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高年齢者職業能力開発援助事業の実施について
平成2年6月8日職発第306号・能発第108号
(各都道府県知事、雇用促進事業団理事長あて労働省職業安定局長、労働省職業能力開発局長)
高齢化の急激な進展等の構造的変化が進展する中で、我が国経済社会の活力を維持・発展させていくためには、高年齢者の活用とその雇用の場の確保を図つていくことが重要な課題である。
このような中にあつて、高年齢者の雇用対策の一環として、これまで、公共職業訓練施設における高年齢者向け訓練科の増設、構造転換能力開発事業の実施など種々の職業能力開発施策を講じ、その再就職等の促進に努めてきたところである。
最近の産業界においては、急激な技術改革や産業構造の進展、好調な景気の持続に伴う人手不足感の拡がり等の中で、それらに対応できる人材の育成・確保を図るための施策の拡充・強化が一層要請されている。
このため、従来の職業転換のための職業能力開発施策に加え、経済社会のニーズに応じつつ、高年齢者がこれまで長年にわたり培つてきた経験・技能、知識を基礎に、それらに関連する専門的な高度技術・技能等を追加的に付与するきめ細かな職業能力開発施策を積極的に推進する必要がある。
このため、今年度から雇用促進事業団が設置している技能開発センター及び総合高等職業訓練校並びに雇用促進センターを実施主体として高年齢者が有する技術・技能、知識を基礎に、これに時代の変化に即応できる幅の広い又は高度な技術・技能、知識を付与することを目的とした「高年齢者職業能力開発援助事業」を実施することとし、別添1のとおり「高年齢者職業能力開発援助事業実施要領」を定めたので、これが事業の円滑な実施につき御配慮をお願いする。
また、当該事業を効果的に実施するためには、職業安定機関と職業能力開発機関との密接な連携が不可欠であり、別添2のとおり「高年齢者職業能力開発援助事業推進要領」を定めたので、これに基づき、両機関が連携して積極的な取組みを行うよう併せて特段の御配慮をお願いする。
別添
高年齢者職業能力開発援助事業実施要領
第一 趣旨
労働力の高齢化の進展に伴う高年齢労働力の有効活用及び高年齢者の雇用の場を拡大するためには、高年齢者が長年の職業生活において培ってきた豊富な経験、知識、技能等の一層の開発・向上を図り、それらを生かした職業への再就職等を図ることが重要である。
このため、高年齢者職業能力開発援助事業(以下「援助事業」という。)として、①雇用促進事業団の雇用促進センターに能力開発支援コーナー(以下「支援コーナー」という。)を設置し、②当該支援コーナーにおいて個々の高年齢者が有する技能・技術、知識等(以下「技能等」という。)をふまえ、これに再就職等に必要な技能等を追加的に付与する能力開発プログラムを作成するとともに、③職業能力開発促進センターにあっては、それら個々の訓練ニーズに対応できる高年齢者特別訓練コース(以下「マスターコース」という。)を設置し、④施設内訓練及び速成訓練のほか、職業能力開発大学校及び職業能力開発短期大学校(以下「能開大学校等」という。)における聴講、大学・短大、専修学校・各種学校及び民間セミナー等の各種教育訓練施設(以下「各種教育訓練施設等」という。)及び事業主団体・事業主(以下「事業主団体等」という。)への委託訓練を活用して、当該能力開発プログラムを実施することにより高年齢者の職業能力の開発・向上を図り、もって、高年齢労働力の有効活用及び高年齢者の雇用の場の拡大に資するものとする。
第二 実施体制
援助事業は、職業能力開発促進センター及び雇用促進センター(以下「両センター」という。)並びに都道府県職業能力開発主管課が主体となって取り組むものとする。
また、都道府県職業安定主管課及び公共職業安定所(以下「職業安定機関」という。)は、地域における労働力需給調整の中核的機関として、援助事業を高年齢者に対する職業紹介上の有効な施策として位置づけ、両センター及び都道府県職業能力開発主管課(以下「職業能力開発機関等」という。)と密接な連携の下に、援助事業の目的が達せられるよう求職者及び事業主等に対する助言・援助及び職業訓練受講指示等必要な取組みを行うものとする。
