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通達:「事業主団体等委託訓練実施要領」の制定について

 

「事業主団体等委託訓練実施要領」の制定について

平成3年2月1日能発第23号

(各都道府県知事、雇用促進事業団理事長あて労働省職業能力開発局長通達)

 

事業主団体等委託訓練については、構造転換能力開発事業の中心的な訓練方法としてこれまで昭和六三年四月七日付け能発第八二号「在職者能力再開発訓練実施要領等の制定について」通達別添四「事業主団体等委託訓練実施要領」に基づき実施してきたところであるが、今般、平成三年二月一日付け職発第四二号・能発第二二号「高年齢者職業能力開発援助事業実施要領等の一部改正について」通達により、高年齢者職業能力開発援助事業の訓練方法の一つとしても事業主団体等委託訓練を実施することに伴い、新たに「事業主団体等委託訓練実施要領」を別添のとおり定め、平成三年二月一日より実施することとし、関連通達については下記1のとおり改正するので下記2に御留意のうえ、構造転換能力開発事業及び高年齢者職業能力開発援助事業の積極的かつ円滑な推進に努められたく、特段の御配意をお願いする。

 

1 昭和六三年四月七日付け能発第八二号「在職者能力再開発訓練実施要領等の制定について」通達について

(1) 別添1「在職者能力再開発訓練実施要領」の9の(4)中の「通達別添4」を「平成三年二月一日付け能発第二三号通達別添」に改める。

(2) 別添4「事業主団体等委託訓練実施要領(旧要領という。)」を廃止する。

2 旧要領に基づき平成三年一月三一日以前に開始した事業主団体等委託訓練については、その訓練の終了するまでの間は、なお従前の例によることとする。

 

別添

事業主団体等委託訓練実施要領

就職支援能力開発事業、高年齢者職業能力開発援助事業、炭鉱労働者職業転換訓練、及び若年求職者職業能力開発事業の訓練受講生を対象として、職業能力開発促進法(昭和四四年法律第六四号)第一五条の六第三項の規定に基づき、雇用促進事業団(以下「事業団」という。)が設置する職業能力開発促進センター又は都道府県が設置する職業能力開発校(以下「職業能力開発促進センター等」という。)が行う委託訓練のうち、事業主団体・個別事業主(以下「事業主団体等」という。)への委託訓練(以下「事業主団体等委託訓練」という。)の実施に当たっては、この要領に定めるところによるものとする。

一 目的

(一) 就職支援能力開発事業

産業・職業、地域、年齢間における労働力需給のミスマッチの発生、中高年齢者の雇用機会の不足等に対応し、機動的な職業訓練を実施する必要がある場合であって、職業能力開発促進センター等において当該職業訓練を実施するための訓練科を直ちに設定することが困難であると判断される場合又は当該職業訓練を事業主団体等が実施することが迅速かつ効果的であると判断される場合に、下記三の(一)に示す訓練対象者に対して現場実習を中心とした事業主団体等委託訓練を実施し、在職労働者の円滑な労働移動及び離職者の再就職の促進に資するものとする。

(二) 高年齢者職業能力開発援助事業

高年齢者が長年にわたり培ってきた経験・技能、知識を活かしながら、関連する職業に再就職等するのに必要な幅の広い、又は高度かつ専門的な技能・技術、知識(以下「技能等」という。)を追加的に付与するため、職業能力開発促進センターに設置した高年齢者特別訓練コース(以下「マスターコース」という。)の訓練対象者について、施設内訓練、速成訓練、専修・各種学校等で修得した訓練内容の実践的応用を目的に行う場合に、下記三の(二)に示す訓練対象者に対して事業主団体等委託訓練を実施し、高年齢者の円滑な労働力移動及び雇用の場の拡大に資するものとする。

(三) 炭鉱労働者職業転換訓練

石炭企業の経営多角化、新分野開拓に対する支援策として、炭鉱労働者等の雇用の安定等に関する臨時措置法(昭和三四年法律第一九九号。以下「(炭)法」という。)第二条第一項に規定する炭鉱労働者に対して職業訓練を実施し、炭鉱労働者の円滑な労働力移動に資するものとする。

