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事業内職業訓練の推進について
昭和49年5月25日訓発第153号
(各都道府県知事あて労働省職業訓練局長通達)
事業主又は事業主の団体の行う職業訓練(以下「事業内職業訓練」という。)の推進については、従来から格段の御尽力を願つているところであるが、最近における社会、経済情勢の変化に伴い、職業訓練の重要性は一段と高まつている。
他方、事業内職業訓練の実状、特に養成訓練の実状についてみると量的にも質的にも十分といい難い状況にあるので、この際、事業内職業訓練特に認定職業訓練の実施促進及び訓練内容の向上を積極的に推進するため、今般別添のとおり「事業内職業訓練推進指導要綱」を定めたので、左記事項に御留意の上、事業内職業訓練の推進方につき、特段の御配慮をお願いする。
記
一 別添「事業内職業訓練推進指導要綱」は、事業内職業訓練推進のための基本方策となるべきものであるが、実施の段階においては、更に各都道府県の実情に応じ、適宜創意工夫を加えて、適切な方法により推進指導が行われるべきこと。
二 事業内職業訓練の推進指導に当たつては、休制の整備強化及び組織的、計画的な実践が何よりも重要であるので、公共職業訓練施設の活用、関係行政機関、民間諸団体等との連携の強化等必要な措置を講ずべきこと。
三 昭和三八年六月一五日付け訓発第一一六号通達は廃止するものであること。
事業内職業訓練推進指導要綱
〔目次〕
第一 趣旨
第二 基本目標
第三 事業内職業訓練に対する認識の高揚
一 広報宣伝活動の強化
二 関係行政機関、関係諸団体等との連携の強化
三 諸行事の実施等
第四 事業内職業訓練推進体制の強化
一 事業内職業訓練推進体制の確立
二 関係市町村との協力体制の確立
第五 事業内職業訓練の実態は握
第六 認定職業訓練の実施促進
一 認定職業訓練の実施促進のための指導の強化
二 認定職業訓練の実施促進の重点対象
三 高等学校卒業者の養成訓練の実施の勧奨
四 成人職業訓練実施の勧奨
第七 認定職業訓練の指導及び援助
一 訓練内容等の充実のための指導強化
二 訓練生の管理及び生活指導の充実強化
三 公共職業訓練施設の援助の強化
第八 職業訓練法人及び職業訓練法人連合会の結成促進等
一 職業訓練法人の結成促進
二 職業訓練法人連合会等の結成促進等
三 職業訓練法人連合会等の育成強化
第九 職業訓練指導員等の資質向上
一 職業訓練指導員の資質向上
二 訓練担当者等の資質向上
第一〇 事業内職業訓練実施状況の点検、報告等
第一 趣旨
最近における経済変化に対応して、今後我が国が安定した成長と国民福祉の増進を確保していくためには、産業構造を省資源型、知識集約型的なものに速やかに変革することが不可欠である。これに伴い、今後、技能者への需要がますます増大するとともに、企業間移動を含め職種転換がより大規模に行われることも予想される。したがつて、在職労働者が、このような変化に主体的に対応できるよう職業生活の全期間を通じてその個性と能力を十分発揮できるような機会の供与とこれを実施する生涯職業訓練体制を確立する必要がある。在職労働者に対する生涯職業訓練については、民間の果す役割は極めて大きいが、民間の職業訓練の現状は質量ともに十分とはいい難い。そこで、この際、事業主に対し職業訓練実施に関する強い社会的責任を認識せしめて、事業主がその雇用する労働者に可能な限り訓練を実施するよう勧奨指導するとともに、その訓練内容の一層の充実を図ることとする。
第二 基本目標
事業内職業訓練の拡大推進に当たつては、次の諸点に重点を置き、その具体的な展開を図ることとする。
一 新規中学校卒業者の全員をできる限り認定職業訓練の対象とすること。
二 新規高等学校卒業者に対する認定職業訓練の急速な実施拡大を図ること。
三 生涯職業訓練体制を確立するため、成人職業訓練の実施拡大を図ること。特に中小企業の成人労働者に重点をおいて、訓練対象の拡大を図ること。
四 訓練内容を充実強化するため、特に職業訓練法人その他の事業主の団体が行う認定職業訓練に重点をおいて、指導の徹底を図ること。
五 以上の諸施策を遂行するに当たつては、公共職業訓練施設の諸機能を積極的に活用すること。
第三 事業内職業訓練に対する認識の高揚
職業訓練の実施は、単に企業にとつて必要であるだけではなく、労働者にとつても、変化する社会に主体的に対応して、その能力と個性を十分発揮していく上で必要であり、このため職業生活の各段階における能力開発の機会の供与とそれへの参加が、国民的要請となつている。そこで、都道府県は、あらゆる機会を捉えて、広く社会一般に対し、職業訓練に対する認識の高揚に努めるとともに、特に企業に対しては、職業訓練の実施の社会的責任を認識させるよう努めるものとする。
一 広報宣伝活動の強化
都道府県は、職業訓練の意義、内容、効果等について、関係者のみならず、社会一般に対し、理解と関心を喚起するため、次のような方法により強力な広報宣伝活動を継続的に行うこと。
(一) 文書等による広報宣伝活動
都道府県は、事業内職業訓練の宣伝ポスター、認定職業訓練の内容、手続き、効果等を周知させるパンフレット、リーフレット等を作成し、又は職業訓練法人連合会等に作成させて、掲示・配布し、また、都道府県の広報誌その他関係機関紙等を活用して、一般市民、各事業所、経営者団体、労働組合、学校教育機関等に対する広報宣伝活動を行うこと。この場合、文書等の体裁は、明るく魅力的であり、その内容は、宣伝対象を考えて平易で、とりつきやすいものであることを心掛け、配布等に当たつても、機械的、画一的にならないようにするなど宣伝効果を十分配意すること。
(二) 報道機関の利用による広報宣伝活動
都道府県は、テレビ、新聞、ラジオ等各種報道機関をできる限り利用して幅の広い普及宣伝活動を行うこと。特に技能尊重月間、事業内職業訓練推進月間、諸行事の開催等の機会を捉えて集中的に行うことが効果的であること。この場合報道機関が進んで関係記事をとり上げるようにするため、日常報道関係者との接触に努めるとともに、新聞発表等の内容も、事実をそのまま提供するのではなく、報道関係者の興味と関心を喚起するようニユース性の付与につき工夫を加えること。
(三) 広報車等による巡回広報宣伝活動
都道府県は、都道府県自ら又は市町村に協力を求めて、広報車、サービスカー等を利用して、必要な機会に、都道府県内各地域の住民に対し巡回広報宣伝活動を行うことも望ましいこと。この場合、文書等の配布を併せて行うことが効果的であること。
