該受講生から安定所に「職業訓練受講給付金支給申請書」を提出することが必要であり、委託先機関において、あらかじめ受講証明を行うこと。
また、事業主団体等に委託して行われる職場実習等を要する訓練コースの実習先において、受講生本人以外の者がインフルエンザ等の感染症(別添3―1参照)に感染したことにより、受講生本人が訓練を受講できなかった日については、本章第11(6)の取扱いに準じ、訓練を行わなかった日(訓練受講が求められていない日)として取り扱うが、その確認は、訓練実施施設からの経緯書等(別添3―3参照)により確認すること。また、このような事例が発生した場合には都道府県労働局へ相談すること。
第19 訓練の修了
(1) 受講生があらかじめ定められた訓練時間を受講し、訓練終了時に受講生の保有する技能及びこれに関する知識の程度が修了に値すると認められる場合に修了させること。
なお、所定の訓練以外に補講等を実施し、その結果、修了に値すると認められた場合にも、訓練を修了させることができること。
また、受講生が疾病その他やむを得ない事由により所定の訓練の一部を受けていない場合については、当該受講生の受けた訓練時間が、教科編成においてあらかじめ定められた学科及び実技の訓練時間のそれぞれ80%に相当する時間以上でかつ当該受講生の保有する技能及びこれに関する知識の程度が修了に値すると認められる場合、訓練を修了させることができること。
(2) 養成施設等の指定を受けている委託先機関にあっては、上記(1)にかかわらず、修了の要件を当該指定の要件に適合するものとすること。
なお、本章第7(3)の「資格取得コース」については、平成23年1月7日付け能能発0107第5号「離職者訓練(委託訓練)に係る介護福祉士養成コース及び保育士養成コースにおける技能照査について」に基づき、委託先機関から卒業証明書又は修了証明書が交付された者に対して、能開施設の長が技能照査の合格証書を交付すること。
第20 退校等の処分
能開施設の長は、受講生が委託先機関において職員の指示に従わない等当該機関内の規律を乱した場合や欠席、遅刻及び早退が著しく多いなど受講生として相応しくないと認める場合、訓練の修了が見込まれない場合は、当該受講生に対し、退校等の処分を行うことができるものとする。
なお、処分後は速やかに関係職業安定機関へ報告すること。
第21 就職者の把握及び報告
委託先機関は、訓練修了者及び就職のための中退者(以下「訓練修了者等」という)の訓練修了後3か月以内の就職状況(就職のための中退者の場合は、中退時の就職状況)について、訓練修了者等からの書面の提出により把握を行うとともに、委託者に対し当該把握結果を報告するものとする。また、報告の際には、訓練修了者等からの書面を添付するものとする。
なお、委託者への報告は、訓練修了日の翌日から起算して100日以内を報告期限とする(ただし、訓練修了後3か月以内に委託先機関又は関連事業主に内定した訓練修了者等に関しては、訓練修了日の翌日から起算して120日以内を報告期限とする。)。
第22 労働者災害補償保険の特別加入
事業主団体等に委託して行われる職場実習等を要する訓練コースにあたっては、災害が発生した場合に、それを補償するため受講生について労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号。以下「労災法」という。)第33条に定める労働者災害補償保険(以下「労災保険」という。)の特別加入の対象者とする。
特別加入の対象となる期間は、企業等での実習型訓練を実施する期間であり、例えば、訪問介護員養成課程においては企業等で実施する介護演習の期間のみが加入の対象となり、講習や演習等の座学の期間は加入の対象とはならないものとする。
(1) 労災保険の特別加入の方法
受講生の労災保険への特別加入は、当該受講生が労災法第33条第5号に該当する者として同法第35条第1項の規定に基づく団体を結成し、管轄の労働基準監督署長を経由して都道府県労働局長あて申請することが必要であるが、特別加入及びその後の関係事務は、都道府県等において行うものとする。
(2) 特別加入申請の手続
イ 特別加入の申請団体名を「○○県委託訓練生組合」とし、代表者は都道府県等職業能力開発主管課長をもってあて、事務所を都道府県等職業能力開発主管課内に置くものとする。
ロ 特別加入の対象は、当該年度における事業主団体等に委託して行われる職場実習を要する訓練コースの受講生のうち、委託先機関が事業主又は事業主団体である者とする。
(3) 給付基礎日額
労働者災害補償保険法施行規則(昭和30年労働省令第22号)第46条の24に規定する給付基礎日額については、以下のとおりとすること。
イ 雇用保険法(昭和49年法律第116号)第13条の規定に該当する者及び同法第39条第1項の規定に該当する者については、当該基本手当の額の算定の基礎となる賃金日額が3,500円を超え、25,000円以下である場合、同給付基礎日額の決定基準額(3,500円、4,000円、5,000円、6,000円、7,000円、8,000円、9,000円、10,000円、12,000円、14,000円、16,000円、18,000円、20,000円、22,000円、24,000円及び25,000円)に相当する額のうち、当該基本手当の額の算定の基礎となる賃金日額の直近の高い額とし、25,000円を超えるものにあっては25,000円とする。
ロ 雇用対策法(昭和41年法律第132号)第18条第2号の給付金(以下「訓練手当」という。)を受ける者については、当該訓練手当の基本手当日額が同給付基礎日額の決定基準額に相当する額のうち、直近の高い額とする。
ハ 上記イからロまでに該当する者以外の者については、3,500円とする。
(4) 保険料の算定
保険料については、給付基礎日額に応ずる労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則(昭和47年労働省令第8号。以下「徴収則」という。)別表第4「特別加入保険料算定基礎額表」の右欄の保険料算定基礎額の12分の1の額(その額に1円未満の端数があるときは、これを1円に切り上げる。)に事業主団体等に委託して行われる職場実習を要する訓練コースの受講生の訓練月数(暦月により計算することとし、端数は1月に切り上げる。)を乗じて得た額を「保険料の算定の基礎となる額」とし、この額に1000分の4(徴収則別表第5「第2種特別加入保険料率表」の特15)を乗じて算定するものとする。
なお、保険年度の中途又は2保険年度にわたって当該委託訓練を受講する場合の受講を開始した保険年度についての保険料は、特別加入した月から当該保険年度の末日までの当該受講生の訓練月数(暦月により計算することとし、端数は1月に切り上げる。)により計算するものとする。
(5) 概算保険料及び確定保険料の申告・納付
概算保険料及び確定保険料の申告・納付に当たっては、各都道府県労働局と相談の上、適切に手続きを行うものとする。
なお、確定保険料の申告に際しては、当該保険年度における全受講生について賃金総額の内訳書を添付するものとする。
(6) 保険給付の請求
保険給付請求を行う場合、保険給付請求書の事業主の証明は、当該特別加入団体の代表者が行うこととし、また、証明事項のうち、負傷又は発病年月日、災害の原因及び発生状況等については、委託先機関のその事実を証明する書類を添付するものとする。
なお、平均賃金欄に記載されるべき給付基礎日額については、当該特別加入団体の代表者が給付基礎日額証明書により証明するものである。
(7) 加入者名簿の整理
都道府県等職業能力開発主管課において、訓練開始年月日、訓練終了年月日、当該年度内における訓練月数等を記載した「特別加入者名簿」を整備する。
(8) その他
イ 本業務については、各都道府県労働局又は管轄の労働基準監督署と協議の上、進めるものとする。
ロ 保険料については、本章第25〈予算措置等〉に規定する国から都道府県等に対して交付する訓練実施に係る予算から支弁するものとする。
ハ 当該保険に特別加入する受講生に対して、あらかじめ、当該保険に加入する旨を周知することが望ましいこと。
第23 託児サービスの実施について
(1) 託児サービスの利用対象者
次のいずれにも該当する者であること。