第三 事業の概要
一 高年齢者に対する職業能力開発に係る相談及び能力開発プログラムの作成等
雇用促進事業団は、都道府県庁所在地にある雇用促進センター内に支援コーナーを設置し、個々の高年齢者の職業能力開発に関する相談を実施し、当該高年齢者が現に有する技能等に係る職業能力の把握を行った上で、これに追加的に付与する必要のある技能等を把握し、それに基づき、具体的な能力開発プログラムを作成するとともに、訓練実施主体である職業能力開発促進センターと訓練実施に関する調整を行うものとする。
二 マスターコースの実施
(一) 職業能力開発促進センターに個々の高年齢者の訓練ニーズに応じられるようなマスターコースを設置し、各種教育訓練施設等及び事業主団体等をも活用し、再就職等に有利な幅の広い又は高度かつ専門的な技能等を付与する訓練を弾力的、機動的かつ効果的に実施するものとする。
(二) マスターコースの各課程及び訓練内容は、当面次のとおりとする。
課程名 |
訓練内容 |
技術者課程 |
技術革新、情報化等の進展に対応した高度かつ専門的な技術、知識等を付与する。 |
テクニシャン課程 |
産業界のニーズが強いテクニシャン養成のため品質管理、機械設備の改善等に関する技術的知識等を付与する。 |
管理職課程 |
高年齢者の管理職の再就職先等として多い中小企業等に必要な幅広い管理的ノウハウ(中小企業経営論、税務会計、金融ビジネス(手形、融資)、マーケティング、販売、OA機器操作等)を付与する。 |
三 修了証書及び履修証明書の交付
職業能力開発促進センターの長は、訓練修了等後において、修了証書及び履修した教科目の証明書を当該受講者に交付するものとする。
第四 事業の具体的内容
一 職業能力開発に係る相談及び訓練プログラムの作成等
援助事業を効果的に実施するためには、支援コーナーにおいて、マスターコース対象者の有する技能等をより的確に把握し、当該対象者が再就職等に必要とする追加すべき技能等の内容、程度を判断し、これに基づいた能力開発プログラムを的確に作成する必要がある。
従って、雇用促進センターは以下の点に留意し、相談業務を円滑に実施するものとする。
(一) 委託訓練の活用に当たっては、委託可能な施設、その内容、程度、開始時期、定員等を常に把握し、そのリストを予め作成しておくこと。
(二) 速成訓練の活用に当たっては、訓練実施場所、借用機器、部外講師及び部外講師が担当できる内容、有する資格等を内容とするリストを予め作成しておくこと。
(三) 事業主団体等への委託訓練(以下「事業主団体等委託訓練」という。)は、施設内訓練、速成訓練及び各種教育訓練施設等で修得した訓練内容の実践的応用を目的とする観点から、原則として訓練期間の終期(一~二ケ月の範囲)において実施するものとする。従って、事業主団体等への委託訓練のみによる能力開発プログラムの作成は、認められないものであること。
(四) 技能等の把握に当たっては、予めチェックリストを作成し、当該チェックリストの活用及び公共職業安定所(以下「安定所」という。)の相談内容の情報又は事業主からの訓練対象者の従業員に係る情報をも参考に、また、実技による技能のレベルの把握にあっては、職業能力開発促進センター又は近隣の職業訓練施設の実習場を活用する等して、的確な把握を行うこと(職業能力開発促進センター又は近隣の職業訓練施設において、技能等の把握を行う場合は、真に止むを得ない場合であって、かつ、必ず本人の了承を得た上で実施すること。)。また、その結果等については、様式第一号又は様式第二号「マスターコース相談申込書・相談記録」を作成の上、その写しを安定所又は事業主並びに職業能力開発促進センターに送付し、受講指示、その他訓練実施に係るその後の連絡調整に活用すること。