(四) 若年求職者職業能力開発事業

大卒等未就職卒業者及び若年離職者等若年求職者の増加に対応し、機動的な職業訓練を実施する必要がある場合であって、職業能力開発促進センターにおいて当該職業訓練を実施するための訓練科を直ちに設定することが困難であると判断される場合又は当該職業訓練を事業主団体等が実施することが迅速かつ効果的であると判断される場合に、下記三の(四)に示す訓練対象者に対して現場実習を中心とした事業主団体等委託訓練を実施し、若年求職者の就職の促進に資するものとする。

二 訓練実施主体

(一) 就職支援能力開発事業

訓練の実施主体は、職業能力開発促進センター等とする。

(二) 高年齢者職業能力開発援助事業

訓練の実施主体は、職業能力開発促進センターとする。

(三) 炭鉱労働者職業転換訓練

訓練の実施主体は、職業能力開発促進センター等とする。

(四) 若年求職者職業能力開発事業

訓練の実施主体は、職業能力開発促進センターとする。

三 訓練対象者

(一) 就職支援能力開発事業

イ 在職者である訓練対象者は、次の各号のいずれかに該当するものとする。

(イ) 特定不況業種等在職者

特定不況業種等関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法(昭和五八年法律第三九号。以下「業種法」という。)第二条第一項第三号に規定する特定不況業種事業主若しくは同項第四号に規定する特定雇用調整業種事業主又は同項第六号に規定する特例事業所の事業主(以下「対象業種等事業主」という。)に雇用される者であって、対象業種等事業主が公共職業安定所長(以下「安定所長」という。)に提出し、その認定を受けた雇用維持等計画又は失業の予防のための措置に関する計画において「配置転換等」、「在籍出向等」又は「離職を余儀なくされる者」として位置づけられた者のうち、短期課程(職業に必要な相当程度の技能及びこれに関する知識を習得させるためのものに限る。)の普通職業訓練(以下「離転職に係る短期・普通訓練」という。)を受講することが必要と認められたもの

(ロ) 高齢期就業準備制度利用者

六〇歳以上の定年の制度を有する事業所等の事業主がその雇用する四五歳以上六五歳未満の雇用保険の被保険者(雇用保険法第三八条第一項に規定する短期雇用特例被保険者及び同法第四三条第一項に規定する日雇労働被保険者を除く。)に対して創設した高齢期の職業生活に向けた準備を円滑に行わせる制度を利用する者(以下「高齢期就業準備制度利用者」という。)のうち、離転職に係る短期・普通訓練を受講することが可能と認められたもの

ロ 離職者である訓練対象者は、次の各号のいずれかに該当するものであって、安定所長の職業訓練受講指示又は職業訓練受講推薦(以下「職業訓練受講指示等」という。)を受けた雇用保険受給資格者とする。

なお、次の各号のうち大規模プロジェクト求職者及び地域プロジェクト求職者に対する職業訓練受講指示等に当たっては、職業訓練受講指示要領等に基づき当該職業訓練を受けさせることが、大規模プロジェクト計画又は地域雇用開発プランに基づいて設置される事業所に就職させるために必要であると認められた者に対して行うものとする。

(イ) 特定不況業種離職者

業種法第二条第一項第五号の規定に基づく事業所の事業規模の縮小等に伴う離職者

(ロ) 大規模プロジェクト求職者

地域雇用開発等促進法(昭和六二年法律第二三号。以下「地域法」という。)に規定する雇用機会増大促進地域内に居住し、又は当該地域へ住所若しくは居所を変更しようとする求職者(雇用保険法施行規則(昭和五〇年労働省令第三号)第一一三条第一項第三号の規定による求職者に限る。)のうち、労働大臣の認定を受けた大規模雇用開発プロジェクト計画に基づき設置される新規事業所(新規事業所として計画されている他の事業主が設置する事業所(以下「付随事業所」という。)が含まれている場合当該付随事業所を含む。)に雇用される可能性が高いと安定所長が認めた者(雇用機会増大促進地域内に居住する求職者については、自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇され、又は正当な理由がなく自己の都合によって退職した者を除く。)であって、現に失業しており、又はその職業が著しく不安定であるため失業と同様の状態にあると認められるもの