イ 就学前の児童の保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護する者をいう。以下同じ。)であって、職業訓練を受講することによって、当該児童を保育することができない者、かつ、同居親族その他の者が当該児童を保育することができない者
なお、就学前の児童とは、児童福祉法第4条において定める児童のうち、就学前の児童とし、次の①、②に分類されること。
①乳児:満1歳に満たない者
②幼児:満1歳から、小学校就学の始期に達するまでの者
また、児童のうち、障害児等、特にケアが必要な児童についても、託児サービス提供機関において対応が可能な場合、受講生募集の際に周知すること。
ロ 能開施設の長が、利用希望者から提出された託児サービス利用申込書等に基づき、当該訓練受講に際し、託児サービスの利用が必要であると認めた者
なお、託児サービス利用希望者は、託児サービス利用申込書(参考様式:別紙9)を能開施設の長に提出することとするが、訓練の受講申込書と一緒に公共職業安定所において受理し能開施設の長へ取り次ぐことも可能であること。
(2) 託児サービスの内容
イ 託児サービスの提供内容(保育内容)
上記(1)の利用対象者に対し、訓練時間中及び休憩時間中に、児童福祉法(昭和22年法律第164号)に定める保育所及び一時預かり施設においては、児童福祉施設最低基準(昭和23年厚生労働省令第63号)を満たす保育内容を、認可外保育施設においては、認可外保育施設指導監督基準(平成13年3月29日付け雇児発第177号)を満たす保育内容を提供すること。
なお、授乳・補水補助については託児サービス提供内容に含むものとするが、食事等の補助については、託児サービス提供機関等と協議の上、託児サービスの提供内容に含むものとするか否かを決定すること。
また、託児サービス提供内容については、受講生募集等の際に必ず書面において受講生に周知すること。
ロ 託児サービスの提供方法
次のいずれかの方法により託児サービスを提供すること。
① 施設内託児サービス
委託訓練を実施する機関(以下「訓練実施場所」という。)の施設内において、訓練実施機関自らが又は委託により、託児サービスを提供する。
② 施設外託児サービス
訓練実施場所の施設外において、訓練実施機関自らが又は委託により、託児サービスを提供する。また、上記実施方法に加え、能開施設の長又は知事等が委託により、託児サービスを提供することも可能とする。
この場合であっても、原則として受講生自らが施設外託児サービス提供場所まで児童の送迎を行う必要があること。
なお、訓練実施場所の近隣において施設外託児サービスの提供ができない場合、訓練実施場所には受講生と施設外託児サービス提供機関との間で児童の引き渡しを行う場所を設け、施設外託児サービス提供機関は送迎中の安全に配慮のうえ、その場所まで児童の送迎を行う等、必要に応じて対応すること。
また、近隣の施設外託児サービスの場所は、訓練実施場所から通所可能な適切な距離にある場所であること。
(3) 託児サービス提供機関の要件
次のイ~ニの基準について、いずれにも該当する機関であること。また公募する際には以下の要件を付すこと。
イ 児童福祉法(昭和22年法律第164号)に定める次のいずれかの施設において託児サービスを実施すること。
① 保育所(児童福祉施設最低基準(昭和23年厚生労働省令第63号)を満たしているもの)(原則として、保育所で行われる一時預かり事業に限る)
② 認可外保育施設(認可外保育施設指導監督基準(平成13年3月29日付け雇児発第177号)を満たしているもの)
③ 一時預かり事業を行う施設(児童福祉法第34条の12に規定する基準を満たしているもの)
ロ 託児サービス提供機関自らが、託児中の事故等に備え、傷害保険、賠償責任保険等に加入すること(保育を受ける児童及び保育者の双方を対象としたもの)。
ハ 児童福祉法等の関係法令及び通知を遵守すること。
ニ イ~ハのほか、各都道府県等において別途基準等を定めている場合は、これを遵守すること。
(3) 託児サービス提供機関の選定基準
託児サービス提供機関の選定に当たり、認可外保育施設指導監督基準チェック表(参考様式:別紙10)の提出を求める等、託児サービス提供機関として適当と認められるか否かの確認を実施すること。
(4) 託児サービスに係る委託費
託児サービスに係る委託費の単価は、個々の積み上げによる実費とし、児童1人1月当たり66,000円(外税)を上限とすること。
ただし、託児サービス委託費については、託児児童毎に支払われるものであり、第1章第9に規定する「1月当たりの訓練時間が100時間未満のものにあっては訓練時間の割合で按分すること」及び第1章第11(2)「委託費支払い基準」に規定する「あらかじめ定められた訓練時間」は適用しないこと。
なお、受講生が中途退所した場合、又は委託契約を解除した場合等、あらかじめ定められた訓練終了日より訓練が早期に終了した場合の取り扱いについては、第1章第11(4)に定める委託費の計算方法を準用すること。
また、事情により受講生が託児サービスの利用を中止した場合の取り扱いについては、訓練開始日から1か月ごとに算定し、当該1か月間の訓練が行われた日数が16日以上又は訓練が行われた時間が96時間以上である場合は1か月分の額とし、それに満たない場合の取り扱いについては、第1章第11に定める委託費の計算方法を準用すること。
(5) 託児サービスの利用料
託児サービスの利用料は無料とすること。
ただし、託児サービス利用料に含まれない食事・軽食(ミルク、おやつを含む)代、おむつ代等、実費分については、保護者(受講生)の負担とすることができること。
また、保護者(受講生)の負担となる実費分については、受講生募集等の際に必ず書面において受講生に周知すること。
第24 実施状況報告及び調査
能開施設の長は、毎月及び訓練終了後、受講生ごとの出欠・能力習得状況、就職状況等について、委託先機関から速やかに報告を求めるとともに、必要と認めるときは、関係職員等(巡回就職支援指導員等を含む。)をして訓練期間中の出欠状況確認等の調査を行わせること。
都道府県等は、毎月の実施状況を厚生労働省職業能力開発局能力開発課あて報告するものとする。なお、具体的な報告内容については別途定めるものとする。
第25 予算措置等
都道府県等が行う委託訓練等の訓練のうち、国が都道府県等に委託して実施するものについては、この委託訓練実施要領に定めるほか、「離職者等再就職訓練事業委託要綱」により行うものとする。
また、国は別に定める基準に従い、訓練の実施に要する経費を、都道府県等に対しては「生涯職業能力開発事業等委託費(労働保険特別会計雇用勘定)」として交付するものとする。
第26 その他
(1) 訓練受講中の事故発生に備えた取扱い
訓練受講中の事故等により受講生が負傷し、あるいは、委託先機関等の設備や顧客に損害を与える事態に備え、能開施設は受講生に対して、訓練実施中の受講生の死亡、負傷、他人に対する損害賠償責任に対する民間保険に加入するよう勧奨するものとする。
(2) 安全衛生
委託訓練を実施するに当たり、訓練期間中における受講生の安全衛生については十分配慮するものとする。
(3) 個人情報の管理
「個人情報の保護に関する法律」(平成15年法律第57号)に基づき、能開施設及び委託先機関は、受講生及び受講希望者の個人情報の適切な管理を行うものとする。
第2章 各訓練コースに関する事項(知識等習得コース)
第1 求人セット型訓練について
知識等習得コースのうち、事前に把握した求人者の具体的な人材ニーズに即して設定・実施する委託訓練については、以下の方針・方法により行う。
(1) 目的
求人セット型訓練とは、求職者が職業訓練の受講により職業能力を習得することを条件に当該求職者の採用の意向を有する求人者の要望に応じ、当該求職者を対象として実施する職業訓練をいい、同訓練修了後に当該求人者の採用に結びつけることを目的とするものである。
(2) 求人セット型訓練の形態
求人セット型訓練は、求人者のニーズに即した職業訓練を、当該求人者への委託により実施するもの(以下「求人者委託訓練」という。)、民間教育訓練機関への個別の委託により実施するもの(以下「オーダーメイド型訓練」という。)及び能開施設等が行う既存の訓練コースを活用して実施するものとする。
(3) 主な対象者
特定の求人事業主に、求人者委託訓練又は他の方法による委託訓練等を通じた一定の能力習得を前提に、雇用されることを希望する求職者。