なお、雇用保険関係についての確認の必要が生じた場合には、安定所の協力・援助のもとに所要の確認を行うこと。
(五) 支援コーナーに「訓大式高年齢者ME機器訓練・評価のためのワークサンプル」が設置されているので、ME機器に関する訓練が必要な対象者の能力開発プログラムの作成に当たっては、当該機器の活用を図ること。
(六) 能力開発プログラムを実施する施設等の選定に当たっては、マスターコースの特徴として職業能力開発促進センターで行う施設内訓練、速成訓練のほか、必要に応じて各種教育訓練施設等及び事業主団体等をも活用して実施することから、当該訓練の実施施設と内容及び開始時期等について十分な連絡・調整を図ること。
(七) 在職者に対する訓練を実施するに当たっては、職業能力開発促進センターは、特定不況業種等高年齢在職者雇用事業主等と様式第三号「マスターコース実施契約書」を参考にして契約を締結すること。
二 マスターコースの実施
(一) 対象者
マスターコースの対象者は、次の各号のいずれかに該当するものであって、現に有している技能等を基礎に幅の広い又は高度かつ専門的な技能等を付与することによって円滑な再就職等が図れると認められるものとする。
イ 離職者関係
受給資格に係る離職日において五五歳以上六五歳未満の高年齢離職者であって、公共職業安定所長(以下「安定所長」という。)の職業訓練受講指示を受けた雇用保険受給資格者(以下「高年齢受給資格者」という。)
ロ 在職者関係
(イ) 六〇歳以上の年齢での定年制を有し、かつ選択定年制(就業規則又は労働協約等に定めた「早期退職優遇制度」(早期退職優遇制度とは、一定年齢以上又は一定勤続年数以上の労働者が定年年齢到達以前に退職した場合に、①退職金を定年退職扱いで算定する。②退職金以外に特別付加金を支給する。③企業年金の受給を開始する。等の優遇措置を行う制度である。)に限る。)を併せて実施している事業所の事業主に雇用される高年齢者(雇用保険一般被保険者に限る。)であって、マスターコース相談申込時において本人の意思に基づき同制度により五五歳以上六五歳未満までに離職することが確定しているもの(以下「選択定年希望者」という。)のうち訓練開始日において五五歳以上六五歳未満のもの
(ロ) 就職支援能力開発事業実施要綱第三の三の(一)に定める高齢期就業準備制度利用者のうち、高齢期就業準備訓練を受講することが可能と認められたもの
(ハ) 就職支援能力開発事業実施要綱第三の一に定める訓練対象者である特定不況業種等在職者(特定不況業種等関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法(昭和五八年法律第三九号)に規定する特定不況業種事業主若しくは特定雇用調整業種事業主又は特例事業所の事業主に雇用される者であって、当該事業主が安定所長に提出し、その認定を受けた同法第六条に規定する雇用維持等計画又は同法第八条に規定する失業の予防のための措置に関する計画(以下「認定計画」という。)において「配置転換等」、「在籍出向等」又は「離職を余儀なくされる者」として位置づけられた者。)のうち、訓練開始日において五五歳以上六五歳未満のもの
(二) マスターコースの位置づけ
イ 訓練の種類
短期課程(職業に必要な相当程度の技能及びこれに関する知識を習得させるためのものに限る。)の普通職業訓練(以下「離転職に係る短期・普通訓練」という。)とする。
ロ 訓練の形態
訓練内容の程度により、職業能力開発促進センターの種々の施設内訓練及び速成訓練のほか、能開大学校等への聴講及び各種教育訓練施設等並びに事業主団体等への委託訓練を一部若しくは複数合わせる等により実施するものとする。
ハ 訓練期間及び訓練時間
訓練期間及び訓練時間は、対象者及び求人ニーズ等により付与する必要のある技能等を勘案し、二カ月以上一年以下で、かつ、一五〇時間以上の範囲において弾力的に定めるものとする。
なお、訓練時間には、技能等の修得に効果的と認められる場合、自主的な演習を含めても差し支えないものとする。
ニ 訓練職種