(ハ) 地域プロジェクト求職者

地域法に規定する雇用機会増大促進地域内に居住し、又は当該地域へ住所若しくは居所を変更しようする求職者のうち、地域雇用開発プロジェクトの一環として、労働省の委託を受けた各都道府県地域雇用開発協議会が策定した地域雇用開発プランに沿って具体的に設置・整備する事業所に雇用される可能性が高いと安定所長が認めた者(雇用機会増大促進地域内に居住する求職者については、自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇され、又は正当な理由がなく自己の都合によって退職した者を除く。)であって、現に失業しており、又はその職業が著しく不安定であるため失業と同様の状態にあると認められるもの

(ニ) 特定雇用機会増大促進地域離職者

地域法第二条第一項第九号の規定に基づく特定雇用機会増大促進地域離職者(自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇され、又は正当な理由がなく自己の都合によって退職した者を除く。)であって、現に失業しており、又はその職業が著しく不安定であるため失業と同様の状態にあると認められるもの

(ホ) 緊急雇用安定地域離職者

地域法第二条第一項第一一号の規定に基づく緊急雇用安定地域離職者(自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇され、又は正当な理由がなく自己の都合によって退職した者を除く。)であって、現に失業しており、又はその職業が著しく不安定であるため失業と同様の状態にあると認められるもの

(ヘ) 中高年齢離職者

雇用保険の受給資格に係る離職の日において四五歳以上六五歳未満の中高年齢離職者

(ト) 地方転職求職者

東京、埼玉、千葉、神奈川、愛知及び大阪の各都府県(以下「首都圏等」という。)から首都圏等以外の道府県に就業地を移転しようとする求職者であって、安定所長の職業訓練受講指示等を受けた雇用保険受給資格者

(二) 高年齢者職業能力開発援助事業

イ 在職者である訓練対象者は、次の各号のいずれかに該当するものとする。

(イ) 選択定年希望者

六〇歳以上の年齢での定年制を有し、かつ選択定年制(就業規則又は労働協約等に定めた「早期退職優遇制度」に限る。)を併せて実施している事業所の事業主に雇用される高年齢者(雇用保険一般被保険者に限る。)であって、マスターコース相談申込時において本人の意思に基づき同制度により五五歳以上六五歳未満までに離職することが確定しているもののうち、訓練開始日において五五歳以上六五歳未満のもの

(ロ) 前記三の(一)のイの(ロ)に示す高齢期就業準備制度利用者

(ハ) 前記三の(一)のイの(イ)に示す特定不況業種等在職者のうち、訓練開始日について五五歳以上六五歳未満のもの

ロ 離職者である訓練対象者は、前記(一)のロの(ヘ)に示す者のうちの高年齢離職者であって、安定所長の職業訓練受講指示を受けた雇用保険受給資格者とする。

(三) 炭鉱労働者職業転換訓練

在職者であって(炭)法第二条の三第一項に規定する「雇用安定計画」において、職業訓練を受講する者と位置づけられた者

(四) 若年求職者職業能力開発事業

次の各号のいずれかに該当する求職者であって、雇用促進センター所長の受講推薦により職業能力開発促進センターに入校したものとする。

イ 大学等未就職卒業者(「大学等」とは、大学(大学院を含む。)、短期大学、高等専門学校及び専修学校をいう。)

ロ 一八歳以上二五未満の早期離転職者等求職者

四 訓練職種

(一) 就職支援能力開発事業

訓練職種の選定に当たっては、訓練対象者の有する技能・知識や労働市場の状況から判断して離職者及び特定不況業種等在職者については、雇用可能性の高いものとし、高齢期就業準備制度利用者については、高齢期の職業生活に向けた準備を円滑に行わせるものとする。特に、中高年齢者の訓練職種については、中高年齢者が就業可能な職務について、すべての産業、業種を対象とした幅広い把握・選定に努めるものとすること。