(4) 訓練実施に至る手続等(求人者委託訓練及びオーダーメイド型訓練共通)
イ 能開施設は、安定所から、事業主が求人申込みに際し求人セット型訓練の活用を希望している旨の連絡を受けた場合及び訓練実施事業主を開拓した場合等には、当該求人者の人材ニーズに即した訓練コースの設定を行い、さらに、受講指示等が行われた場合、委託先機関との間で委託契約の締結等を行う。
ロ 受講生の職業紹介を実施することのできる能開施設は、求人者の意向を踏まえつつ、訓練受講後の当該訓練の受講生の数に応じて採用を希望する事業主に係る求人について、求人公開の対象から除外する、又は求人数を減じることを勧奨する等により、受講生の訓練修了後の就職機会を確保した上で職業紹介を行う。
ハ 能開施設は、受講生の求人事業主への就職促進に資するため、巡回就職支援指導員の活用等により、受講生の能力習得状況を的確に把握するとともに、これを安定所に連絡する。
ニ 委託先機関の開拓方法
① 中央における取組
厚生労働省は、中央の事業主団体との緊密な連携の下、幅広い地域、業種の事業主に、本事業に係る周知浸透、協力要請を行う。
② 各地域における取組
各地域における取組については以下により実施することとする。なお、開拓した委託先機関については、職業分野毎等に分類の上リスト化すること。
・ 都道府県等は、安定所と連携し、地域の事業主・事業主団体等が参加する会議等を活用し、本事業の周知浸透を図るものとする。
・ 都道府県等は、能開施設、都道府県センター及び商工会議所等に配置した委託先開拓員等を活用し、委託先の効果的な開拓を行うこと。
なお、委託先開拓員等は、事業主・事業主団体等に事業の周知を実施するとともに、訓練実施体制の確立、訓練内容・カリキュラムの編成等に係る技術的指導も併せて行うこと。
・ 都道府県等は、安定所と連携の上、能力のミスマッチが原因と判断される未充足求人事業主に対し制度の周知及び活用の促進を図ること。
(5) 求人者委託訓練実施の委託先機関
委託先機関である事業所は、次のいずれの条件も満たすものとする。ただし、国、地方公共団体は除くものとする。
イ 安定所に求人申込を行い、かつ委託訓練実施計画を作成し、能開施設に登録した事業所であること。
ロ 委託訓練を実施後、一定の能力習得が図られ、求める職務を遂行することが可能であると認められることを前提に、求職者を採用する希望を有する事業所であること。
ハ 雇用保険の適用事業の事業主であること。
また、事業主団体が委託先機関となり、傘下事業主に訓練の一部を再委託する形態も認めることとする。
なお、能開施設は、指導者、施設・設備の整備状況、訓練計画、カリキュラム、訓練受託が受講生を労働力として活用することを目的とするものではないこと、修了後の採用計画(一定基準の具体的な能力習得が図られ、求める具体的な職務を遂行することが可能であると認められる者を採用すること等)等をあらかじめ確認する。
(6) 主な教育訓練内容及び受講修了時の能力習得の達成度合
当該事業所の事業資源を有効活用し、実習等による訓練実施により、特に実践的な能力習得を図り、当該事業所の人材ニーズに即した人材養成を図る。
(7) 訓練コース設定方法
① 知識等習得コースとして実施する。
② 各事業所において、能開施設が提示する代表的な職種に係るモデルカリキュラム等を参考に、訓練コースを編成する。各事業所の受講生受入数は、訓練効果、実施能力等を勘案し、1人単位で調整する。
(8) 設定期間
3月を標準とする。ただし、訓練コース期間は、求人者の採用予定時期、習得が必要な技能の内容等に応じ設定するものとする。
(9) 受講者数
受講者数については、当該訓練実施求人者の採用予定人数と原則同数とする。
(10) 受講生の取扱い
委託先事業主は、次に定めるところにより、受講生を取り扱うこととする。
イ 訓練に関係のない作業に従事させないこと。
ロ 訓練が作業を伴う場合には、安全、衛生、その他の作業条件について、労働基準法(昭和22年法律第49号)及び労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)の規定に準ずる取扱いとすること。
ハ 時間外、夜間、泊まり込み等による訓練を実施しないこと(ただし、当該職種において、夜間の就業が通常である等特に必要である場合を除く。)。
(11) オーダーメイド型訓練に係る事項
イ 訓練コースの設定方法
オーダーメイド型訓練コースは、以下の方法により、求人者の希望等に従い、能開施設において設定し、安定所において求人を受理する(設定された訓練コースについては、通常の求人受理後、これに追加する形態も可とする。)。
① 安定所における訓練コースの決定
訓練を受講した求職者の採用を希望する求人者について、求人者が習得を希望する技能等に関し、安定所において把握する既存の公共職業訓練で適切な訓練コースが存在する場合には、当該訓練コースを活用し求人セット型訓練コースとして設定する。
② 能開施設における訓練コースの設定
能開施設は、一定の能力習得が図られ、求める職務を遂行することが可能であると認められることを前提に、求職者の採用を希望する求人者であって、既存の公共職業訓練では適切な訓練コースが存在しない事例について、上記①の方法によっては、訓練コースの設定を行えないとの安定所からの連絡、求人者からの申し出、その他の方法により把握した場合は、それぞれの事例の性格、求人者の希望等に応じ、求人者が自ら民間教育訓練機関等と交渉し、求人者が自主的に選択した訓練コース(民間教育訓練機関が実施している講座(公共職業訓練コースの全部又は一部を含む。))について、委託訓練としての要件を満たすことの確認等を行った上で、委託を行う。なお、求人者が訓練コースを選択するに当たって、能開施設は求人者の求めに応じ、民間教育訓練機関等で実施している講座の情報等を随時提供すること。また、公共職業訓練として設定されている訓練コースの一部を活用することにより対応可能な場合には、これを活用することとする。
第2 母子家庭の母等の職業的自立促進のための支援について
(1) 訓練対象者
以下のイ及びロのいずれも満たす者
イ 就労経験のない又は就労経験に乏しい、いわゆる長期失業状態にある母子家庭の母及び父子家庭の父並びに自立支援プログラムに基づき、福祉事務所を通じて受講を希望する児童扶養手当受給者又は生活保護受給者(以下、「母子家庭の母等」という)。
なお、母子家庭の母、父子家庭の父及び児童扶養手当受給者の範囲は、原則雇用対策法施行規則第2条第2項第8号及び同項第8号の2に規定する者とする。
ロ 公共職業安定所に求職申込みを行っている者。
(2) 事業の流れ
イ 事業計画の作成
都道府県等は、労働局と調整の上、年度の準備講習付き職業訓練実施計画を作成する。
計画の作成に当たっては、本事業の対象者である母子家庭の母等に対する福祉施策及び自立支援策等を相対的に勘案のうえ、労働局、公共職業安定所、都道府県等及び福祉部局等との横断的な連携をとり、年間の訓練実施計画数、重点的に訓練コースを設定する分野及び既存の訓練計画とを総合的に勘案の上、年間スケジュールを作成する。
なお、労働局は本事業の円滑な実施に必要な協力を行うこととする。
ロ 準備講習の設定
準備講習の設定に当たっては、原則として、(3)のイの事項をいずれも盛り込むものとするが、具体的なメニューについては対象者の様態等を考慮し、柔軟に設定すること。
ハ 事業の周知・広報
都道府県等は、準備講習を設定した場合は、事業の周知・広報のため、概要(趣旨・目的、カリキュラム等の内容、スケジュール等)についてのパンフレット等を適宜作成するほか、インターネット等を積極的に活用することにより、その広報に努める。
なお、作成したパンフレットについては、就職を希望する母子家庭の母等の立ち寄る公共施設(公共職業安定所や福祉事務所等)に備え置くものとする。
ニ 準備講習への参加勧奨等
公共職業安定所は、母子家庭の母等に対する職業相談、自立支援プログラム等の相談の過程で、相談者に対する職業意識の啓発が必要と認められる場合や、相談者が公共職業訓練の受講を希望する場合等、準備講習への参加が適当と認められる場合に、当該者に対して参加勧奨を行う。併せて、福祉事務所等での相談実施、参加の申込みを行うよう、必要な情報の提供を行う。
ホ その他準備講習の実施に係る留意点