訓練職種の選定に当たっては、対象者が有する技能等及び求人ニーズ等から判断して特定不況業種等在職者若しくは選択定年希望者又は離職者については、雇用の可能性の高いものとし、高齢期就業準備制度利用者については、高齢期の職業生活に向けた準備を円滑に行わせるものとする。
ホ 訓練人員
訓練を行う一単位の訓練生数は一人を単位とする。ただし、職業能力開発促進センターにおける施設内訓練、各種教育訓練施設等への委託訓練及び速成訓練に係るこの事業の対象者のみの特別コースの設置に当たっては、すべて一回の訓練人員は概ね一〇人をもってその単位とするものとする。
ヘ 受講料
受講料は、無料とする。
(三) マスターコースの実施方法
イ 施設内訓練の弾力的運用
職業能力開発促進センター及び能開大学校等の雇用促進事業団施設における種々の既設の訓練科を活用するほか、必要に応じて職業能力開発促進センターに特別コースを設置するものとする。なお、対象者が有する技能等からして、中途入校させても計画的に訓練を実施することが可能な場合には、中途入校も認める。
ロ 速成訓練の活用
対象者個々の能力開発プログラムの実施に必要な訓練教科目を職業能力開発促進センターに直ちに設置することが困難な場合又は当該訓練教科目を職業能力開発促進センター以外の施設で実施することが迅速かつ効果的である場合には、マスターコース対象者の利便等を考慮して、都道府県庁所在地等の適切な施設等を利用した速成訓練の活用を図ること。
なお、地域職業訓練センターの活用についても、十分配慮すること。
ハ 都道府県立職業能力開発校の活用
対象者個々の能力開発プログラム実施に必要な訓練教科目を職業能力開発促進センターに直ちに設置することが困難な場合には、都道府県立職業能力開発校の既設の訓練科の活用を図ること。
ニ 各種教育訓練施設等を利用した委託訓練の活用
対象者個々の能力開発プログラム実施に必要な訓練教科目を職業能力開発促進センターに直ちに設置することが困難な場合又は当該訓練教科目を職業能力開発促進センター以外の施設で実施することが迅速かつ効果的である場合には、各種教育訓練施設等への委託訓練の活用を図ること。
なお、認定職業訓練校へ訓練を委託する場合は、施設・設備、職業訓練指導員等訓練実施体制に留意の上、活用すること。
ホ 事業主団体等委託訓練の活用
マスターコースで修得した訓練内容を実際の事業所で実践的に応用できるようにする観点から、事業主団体等への委託訓練の活用を図ること。
なお、事業主団体等委託訓練の具体的な実施方法については、事業主団体等委託訓練実施要領(平成三年二月一日付能発第二三号別添)により取り扱うものとする。
なお、事業主団体等委託訓練は、生産現場における作業を中心とする訓練であることから、当該訓練生のうち離職者の訓練生については、雇用労働者に準じて保護する必要があるので、労働者災害補償保険の特別加入の対象者に加えることとするが、職業能力開発促進センターは、訓練の委託に当たり訓練生の安全、衛生、その他作業条件について十分注意し、労働災害の予防を図る必要がある。このため、職業能力開発促進センターは、当該委託先事業主団体及び事業主並びに直接訓練を指導する者等に対し、安全衛生管理体制について強力に指導・助言を行うこと。
また、訓練生に対しても、労働災害の予防について同様の指導、啓発を徹底すること。
ヘ 委託訓練を実施する場合の留意事項
職業能力開発促進センターは、各種教育訓練施設等及び事業主団体等に訓練カリキュラムの一部を委託して実施する場合にあっては、個々の訓練生の能力開発プログラムの全体計画及び全体計画のうち委託する部分の趣旨等を委託先に十分説明し、理解させた上で委託すること。
三 修了証書及び履修証明書等の交付
(一) 修了証書の交付
職業能力開発促進センターの長は、マスターコースの修了者に対して、職業能力開発促進法(昭和四四年法律第六四号)第二二条の規定に基づき、様式第四号による「修了証書」を交付するものとする。