二 関係行政機関、関係諸団体等との連携の強化
事業内職業訓練の発展は、都道府県における産業の発展、住民福祉の向上等と不離不可分の関係にあるので、都道府県は、関係行政機関、関係諸団体等との連携を強化し、その協力の下に事業内職業訓練に対する認識の高揚に当たること。
(一) 関係行政機関との連携
都道府県は、職業安定機関、労働基準監督機関、商工行政機関、教育行政機関等の関係行政機関の協力を求め、これらの機関を通じ、また、その行う会議、講習会その他の会合を利用して、説明又は文書により広報宣伝活動を行うこと。特に、職業安定所等の行う雇用主懇談会、雇用主訪問、求人受理及び労働基準局又は労働基準監督署の行う中小企業労務改善指導講習会、安全衛生講習会等各種の機会を積極的に活用すること。
(二) 関係諸団体との連携
都道府県は、商工会議所、中小企業団体中央会、経営者協会、中小企業協同組合等の関係諸団体と常に密接な連携を保ち、これらの団体等を通じ、また、その行う会議、講習会その他の会合を利用して、説明又は文書により広報宣伝活動を行うこと。
(三) 学校、社会教育機関等との連携
中学校、高等学校等の職員及び生徒が、事業内職業訓練の制度と趣旨を理解して就職の参考にするようになれば、求人を行う事業所又は団体において、訓練実施の気運を醸成することとなり、事業内職業訓練の実施促進上非常に有効であるので、都道府県は、学校との連携を深め、その協力の下に、説明会、懇談会等を開催して、これらの者に対して広報宣伝活動を行うこと。また、PTA等の会合を利用して父兄に対しても広報宣伝活動を行うこと。
更に、事業内職業訓練に対する理解と関心をより広範囲なものとするため、都道府県は、社会教育機関等との連携を保ち、例えば、公民館の行う青年会等の会合を利用して、説明又は文書により広報宣伝活動を行うことも効果的であること。
三 諸行事等の実施
職業訓練関係者の士気を高揚し、併せて社会一般に対し、職業訓練に対する理解と関心を深めるため、都道府県は、次のような諸行事等を自ら実施し、又は職業訓練法人連合会等が行うものについて必要な援助を行うことが望ましいこと。なお、これらの諸行事等は、技能尊重月間、事業内職業訓練推進月間等の期間に集中して実施することが効果的であること。
(一) 職業訓練研究大会の開催
都道府県における職業訓練関係者を集めて職業訓練研究大会を開催して、訓練方法、訓練効果等について見解と経験の交流の場とするとともに、その内容を各方面に紹介して職業訓練の普及宣伝の一助とすること。
(二) 技能競技大会の開催
事業内職業訓練を受ける者(以下「訓練生」という)の参加を求め、技能競技大会を開催し、技能、技術水準の向上、訓練生の技能習得意欲の向上、訓練生間の友好の増進等に努めるとともに、その内容を各方面に紹介して職業訓練の普及宣伝の一助とすること。
(三) 事業内職業訓練関係者の表彰
認定職業訓練実施事業所又はその団体(以下「認定事業所等」という。)であつて認定職業訓練の実施状況が優秀で他の範と認められるもの、高度の知識、技能を有し訓練指導技術等に優れ、他の範となる職業訓練指導員、技能に優れ生活態度等において他の範となる訓練生等を表彰し、報道機関等により紹介することも効果的であること。
(四) 認定事業所等の標示制度の実施
認定事業所等について、当該認定事業所等の訓練実施意欲の高揚と一般市民の理解と関心を喚起するため、例えば、職業訓練法人連合会等が、当該認定事業所等が認定職業訓練を実施するものであることを、一般に周知させるための標示制度を考案し、実施することも望ましいこと。
(五) 公共職業訓練施設の公開等
関係地域の公共職業訓練施設をできる限り、地域住民に公開開放せしめ、これらの者に職業訓練に対する親近感を抱かせしめるよう努めること。例えば、一日訓練生、一日校長、土曜、日曜職業訓練教室、巡回移動教室等を行うことも大いに効果的であること。
(六) 職業訓練展、作品展等の開催
都道府県の主要地域において、職業訓練展、作品展等を開催し、地域産業の技術、技能の発展、職業訓練制度等について情報資料の提供を行い、又は訓練生の作品等を展示紹介するよう努めること。
(七) 事業内職業訓練推進月間(週間)の実施
例年実施される技能尊重月間等の期間に、事業内職業訓練推進月間(週間)を設定し、この期間中に、事業内職業訓練に関する諸行事等を集中的に行うとともに、積極的な広報宣伝活動を展開すること。
(八) 諸調査の実施と公表
関係行政機関、関係諸団体の協力を求めて、例えば事業内職業訓練に対する労働者の意識、訓練生の生活実態、訓練修了者のその後の状況、企業における技能評価制度の実情、技能評価と結びついた賃金制度の好事例等について調査し、又は資料を収集し、その内容を報道機関等にも紹介して、公表することも効果的であること。
第四 事業内職業訓練推進体制の強化
事業内職業訓練の継続的かつ計画的な実施を確保するため、業務推進の中心となる事業内職業訓練業務担当職員の充実強化を図ることはもとより、公共職業訓練施設の職員を含めた、職業訓練業務担当職員全員の協力、支援体制を整備強化する必要がある。
更に、事業内職業訓練の推進指導を強力に幅広く実施するためには、職業訓練法人連合会等直接職業訓練を推進するものはもとより、産業界、有力企業、関係諸団体等民間組織及び市町村をも含めた事業内職業訓練推進母体を設置して、都道府県、市町村及び民間組織が一体となつて職業訓練の推進に当たることが是非とも必要である。
一 事業内職業訓練推進体制の確立
都道府県は、事業内職業訓練業務担当職員(以下「担当職員」という。)の充実強化を図るとともに、更に、幅の広い事業内職業訓練推進体制を確立するため、次の措置をとることが望ましいこと。
(一) 事業内職業訓練推進母体の結成
都道府県における最高幹部、関係行政機関及び市町村の幹部、産業界及び有力企業の幹部、職業訓練法人連合会等及び関係諸団体の役員、学校教育関係者、学識経験者等を構成員とする事業内職業訓練推進組織を結成し、これを母体として事業内職業訓練の推進に当たらせることにより、関係業界、関係企業における事業内職業訓練に対する認識を深め、訓練実施を促進すること。
(二) 都道府県職業訓練審議会の活用
事業内職業訓練の振興のため、都道府県職業訓練審議会の機能を積極的に活用すること。また、必要に応じ労使各委員の協力を求めて、訓練実施につき関係労使に対する働きかけを行うこと。
(三) 事業内職業訓練促進指導班の設置