(二) 高年齢者職業能力開発援助事業

訓練職種については、事業団の各雇用促進センター内に設置された能力開発支援コーナーにおける職業能力開発に関する相談に基づき、訓練対象者が有する技能等及び求人ニーズ等から判断して雇用の可能性等の高いもの又は継続雇用への移行の促進に資するものを設定すること。

(三) 炭鉱労働者職業転換訓練

訓練職種の選定に当たっては、訓練対象者の有する技能・知識や労働市場の状況に応じ、炭鉱労働者の円滑な職種転換が図られるものを設定すること。

(四) 若年求職者職業能力開発事業

必要に応じて多様な職種の訓練を積極的に実施すること。

五 訓練形態

この要領に基づく委託訓練は、職業能力開発促進センター等において委託訓練期間の最初と最後の数日間オリエンテーション等を実施し、訓練の実施を事業主団体等に委託することを基本とする。

六 委託先事業主団体等

委託先事業主団体は、次の諸条件を満たす事業主団体であること。

なお、個別事業主であっても次の諸条件を満たし、適切に委託訓練を実施する能力があると認められる場合は、当該個別事業主に対しても訓練の実施を委託することができるものとする。

(一) 委託訓練を行う設備の余裕があること。

(二) 訓練担当者として下記九の(一)に掲げる者がいること。

(三) 労働基準法(昭和二二年法律第四九号)及び労働安全衛生法(昭和四七年法律第五七号)の規定する安全衛生その他の作業条件が整備されていること。

七 委託訓練の内容

(一) 訓練期間及び訓練時間

イ 就職支援能力開発事業

(イ) 訓練期間及び訓練時間は、原則として六カ月、七〇〇時間程度とする。これにより難い場合には、二カ月以上一年以下で、かつ、一五〇時間以上の範囲において現に有する技能・知識等を勘案して弾力的に定めることができる。

(ロ) (イ)により難い場合においては、一カ月以上二カ月以下で、かつ、一五〇時間未満(ただし、できる限り一五〇時間程度とする。)とすることができる。

ロ 高年齢者職業能力開発援助事業

訓練期間及び訓練時間は、職業能力開発促進センターでの施設内訓練、速成訓練及び専修・各種学校等で修得した訓練内容の実践的応用を目的とする観点から、原則として、マスターコースの終期において一カ月以上二カ月未満、一五〇時間程度とする。

ハ 炭鉱労働者職業転換訓練

訓練期間及び訓練時間は上記イで示す就職支援能力開発事業を準用する。

ニ 若年求職者職業能力開発事業

訓練期間は、原則として三カ月とするが、これにより難い場合には、一年以下で弾力的に定めることができる。

(二) 訓練内容

イ 就職支援能力開発事業

訓練の実施に当たっては、基礎的技能(関連する知識を含む。)の修得に重点を置きつつ、さらにその職種について遂行することが要求される応用作業に係る技能についても習熟することを目的とする。

ロ 高年齢者職業能力開発援助事業

訓練の実施に当たっては、職業能力開発促進センター又は専修・各種学校等で修得した訓練内容の実践的応用のほか、その職種について遂行することが要求されるその他の技能等について修得することを目的とする。

ハ 炭鉱労働者職業転換訓練

上記イを準用する。

ニ 若年求職者職業能力開発事業

訓練の実施に当たっては、職業に必要な基礎的な技能(関連する知識を含む。)の修得に重点を置くものとする。

八 訓練人員

訓練を行う一単位の訓練生数は、概ね一〇人とする。ただし、離転職者等の発生状況及び地域労働市場の動向等によって弾力的に取り扱うものとし、一人を単位とすることができる。