なお、訓練生が疾病その他やむを得ない事由により、所定の訓練時間の一部について訓練を受けていない場合であっても、当該訓練生の訓練を受けた時間が予め定めた学科及び実技の訓練時間のそれぞれ八〇%以上であり、かつ、訓練生の修得した技能等の程度が修了に値すると認められるときは、修了証書を交付することができるものとする。
ただし、養成施設の指定等を受けている職業能力開発促進センターにあっては、修了の要件が当該指定の要件に適合するものであること。
(二) 履修証明書の交付
職業能力開発促進センターの長は、マスターコース修了等後において、別添様式第五号により高年齢者が履修した訓練教科目の「履修証明書」を当該高年齢者に交付するものとする。
(三) 職業転換訓練受講証明書等の交付
在職中の労働者がマスターコースを受講する場合には、一定の要件を満たすことにより、訓練期間中に事業主が支払う賃金等の助成又は奨励金として、安定所長から高齢期就業準備奨励金若しくは雇用促進センター所長から労働移動能力開発助成金又は都道府県知事から生涯能力開発給付金が支給されることとなるが、安定所長若しくは雇用促進センター所長又は都道府県知事がこれらの助成金の支給手続き又は支給決定をする上で、公共職業訓練を受講した旨の証明書が必要となるので、職業能力開発促進センターの長は、事業主からの請求により様式第六―二号「高齢期就業準備訓練受講証明書」(「高齢期就業準備奨励金支給要領」備様式第四―二号に同じ。)、様式第七号「職業転換訓練受講証明書」又は所定の様式による証明書を当該事業主に交付するものとする。
第五 訓練委託に係る取扱い
一 委託先に対する措置
職業能力開発促進センターの長(委託訓練に関する業務の実施について、職業能力開発促進センターの委任を受けている場合にあっては、雇用促進センターの長とする。以下同じ。)は、委託先に対して委託費を支給するものとする。
二 委託契約の締結
(一) 職業能力開発促進センターの長は、訓練を委託する場合には、委託契約を締結するものとする。委託契約書の様式は、各種教育訓練施設等にあっては、様式第八号「各種教育訓練施設等委託訓練契約書」、事業主団体等にあっては、平成三年二月一日付け能発第二三号通達別添「事業主団体等委託訓練実施要領」に示す様式第一号「事業主団体等委託訓練契約書」を参考にして委託契約を締結するものとする。
(二) 準用
マスターコースの実施に伴う施設等との契約、関係機関との協議並びに訓練計画の策定及び協議については、委託訓練に関する部分にあっては昭和六〇年一二月二三日付け能発第二八六号通達「委託訓練実施要領の改正について」別添「委託訓練実施要領」の七、一二及び一五を、速成訓練に関する部分にあっては昭和六〇年一二月二三日付け能発第二八七号通達「速成訓練実施要領の改正について」別添「速成訓練実施要領」の七、一二及び一五を準用するものとする。
ただし、訓練計画の策定及び協議については、訓練生一人に係るマスターコースはその訓練形態に関係なく一件として取り扱うものとする。
第六 船員等に関する取扱い
船員等に関する援助事業の適用は、次のとおりとする。
一 離職者関係
上記第四の二の(一)のイの「雇用保険受給資格者」には、船員職業安定法(昭和二三年法律第一三〇号)に規定する船員(以下「船員」という。)になろうとする者は含まれないこと。この場合の「雇用保険受給資格者」は、「船員保険失業保険金受給資格者であって船員になろうとする者以外の者に限る。」と読み替えること。
二 在職者関係
上記第四の二の(一)のロの(イ)の「選択定年希望者」、第四の二の(一)のロの(ロ)の「高齢期就業準備制度利用者」及び第四の二の(一)のロの(ハ)の「特定不況業種等在職者のうち、訓練開始日において五五歳以上六五歳未満のもの」には、船員は含まれないこと。
第七 援助事業実施に当たっての役割分担の基本的な考え方
援助事業を積極的に推進するため、両センター及び都道府県職業能力開発機関(以下「職業能力開発機関等」という。)と職業安定機関との役割分担は、次に掲げるものを原則とする。
一 職業能力開発機関等が主として取り組む事項
