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通達:雇用安定事業の実施に伴う事業内職業訓練等に対する指導援助の強化について

 

雇用安定事業の実施に伴う事業内職業訓練等に対する指導援助の強化について

昭和52年10月1日訓発第267号

(各都道府県知事あて労働省職業訓練局長通達)

 

事業主等の行う職業訓練の推進については、従来から格段の御尽力を願つているところであるが、今般実施されることとなつた雇用安定事業においては事業主が自らあるいは他に委託して行う教育訓練の実施に大きな比重が置かれており、このため、在職労働者の能力開発を図るための事業内職業訓練の推進の重要性は一段と高まつてきている。

雇用安定事業について、その内容、手続等は、昭和五二年九月三〇日付け労働省発職第一四六号「雇用保険法等の一部を改正する法律その他関係法令の施行について」及び昭和五二年九月三〇日付け労発第八七号、基発第五四四号、婦発第二四五号、職発第四四六号、訓発第二五五号「雇用安定事業等の実施について」により、労働事務次官及び関係各局長から示したとおりであるが、両通達に明らかにしている如く、雇用安定事業においては、景気の変動、産業構造の変化等に対処して雇用調整又は事業転換等のために教育訓練を行う事業主に対して、その労働者の失業を予防し、又は職業の転換を円滑にすすめうるよう新たに助成措置が講ぜられることとなつた。雇用安定事業において助成の対象となる教育訓練が適時に、かつ、十分な効果をもつて実施されるためには、職業安定機関と十分な連携を図りつつ、当該教育訓練を行う事業主に対して適切な指導援助を行つていく必要がある。同時に、これらの教育訓練の実施を契機として、事業主がその雇用する労働者に対し継続的に教育訓練を行う体制を作つていくことが、労働者の能力開発の機会を拡げていくという観点からも重要である。

ついては、事業主等の行う職業訓練に対する指導援助をさらに強化し、特に雇用安定事業に係る教育訓練を行う事業主に対して下記の点に留意して積極的に指導援助を行うとともに、職業安定機関との協力方につき特段の御配意をお願いする。

 

第一 雇用安定事業における教育訓練

一 事業転換等雇用調整事業における教育訓練

(一) 産業構造の変化その他の経済上の理由により事業の転換又は事業規模の縮小を余儀なくされる企業ないし事業所が多数発生すると見込まれる業種等においては、そのまま放置すれば一時に大量の失業者を発生させるおそれがある。事業転換等雇用調整事業における教育訓練は、このような事態に対処し、事業転換等に伴う労働者の職業の転換、再就職等を円滑に進めることにより労働者の失業の予防その他雇用の安定を図るために行うものであり、いわば緊急時における特別な職業訓練として位置づけられるものであること。

(二) したがつて当該教育訓練は、事業転換後又は再就職後の新たな職業に必要とされる技能、知識等を労働者が的確に習得しうるものであることが必要であり、また本事業に係る教育訓練は時機を失せず効率的に実施されることが必要であるとともに、中小零細企業における職業訓練の現状をも考慮する必要があるので、法定職業訓練に重点を置きつつもそれのみに限定せず実施事業所の実態に即した多様な形態の教育訓練を予定していること。このため職業訓練機関は、後記のように訓練内容の適否についての職業安定機関からの協議に対し意見を述べることとしていること。

二 景気変動等雇用調整事業における教育訓練

(一) 景気変動等雇用調整事業は、従来からの景気の変動その他の経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされる企業ないし事業所が多数発生すると見込まれる業種等における失業の予防その他の雇用の安定を図るための制度としての雇用調整給付金制度に加えて、今回更に事業活動の調整期間を利用して労働者の能力の開発向上を図る場合にも助成を行うこととしたものである。したがつて、景気変動等雇用調整事業における教育訓練は、雇用調整策の一つとして短期的雇用対策的色彩の強い臨時の教育訓練の実施として位置づけられるものであることにかんがみ、当該教育訓練は法定職業訓練に重点を置きつつも事業転換等雇用調整事業における教育訓練よりも弾力的に行うものとされていること。