都道府県職業訓練主管部(局)の長を班長とし、職業訓練主管課の職員その他関係職員でもつて事業内職業訓練促進指導班を適宜組織して、事業内職業訓練推進月間などの一定の時期を定めて集中的に大規模な認定職業訓練の実施促進指導を実施すること。
(四) 公共職業訓練施設の組織の整備強化
公共職業訓練施設においても、施設の整備と相まつて、例えば、事業内職業訓練担当職員を設置し、又はあらかじめその指名を行つておくなどして、事業内職業訓練の指導、援助体制の整備強化を図ること。
(五) 各種民間組織の活用
雇用対策協議会、労働者福祉対策連絡協議会、中小企業集団等各種民間組織の会合、行事等の開催に当たつては、努めてこれに参加して事業内職業訓練の推進についても理解と協力を求めること。
(六) 職業訓練推進員等の委嘱
人材開発センターの設置されている都道府県にあつては、当該センターに設置される職業訓練推進員を活用して、事業内職業訓練に対する指導援助及びその実施促進業務に当たらせること。更に、都道府県においては、業界の有力者、職業訓練に理解のある事業主、団体の役員等を事業内職業訓練推進協力員に委嘱し、事業所又は団体に対する巡回指導、普及宣伝活動その他推進指導の第一線における協力を求めること。
二 関係市町村との協力体制の確立
事業内職業訓練の実施は、市町村行政とも密接な関連を有するので、都道府県は、関係市町村の協力を求め、次のような措置をとることが望ましいこと。
(一) 職業訓練担当課の明確化
市町村における職業訓練推進業務に当たる担当課が明らかでない場合もあるので、あらかじめ市町村と連絡、調整を行つて、担当課を明確にしておくこと。
担当課においては、都道府県、公共職業訓練施設等との連絡、広報宣伝資料の配布、職業訓練に関する相談、要望の処理等における都道府県窓口としての業務を行うよう市町村に依頼しておくこと。
(二) 連絡会議の開催
事業内職業訓練の実施につき、都道府県と市町村及び市町村間相互の連携を深めるため、定期に連絡会議を開催し、協力依頼、情報交換等を行うこと。
第五 事業内職業訓練の実態は握
事業内職業訓練の効果的実施の前提として、都道府県は、都道府県における産業経済の動向、労働市場の推移、各産業の生産現場の実情等事業内職業訓練推進の背景となる諸情勢について認識を深めるとともに、職業訓練、特に事業内職業訓練の実態、訓練の必要点、訓練に対する労働者の意識等について、常時的確には握することが肝要である。
(一) 諸統計、資料等の活用
都道府県職業訓練主管課は、関係各課と協力して、これらの課において作成する各種統計、資料等を入手し、有効に利用すること。
なお、事業内職業訓練関係の統計資料等は、労働省において作成、公表する統計資料等についても留意すること。
(二) 関係行政機関等との情報交換
関係行政機関、関係諸団体等との会議等を活用し、更に、必要に応じ、隣接都道府県とも接触して、職業訓練の推進に必要な情報の収集、交換に努めること。
(三) 実態調査の実施
都道府県における事業内職業訓練推進指導の基礎資料とするため、事業内職業訓練の実施状況、訓練の必要点、訓練に対する労働者の意識等につき、調査を行うこと。この場合職業安定機関等関係行政機関の行う調査との関係に留意し、できれば、合同して調査を実施することが望ましいこと。また、通信調査による場合等においては、例えば、調査票の送付と併せて広報宣伝資料を提供するなど、調査の実施方法についても工夫すること。
(四) 事業所の実情視察等の実施
産業における技術、技能の変化、教育訓練の実情等をは握するため、適宜、事業所の実情視察を行うほか、現場技術者、教育訓練担当者等による講演会、講習会等に積極的に参加すること。
(五) 事業所(団体)別職業訓練実施台帳の作成
担当職員は、管下の主要な事業所又は団体の職業実施状況をは握し、認定職業訓練未実施事業所又は団体に係る事業所(団体)職業訓練実施台帳(以下「訓練実施台帳」という。別添様式一参照)を作成し、逐次内容を整備して、認定職業訓練の実施促進の基礎資料として活用すること。
訓練実施台帳に記載すべき対象事業所(団体)の例としては次のものがあること。
① 何らかの形の職業訓練を実施しており、近い将来、自主的に又は指導により認定職業訓練を実施する可能性のある事業所(団体)
② 新規中学校卒業者を多数雇用している事業所
③ 従業員規模おおむね一〇〇人以上の事業所
④ 同一企業の系列下に属する下請事業所(団体)等
⑤ 業種別に組織されている団体
⑥ 地域的、集団的に存在する事業所(団体)
⑦ 公共職業訓練施設等で援助を実施している事業所(団体)
⑧ 成人職業訓練を実施している事業所
第六 認定職業訓練の実施促進
認定職業訓練の実施促進指導に当たつては、事業所又は団体に対し、職業訓練が企業にとつても、また、労働者にとつても極めて重要であり、事業主がその雇用する労働者に職業訓練を実施することは、企業の社会的使命であること、現在、多種多様な形で進められている企業の教育訓練について、社会的に通用する一定の水準が確保されるよう都道府県知事の認定制度があること、その認定職業訓練に対しては、財政、税制、技術指導の各面で各種の助成、援助措置が講じられていること等を周知徹底し、事業所又は団体に対し、認定職業訓練を積極的に行うよう強力に勧奨するものとする。
一 認定職業訓練の実施促進のための指導の強化
都道府県は、認定職業訓練の実施促進指導を計画的かつ継続的に実施するため、事業内職業訓練促進計画を樹立し、これに基づき、対象事業所又は団体に対し、巡回指導を中心にして、繰り返し、ねばり強く、かつ、きめ細かな指導を行うこと。
(一) 事業内職業訓練促進計画の樹立
認定職業訓練の実施促進業務は、見通しをたてて、計画的かつ継続的に行うことが肝要であるので、都道府県は、毎年、年度当初に次の諸点に留意して、事業内職業訓練促進計画(以下「促進計画」という。)を樹立すること。更に、担当職員は、促進計画に基づき、その実施計画を毎半期ごとに作成し、これに従つて認定職業訓練の実施促進に努めるとともに、当該半期の末に、その実施状況について点検を行い、その結果に基づき、次の半期の実施計画を作成すること。
イ 促進計画の内容は、①当該年度における認定職業訓練の実施促進目標、②当該年度における認定職業訓練の実施促進の重点対象、③認定職業訓練の実施促進のための具体的施策等とすること。
ロ 促進計画は、認定職業訓練の実施促進を目的として樹立するが、必要に応じ、認定職業訓練指導計画、事業内職業訓練援助計画等の諸計画をも含めて樹立してよいこと。