九 訓練担当者

(一) 訓練担当者の資格

訓練担当者は、職業訓練指導員免許を有する者、職業能力開発促進法(昭和四四年法律第六四号)第三〇条の二第二項の規定に該当するものと認められる者等とする。

(二) 訓練担当者の数

訓練担当者は、訓練生概ね一〇人につき一人の割合で置くものとする。

一〇 委託訓練の訓練生の取扱い

(一) 委託訓練の訓練生についても、当該職業能力開発促進センター等の訓練生として指導、援助等に十分配意すること。

(二) 職業能力開発促進センター等の長は、訓練期間中における委託訓練の受講者の把握を訓練生指導要録(昭和三〇年五月一〇日付け職発第六〇二号通達)により行うこと。

一一 委託先事業主団体等に対する措置

職業能力開発促進センター等の長は、委託先事業主団体等に対して、次の一二による委託契約に基づいて委託費を支給するものとする。

一二 委託契約の締結

職業能力開発促進センター等の長は、事業主団体等に訓練を委託する場合には、様式第一号「事業主団体等委託訓練契約書(準則)」を参考として委託契約を締結するものとし、委託契約を締結するに当たっては、次の事項が担保されるようにするものとする。

(一) 訓練生の取扱い

委託先事業主団体等は、次に定めるところにより訓練生を取り扱うものとする。

イ 訓練に関係がない作業に従事させないこと。

ロ 訓練が作業を伴う場合には、安全、衛生、その他の作業条件について、労働基準法及び労働安全衛生法の規定に準ずる取り扱いをすること。

(二) 委託費の支給

職業能力開発促進センター等の長は、委託先事業主団体等が訓練を実施した場合には、原則として、次により、委託費を支払うものとする。

イ 委託費の額は、委託先の個別事業主等がOJTを中心とする職業訓練の場合は、訓練生一人につき月額二三、〇〇〇円とし、また、委託先が事業主団体等であって教育訓練施設を有し、OFF―JTが相当の割合を占める職業訓練の場合には、訓練生一人につき月額六〇、〇〇〇円とすること。

ただし、訓練が月の途中で開始又は修了若しくは解除した場合は、委託費の額は、訓練が行われた日(実際に訓練が行われた日及び事業所が定める休日(日曜日及び国民の祝日を除く。)をいう。以下同じ。)については、日割計算によって得た額とする。この場合において、一カ月は二五日として計算するものとし、一円未満の端数は切り捨てる。また、日曜日又は国民の祝日を休日扱いとしない事業所については、当該日曜日又は国民の祝日の代替日として定めた休日は、訓練が行われた日に含めないものとすること(この場合には、実際の日曜日又は国民の祝日は訓練が行われた日に含めるものである。)。

一暦月において、月の初日から末日までが訓練期間になっている場合(月の初日から訓練が開始された場合又は月の末日で訓練が修了する場合及び訓練の開始又は修了の日を含まない月をいう。以下同じ。)で、当該月において訓練が行われた日が一六日未満であるときについても、訓練が月の途中で開始又は修了若しくは解除した場合と同様の取扱いをすること。

なお、月の初日から末日までが訓練期間になっている場合又は訓練を開始する月の初日が日曜日若しくは国民の祝日であるため、その翌日から訓練を開始する場合で、当該月において訓練が行われた日が一六日以上であるときは、一カ月分の訓練に係る委託費を支払うものとする。

ロ 委託費は、委託先事業主団体等の請求により、訓練の行われた期間について支払われるものであること。

(三) 委託費の返還

委託先事業主団体等が委託契約の内容又はこれに付した条件に違反した場合には、職業能力開発促進センター等は当該事業主団体等に対し、すでに支給した委託費の額の全部又は一部を返還させるものとすること。

(四) 委託契約の変更及び解除

イ 委託契約は、次のいずれかに該当するときは変更又は解除することができること。

(イ) 委託先事業主団体等が、特別の事情により、職業能力開発促進センター等の長に対し委託契約の変更又は解除の協議をし、同意を得たとき。

(ロ) 次のいずれかに該当すると職業能力開発促進センター等の長が認めたとき。

a 委託契約締結後の事情の変更により、当該委託訓練を実施できなくなった場合

b 委託先事業主団体等が、委託契約の内容又はこれに付した条件に違反した場合

ロ 上記イの(イ)又は(ロ)に該当する場合には、委託契約は、当該同意又は通知により、その内容を変更し、又は解除されるものとすること。

(五) 実施状況報告及び調査

職業能力開発促進センター等の長は、訓練の適正な実施を確保するため、必要と認めるときは、訓練の実施中又は修了後において、当該訓練の実施の状況に関し委託先事業主団体等から報告を求め、又は関係職員をして調査させることができること。