(二) 景気変動等雇用調整事業における教育訓練については、職業訓練機関は、事業主からの要請に基づき下記第二の一の(一)のハに準じて必要な指導援助を行い、ひいては当該教育訓練を法定職業訓練として行うよう事業主を指導すること。なお、当該教育訓練を法定職業訓練として行つた場合には、訓練調整費助成金が他の場合より高額となること。

 

第二 事業転換等雇用調整事業における教育訓練に対する指導援助及び職業安定機関との連携

一 事業転換等雇用調整計画認定申請書の副本及び関係資料の送付を受けた場合の措置

事業転換等雇用調整計画(以下「(転)雇用調整計画」という。事業転換等雇用調整給付金支給要領(以下「(転)要領」という。)第三参照)認定申請書の副本及び関係資料の送付を受けた場合、職業訓練主務課は(転)雇用調整計画の認定を受けた者の事業所の所在地を担当する公共職業訓練施設(以下「関係訓練校」という。昭和五〇年三月三日付け訓発第四一号「昭和五〇年度職業訓練行政の運営について」一(三)イ参照)の長に(転)雇用調整計画認定申請書の申請事業主と連絡をとらせ、教育訓練の実施主体、施設、指導員等教育訓練実施計画の内容を十分把握させるとともに、適切な教育訓練が行われるよう次のような指導援助を行わせること。

(一) 事業主が自ら教育訓練を行う場合

イ 事業転換等教育訓練実施計画(以下「教育訓練計画」という。(転)要領第四の五及び六参照)に対する指導

事業主が行おうとする教育訓練が事業転換等に伴い労働者の職種転換又は再就職を円滑に進めるために必要な教育訓練となるよう、カリキユラムの編成、施設設備及び指導員の確保等事業主の教育訓練計画について積極的に指導すること。

ロ 職業訓練の認定化の促進

当該教育訓練が法定職業訓練として行われた場合の事業転換等訓練費助成金は他の教育訓練の場合より高額である((転)要領第五参照)ことにかんがみ、また当該教育訓練が認定職業訓練として行われることが労働者の能力開発の観点からも望ましいことであるので、前記イの指導に当たつては、特に当該教育訓練が認定職業訓練として行われるよう指導及び援助を行うこと。

ハ 教育訓練の実施に対する援助

事業主が教育訓練を行う場合には、特に次の援助を必要に応じて行うほか、事業主の要請に応じ、きめ細かな援助を実施すること。

(イ) 職業訓練指導員の派遣

教育訓練の実施に当たつて、特に中小企業においては、適格な職業訓練指導員の確保が困難な場合が多いので事業主の要請に応じて公共職業訓練施設の職業訓練指導員を派遣するよう努めること。

(ロ) 施設の貸与等

教育訓練を行うに適当な施設の確保が困難な事業主に対しては、公共職業訓練施設の教室、実習場その他の施設の貸与をできる限り行うこと。

また、公共職業訓練施設の都合により、施設貸与が困難な場合や、訓練実施上公共職業訓練施設以外の施設を利用することが好ましい場合には、関係行政機関、市町村、企業等の協力を求め、例えば認定職業訓練を行う施設、学校、公民館、企業施設等他の適当な施設の利用につき、あつせんに努めること。

(ハ) 教材、資料の提供

事業転換等のための教育訓練を行う事業主に必要な視聴覚教材その他の職業訓練用教材の紹介、あつせん、貸出し、閲覧及び各種の模範訓練事例の教授等を積極的に行うこと。

(二) 事業主が自が教育訓練を行うのが困難な場合

イ 受託訓練の実施

事業主が事業転換等のための教育訓練を委託して行おうとする場合には、公共職業訓練施設は受託訓練を積極的に実施するよう努めること。

ロ 教育訓練機関の紹介等

事業主が各種学校その他の教育訓練機関に事業転換等のための教育訓練を委託して行おうとする場合には、事業主の要請に基づき認定職業訓練を行つている施設、各種学校等のうちから当該教育訓練の実施に適当と考えられる教育訓練機関に関する情報を提供すること。