ハ 促進計画の樹立に当たつては、都道府県における職業訓練全般の業務との調整を図り実行可能なものとなるよう留意すること。
ニ 認定職業訓練の実施促進指導の重点対象は、さしあたり、新規中学校卒業者多数雇用事業所、比較的中規模の事業所、同一企業の系列下に属する下請事業所等、特定業種の事業所、地場産業に属する事業所、誘致企業、開発促進地域の企業等を中心に、都道府県の実情に応じて選定すること。
ホ おおむね半期ごとに一回、事業内職業訓練促進指導班による広範囲な認定職業訓練の実施促進指導を計画すること。
(二) 指導対象の選定
イ 認定事業所等の選定
担当職員は、既に認定を行つた職業訓練であつて現在訓練を休止中のもの又は現に認定職業訓練を行つているが、その訓練科が限られているものについては、これを優先して指導対象にとり上げ、訓練の再開又は拡大を図ること。
なお、共同職業訓練団体であつて、構成事業所が多い割に訓練生数が少ないものについても、その理由を解明し訓練生数の増大に努めること。
ロ 訓練実施台帳による事業所又は団体の選定
担当職員は、促進計画でとり上げた認定職業訓練の実施促進の重点対象に含まれる事業所又は団体を中心に、当該半期内に具体的に実施促進指導を行う事業所又は団体を訓練実施台帳の中から選定すること。
なお、共同方式で訓練を行うことが認定職業訓練の実施促進上、効果的である場合であつて、母体となる共同職業訓練実施団体が未だ結成されていないときは、業種別、地域別、同一企業系列等訓練を行うのに最も効果的である形式、規模において、まず、共同職業訓練実施団体を組織化し、これを逐次実施促進指導の対象としてとり上げること。
(三) 指導の方法
認定職業訓練の実施促進指導の方法は次のようなものがあるが、特に個別巡回指導の積極的実施に努めること。
① 事業所又は団体に対して担当職員、職業訓練推進員等が行う巡回指導
② 団体の構成事業所を集めて担当職員、職業訓練推進員等が行う集団指導
③ 都道府県における諸会議等を利用して行う指導
④ 広報宣伝による指導
(四) 巡回指導の実施
イ 事業主又は団体の役員等との面接
巡回指導に当たつては、担当職員は必ず事業主又は団体の役員等職業訓練の実施責任者と面接することとし、当該事業所又は団体における職業訓練の必要点をは握して、それぞれの事業に適応した指導を行うべきこと。なお、相手方の都合により責任者と面接ができなかつたり、一回程度の面接では十分話し合うことができなかつたりすることも多いので、担当職員は、繰り返し、ねばり強く、誠意をもつて指導に当たることが特に重要であること。
ロ 職業訓練担当者との面接
担当職員は、当該事業所又は団体における職業訓練の企画担当者と面接して、認定職業訓練実施上の問題点を個別に解明し、必要に応じ、公共職業訓練施設による援助もあることを説明し、当該担当者と合同して訓練の実施を具体化するように努めること。また、認定上の諸手続きについては、懇切丁寧に説明し、認定申請書の作成等手続き上でいたずらに煩雑感を与えないよう留意すること。
ハ 労働組合幹部等との面接
担当職員は、必要に応じ、労働組合の幹部等労働者代表とも面接して、職業訓練が、労働者にとつても職業能力の向上と職業安定に役立ち、その福祉の増進をもたらすものであることを説明して、その理解と協力を求めること。
ニ 元請事業所等の幹部との面接
同一企業の系列下の属する下請事業所等に対する巡回指導を実施する際には、必要に応じ、元請事業所等の幹部等と面接して、下請事業所等における職業訓練の実施につき、協力を求めること。
ホ 認定職業訓練実施促進指導記録簿の作成
担当職員は、巡回指導を実施したときは、そのつど、職業訓練実施促進指導記録簿(別添様式二参照)を作成するとともに、当該事業所又は団体における訓練実施促進指導上の問題点等につき、主管課長に報告して、その後における指導の際の資料として活用すること。
(五) 集団指導の実施
団体の構成事業所を集合せしめて行う集団指導に当たつては、担当職員は、これらのものの出席に都合のよい場所(地域の公共職業訓練施設等も活用すること。)、時期、時間等を選定するとともに、あらかじめ広報宣伝資料を送付して、出席者に認定職業訓練に対する関心を持たせておくことが効果的であること。また、必要に応じ、既に認定職業訓練を実施して成果をあげている事業所又は団体の職員の協力応援を求めることも望ましいこと。
(六) 共同職業訓練団体の結成指導
イ 共同職業訓練の実施
認定職業訓練の実施促進に当たつては、中小規模の事業所に対しては、なるべく共同して訓練を行うよう勧奨すること。この場合、まず職業訓練を実施する共同職業訓練団体を結成(既成団体を利用する場合を含む。)することが必要であり、これは、できれば職業訓練法人であることが望ましいが、現実に職業訓練を遂行し得る能力を有するものであれば、必ずしも法人でなくてもよいので、担当職員は、相手側の立場に立つて、無理のない形での指導に配意すること。また、担当職員は、巡回指導、集団指導等によつて結成指導を実施する際には、相手側において、職業訓練の実施推進の中心的指導者となるべき適当な人物を見出してその協力を求めることが肝要であること、更に、関係市町村とも連絡、協議して、できれば、市町村の協力、援助の下に、共同職業訓練団体の結成指導に当たるよう努めるべきこと。
ロ 既成団体又は集団の利用
共同職業訓練を円滑に実施するためには、既成団体又は集団を利用することが効果的であること。担当職員は、当該団体又は集団等の幹部の協力の下に、団体又は集団を構成する事業所の必要に応じた規模、内容による訓練の実施を促進すること。この場合、団体自らが訓練を行い得るときは訓練部門を置かしめてもよいが、職業訓練法人等当該団体とは別個の職業訓練団体を結成せしめることも望ましいこと。なお、既成団体又は集団の例としては、次のようなものがあること。
① 商工会議所、商工会
② 中小企業等協同組合、中小企業団体中央会、商工組合、商工組合連合会
③ 中小企業集団
④ 中小企業(工場)団地所在の事業所集団
⑤ 集団求人方式による団体又は集団
⑥ 労働保険事務組合の業務を行つている団体
⑦ 同一企業の系列下に属する下請事業所等の集団
⑧ その他業種別、地域別等に結成された事業主の団体
(七) 訓練実施促進指導上の留意点
担当職員は、認定職業訓練の実施促進指導に際しては、次の一般事項について、十分理解を深めた上で、自信をもつて説明、説得に当たること。
イ 職業訓練の意義、効果等について
