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通達:事業主等が行う専門課程の高度職業訓練の認定及び職業能力開発短期大学校の設置承認について

 

事業主等が行う専門課程の高度職業訓練の認定及び職業能力開発短期大学校の設置承認について

平成5年4月1日能発第91号

(各都道府県知事あて職業能力開発局長)

 

事業主等が行う専門課程の養成訓練の認定及び職業訓練短期大学校の設置承認については、昭和六〇年一一月二〇日付け労働省職業能力開発局長通達別添要領により実施してきたところであるが、「職業能力開発促進法の一部を改正する法律」(平成四年法律第六七号。)の施行に伴い、職業訓練の基準、職業訓練指導員の資格等に関する事項を主な改正内容とする「職業能力開発促進法施行規則等の一部を改正する省令」(平成五年労働省令第一号)が本年四月一日から施行されたことにより、今般、この実施について別添要領のとおり改正することとしたので、その円滑な実施について特段の御配慮をお願いするとともに、関係機関(特に業界団体)等に対して十分な周知徹底を図るようお願いする。

なお、昭和六〇年一一月二〇日付け能発第二五〇号「事業主等が行う専門課程の養成訓練の認定及び職業訓練短期大学校の設置承認について」は廃止する。

 

一 今回の改正の主な概要は次のとおりである。

(一) 訓練課程の改正に伴い、文言の整理を図ったこと。

(二) 別添要領第二の一の(九)「技能照査」を追加したこと。

なお、技能照査実施要領については、追って通達する。

(三) 別添要領第二の二の(二)「指導員体制の確立」により充実した指導員体制を図ることとしたこと。

ただし、一定の経過措置を設けたこと。

(四) その他所要の文言の整理を行い、内容の明文化を図ったこと。

 

別添

事業主等が行う専門課程の高度職業訓練の認定及び職業能力開発短期大学校の設置承認要領

第一 目的

この要領は、事業主等が行う専門課程の高度職業訓練の認定及び職業能力開発短期大学校の設置承認に必要な訓練基準、施設の要件等について定めたものである。

第二 専門課程の高度職業訓練の認定

事業主等の行う専門課程の高度職業訓練の認定は、当該職業訓練が職業能力開発促進法施行規則(以下「規則」という。)第一二条に規定する訓練の基準に適合し、当該事業主等がこれを的確に実施する能力を有すると認められるときに行うものであること。

一 訓練基準への適合

専門課程の高度職業訓練の訓練基準への適合するときとは、次のいずれにも該当するものであること。

(一) 訓練の対象者

高等学校卒業者又はこれと同等以上の学力を有すると認められる者であること。

(二) 教科

イ 原則として規則別表第六による訓練を行うものとし、訓練科ごとの教科は同表で定めた科目をすべて含んでいること。

ロ イに定めるもののほか、必要に応じ普通学科(人文科学、社会科学若しくは自然科学に係る科目、外国語又は体育)を追加することができる。

(三) 訓練期間

規則別表第六の「訓練期間及び訓練時間」の欄に定める期間を最低限とし、必要に応じて一年を超えない範囲で延長することができること。

(四) 訓練時間

規則別表第六の「訓練期間及び訓練時間」の欄に定める専攻科の総訓練時間並びに系基礎及び専攻の学科、実技の訓練時間を最低限とすること。

(五) 訓練の実施方法

イ 学科及び実技の訓練は、あらかじめ策定された段階的、かつ、総合的な訓練であると認められる職業訓練予定表(教科の科目ごとに全訓練期間にわたって月別週別に定めた訓練計画。以下同じ。)に基づき行うものとすること。この場合、系基礎及び専攻それぞれの学科と実技の訓練は、遊離して行われないよう留意すること。

ロ 系基礎及び専攻の学科、実技の訓練は、職業訓練専用施設(生産施設から独立し、職業訓練を実施するための施設。以下「職業訓練専用施設」という。)内において集合訓練として実施すること。この場合、必ず別に定める指導員の指導の下に訓練を実施すること。