一三 実施手順

(一) 制度の周知徹底

本委託訓練を円滑に推進するためには、対象業種等事業主、訓練委託先事業所等の理解と協力を得ることが重要であるので、職業能力開発促進センター等は、訓練生の送り出し事業主、受け入れ事業主団体等双方に対し、制度の趣旨、内容等について十分に周知徹底を図ること。

(二) 委託先事業主団体等の把握

本委託訓練の成否は、いかに多くの委託先事業主団体等を確保するかにかかっており、県、地域レベルの雇用吸収力のある事業主団体等に対し、訓練生の受入れについての依頼を行うものとすること。その際、公共職業安定所(以下「安定所」という。)、県、市町村等の協力を得るよう努めることが必要であること。

(三) 訓練生の把握

雇用促進センター及び職業能力開発促進センター等は、近接の安定所と連携をとり、前記三の訓練対象者の中から訓練生を把握すること。

(四) 訓練科及び訓練生の決定

前記(二)、(三)において把握した情報をもとに、事業主団体等の訓練能力、訓練生の転職希望職種等を勘案し、当該事業主団体等における委託訓練の訓練科及び対象となる訓練生を決定すること。

一四 訓練期間中の災害防止等

訓練期間中における訓練生の災害については未然に防止するよう留意するものとするが、委託先事業主団体等の開拓時においては、事業所の安全衛生管理体制に十分配慮するものとし、特に高年齢者については委託先事業主団体等に対し、より一層の安全衛生管理指導を行うものとする。

一五 事業主団体等委託訓練生の労働者災害補償保険特別加入

不幸にして災害が発生した場合に、それを補償するため、あらかじめ労働者災害補償保険(以下「労災保険」という。)の特別加入を行うこと。

(一) 労災保険の特別加入の方法

事業主団体等委託訓練生の労災保険への特別加入は、同訓練生が労働者災害補償保険法(昭和二二年法律第五〇号。以下「労災法」という。)第二七条第五号に該当する者として同法第二九条第一項の規定に基づく団体を結成し、管轄の労働基準監督署長を経由して都道府県労働基準局長あて申請することが必要であるが、特別加入及びその後の関係事務は、都道府県分にあっては、都道府県職業能力開発主管課、事業団分にあってはそれぞれの職業能力開発促進センターにおいて行うものであること。

(二) 特別加入申請の手続き

イ 特別加入申請の手続きに関し、都道府県分については特別加入の申請団体名を「〇〇県事業主団体等委託訓練生組合」とし、代表者は職業能力開発主管課長をもってあて、事務所を職業能力開発主管課内に置くものとし、事業団分については特別加入の申請団体名を「〇〇職業能力開発促進センター事業主団体等委託訓練生組合」とし、代表者は職業能力開発促進センターの長をもってあて、事務所を職業能力開発促進センター内に置くものとすること。

ロ 特別加入するものは、当該年度における事業主団体等委託訓練生のうち前記三の(一)のロ及び(二)のロに掲げる離職者並びに(四)に掲げる若年求職者の訓練対象者全員であること。