職業訓練の効果は、直ちに現われるという性質のものではないので、その意義、必要性、効果等について漠然と理解され、具体的かつ明確に理解されていない場合が多いので、次の諸点について特に指導すること。
ⅰ 職業訓練は、企業の側からみると企業の必要に基づいて行われるものであり、あらゆる企業において、何らかの形で行われているものであるが、技術革新の進展、産業構造の変化、労働力不足等に伴い、その必要性はますます増大していること。企業はかかる情勢に対処して、職業訓練を通じてその雇用労働者の能力を開発向上することを考えなければ、国際競争、企業間競争にうちかつことは期待できないこと。
ⅱ 職業訓練は、労働者にとつても必要なものであり、企業が、その雇用労働者に対し職業生活の全期間を通じて、その個性と能力を十分発揮できるような機会を供与することは、今日では企業の社会的責任となつていること(できる限り、同業他社等の事例を紹介して訓練の実施が社会慣行化していることを説明すること。)。
ⅲ 一方、最近においては、労働者自身においても、技術革新の進展等に伴う諸変化に進んで対応しようとするため、職業訓練の重要性を認識し、生涯を通じ職業訓練を受けようとする意欲が急激に高まりつつあること。
ⅳ 認定職業訓練は、従来から各企業で行つている職業訓練が、企業側の必要のみに立つて、狭い範囲で行われていたものを改め、生涯職業訓練の立場から新しい情勢や多種多様な変化に対応できる訓練として、かつ、社会的に通用する幅の広い訓練として、計画的、組織的に行われる訓練であること。
ⅴ 計画的、組織的な職業訓練の実施によつて、生産性の上昇、技能の向上、労働災害の減少、定着率の向上、作業方法及び職場気風の改善等企業経営面における多くの効果が得られることはもとより、当該訓練の修了者に対し、各種の資格、免許上の特典が与えられるものであること(別表「訓練修了による取得資格一覧」参照)。
ⅵ 労働力不足、特に技能労働力の不足が著しい今日、企業における体系的な認定職業訓練の実施が、職業安定機関における求人条件の重要な要素の一つであり、かつ、求職者にとつても魅力となつていること。
ⅶ 認定職業訓練を実施する事業主等に対しては、公共職業訓練施設から職業訓練指導員の派遣など各種の援助が受けられるほか、財政、税制面において各種の援助助成がなされるとともに、この援助助成対策は今後更に拡大強化される方向にあること。
ロ 訓練生の職場定着等について
訓練生の訓練修了後の離転職をおそれて、訓練にふみ切れない向きも多いので、次の諸点につき特に指導すること。
ⅰ 若年層の訓練生の一部が訓練修了後職場に定着しないかもしれないという不確実な予測によつて訓練を行わないことは、企業の存続に必要不可欠な人材の確保、能力開発向上のための努力を行わないことであり、それは、企業にとつて損失であるばかりか、職業訓練を通じての企業の社会的責任を放棄することにもなること。
ⅱ 職場に定着しない者があるということは、訓練生の現在及び将来における身分、待遇、職場環境等に問題があると考えられるので、むしろこれらの点を改善すべきものであること。なお、訓練生の技能の向上に応じ、これを適正に評価し処遇することは、訓練生にとつて利益であることはもちろん、訓練生が職場に定着して技能を発揮することにより、企業にとつても大きな利益がもたらされるものであること。
ⅲ また、最近、若年従業員には、仕事に生きる喜び、生きがい感を追求する傾向が増大しているが、訓練環境を整備し計画的に訓練を行うことは、投資効率を高めて一部の離転職による損失を償うとともに、訓練生に対して職場定着への魅力を感じさせるものであること。
ハ 職業訓練の実施方法、職業訓練基準等について
職業訓練の実施方法、職業訓練基準等については、いたずらに難しく考えて認定を受けることを控える向きもあるが、これについては、次の諸点に留意して弾力的な指導を行うこと。
ⅰ 認定職業訓練には、事業所が実施し易いよう多様な訓練科、訓練課程が用意されていること。
ⅱ 認定職業訓練の申請に当たつて、その訓練生数については、単独職業訓練においては総数一〇人以上、共同職業訓練にあつては、一訓練科あたり、一〇人以上であればよく、訓練の遂行に支障がないと認められる場合には、若干これを下回つてもやむを得ないものであること。
ⅲ 訓練期間については、訓練基準により訓練科ごとに一応の基準が定められているが、職業訓練は、必ずしもその期間内に修了すべきものでなく、かなり伸縮は可能であるので、弾力的に訓練計画をたてることができること。
ⅳ 訓練基準に定められた訓練時間には休憩時間が含まれており、実際の訓練に要する時間はかなり圧縮が可能であること。
ⅴ 教科に充当すべき時間は、すべてを学校教育的な集合教育によらねばならぬものでなく、訓練に対する配慮が十分なされた上で行われる生産現場における訓練(O・J・T)による訓練の時間は、訓練時間のなかに含めることができること。
ⅵ 職業訓練指導員は、職業訓練指導員免許を有する者を原則とするが、学校の訓練については当該免許を有しない者であつても、講師として訓練を担当せしめて差し支えないこと。
なお、職業訓練指導員免許は、職業訓練指導員試験によるほか一級の技能検定の合格者及び一五年以上の実務経験者が、四八時間講習を受けることによつても取得できるなど種々の方法があること。
ⅶ 学科の訓練等集合して行う訓練については、その施設及び職業訓練指導員を公共職業訓練施設等の援助、関係機関の利用等により確保することもできること。
ⅷ 職業訓練施設は、必ずしも新規に設置する必要はなく、会議室、作業場等の既存の適当な施設が確保整備されていれば十分であること。
ⅸ 職業訓練に必要な教科書、教材等については、ある程度その求めに応じられるよう整備されており、また、各事業所等が適宜選択又は作成してもよいこと。
二 認定職業訓練の実施促進の重点対象
都道府県は、認定職業訓練の実施促進に当たつては、これまでの認定職業訓練の実施状況にかんがみ、当面その実施促進が特に重要と考えられる次の事業所を指導の重点対象として取り上げ、強力な指導勧奨を行うこと。
(一) 新規中学校卒業者多数雇用事業所に対する勧奨
担当職員は、訓練実施台帳に基づき新規中学校卒業者の雇用実績の比較的多い事業所をとり上げ、これらの事業所における職業訓練の実情を調査した上、新規中学校卒業者に対し、十分な訓練が行われていない事業所を重点対象として、巡回指導等により認定職業訓練の実施を勧奨すること。この際、事業主に対し、計画的な職業訓練の実施が、職業安定機関における求人条件の重要な要素となつていることを周知せしめるとともに、できれば、職業安定機関の協力を求め、同機関が実施する職場適応指導等の機会を活用して、指導すること。