また、これらの訓練は、専門課程の高度職業訓練以外の他の教育訓練と混合して行われないものであること。

ハ その他の実技の訓練は、職業訓練専用施設外で実施しても差支えないが、その場合も必ず別に定める指導員の指導の下に実施すること。

ニ 教科書は、教科の各科目ごとに適切と認められるものを使用することとするほか、教科書以外の教材は、訓練科ごとに訓練に必要なものを十分に確保していること。

(六) 設備

イ 規則別表第六の設備の欄の種別こどに定められた教室、実習場、機械類、器工具類等すべてを有することとし、教科の科目に応じ当該科目の訓練を適切に行うことができると認められるものであること。

なお、機械類等のうち実技の訓練に必要なものは、原則として職業訓練専用施設である実習場内に職業訓練専用として設置されていること。

ロ 機械類、器工具類等の種類、型式及び数量は、訓練内容及び訓練生数に応じたものであること。

(七) 訓練生数

訓練を行う一単位の訓練生の数は、訓練科ごとに四〇人以下とすること。

(八) 試験

試験は、教科の科目ごとに訓練期間一年以内に一回行うこと(普通学科の科目については省略することができる。)

(九) 技能照査

別に定める技能照査実施要領に従い実施すること。

二 職業訓練を的確に実施する能力

認定職業訓練を行おうとする事業主等が職業訓練を的確に実施する能力を有するとする判断の基準は、次のいずれにも該当する場合とすること。

(一) 職業訓練の永続性

イ 実施者が事業主の場合にあっては、当該事業の内容等から勘案して職業訓練の永続性があると認められること。

ロ 実施者が事業主及び職業訓練団体以外の法人の場合にあっては、定款等に規則第三一条第二項の事項が定められているとともに、その業務又は事業として職業に関する教育訓練の実施について明確な定めがあること。

ハ 実施者の職業訓練に要する経費に充当する主たる収入源から勘案して財政的基盤が確立していること。

ニ 訓練生を毎年一定数(入校人員が最低限一訓練科一年次当たり一〇人)以上確保できる見込みがあること。

(二) 指導員体制の確立

イ 指導員は、労働大臣の免許を受けたものと同等以上の能力を有する者のうち、相当程度の知識又は技能を有する者として規則第四八条の二の第二項で定める資格を有する者とすること。

ロ 教科の科目の編成、教科の指導方法の決定、その他訓練の実施のために必要な指導調整に関する業務を担当するため、上記イの資格を有する者のうち原則として訓練科ごとに二名以上は、規則第一二条第一項第七号イ又はハに定める一定の能力を有する者を配置すること。

ハ 専任の指導員の数は、専門課程の高度職業訓練を円滑に行えるように原則として一訓練科につき六人以上とし、かつ、少なくとも訓練生一〇人につき一人を標準とすること。

ニ 訓練科ごとの指導員の体制は、当該訓練科の科目のすべてを適切に指導することのできる構成となっていること。

ホ 平成六年四月一日において、現に認定を受けて実施している専門課程の訓練に関し、上記ロ及びハを運用する場合は、平成八年三月三一日までの間、上記ロ及びハをそれぞれ「ロ 教科の科目の編成、教科の指導方法の決定、その他訓練の実施のために必要な指導調整に関する業務を担当するため、上記イの資格を有する者のうち原則として訓練科ごとに一名以上は、規則第一二条第一項第七号に定める一定の能力を有する者を配置すること。」及び「ハ 指導員の数は、専門課程の高度職業訓練を円滑に行えるように一訓練科につき六人以上とし、専任の指導員については、少なくとも訓練生一〇人につき一人を標準とすること。」と読みかえて運用すること。

(三) 校長及び教務職員等の組織の確立

イ 校長は、原則として専任とし、職業訓練に関し高い識見を有する者を充てること。

ロ 職業訓練の円滑な実施を確保するため、訓練生数に応じた教務職員及び事務職員を専任として配置すること。

ただし、訓練生の数が少ない場合等事務に支障が生じない場合は、事務職員は、教務職員その他職員が兼務しても差し支えないこと。

(四) 都道府県労働基準局長の許可

労働基準法第七〇条の規定に基づく命令又は労働安全衛生法第六一条第四項の規定に基づく労働省令の適用を受けるべきものである場合は、都道府県労働基準局長の特例許可を受けること。