① 都道府県等は、労働局及び公共職業安定所と調整の上、年間のスケジュールを策定するが、スケジュールに基づき確実に実施できるよう、必要な情報収集に努めること。
② 好事例の収集、情報提供
都道府県等は、準備講習のコース内容、実績向上に向けた取組み等を把握し、効果的運営に資する取組みについてはこれを積極的に厚生労働省に提供すること。
(3) 準備講習の実施
イ 準備講習の内容
準備講習は、次の①~⑥の各内容を盛り込んだものとする。
① 地域における雇用失業情勢、母子家庭の母等を取り巻く雇用の状況に関する理解の促進に資するもの
② 企業が求める人材像の促進に資するもの(例;企業人事担当によるセミナー等)
③ 自己の職業適性等の理解の促進に資するもの(例;個別及び集団方式によるキャリア・コンサルティング等)
④ 職業に必要なビジネスマナーの向上に資するもの(例;ビジネスマナー講習)
⑤ 企業の就業現場の理解の促進に資するもの(例;事業所見学等)
⑥ 職業能力開発に関する理解の促進に資するもの(例;訓練コース、自立支援教育訓練給付制度、生業扶助制度等に関する情報提供や、職業能力開発施設等への訪問)
ロ 実施人数
1コース当たり原則30人とする。
ハ 準備講習期間
原則5日間とし、1日の訓練時間は5時間を標準とする。
(4) 準備講習の委託先機関の選定
準備講習の委託先は、事業主、NPO法人、民間教育訓練機関等とする。
準備講習の委託先の選定については、準備講習の実施の管理を責任をもって確実に行うことができる委託先機関を選定すること。
なお、必要に応じ委託先の事業概要等の資料を受託希望機関に提出させる等により、適切な選定作業を行うこと。
(5) 準備講習委託契約の締結
イ 職業能力開発校の長は、準備講習を実施する場合は、別紙5に定める「準備講習委託契約書(参考)」により、契約を締結するものとする。
ロ 準備講習受託機関は、準備講習の実施及び実施に伴う次の業務を行う。
① 受講生の出欠席の管理及び指導
② 実施状況の把握
③ 災害時の連絡
④ 受講生の中途退校に係る事務処理等
⑤ その他準備講習実施に伴う必要な事項
なお、当該準備講習について、適切な指導が必要と認められる者に指導を担当させて実施するものであること。
ハ 委託契約は、次のいずれかに該当するときは変更又は解除することができる。
① 委託先機関が特別な事情により、委託元の能開施設の長に対し、委託契約の変更又は解除の協議をし、同意を得たとき。
② 委託契約締結後事情の変更により、当該準備講習を実施できなくなったと委託元能開施設の長が認めたとき。
③ 委託先機関が、委託契約の内容又はこれに付した条件に違反したと委託元能開施設の長が認めたとき。
ニ 準備講習と委託訓練を一体的に実施する場合であって、受託機関がいずれも同一の場合は、必要に応じ一つの契約書にて委託契約を締結しても差し支えないものとする。
ただし、契約書の内容については、準備講習及び委託訓練の委託契約内容を含むものであること。
(6) 準備講習委託費
イ 委託費は1人5日間当たりの単価は10,000円(外税)を上限とする。
ただし、5日間を下回る場合は、1日当たり2,000円を減じた額を上限とする。
ロ 委託費の単価が上記イの金額を超える場合は、厚生労働省への事前協議を必要とするものであること。
ハ 受講生が中途退所した場合、又は、委託契約を解除した場合は、委託費の額は、準備講習が行われた日について日割り計算によって得た額とすること。
ニ 委託費は、委託先機関の請求により、準備講習の行われた期間について支払われるものであること。
ホ 委託先機関が、委託契約の内容又はこれに付した条件に違反した場合には、都道府県等は当該委託先機関に対し、既に支払った委託費の額の全部又は一部を返還させるものとすること。
(7) 安全衛生
準備講習付き職業訓練を実施するにあたり、訓練期間中における受講生の安全衛生については十分配慮するものとする。
第3 委託先機関の実施する就職支援について
(1) 対象となるコース
「知識等習得コース」のうち訓練期間が1か月を超えるコース(本章第1「求人セット型訓練」及び本章第2「母子家庭の母等の職業的自立促進コース」は除く。ただし、「母子家庭の母等の職業的自立促進コース」を知識等習得コースと併せて実施する場合は対象とする。)
(2) 就職支援の実施
本則で定める事項に加え、委託訓練実施機関に就職支援責任者を設置し、受講生に対して就職支援を行うものとする。就職支援責任者の業務内容は、次のものとする。
① 過去の受講生に対する就職実績等を踏まえ、受講生に対する就職支援を企画、立案すること。
② 受講生に対するキャリア・コンサルティング、ジョブ・カードの作成の支援及び交付等の就職支援が適切に実施されるよう管理すること。
③ 就職支援に関し、能開施設、安定所等の関係機関及び訓練修了生の就職先候補となる事業主、事業主団体等と連携し、求人情報を確保又は提供し、訓練修了生に情報提供を行うこと。
④ 訓練修了生及び就職を理由として中途退校した者の就職状況を把握、管理するとともに、安定所に情報提供すること。
また、就職支援責任者は、登録キャリア・コンサルタント(ジョブ・カード講習の受講等により、ジョブ・カードを交付することが認められたものとして、厚生労働省又は登録団体に登録されたキャリア・コンサルタントのことをいう。以下同じ)であることが望ましいこと。また、訓練実施日数のうち50%以上の日数は、当該訓練の就職支援責任者が当該訓練実施施設にて業務を行うこととする。ただし、実習型訓練期間中については、訓練実施施設に限らず、適切な就職支援が可能な場所において業務を行うことができるものとする。
第4 ジョブ・カードを活用したキャリア・コンサルティング及び能力評価について
(1) 対象となるコース
「知識等習得コース」のうち訓練期間が1か月を超えるコース(本章第1「求人セット型訓練」及び本章第2「母子家庭の母等の職業的自立促進コース」は除く。ただし、「母子家庭の母等の職業的自立促進コース」を知識等習得コースと併せて実施する場合は対象とする。)
(2) ジョブ・カードの活用
平成24年1月20日付け能能発0120第1号、能実発0120第1号、能形発0120第1号「離職者訓練及び学卒者訓練におけるジョブ・カードを活用したキャリア・コンサルティング及び能力評価の実施について」に定めるところによる。
訓練実施施設の責任者は、受講生に対して実務能力の評価を実施すること。
イ 委託先機関に登録キャリア・コンサルタントを配置し、当該登録キャリア・コンサルタントが「履歴シート(様式1)」、「職務経歴シート(様式2)」及び従来のジョブ・カード様式3と様式4の要素を併せ持つ「評価シート(様式4―2)」(別紙13)を活用したキャリア・コンサルティングを実施し、ジョブ・カードの交付を行うこと。また、訓練が開始されて間もない等能力評価を行う段階にない時期にジョブ・カードを活用したキャリア・コンサルティングを実施する場合は、「履歴シート(様式1)」、「職務経歴シート(様式2)」及び「キャリアシート(様式3)」を活用すること。
なお、委託先機関の選定時において、登録キャリア・コンサルタントの配置が完了している者又は当該配置が訓練の開始前までに確実に見込める者とする。
(3) ジョブ・カードの交付
ジョブ・カードの交付とは、次のイ又はロの場合をいう。
イ 以下の①、②のいずれも実施した後、訓練実施施設の責任者の氏名の記入及び押印を行った上で、当該評価シートを受講生に手交した場合
① 受講生が記載した「履歴シート(様式1)」及び「職務経歴シート(様式2)」を踏まえ、登録キャリア・コンサルタントがキャリア・コンサルティングを実施し、「評価シート(様式4―2)」の「キャリア・コンサルタント記入欄」に必要事項を記載する。
② 訓練期間中及び訓練修了前に実施される試験等に基づき、「評価シート(様式4―2)」に評価結果を記載する。
ロ 訓練期間中に、受講生が記載した「履歴シート(様式1)」、「職務経歴シート(様式2)」及び「キャリアシート(様式3)」を踏まえ、受講者に対するキャリア形成促進のための助言等の内容を「キャリアシート(様式3)」の「キャリア・コンサルタント記入欄」に記載し、受講生に手交した場合
(4) ジョブ・カードを活用したキャリア・コンサルティングの実施時期等について