(一) 雇用促進センターが主として取り組む事項
イ 高年齢者の職業能力開発に係る相談及び有している技能・技術及び知識等(以下「技能等」という。)の把握
ロ 高年齢者個々の能力開発プログラムの作成
ハ 上記相談内容等の結果及び能力開発プログラムに係る公共職業安定所(以下「安定所」という。)への情報交換
ニ 訓練プログラム設定に係る職業能力開発促進センターとの調整及び実施に係る連携
ホ 各種教育訓練施設等及び事業主団体・事業主(以下「事業主団体等」という。)の訓練内容等の把握及び実施施設の開拓並びに職業能力開発促進センターへの情報提供
ヘ 事業主等の訓練ニーズの把握
ト 設定したマスターコース及びカリキュラムの内容等に係る資料(PRパンフレット等)の安定所への提供
チ 能力開発プログラムに係る各種教育訓練施設等及び事業主団体等への訓練委託事務及び委託事務に係る指導・援助(職業能力開発促進センターからの委任事項に限る。)
リ マスターコースに係る業務の実施(職業能力開発促進センターからの委任事項に限る。)
ヌ マスターコース修了者に対するアフターケアーの実施
(二) 職業能力開発促進センターが主として取り組む事項
イ マスターコースの設置及び訓練プログラムの実施
ロ 能力開発プログラムに係る施設内訓練及び速成訓練の実施
ハ 能力開発プログラムに係る各種教育訓練施設等及び事業主団体等への訓練委託事務及び委託訓練実施に係る指導・援助
ニ 修了証書及び履修証明書の交付
ホ マスターコース修了者に対するアフターケアーの実施
(三) 都道府県職業能力開発機関が主として取り組む事項
イ 援助事業に係る地方職業能力開発計画の策定及び調整
ロ 援助事業の訓練実施に係る都道府県立職業能力開発校への受入れ・実習場の貸与、制度の周知及び広報等の協力・援助
二 職業安定機関が主として取り組む事項
(一) 安定所が主として取り組む事項
イ 求職者に対するマスターコース受講についての相談・助言
ロ 個別能力開発プログラム作成のための雇用促進センターに対する受講対象者のあっせん及び安定所における相談内容等に係る情報提供
ハ 求職者の技能等の把握及びこれに基づく職業訓練受講指示(以下「受講指示」という。)
ニ 認定計画若しくは六〇歳以上の定年の制度を有する事業所等の事業主がその雇用する四五歳以上六五歳未満の雇用保険の被保険者(雇用保険法第三八条第一項に規定する短期雇用特例被保険者及び同法第四三条第一項に規定する日雇労働被保険者を除く。)に対して創設した高齢期の職業生活に向けた準備を円滑に行わせる制度(以下「高齢期就業準備制度」という。)の運用に関する計画の提出の勧奨及び同計画提出事業所又は六〇歳以上の年齢での定年制を有し、かつ選択定年制(就業規則又は労働協約等に定めた「早期退職優遇制度」に限る。)を併せて実施している事業所(以下「選択定年制事業所」という。)に対する援助事業の周知及び利用勧奨
ホ 事業主、求職者の訓練ニーズの把握及び雇用促進センターへの情報提供
ヘ マスターコース受講修了者に対する職業紹介等(高齢期就業準備制度を利用する者(以下「高齢期就業準備制度利用者」という。)を除く。)
(二) 職業安定主管課が主として取り組む事項
援助事業の実施に必要な制度周知等に係る職業能力開発機関等に対する協力・援助
第八 訓練対象者の把握
一 離職者関係
安定所は、職業訓練受講指示要領(以下「受講指示要領」という。)に基づき、訓練対象離職者、特に人材銀行登録者に対し、マスターコースの積極的かつ効果的活用を図ること。
なお、これについては、以下の点に留意すること。
(一) 雇用保険の初回受給者説明会等に適宜雇用促進センターの能力開発支援相談員又は関係職員が出席し、受給資格者に対してマスターコースの説明を行うことの申入れに対して協力すること。
(二) アンケート調査の実施等により、対象離職者の希望職種等、訓練に対するニーズ等を把握すること。