ハ 事業主から教育訓練の委託を受けた教育訓練団体に対する援助

事業転換等を行う事業主から教育訓練の委託を受けた事業内職業訓練団体等に対しては、一の(一)のハに準じて職業訓練機関は、職業訓練指導員の派遣、施設の貸与及び教材、資料の提供等の援助を行うよう努めること。

二 教育訓練計画(変更)届及び添付書類の送付を受けた場合の措置((転)要領第四の六の(一)のホ及びト参照)

教育訓練計画(変更)届及び添付書類によつて事業主から事前に届け出られた教育訓練の内容について職業安定主務課から協議を受けたときは、職業訓練主務課は、当該教育訓練の内容が、事業転換等に伴う職種の転換又は再就職のために必要な技能、知識等を習得するのに適当な内容をもつているか否かを後記(一)に基づき専門的、技術的観点から判断するものであること。

(一) 判断基準

事業転換等に伴い必要となる教育訓練として適当な内容のものであるか否かの判断は、当該教育訓練の目的に対応した又は類似した目的を持つ法定職業訓練の訓練基準を弾力的に解釈して行うこと。

例えば、教育訓練を受ける労働者が従前と全く異なる職種に転換するような場合には能力再開発訓練の訓練基準を、その他の場合には当該教育訓練を受ける労働者の年齢、職歴、事業転換等の後に就く職種等に応じ向上訓練又は再訓練の訓練基準を弾力的に適用して、判断するものとすること。

なお、当該教育訓練の対象となる職種に係る訓練基準が定められていない場合その他訓練基準の適用に疑義がある場合には、労働省職業訓練局指導課と協議されたいこと。

また、事業主の提出する教育訓練(変更)届には教育訓練内容の判断のため、事業主が自ら当該教育訓練を行う場合には、教育訓練の科目又は職種ごとに実技学科の別、訓練時間数、使用する機械設備、担当する指導員等について記入した書類を、また、事業主が教育訓練団体に委託して行う場合には、同様の事項を記入した書類及び委託契約書を添付させることとしていること((転)要領第四の五の(一)参照)。

(二) 職業安定主務課との協議

当該教育訓練が事業転換等に伴い必要となる教育訓練として適当な教育訓練と判断された場合は、その旨を職業安定主務課に連絡し、不適当と判断された場合には、教育訓練の内容のうち不適当な個所を具体的に記した書面で職業安定主務課に連絡すること。

(三) 教育訓練計画の是正指導

当該教育訓練が事業転換等に伴い必要となる教育訓練として不適当と判定された事業主に対しては、必要に応じて職業訓練機関は公共職業安定所と共同で適当な教育訓練となるよう是正指導を行うこと。

 

第三 その他

給付金の二重支給の防止等

雇用安定事業に係る給付金の支給対象となつた教育訓練に対しては、認定訓練助成事業費補助金又は有給教育訓練休暇奨励給付金若しくは職業訓練派遣奨励給付金は支給しないものとすること。

このため景気変動等雇用調整実施計画(変更)届(以下「(景)計画届」という。景気変動等雇用調整給付金支給要領第五の四参照)又は事業転換等に係る教育訓練(変更)届の写が送付された場合、職業訓練主務課は有給教育訓練休暇奨励給付金又は職業訓練派遣奨励給付金と訓練調整給付金又は事業転換等訓練給付金との二重支給が生じないように(景)計画届又は教育訓練(変更)届に添付して送付される委託契約書を活用することにより審査し、二重支給のおそれのあるときには職業安定主務課に連絡すること。