(二) 中規模事業所に対する勧奨
担当職員は、訓練実施台帳に基づき、管下の事業所のうち比較的中規模の事業所(おおむね従業員規模三〇人以上一、〇〇〇人未満)について職業訓練の実施状況を点検し、巡回指導等により認定職業訓練の実施を勧奨すること。この場合、これらの事業所における業種別、地域別、同一企業系列等についての特性点をは握するとともに、個別事業所についても事業所側の事情、訓練の必要点等のは握に努め、それぞれの事業に適応した形での訓練実施につき配意すること。なお、これらの中規模事業所においても、なるべく、共同方式による訓練の実施を勧奨すること。
(三) 大企業に対する勧奨
大企業が率先して認定職業訓練を実施することは、地域における職業訓練の推進にとつて極めて重要であるので、担当職員は、管下の大企業について、職業訓練の実施状況を点検し、巡回指導により認定職業訓練の実施を勧奨すること。この際、いわゆる臨時工に対する訓練実施についても配慮すること。この場合都道府県職業訓練審議会をはじめ、関連審議会、協議会の委員となつている大企業の代表に対し、協力を求めるとともに、商工行政機関等の協力も得て、できる限り、大企業の幹部との接触を深め、職業訓練実施につき理解を得ること。
なお、大企業であつて、本社が当該都道府県外にあり職業訓練の実施につき本社に対する働きかけが必要なものについては、都道府県は、労働省職業訓練局指導課又は本社所在の都道府県職業訓練主管課に連絡協議して、その協力を得ること。
(四) 下請事業所等に対する勧奨
担当職員は、訓練実施台帳に基づき、管下の同一企業の系列下に属する下請事業所等について職業訓練の実施状況を点検し、巡回指導等により認定職業訓練の実施を勧奨すること。この場合、元請事業所等がその下請事業所等に対し、職業訓練を行うよう働きかけを行うこと、下請事業所等の行う共同職業訓練に元請事業所等も参加すること、必要に応じ、元請事業所等が自ら下請事業所等の労働者を受託して訓練を行うことが望ましいので、これらについて元請事業所等に対しても指導を強化すること。
三 高等学校卒業者の養成訓練の実施の勧奨
最近、進学率の上昇に伴い、事業所内において高等学校卒業者の占める割合が年々増加しつつある現状にかんがみ、今後は高等学校卒業者に対する養成訓練を早急に実施拡大する必要があるので、都道府県は、次のような指導を行い、その積極的な推進を図ること。
(一) 高等学校との連携強化
高等学校の教職員及び生徒に対し、説明会、懇談会等を開催し、又はアンケート調査等を実施して技能的職業の社会的意義等について周知を図るとともに、職業訓練に関するあらゆる情報を提供して、認定事業所等への就職と訓練の受講を勧奨すること。この場合、職業安定機関と密接な連携を行うこと(昭和四四年一一月一三日付け訓発第二八四号通達を参照。)。
(二) 高等学校卒業者の養成訓練の実態は握
各事業所で高等学校卒業者を対象として行われている各種の訓練について、実態調査を行うことなどにより、それが認定職業訓練に移行できるものであるか否かについて検討し、その結果に基づいて認定職業訓練の実施促進指導を行うこと。この場合、事業所においては、高等学校卒業者に当初ごく短期間の集合訓練等を行つて、その後直ちに生産現場に配置する事例が一般的であるが、生産現場配置前の訓練についても、できる限りこれを延長して訓練を行うことが望ましいので、この点につき重点的に勧奨すること。
(三) 高等学校卒業者の養成訓練の好事例の紹介
既に、高等学校卒業者を対象にして養成訓練を行つている認定事業所等の事例であつて、模範的なものをとり上げ、訓練実施に至るまでの経緯、訓練内容、公共職業訓練施設との提携等を他の事業所にも紹介することにより高等学校卒業者の養成訓練の実施を勧奨すること。特に、現在中学校卒業者の養成訓練を行つているが、中学校卒業者の訓練生の数が減少して訓練の運営に支障を来しているような事業所に対し重点的に勧奨すること。
(四) 公共職業訓練施設による技術的指導援助の強化
新たに高等学校卒業者の養成訓練を行う場合、教科の編成、優秀な職業訓練指導員の確保、教科書、教材等の整備等について困難を感じる事業所が少なくないので、これらの事業所に対しては、第七の三による公共職業訓練施設の技術的指導援助を特に積極的に実施すること。
四 成人職業訓練実施の勧奨
技術の進歩、職業構造の変化、職業生活の向上等に伴い、生涯職業訓練の必要性が高まつており、民間事業所では、養成訓練のほか、成人労働者を対象とした多種多様な成人職業訓練を実施しているが、今後段階的かつ体系的な成人職業訓練を発展せしめるため、都道府県は、次のような指導を行うことにより、成人職業訓練の推進を図ること。この場合成人職業訓練は、職業訓練法上の向上訓練、再訓練、能力再開発訓練として、比較的容易に認定を受けられるので、事業所における成人職業訓練を認定職業訓練として実施することの方が、各種公的援助を受ける上からも有利であることを説明すること。
なお、成人職業訓練は、公共職業訓練施設において公共職業訓練としても実施されているので、その受講をも併せて勧奨すること。
(一) 各種成人職業訓練の実施は握
各事業所で実施されている成人職業訓練について、実態調査を行うなどにより、それが認定職業訓練に移行できるものであるか否かについて検討し、その結果に基づいて認定職業訓練の実施促進指導を行うこと。
(二) 成人職業訓練好事例の紹介
既に、成人職業訓練を行つている認定事業所等の事例であつて、模範的なものをとり上げ、訓練実施方法、訓練内容等を他の事業所にも周知せしめ、成人職業訓練の実施を勧奨すること。
(三) 養成訓練実施事業所に対する重点勧奨
既に認定を受けて養成訓練を行つている事業所に対しては、併せて成人職業訓練も行うことが、訓練の運営面、経費面でも有利であり、また、養成訓練修了者の追跡指導の見地から重要であるので、その実施を勧奨すること。
(四) 二級技能士訓練課程の成人職業訓練の勧奨
成人職業訓練の中でも、二級技能士訓練課程の訓練は、技能検定に直結して、訓練の修了時には、二級技能検定の学科試験免除の特典もあり、昭和四九年四月一日以降は、すべての検定職種について訓練に関する基準が設定されたので、各事業所に対し、これを周知させてその実施を勧奨すること。