委託先機関は、訓練期間中にキャリア・コンサルティングを3回以上行うことが望ましいが、実施に当たっては、受講生の意向等を踏まえつつ、効果的な就職支援となるよう適切な時期を選ぶこと。
また、評価シートのキャリア・コンサルタント記入欄には、キャリア・コンサルティングの結果を客観的に記載するだけでなく、受講生の長所、意欲、取組姿勢等を記載するなど、効果的な就職活動に資するものとすること。
(5) 能力評価
知識等習得コースにおける能力評価の実施に当たっては、「評価シート(様式4―2)」を活用する。
「評価シート(様式4―2)」の作成手順については、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が作成した「求職者支援制度における評価シート作成マニュアル」を準用することとする。
なお、知識等習得コースにおいて実施する、職場を活用した実習(いわゆる職場実習)については、事業主等による能力評価は不要である。
第3章 各訓練コースに関する事項(実践的人材育成コース)
第1 目的
非正規雇用が増加し、企業内教育に依存するだけでは能力の蓄積機会が得づらくなる中、産業構造の変化や新たな国際分業等に対応するための人材ニーズを踏まえ、人材の底上げやニーズに対応した人材の育成の実現を図ることが必要である。こうした中、今後、雇用機会が見込まれる成長分野(情報通信分野や観光分野等)等において中核的な役割を果たしうる人材の育成や、不安定な就労を繰り返す若年層に対し実践的な職業能力を付与し、今後、社会を支えていく人材を育成していくことが重要となっている。
そこで、上記課題に対応し、ある程度高い仕上がり像を念頭に置いた人材育成に取り組むため、必要に応じ知識等習得コースよりも高い委託費の設定を認めた上で、訓練期間についても、これまでよりも長期の訓練コースの設定を可能とするものとする。
第2 委託先機関
大学、専門学校、事業主団体等
第3 主な対象者
(1) 非正規雇用として働く若者等であって、安定した就職のために実践的な職業能力の習得が必要である者。
(2) 安定所求職者のうち、管理職、比較的高度な専門職等としての職業経験を有する者であって、
① 技術革新等により、知識・技能のレベルアップ・幅の拡大、問題発見・解決(危機管理等)能力の習得等が必要であり、これら企業の人材ニーズに即した、より高度で実践的な職業能力開発等を通じ、再就職の促進を図ることが期待される者
② 起業家を直接補佐する高度人材等を目指す者等を対象とすること。
※ 大学等における正規の教育課程や、これを活用した科目等履修コースについては、必要な場合、委託先機関が試験等による選考を実施し、安定所長が、その選考結果を踏まえ、受講指示等を行うものとすること。
第4 主な対象分野
(1) 今後、雇用機会が見込まれる成長分野(情報通信分野や観光分野等)等
(2) 経営、法務、国際ビジネス、介護・福祉等、ホワイトカラー系の職務に関連する学術、実践両面で特に高度な分野
(3) バイオ、化学、環境等、技術系の職務に関連する学術、実践両面で特に高度な分野等
※ なお、歴史、文学、芸術等、それを応用することによっても職業に活かすことが通常困難な分野の訓練コースについては、対象から除外すること。
第5 訓練期間
訓練期間は、1年を上限に、6か月~1年を標準とすること。訓練時間は、総訓練時間が50時間以上とすること
第6 委託費
90,000円(外税)を標準に、各コースの仕上がり像等を勘案し、必要な額を設定すること。ただし、150,000円(外税)を上限とする。
知識等習得コースよりも高い委託費を設定する場合にあっては、各都道府県において、訓練カリキュラムや訓練実施体制、訓練の仕上がり像等を精査し、また、一般の訓練コースにおける授業料等も勘案した上で、合理的な額を設定すること。
60,000円(外税)を超える委託費の設定に当たっては、厚生労働省への事前協議を必要とするものであること。
第7 訓練コースの設定
上記の対象分野等において、教育訓練機関の既存の教育プログラムや人材育成の研修を活用することや、複数能力を習得できるよう3か月の訓練コースの組み合わせること等により、訓練コースを設定するものとする。
訓練コースを設定するに当たっては、当該訓練コースを受講することにより習得する能力を必要とする具体的な人材ニーズが生じていることを確認すること。
また、既存の訓練コースについては、就職状況、受講生へのアンケート調査等の結果を精査の上、就職状況が悪い、当コースとして実施すべき高度な内容と認められないコースについては、原則再度のコース設定を行わないこと。ただし、訓練内容・カリキュラムを再構築する等により、就職状況、コース内容等の改善が明らかに図られると認められる場合においては、再度のコース設定を行っても差し支えない。
第8 大学等が実施する訓練の特例
(1) 訓練コースの設定
専門学校等では実施できない高度な訓練を実施するものであることに鑑み、受講生の要件、訓練カリキュラム、仕上がり像等を精査し、訓練内容が大学等で実施すべき高度なものであることを確認すること。なお、訓練コースを設定するに当たっては、当該訓練コースを受講することにより習得する能力を必要とする具体的な人材ニーズが生じていることも併せて確認すること。
また、既存の訓練コースについては、就職状況、受講生へのアンケート調査等の結果を精査の上、就職状況が悪い、大学等委託訓練として実施すべき高度な内容と認められないコースについては、原則再度のコース設定を行わないこと(訓練内容・カリキュラムを再構築する等により、就職状況、コース内容等の改善が明らかに図られると認められる場合においては、再度のコース設定を行っても差し支えない)。
(2) 訓練コースの種類
あらかじめ求職者を対象とした訓練コース(エクステンションコース(公開講座、セミナー等)に相当する訓練コース)として設定するもの及び学校教育法上の教育課程として既に設置されている科目を活用して設定するもの(大学院修士課程等、大学等における正規の教育課程に係る科目等履修コース、上記を組み合わせて設定した訓練コース)
(3) 訓練時間数
大学等が実施する訓練については、受講効果を上げる上で、予復習(文献講読等)に相当の時間を費やすことが必須であることを勘案し、訓練(講義)時間数について、大学院修士・博士課程の訓練コースの場合毎月30時間以上、エクステンションコース(公開講座、セミナー等)に相当する訓練コース又は大学等における正規の教育課程に係る科目等履修コースの場合毎月50時間以上である場合、訓練コース設定を認めること(エクステンションコース(公開講座、セミナー等)の場合、各月についてコースの種別ごとの基準を満たしているか否かにより判定する。)。
ただし、一般の訓練コースとの訓練時間の整合性を図る観点より、当該訓練コースの時間数と当該訓練コースの受講生が通常予復習で必要となる時間数の合計が100時間を超えるものであることを訓練コース内容等より確認すること。なお、既実施コースについては、訓練修了者の予復習時間実績等も併せて確認すること。なお、当該時間数が確認できれば、予復習を合計した時間数を訓練時間とみなして差し支えない(第1章第9に規定する「1月当たりの訓練時間が100時間未満のものにあっては訓練時間の割合で按分すること」は適用しない。)。ただし、予復習の時間について、受講生の状況を確認することは困難であるため、第1章第11(2)「委託費支払い基準」に規定する「あらかじめ定められた訓練時間」には、予復習を含めないこととし、訓練(講義)時間数により算定とすること。
※ 大学等委託訓練においては、上記を満たし、さらに訓練期間が2月以上でかつ訓練時間が150時間以上の要件を満たさない場合、受講指示の対象にならないものであることに留意すること。
(4) 修了要件
通常の修了要件に加え、学校教育法上の当該課程(訓練コース)の修了(科目等履修コースの場合、設定単位の8割以上の単位の取得)を修了要件とすること。
第4章 各訓練コースに関する事項(資格取得コース)
第1 委託費
90,000円(外税)を上限とする。ただし、保育士については60,000円(外税)を上限とする。
なお、委託費を設定する場合にあたっては、委託訓練に必要な経費を積み上げた月額単価と一般の訓練コースの授業料等を比較する等、一般の訓練コースにおける授業料等も勘案した上で、合理的な額を設定すること。