第三 職業能力開発短期大学校の設置承認

職業能力開発短期大学校の設置承認は、専門課程の高度職業訓練の認定を受けた事業主の設置する職業訓練施設が、規則第三五条第二項に規定する施設の要件に適合すると認められる場合に行うものであるが、その要件に適合すると認められる場合とは、次のいずれにも該当するものであること。

一 教室及び実習場を必ず職業訓練専用施設として備えているほか、必要に応じたその他の施設を備えていること。

なお、職業訓練専用施設は、専門課程の高度職業訓練の実施に支障がない限り、それ以外の教育訓練に使用しても差し支えないものであること。

おって、教室等の施設を借用している場合は将来にわたって職業訓練施設設備としてその継続性が認められるものであれば差し支えないこと。

二 教室の面積は、同時に訓練を行う訓練生一人当たり二平方メートル(訓練生の数の増加に応じて職業訓練の実施に当たり支障のない限りにおいて減ずることができる。)以上であること。

三 実習場、その他の施設等の面積は、各訓練科ごとの実技等の訓練に最低限必要な面積を確保すること。

四 職業訓練施設には最低限一つは予備教室を設置することとし、その面積は、最も訓練生の多い訓練科の全訓練生を同時に訓練することができる広さであること。

五 職業訓練施設には必ず図書室を設置することとし、訓練生の自発的学習に供するため訓練科ごとに専門図書及び専門雑誌等を系統的に整理して備えること。

第四 認定及び承認の手続き

専門課程の高度職業訓練の認定及び職業能力開発短期大学校の設置承認(昭和四四年訓発第二四八号通達に定めるとおり、承認手続きは、認定手続きをもって代えることができるものであるので、以下においては、認定手続きについて定める。)は、次の各項に従って行うものとすること。

なお、専門課程の高度職業訓練に関する職業訓練認定申請書(以下「申請書」という。)を受理した都道府県知事は、当該専門課程の高度職業訓練の認定及び職業能力開発短期大学校の設置承認を適当と認める場合は、認定及び承認を行うに当たって、当分の間、申請書(添付書類及び申請に当たって提出された関係書類を含む。)の写を添付のうえあらかじめ労働省あて協議されたいこと。

一 申請書等の受理時の留意事項

申請書は規則様式第四号を使用し、申請書は「注意」の各事項に従い作成するものであるが、受理に当たっては特に次の事項に留意して指導すること。

(一) 申請書三の「訓練期間、教科及び訓練時間」

「教科の科目、科目の内容及び訓練時間」の欄に記載された教科の科目の訓練について、職業訓練専用施設において行う訓練とそれ以外の訓練の区分を明らかにした職業訓練予定表を作成のうえ添付させること。

(二) 申請書四の「設備及び職業訓練指導員」

イ 「設備」の欄は訓練生に使用させる施設、装置、機械器具のすべてについてその名称、型式、数量及び職業訓練専用であるか否かの区分等を詳細に記入させること。

なお、記入に当たって様式中に書き難い場合は、別葉として作成させても差し支えないこと。

ロ 「職業訓練指導員」については、資格及び指導能力等を確認するため、学歴、職歴、教育訓練指導歴、指導員免許の有無、学位等及び専任・非専任の別を記載した履歴書を添付させること。

(三) 申請書七の「職業訓練施設の概要」

「構造設備の概要」の欄は教室、実習場、実験室、図書室、運動場等の種類ごとに区分して、その構造及び面積を記入(この場合、上記(二)のイと同様、様式中に書き難い場合は別葉として差し支えない。)するとともに、その平面図(特に実習場及び実験室については機械、装置類の配置を記入したものとする。)を添付させること。