第七 認定職業訓練の指導及び援助
認定事業所等に対しては、労働者の能力と個性を十二分に引き出し、発展させるような適切な訓練が永続して行われるよう、訓練の実施につき全般的な指導及び援助を行うことが重要である。また、認定事業所等以外の事業所又は団体であつて訓練を行うものに対する指導及び援助も軽視することなく積極的に行うこととし、将来認定職業訓練に移行できるよう努めるものとする。
以上の場合において、公共職業訓練施設の果すべき役割は極めて重要であるので、その機能を積極的に活用するものとする。
一 訓練内容等の充実のための指導強化
都道府県は、認定職業訓練の訓練内容等の指導に当たつては、認定事業所等における訓練実施の動向を巡回指導の実施等により十分は握した上で、必要に応じ、適切な指導が実施できるよう配意すること。この際担当職員等指導を行う側が常に助言者であり、相談相手であるとの立場に立つて次に示すところにより指導を行い、所期の効果をあげ得るよう常に配慮すること。なお、認定事業所等で実施している認定職業訓練以外の各種教育訓練について、認定可能なものについては、認定職業訓練の指導の際併せて認定職業訓練の実施を勧奨すること。
(一) 認定職業訓練の実態は握
担当職員は、次の方法により、認定事業所等の訓練実施の動向を常時は握しておくこと。
① 定期的な巡回指導の実施
② 認定職業訓練実施状況報告、補助事業実施状況報告等諸報告の内容の検討
③ 事業内職業訓練実態調査、訓練生に対するアンケート調査等の実施
④ 認定事業所等の担当者会議、懇談会等の開催
(二) 認定職業訓練指導計画の樹立
都道府県は、認定職業訓練の指導の計画的実施を図るため認定職業訓練指導計画を樹立すること。更に、担当職員は指導計画に基づき、一定期間に全対象について、指導を行えるよう配慮して、おおむね四半期の区分によりその実施計画を作成すること。なお、認定職業訓練指導計画の樹立に当たつては、促進計画及び事業内職業訓練援助計画との有機的関連について配慮すること。
(三) 指導の方法
認定職業訓練の指導の方法としては、次のようなものがあること。
① 担当職員、職業訓練推進員等が行う定期又は臨時の巡回指導
② 認定事業所等を集めて担当職員、職業訓練推進員等が行う集団指導
③ 公共職業訓練施設の職業訓練指導員等が行う巡回又は集団指導
④ 都道府県が職業訓練の技術的事項等につき専門的知識と経験を有する者を選定し、これを例えば職業訓練診断員(コンサルタント)として委嘱して行う巡回指導
⑤ 都道府県が、都道府県における事業内職業訓練施設を選定し、これを例えばモデル職業訓練校(モデル共同職業訓練団体)として指定し、重点的、集中的指導、援助を行うこととし、その成果を広く他に周知せしめることにより行う指導。
本方法による指導は、その効果も大きいので、都道府県における積極的な実施が望ましいこと。
なお、職業訓練法人連合会等が組織されている都道府県にあつては、これらの団体は、会員の認定職業訓練に関する業務の指導を本来の業務とするものであるから、その積極的実施を勧奨すること。
(四) 指導結果の記録
担当職員は、巡回指導等により指導を行つたときは、次の(五)に掲げる指導事項等につき、認定職業訓練指導記録簿(別添様式三参照)を作成するとともに、認定事業所等における訓練指導上の問題点等につき主管課長に報告して、その後における指導の際の資料として活用すること。
(五) 指導事項
指導は、おおむね次の事項について行うこと。
① 訓練組織体制の整備強化
② 訓練計画の作成
③ 訓練内容の改善
④ 訓練方法の改善
⑤ 訓練施設、設備等の充実
⑥ 訓練生の管理及び生活指導の強化
⑦ 訓練生の確保と訓練修了者の職場への定着
⑧ 事務改善その他
(六) 訓練指導上の留意点
訓練指導実施上の留意点は次のとおりであること。
イ 事業主等との面接
認定事業所等における訓練内容等の充実強化を図る上で、事業主の訓練に対する理解と関心を深め、改善向上への意欲を喚起することが極めて重要であること。特に、共同職業訓練においては、一般に構成事業主は零細企業の経営者であり、共同職業訓練に対する理解も浅く、事業の経営に追われて、訓練業務のほとんどを事務局まかせにする傾向が強く、これが共同職業訓練の発展を阻害する一因ともなつているので、担当職員は、指導に当たつては、構成事業主に努めて面接して指導啓蒙すること。
また、必要に応じ、労働組合の幹部等労働者の代表とも面接して訓練に対する職場の支援体制の強化等につき協力を求めることも効果的であること。
ロ 訓練組織体制
認定職業訓練の適正かつ効果的な実施を図るため、都道府県は、認定事業所等に、訓練実施に責任を有する職業訓練管理担当者(以下「訓練担当者」という。)を置かしめるよう努めること(訓練生数の多い認定事業所等においては、更に運営委員会を設置することも効果的であること。)。訓練担当者は、訓練に関する方針の決定、訓練計画の作成、訓練水準の確保、訓練の評価、訓練生の管理等、訓練全般の企画、調整及び管理を行うこととするが、特に共同職業訓練団体に置かれるものにあつては、構成事業所との訓練実施業務の連絡、調整を行うことも重要であること。
ハ 訓練計画
訓練が適正に行われるか否かは、訓練計画が適切であるか否かによつて決まるといつても過言ではないので、担当職員は、訓練担当者に対し、適切な訓練計画を作成せしめるよう指導すること。訓練計画は、①訓練目標、②教科の科目及び諸行事並びにその内容(程度) ③訓練時間の配分 ④試験(技能照査も含む。)の実施時期とその方法 ⑤担当職業訓練指導員 ⑥訓練実施場所等について定めるものであるが、計画作成については、次の諸点について指導すること。
ⅰ 訓練計画は、認定事業所等の実態に即して実行可能なものを作成すべきであり、画一的に定めるべきものでないこと。
ⅱ 訓練目標の設定に当たつては、訓練の修了時において到達すべき知識及び技能をできるだけ具体的に定める必要があるが、これについては「技能照査の基準の細目」又は労働省職業訓練局編「教科編成指導要領」が定められている訓練科については、これを参考とし、これに認定事業所等の訓練の必要点も加えること。
なお、「教科編成指導要領」は、訓練基準においては、教科、訓練時間等が定められているが、その具体的内容は示されていないことにかんがみ、訓練目標に則し教科の内容はどの程度にしたらよいか、訓練時間はどの位が適当かなどについて参考として労働省職業訓練局でまとめたものであるので、担当職員は、認定職業訓練の実施促進に当たつての手引としてこれを活用するとともに、認定事業所等の指導に当たつても、これを活用し、かつ、認定事業所等の訓練の必要点も適宜加味して教科の展開を指導していくこと。