第5章 各訓練コースに関する事項(母子家庭の母等の特性に応じた訓練コース)
第1 訓練の設定
訓練の実施に当たり、指導上の配慮や心理的な配慮を行うとともに、託児サービスを提供すること。
第6章 各訓練コースに関する事項(刑務所出所者向け職業訓練コース)
第1 訓練受講中の事故発生に備えた取扱い
訓練実施中の受講生の死亡、負傷、他人に対する損害賠償責任に対する民間保険への加入を義務付けるものとする。
第7章 各訓練コースに関する事項(定住外国人向け職業訓練コース)
第1 就職支援について
定住外国人職業訓練コーディネーターを活用し、定住外国人支援者団体・市町村担当部門等への巡回によるニーズ把握、定住外国人向け委託訓練先の開拓・調整、受講生の募集に係る安定所との連絡調整、訓練受講中の諸問題への対応を行うとともに、効果的な就職支援につなげるため委託先機関に必要な助言、指導等を行うこと。
第8章 各訓練コースに関する事項(日本版デュアルシステム(座学先行コース))
第1 訓練コース内容
民間教育訓練機関等を活用した座学訓練と事業主等への委託による企業実習(以下、「実習型訓練」という)及び企業実習先での能力評価を行う職業訓練であって、民間教育訓練機関等における座学訓練を先行させ、座学訓練受講後に企業等における実習型訓練を実施するもの。
第2 訓練期間及び訓練時間
訓練期間は6か月を上限に、4か月を標準とすること。また、訓練時間は週5日、1日6時間の訓練カリキュラムを標準とする。
第3 委託費
受講生1人1月当たり60,000円(外税)。
訓練導入講習の費用として、受講生1人当たり8,000円(外税)。
訓練導入講習費(8,000円)については、第1章第11を適用しない。また、訓練実施経費(60,000円)については、訓練導入講習が当該訓練において一体的に実施されるものであることに鑑み、訓練導入講習を当該月の座学訓練又は実習型訓練の訓練時間と合計して第1章第11を算出する。
ただし、受講生が中途退所した等により、訓練導入講習が行われた時間が、本章第6に規定する訓練時間を下回った(24時間未満)場合には、訓練導入講習費を支払わないものとする。
また、評価手数料として、実習型訓練終了後に受講生の能力評価を行い、評価シートを交付した場合には、評価手数料として受講生一人当たり4,880円(外税)を支払うものとする。ただし、受講生が中途退所した場合等により当該受講生に対する能力評価を行わなかった場合には、当該者分の評価手数料を支払わないものとする。評価手数料は、委託先機関の請求により、評価シートの交付人数に基づいて支払いを行う。その場合、委託先機関から評価シートの写しを添付させるなど、受講生本人に対して評価シートが交付されたことが確認できる書類(受講生の自署又は押印したもの)を提出させること。
第4 訓練計画の策定
計画の策定に当たっては、労働局及び安定所と連携・協力を図り、効果の高い業種を優先して進めることとし、そのため都道府県内の求人ニーズの動向やデュアル訓練の対象となる求職者の状況及び前年度の就職率等を踏まえ、労働局及び安定所との密接な情報交換に基づいて、年間の座学先行コースの実施計画数、重点的に訓練コースを設定する分野及び年間実施スケジュールを決定するものとする。
第5 コースの設定
能開施設は、以下の定めにより、座学先行コースを設定する。なお、設定に当たっては、労働局及び安定所等の意見又は情報の提供を受けて行うものとし、労働局及び安定所は能開施設に対し必要な協力を行うものとする。
(1) 訓練期間は4か月を標準とし、民間教育訓練機関等における座学訓練と企業等における実習型訓練及び実習型訓練終了後の受講生に対する能力評価を一体的に実施するものとする。また、実習型訓練の訓練期間は、1か月以上で総訓練期間の2分の1を超えない範囲とする。ただし、全体の訓練期間は、短期課程の普通職業訓練に該当する範囲で弾力的に取り扱って差し支えないが、6か月を訓練期間の上限とする。
(2) 1コースの受講生数は、おおむね10人から30人までとし、当該地域の求職者の状況及び労働市場の動向等を踏まえ弾力的に取り扱うものとする。
第6 訓練導入講習の設定
(1) 訓練受講の目的を明確化して就職意欲を喚起するとともに対象者の職業能力を効果的に高めるための訓練導入講習を行うものとし、当該訓練時間は、24時間以上60時間以下の範囲とする。
(2) 訓練導入講習部分は、委託先機関が直接実施することを原則とするが、委託先機関の選定の際に、委託元である能開施設の承諾を得て、適切な者に再委託して実施することができるものとする。
(3) 訓練導入講習部分については、各委託先のノウハウや経験を反映しつつ、次の①から⑤までに掲げる内容を盛り込むこととし、③に掲げる内容は必ず実施するものとする。
① 当該委託訓練の修了後に予想される就職先の職種に関する求人、労働条件、必要な免許・資格・実務経験等、雇用の状況に関する理解の促進に資するもの
② 当該委託訓練の修了後に予想される就職先の職種について、企業等が求める人材像の理解の促進に資するもの
③ 当該委託訓練の修了後に予想される就職先の職種について、関係事業所を訪問しての現職従事者との意見交換、模擬実習体験等当該職種の職業体験機会となるもの(単なる事業所見学にならないよう留意すること。)
④ 当該委託訓練の受講意欲の喚起に資するもの
⑤ 職業に必要なビジネスマナーの向上に資するもの
第7 実習型訓練の設定
(1) 実習型訓練の受託企業等の確保及び実習型訓練の適切な訓練実施の管理を責任を持って確実に行うことができる委託先機関を選定するため、委託先機関の選定に当たっては、実習型訓練の再委託先予定企業等の名簿及び概要等の資料を受託希望の企業等に予め提出させる等により、適切な選定作業を行うものとする。
(2) 実習型訓練は、能開施設から当該委託訓練を直接受託した民間教育訓練機関等が、企業やNPO法人等に再委託して実施することを原則とし、当該実習型訓練が開始する前までに、委託先機関は実習型訓練を行う企業(以下「実習先企業」という。)と再委託契約を締結することを原則とし、当該契約書の写しを能開施設の長に提出すること。また、当該契約書には、実習内容、実習期間、実習時間、受講生の管理体制について明記することする。
(3) 週5日、1日6時間の訓練カリキュラムを標準とするが、実習型訓練については、座学訓練で習得した知識・技能をもとに実際の職場において、より実践的な能力の習得を図る訓練内容とし、訓練対象者の有する技能・知識を勘案してコースごとに弾力的に設定するものとする。
(4) 1コースの受講者数は、おおむね10人から30人までとしているが、実習型訓練については、受託企業等の受入れ能力を勘案して弾力的に取り扱うものとする。
(5) 実習型訓練を行う企業は、次に定めるところにより、受講生を取り扱うこととする。
① 訓練に関係のない業務に従事させないこと。
② 訓練が作業を伴う場合には、安全、衛生、その他の作業条件について、労働基準法(昭和22年法律第49号)及び労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)の規定に準ずる取扱いとすること。
③ 時間外、夜間、泊まり込み等による訓練を実施しないこと(ただし、当該職種において、夜間の就業が通常である等特に必要である場合を除く。)。
④ 当該実習は訓練であることから、訓練期間中について、受講生への金銭の授受は行わないこと。
第8 委託先機関の実施する就職支援について
本則で定める事項に加え、委託訓練実施機関に就職支援責任者を設置し、受講生に対して就職支援を行うものとする。就職支援責任者の業務内容は、次のものとする。
① 過去の受講生に対する就職実績等を踏まえ、受講生に対する就職支援を企画、立案すること。
② 受講生に対するジョブ・カードを活用したキャリア・コンサルティングの実施、ジョブ・カードの作成の支援及び交付等の就職支援が適切に実施されるよう管理すること。
③ 就職支援に関し、能開施設、安定所等の関係機関及び訓練修了生の就職先候補となる事業主、事業主団体等と連携し、求人情報を確保又は提供し、訓練修了生に情報提供を行うこと。
④ 訓練修了生及び就職を理由として中途退校した者の就職状況を把握、管理するとともに、安定所に情報提供すること。