(四) 記載事項の確認

申請書を受理した場合は、必ず実地調査を行い、当該申請書に記載されている事項が事実と一致するか否かを確認すること。

(五) その他

職業能力開発短期大学校の設置承認を専門課程の高度職業訓練の認定にもって代えた場合であって、施設の要件を具備しないため職業能力開発短期大学校の設置を承認しないとするときは、申請書の「職業訓練施設の名称」欄から職業能力開発短期大学校の名称を削るよう事業主等を指導すること。

二 職業訓練を的確に実施することができる能力の判断

専門課程の高度職業訓練の目的が、産業界におけるニーズの変化等に対する適応力及び経営、企画、後継者の育成のための豊かな技能と知識を有する労働者を養成することから、系基礎及び専攻の学科、実技の訓練については原則として職業訓練専用施設内で集合訓練として行うこととしており、事業主等が職業訓練を的確に実施することができる能力は、次により慎重に調査のうえ判断すること。

(一) 職業訓練の永続性

イ 事業主及び職業訓練団体以外の法人の場合は、定款等を提出させ、定款等に規則第三一条第二項の事項が記載されているとともに、業務又は事業として職業に関する教育訓練の実施についての明確な定めがあることを確認すること。

ロ 申請者は、企業内教育訓練についての経験を有する等、職業訓練の実施方法等のノウハウを持っていること。

(二) 財政的基盤の確立

今後三年間の収支見積書を提出させ、次の点を確認すること。

イ 収支予算については、事業主又は職業訓練団体の構成員である事業主の負担金、寄附金等の財源が確実であり、かつ、永続性があると認められること。

その他の法人についても、収入の確保が確実であり、かつ、永続性があると認められること。

ロ 支出予算については、機械器具整備費、施設設備借上料、指導員等の人件費、教材費及び光熱水料等が、職業訓練予定表に従った訓練時間のすべてをカバーするものであること。

(三) 訓練生の確保見込み

職業訓練の認定を受けようとする者が毎年度一定数以上の訓練生を確保できると認められる場合とは、実施しようとする訓練の全訓練科一年次当たりの定員の数に応じた数以上の新規高等学校卒業者等を毎年採用し、訓練を実施することが確実であると認められるときであること。例えば、入校人員一訓練科一年次一〇人の訓練を実施しようとする場合、事業主又は事業主の団体にあっては、当該事業主又は当該団体の構成員である事業主に係る雇用労働者総数及び過去の新規高等学校卒業採用数から勘案して、今後も継続して当該事業主又は当該団体の構成員である事業主が、それぞれ新規高等学校卒業者を毎年一〇人以上採用するものである。

(四) 指導員体制及び組織の確立

指導員体制については、第四の一の(二)のロに従って提出された履歴書により、的確に指導できるか否かの判断を行うこと。また、校長を含む教務組織については、組織図等を提出させ、その組織が確立していることを確認すること。

第五 専門課程の高度職業訓練の認定及び職業能力開発短期大学校の設置承認の取り消し

一 都道府県知事は、専門課程の高度職業訓練の認定及び職業能力開発短期大学校の設置承認を行った後においても、職業能力開発短期大学校の訓練実施状況を常に把握し、的確に指導監督すること。

二 次のような場合には、当該事業主等に対し文書勧告を含む強力な是正指導を行い、是正措置について文書報告を求め、その履行について指導監督すること。

(一) 当該事業主等の行う認定職業訓練が第二の一に定める訓練基準に適合しなくなったとき。

(二) 当該事業主等の行う認定職業訓練が第二の二に定める判断基準に適合しなくなったとき。

(三) 当該職業能力開発短期大学校の施設が、第三に定める施設の要件に適合しなくなったとき。

三 その後も改善が図られないときは、都道府県知事は、専門課程の高度職業訓練の認定及び職業能力開発短期大学校の設置承認を取り消すこと。

また、当該事業主等が、当該認定職業訓練を実施しなくなったとき、又は当該職業訓練を的確に実施できる能力を有すると認められなくなった場合においても同様とする。