(三) 職業相談により対象者を的確に把握し、その結果、職業訓練の受講が適当と思われる者に対しては、対象者の態様と緊要度に応じた的確な指導・援助を行い、その過程でマスターコースの受講についての助言・指導を行うこと。
二 在職者関係
(一) 職業安定機関は、特定不況業種事業所若しくは特定雇用調整業種事業所又は特例事業所、高齢期就業準備制度利用者の雇用事業所又は選択定年制を有する事業所の訪問により、雇用調整による離職予定者等又は高齢期就業準備制度利用者に関する情報収集に努めるほか、認定計画又は高齢期就業準備制度の運用に関する計画の提出の勧奨等事業所指導を徹底するとともに、マスターコースの利用を勧奨すること。
(二) 両センターは、職業能力開発主管課及び職業安定機関から「雇用維持等計画」、「失業予防計画」若しくは「再就職援助促進計画」又は選択定年制事業所に係る情報の提供を受け、当該事業所を訪問する等して対象者の把握を行うこと。
第九 職業訓練受講指示等
一 公共職業安定所長(以下「安定所長」という。)は、マスターコースが再就職に有利な、幅の広い又は高度かつ専門的な技能等の修得を目的としていることから、特に人材銀行に登録している者で、個々の適性及び求人ニーズに基づくマスターコースを受講することにより再就職の促進が図れる者に対し、受講指示要領に基づく適切な受講指示を行うこと。
具体的には、再就職の希望職種が過去の経験、知識、技能等に関連する職種であって、当該職種に斡旋する場合、求人ニーズ等から判断し、追加して技能等を付加する必要があると認められる者に対し、受講指示を行い、効果的な再就職又は再就職する機会の拡大につながるような活用を図ること。
なお、受講指示書の訓練科又は訓練種目欄には、〇〇科(マスターコース〇〇課程)と記入すること。
二 安定所長は、受講指示に先だって、個別能力開発プログラム作成のため、雇用促進センターに受講対象者のあっ旋を行うとともに、職業相談時に把握した受講対象者の職歴及び有している技能等の情報を雇用促進センターに提供するものとする(実施要領の第四の一の(四)参照)。
三 安定所長は、受講指示を行うに当たっては、雇用促進センターが個別能力開発プログラム作成のため行う職業能力開発に係る相談結果及び当該対象者に係る訓練実施可能性並びに能力開発プログラムの概要等についての情報を踏まえた上で行うものとする(実施要領の第四の一の(四)参照)。
四 人材銀行においては、雇用保険を受給中である者のうち、マスターコースを受講することにより再就職の促進を図ることができると判断されるものについては、当該求職者の住所を管轄する安定所長に対して、マスターコース受講の推薦を行うものとし、さらに当該安定所長が当該求職者について個別能力開発プログラム作成のための雇用促進センターに対するあっ旋が必要であると判断した場合にあっては、人材銀行は、原則として、当該安定所を経由して雇用促進センターに対する必要な情報を提供するものとする。
第一〇 マスターコース修了者の職業紹介等
安定所長の受講指示に基づきマスターコースを修了した者(高齢期就業準備制度利用者を除く。)については、安定所が主体となって職業紹介を行うこと。
また、人材銀行の管轄安定所長に対する推薦に基づいてマスターコースを受講し、これを修了した者については、修了後も引き続き当該人材銀行が主体となって、管轄安定所と連携しつつ職業紹介を行うものとする。
なお、無料職業紹介の届出を行っている職業能力開発促進センターにおいても、安定所における事前の職業相談内容等をふまえて、安定所と連携しつつ積極的に職業紹介に努めること。
第一一 広報活動の積極的展開
援助事業を推進するに当たっては、地域の事業主等の理解と協力を得ることが重要であることから、職業能力開発機関等及び職業安定機関は、新聞、業界紙、公報紙等の活用、ポスター等の作成、諸行事、諸会合への出席等あらゆる機会を通じて援助事業の広報活動に努めること。
なお、広報活動を効果的に行う観点から当該援助事業の名称については、親しまれる愛称を統一して使用して差し支えないこと。
(参考)
様式第1号(離職者用)