また、就職支援責任者は、登録キャリア・コンサルタント(ジョブ・カード講習の受講等により、ジョブ・カードを交付することが認められたものとして、厚生労働省又は登録団体に登録されたキャリア・コンサルタントのことをいう。以下同じ)であることが望ましいこと。また、訓練実施日数のうち50%以上の日数は、当該訓練の就職支援責任者が当該訓練実施施設にて業務を行うこととする。ただし、実習型訓練期間中については、訓練実施施設に限らず、適切な就職支援が可能な場所において業務を行うことができるものとする。
日本版デュアルシステム(委託訓練活用型)の受講生については、安定所、能開施設等が連携して取り組むものとするほか、巡回就職支援指導員が、特に中途退所の多くなる実習型訓練開始前後に集中的に巡回指導し、受講生に対して、実習型訓練の必要性を周知するとともに、個別の相談援助の実施をはじめ特段の配慮をすることとし、受講生の実習型訓練への円滑な移行及び定着がなされるよう努めるものとする。
第9 ジョブ・カードを活用したキャリア・コンサルティング及び能力評価について
平成25年5月16日能発0516第20号別添1「「ジョブ・カード制度」の一層の推進について」(以下「ジョブ・カード通達」という。)に定めるところによる。
実習先企業は、受講生に対して実務能力の評価を実施すること。
(1) 評価シートの作成
委託先機関は、実習先企業と相談した上で、ジョブ・カード通達に基づき、「評価シート(様式4)」を作成すること。評価シートの作成に当たっては、訓練成果が客観的かつ公正に評価されるよう、モデル評価シートのほか、ホームページ等で公表されている汎用性のある評価基準に基づき、実習型訓練の内容を踏まえ作成すること。能開施設においては、評価シートの評価項目等について必要な助言等を行うこと。また、作成した評価シートは実習先企業を通じて若しくは直接、実習型訓練の開始前までに受講生に提示すること。
(2) 能力評価の実施
イ 受講生による自己評価
受講生は、評価シートの内容に基づき能力評価を実施すること。受講生が評価を実施するに当たっては、実習先企業又は委託先機関は必要な助言・協力を行うこと。なお、受講生による自己評価は、実習型訓練の終了日までに完了し、評価シートを実習先企業に提出すること。
ロ 実習先企業による受講生の能力評価の実施
受講生から評価シートの提出を受けた実習先企業は、速やかに受講生の能力評価を行い、受講生に対して評価シートを交付し、ジョブ・カードを持参してキャリア・コンサルティングを受けることを勧奨すること。
第10 訓練受講中の事故発生に備えた取扱い
訓練実施中の受講生の死亡、負傷、他人に対する損害賠償責任に対する民間保険への加入を義務付けるものとする。
第9章 各訓練コースに関する事項(日本版デュアルシステム(企業実習先行コース))
第1 訓練コース内容
民間教育訓練機関等を活用した座学訓練と事業主等への委託による企業実習(以下、「実習型訓練」という)及び企業実習先での能力評価を行う職業訓練であって、実習型訓練を先行させ、実習を通じた受講生の評価に基づき、実習型訓練受講後に必要に応じて民間教育訓練等におけるフォローアップ訓練を実施するもの。
第2 訓練時間及び訓練期間
訓練期間は、実習型訓練及びフォローアップ訓練の期間について、それぞれ3か月を上限とし、実習型訓練については2か月以上でかつ総訓練時間が150時間以上であることを原則とするが、本章第7(5)により、当初から実習型訓練とフォローアップ訓練を合わせてセットする場合には、その合計訓練期間が2か月以上でかつ総訓練時間が150時間以上とすること。また、総訓練期間については、1か月を超えること。なお、訓練期間が2か月以上でかつ訓練期間が150時間以上の要件を満たさない場合、受講指示の対象とならないこと。また、この要件を満たさない場合も受講推薦の対象にはなりえるものであることに留意すること。
第3 委託費
1月当たり60,000円(外税)
また、評価手数料として、フォローアップ訓練修了者を採用した実習実施事業主が、採用後1ヶ月において当該フォローアップ訓練修了者の能力評価を行い、評価シートを交付した場合には、評価手数料として受講生一人当たり4,880円(外税)を支払うものとする。ただし、受講生が中途退所した場合等により当該受講生に対する能力評価を行わなかった場合には、当該者分の評価手数料を支払わないものとする。評価手数料は、委託先機関の請求により、評価シートの交付人数に基づいて支払いを行う。その場合、委託先機関から評価シートの写しを添付させるなど、受講生本人に対して評価シートが交付されたことが確認できる書類(受講生の自署又は押印したもの)を提出させること。
なお、訓練時間設定は上記で足りるものとし、第1章第9に規定する「1月当たりの訓練時間が100時間未満のものにあっては訓練時間の割合で按分すること」は適用しないこと。
第4 委託先の開拓
企業実習を実施する事業主等(以下「実習先企業」という。)の開拓にあたっては、労働局及び安定所との連携・協力を図ることにより、効果的な実施体制を整備すること。
能開施設は、労働局及び安定所等と十分な連携を図り、訓練委託先開拓員等を活用した効果的な実習実施事業主の開拓を行うとともに、日頃から経済団体に対してもジョブ・カード制度を含めた制度趣旨、訓練の概要及び特徴、手続きの流れについて、あらゆる機会を通じて周知を図ることにより、採用意欲のある企業の開拓に努めること。
第5 コースの設定
能開施設は以下の定めにより、企業実習先行コースを設定する。なお、設定に当たっては、労働局及び安定所等の意見又は情報の提供を受けて行うものとし、労働局及び安定所は能開施設に対し必要な協力を行うものとする。
(1) 能開施設は、労働局及び安定所と連携・協力を図り、労働者の採用意欲の高い事業主等に対する本制度の周知・勧誘等を実施することにより、企業実習先行コースを活用した職業訓練の受託を希望する事業主等を開拓し、実習型訓練を先行して実施する事業主委託訓練を設定すること。
能開施設は、受講申込書の提出を行った者について、平成9年3月11日付け能発第55号「公共職業訓練を受講する者の選考について」に基づき選考を実施するものとする。企業実習先行コースに係る選考に当たっては、実習先企業を適切な方法で関与させることにより、前掲能発第55号の趣旨に沿った選考が実施できるよう配慮するものとする。
能開施設は、その選考結果を当該受講申込者が求職申込みを行っている安定所に対して報告するものとする。
(2) 実習先企業は企業実習を通じて、受講生の知識・技能等について不足している能力等を把握し、評価を行う。実習先企業は、その評価に基づき受講生の必要な知識・技能を特定し、企業実習を終了した受講生に対して、能開施設や民間教育訓練機関等による座学訓練や、他の事業主等での実習等、必要に応じた訓練(以下「フォローアップ訓練」という。)を設定し、実施する。
(3) 実習型訓練とフォローアップ訓練の座学を組み合わせた訓練を修了した者(以下「フォローアップ訓練修了者」という。)を採用した実習実施事業主は、その訓練効果を確認するため、フォローアップ訓練修了者が実務にある程度従事した採用後1か月後に、「評価シート(様式4)」(別紙12)を活用した能力評価を行う。
第6 実習型訓練の設定について
(1) 実習型訓練の実習先企業は、次のいずれの条件も満たすものとする。
① 企業実習先行コースを実施後、一定の能力習得が図られ、求める職務を遂行することが可能であると認められることを前提に、求職者を常用労働者として採用する希望を有する事業主であること。
なお、常用労働者として採用する希望を有する事業主とは、訓練実施当初、当該求職者に係る常用労働者としての採用意思を明確に表明せずとも、訓練後の状況によっては常用労働者として雇い入れることがあり得る事業主を含むものとする。
② 雇用保険の適用事業の事業主であること。
③ 事業主団体が委託先機関となり、傘下事業主に訓練の一部を再委託する形態も認めることとする。
なお、能開施設は、指導者、施設・設備の整備状況、訓練計画、カリキュラム、訓練受託が受講生を労働力として活用することを目的とするものではないこと、単純作業の繰り返しにならないこと、修了後の採用計画(一定基準の具体的な能力習得が図られ、求める具体的な職務を遂行することが可能であると認められる者を採用すること等)等をあらかじめ確認すること。
④ 企業実習が効果的かつ適切に実施できる指導体制、設備・機器等の環境が整っていること