(三) 給付基礎日額

労働者災害補償保険法施行規則(昭和三〇年労働省令第二二号)第四六条の二四に規定する給付基礎日額は、雇用保険法(昭和四九年法律第一一六号)第一三条の規定に該当する者及び同法第三九条第一項の規定に該当する者の基本手当の額の算定の基礎となる賃金日額又は船員保険法(昭和一四年法律第七三号)に基づく船員失業保険金受給資格者の失業保険金の額の算定の基礎となる標準報酬日額が三、五〇〇円を超え、二〇、〇〇〇円以下のものにあっては、同給付基礎日額の決定基準額(三、五〇〇円、四、〇〇〇円、五、〇〇〇円、六、〇〇〇円、七、〇〇〇円、八、〇〇〇円、九、〇〇〇円、一〇、〇〇〇円、一二、〇〇〇円、一四、〇〇〇円、一六、〇〇〇円、一八、〇〇〇円及び二〇、〇〇〇円)に相当する額のうち、当該基本手当の額の算定の基礎となる賃金日額又は当該失業保険金の額の算定の基礎となる標準報酬日額の直近の高い額とし、二〇、〇〇〇円を超えるものにあっては二〇、〇〇〇円とすること。

ただし、若年求職者職業能力開発事業の訓練対象者については、給付基礎日額を四、〇〇〇円とすること。

(四) 保険料の算定

保険料の算定については、給付基礎日額に応ずる労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則(昭和四七年労働省令第八号。以下「徴収則」という。)別表第四「特別加入保険料算定基礎額表」の右欄の保険料算定基礎額の一二分の一の額(その額に一円未満の端数があるときは、これを一円に切り上げる。)に事業主団体等委託訓練生の訓練月数(暦月により計算することとし、端数は一カ月に切り上げる。)を乗じて得た額を「賃金総額の算定の基礎となる額」とし、この額に一〇〇〇分の七(徴収則別表第五「第二種特別加入保険料率表」の特一四)を乗じて算定すること。

なお、保険年度の中途又は二保険年度にわたって事業主団体等委託訓練を受講する場合の受講を開始した保険年度についての保険料は、特別加入した月から当該保険年度の末日までの事業主団体等委託訓練生の訓練月数(暦月により計算することとし、端数は一ヵ月に切り上げる。)により計算すること。

(五) 概算保険料の申告・納付

労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和四四年法律第八四号。以下「徴収法」という。)第一五条の規定に基づき、保険年度ごとにその保険年度の初日から四五日以内に当該年度内の訓練受講予定者に係る概算保険料を申告し、納付すること。

(六) 確定保険料の申告・納付

徴収法第一九条の規定に基づき、保険年度ごとに次の保険年度の初日から四五日以内に確定保険料の申告をすること。

確定保険料の申告に際しては、当該保険年度における全事業主団体等委託訓練生について賃金総額の内訳書(様式第二号)を添付すること。

(七) 保険給付の請求

保険給付請求を行う場合、保険給付請求書の事業主の証明は、当該特別加入団体の代表者が行うこととし、また証明事項のうち、負傷又は発病年月日、災害の原因及び発生状況等については、受託事業主のその事実を証明する書類を添付させること。

なお、平均賃金欄に記載されるべき給付基礎日額については、当該特別加入団体の代表者が給付基礎日額証明書(様式第三号)により証明するものであること。

(八) 加入者名簿の整理

都道府県分については都道府県職業能力開発主管課、事業団分については職業能力開発促進センターにおいて、訓練開始年月日、訓練修了年月日、当該年度内における訓練月数等を記載した「特別加入者名簿」(様式第四号)を整備しておくこと。

(九) その他

イ 本業務については、各都道府県労働基準局又は管轄の労働基準監督署と協議の上すすめること。

ロ 保険料の経費は、交付金対象として取り扱うものとする。

一六 その他の事項

本要領における船員等に関する適用は次のとおりとする。

(一) 在職者関係

前記三の(一)のイ及び(二)のイの訓練対象者には、船員職業安定法(昭和二三年法律第一三〇号)第六条第一項に規定する船員(以下「船員」という。)は含まないこと。

(二) 離職者関係

前記三の(一)のロ及び(二)のロの訓練対象者には船員となろうとする者は含まないこと。この場合三の(二)のロ中の「雇用保険受給資格者」は、「船員保険失業保険金受給資格者であって船員になろうとする者以外の者」と読み替えること。

(三) 若年求職者関係

前記三の(四)の訓練対象者には船員となろうとする者は含まないこと。