(2) 受講者数については、原則、当該訓練実施求人者の採用予定人数以内とする。
なお、実習先企業は、訓練修了後、できる限り当該受講生を常用雇用の形態で採用するよう努める。
(3) 実習先企業は、次に定めるところにより、受講生を取り扱うこととする。
① 訓練に関係のない業務に従事させないこと。
② 訓練が作業を伴う場合には、安全、衛生、その他の作業条件について、労働基準法(昭和22年法律第49号)及び労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)の規定に準ずる取扱いとすること。
③ 時間外、夜間、泊まり込み等による訓練を実施しないこと(ただし、当該職種において、夜間の就業が通常である等特に必要である場合を除く。)。
④ 当該実習は訓練であることから、訓練期間中について、受講生への金銭の授受は行わないこと。
第7 フォローアップ訓練の設定
(1) フォローアップ訓練の実施先については、実習先企業の意向により設定するものであることから、能開施設及び民間教育訓練機関等による座学訓練のほかに、社員教育向けの講座等も幅広く設定することができること。
(2) 実習先企業が、民間教育訓練機関等や他の事業種等でのフォローアップ訓練を設定する場合、再委託して実施することを原則とし、当該訓練が開始する前までに、訓練を行う民間教育訓練機関等や他の事業種等と再委託契約を締結することを原則とし、当該契約書の写しを能開施設の長に提出すること。また、当該契約書には、実習内容、実習期間、実習時間、受講生の管理体制について明記することとする。
(3) 能開施設は、フォローアップ訓練の実施にあたり、事前にフォローアップ訓練の実施が可能な能開施設や民間教育訓練機関等の訓練コースの候補をリストアップしておき、実習先企業に情報提供するなど、円滑なフォローアップ訓練の実施が図られるよう配慮すること。
(4) 能開施設は、フォローアップ訓練の設定を行う際に、民間教育訓練機関等の座学訓練の開始時期等の関係で連続して訓練を実施できないことのないように、実習型訓練から実習先企業と密に連携を図ること。
(5) フォローアップ訓練は、実習型訓練を設定する時点において、予めキャリア・コンサルティング等の実施により求職者の職業能力を把握できており、かつ実習型訓練を実施する予定の事業主と相談した結果、民間教育訓練機関等の協力を得て予め設定することができる場合には、両者を組み合わせた訓練として設定して差し支えないこと。
なお、この場合であってもフォローアップ訓練は実習型訓練終了後の能力評価等の結果を十分に踏まえた設定内容となるよう必要な見直しに努めること。
第8 委託先機関の実施する就職支援について
本則で定める事項に加え、委託訓練実施機関に就職支援責任者を設置し、受講生に対して就職支援を行うものとする。就職支援責任者の業務内容は、次のものとする。
① 過去の受講生に対する就職実績等を踏まえ、受講生に対する就職支援を企画、立案すること。
② 受講生に対するジョブ・カードを活用したキャリア・コンサルティングの実施、ジョブ・カードの作成の支援及び交付等の就職支援が適切に実施されるよう管理すること。
③ 就職支援に関し、能開施設、安定所等の関係機関及び訓練修了生の就職先候補となる事業主、事業主団体等と連携し、求人情報を確保又は提供し、訓練修了生に情報提供を行うこと。
④ 訓練修了生及び就職を理由として中途退校した者の就職状況を把握、管理するとともに、安定所に情報提供すること。
また、就職支援責任者は、登録キャリア・コンサルタント(ジョブ・カード講習の受講等により、ジョブ・カードを交付することが認められたものとして、厚生労働省又は登録団体に登録されたキャリア・コンサルタントのことをいう。以下同じ)であることが望ましいこと。また、訓練実施日数のうち50%以上の日数は、当該訓練の就職支援責任者が当該訓練実施施設にて業務を行うこととする。ただし、実習型訓練期間中については、訓練実施施設に限らず、適切な就職支援が可能な場所において業務を行うことができるものとする。
日本版デュアルシステム(委託訓練活用型)の受講生については、安定所、能開施設等が連携して取り組むものとするほか、巡回就職支援指導員が、特に中途退所の多くなる実習型訓練開始前後に集中的に巡回指導し、受講生に対して、実習型訓練の必要性を周知するとともに、個別の相談援助の実施をはじめ特段の配慮をすることとし、受講生の実習型訓練への円滑な移行及び定着がなされるよう努めるものとする。
第9 ジョブ・カードを活用したキャリア・コンサルティング及び能力評価について
平成25年5月16日能発0516第20号別添1「「ジョブ・カード制度」の一層の推進について」(以下「ジョブ・カード通達」という。)に定めるところによる。
(1) 企業実習終了後の能力評価
実習実施事業主は、受講生の能力評価を行い、評価の結果、不足する知識・技能について把握し、フォローアップ訓練の実施を要するか否かを判断すること。
イ 評価書の作成
能力評価の実施に当たっては、別紙7―2「企業実習先行コース企業評価書」(以下「評価書」という。)を活用して評価を行うこととし、能開施設においては、評価書の評価項目、能力評価の実施方法、フォローアップ訓練の実施の有無等について必要な助言を行うこと。
ロ 評価の実施
① 受講生による自己評価
受講生は、評価書の内容に基づき企業実習の終了日までに能力評価を行い、評価書を実習実施事業主に提出すること。受講生が評価を実施するに当たっては、実習実施事業主又は能開施設は必要な助言・協力を行うこと。
② 実習実施事業主による企業評価
実習実施事業主は、実習期間中における「中間評価」及び実習終了に当たっての「修了評価」の2回にわたり評価を行うこと。「中間評価」については、フォローアップ訓練設定のために実習期間中において適宜行い、原則として企業実習中にフォローアップ訓練の設定をすること。「修了評価」については、受講生から評価書の提出を受け次第、速やかに行うこと。
また、能開施設は実習実施事業主が企業実習中に受け入れている受講生を雇い入れない意向を示した場合においても、実習実施事業主に能力評価を行わせ、受講生が希望する場合には自己評価を行った評価書を交付することによりジョブ・カード制度の趣旨に合致した活用を促すこと。さらに受講生の意向があった場合には、必要に応じたフォローアップ訓練の実施に努めること。
(2) フォローアップ訓練
フォローアップ訓練修了者を採用した実習実施事業主は、訓練効果を確認するため実務にある程度従事した採用後1か月後にフォローアップ訓練修了者の能力評価を実施すること。
なお、当該評価については、雇い入れ後に行うものであることから1回の評価として差し支えない。
イ 評価シートの作成
実習実施事業主は、ジョブ・カード通達に基づき、「評価シート(様式4)」を作成すること。評価シートの作成に当たっては、訓練成果が客観的かつ公正に評価されるよう、モデル評価シートのほか、ホームページ等で公表されている汎用性のある評価基準に基づき、企業実習の内容を踏まえ作成すること。
能開施設においては、評価シートの評価項目等について必要な助言等を行うこと。
ロ 評価の実施
① フォローアップ訓練修了者による自己評価
フォローアップ訓練修了者は、評価シートの内容に基づき能力評価を実施し、評価シートを実習実施事業主に提出すること。フォローアップ訓練修了者が評価を実施するに当たっては、実習実施事業主又は能開施設は必要な助言・協力を行うこと。
② 実習実施事業主による企業評価
フォローアップ訓練修了者から評価シートの提出を受けた実習実施事業主は、採用後1か月後にフォローアップ訓練修了者の能力評価を行い、フォローアップ訓練修了者に対して評価シートを交付すること。
第10 訓練受講中の事故発生に備えた取扱い
訓練実施中の受講生の死亡、負傷、他人に対する損害賠償責任に対する民間保険への加入を義務付けるものとする。
附則
本要領は、平成26年4月1日から施行する。
ただし、第1章第16(2)のうち、就職者に「日雇」及び「1か月未満」の雇用期間で就職した者を含まないとする規定及び第2章第4(2)「登録キャリア・コンサルタントの配置」に係る規定は、平成26年4月1日以降に委託先機関の選定手続きを行う訓練コースを対象とし、改正前に委託先機関の選定を行ったものについては適用しないものとする。