ⅲ 養成訓練における普通学科の選択は、専門学科との関連も考慮すること。この場合必ずしも訓練時間を独立して設ける必要はなく、専門学科の訓練を行う際、併せて実施して差し支えないこと。
ⅳ 学科と実技の関連付けは重要であるので、特に共同職業訓練の場合において両者の訓練が遊離することなく行われるよう訓練計画を調整すること。
ⅴ 実技の訓練のうち、基本実技の訓練については、基本的な作業方法と作業態度を確立する上から重要であるので十分配慮すること。特に共同職業訓練においては、集合訓練の中にできる限りこれをとりこむよう計画を作成すること。なお、必要があるときは、基本実技の訓練時間を独立して設けることなく、応用実技の訓練を行う際、併せて実施しても差し支えないこと。
ⅵ 実技の訓練のうち、応用実技の訓練については、それを生産現場で行う場合であつても、訓練は直接製品の制作を目的とするものでなく技能の習得を目的とするものであることを十分配意して計画を作成すること。
ⅶ 訓練時間は、訓練期間の範囲内で、訓練年度別に自由に配分して差し支えないこと。
ⅷ 担当職業訓練指導員の分担を明確に定め、一貫した訓練が計画どおり実施できるよう配慮すること。なお、学科と実技は、同一の職業訓練指導員によつて担当されることが望ましいが、不可能な場合は必要に応じ、学科講師を確保しておくこと。この場合、例えば、工業高等学校の教諭等を依頼したときは、教習内容がややもすれば学問的になりやすいので、実技の訓練との関係を十分説明した上で教習に当たらしめるよう配慮すること。なお、公共職業訓練施設から職業訓練指導員の派遣を受けることを希望する認定事業所等にあつては、事前に当該公共職業訓練施設と十分打合せを行つておくこと。
ⅸ 認定事業所等における他の教育訓練活動、諸行事、業務の繁閑等の見通しも十分配慮すること。
ⅹ 共同職業訓練団体にあつては、構成事業主に対し、訓練の進行状況をは握せしめ訓練に対する理解を深めるため、作成した訓練計画の内容を構成事業主に周知せしめることとし、月ごと又は四半期ごとに学科及び実技の訓練の計画を渡しておくこと。
ニ 訓練内容
担当職員は、訓練計画に従つた訓練が適正になされているか否かについては常に留意し、特に実技の訓練に関しては訓練担当者が訓練日誌、担当職業訓練指導員の報告等の点検をして訓練の進度をは握するよう指導すること。
訓練内容の適正であるのか否かについては次の点に留意し、訓練担当者と十分連絡を保つて所期の効果を収め得るよう指導すること。
ⅰ 学科の訓練は、実技の訓練との関連付けにおいて行われるべきものであるが、特に共同職業訓練の場合、両者の遊離が生じやすいので、学科の訓練を学科講師等に一任してしまうことなく、例えば、構成事業所との間に連絡票を交換する等の方法により、連絡を密にして学科の訓練の内容及び進度を実技の訓練のそれに照し合わせて調整すること。
ⅱ 生産現場における実技の訓練は、生産に重点が置かれ過ぎ、訓練と作業との区分が不明確となる傾向にあるので、当該訓練が平常作業に従つて野放しに行われることなく、訓練計画に従つた訓練が行われるべきであること。
ⅲ 基本実技は、直接生産に関連がないように考えられ、粗略に扱われる場合があるが、応用実技の前提として正しい作業方法と作業態度を身につける上で極めて重要であるので、その内容の充実を図るべきこと。特に安全衛生作業法を重視すべきこと。
ⅳ 共同職業訓練においては、実技の訓練について構成事業所間に差が生じやすいので、構成事業所間の水準調整に配慮すること。
ホ 訓練方法
訓練方法については、担当職員は、次の点に留意して指導すること。
ⅰ 訓練計画に従い、各職業訓練指導員が、訓練生に定められた時間内に消化できる知識、技能を訓練するためには、指導案を作成してこれに従つた訓練をすることが効果的であるから、その作成方法とこれによる訓練の実施を指導すること。
また、実技の訓練については、教えようとする作業を分解した作業分解シート、訓練生のための作業のやり方を示す指導票等についてもその必要性と効果を十分認識させること(指導案及び作業票の作成については、労働省職業訓練局編「職業訓練における指導の理論と実際」参照)。
ⅱ 試験は、訓練生の知識、技能の進度(訓練効果)を的確には握して、事後の訓練方法の改善のための資料とするとともに、訓練生の技能習得意欲の向上にも役立つものであるので、各教科(普通学科は省略可能)の科目について訓練年度につき一回以上(専修訓練課程の訓練にあつては訓練の全期間を通じて一回以上)行うこととなつているが、なるべく多く行うよう指導すること。また、試験の結果によつては、補講を行い、すべての訓練生の技能水準の維持向上を図るよう指導すること。
特に共同職業訓練については、試験は訓練内容を確認し、訓練水準を維持し、かつ、調整する手段として重要であることにかんがみ、当該訓練団体に対し厳格に試験を行うよう指導すること。
ⅲ 高等訓練課程の養成訓練を行う場合にあつては、訓練の修了前二月の間の日に技能照査を行うこととなつているので、「技能照査実施要領」(昭和四五年一〇月六日付け訓発第二三三号通達)に基づき、公正な技能照査が実施されるよう指導すること。更に、労働省においては、技能照査の的確な実施を確保するため技能照査標準問題集を作成しているのでこれを参考とすること(昭和四八年一〇月九日付け訓発第二七三号通達)。
ⅳ 訓練生に対し、限られた時間内に効率的に訓練を行うためには、教科書、教材等の活用が不可欠であるが、これは同時に訓練生に技能習得への関心と興味を喚起する上でも重要であること。特に、スライド、映画等を用いた視聴覚教材の活用による訓練の必要性と効果につき、十分認識させること。また、教科書、教材等については、市販のものに加えて、職業訓練指導員が自作したものを使用することは、指導上の効果が大きいので、その作成方につき勧奨し、必要な援助を行うこと。なお、視聴覚教材については、労働省職業訓練局において推薦したものがあるので、その利用をも勧奨すること。
へ 高等学校との連携
高等学校の定時制又は通信制の課程に在学する訓練生が文部大臣の指定する事業内職業訓練施設で訓練を受けている場合において、当該職業訓練施設における訓練を文部大臣の定めるところにより当該高等学校における教科の一部の履修とみなすことができることとなつているが、これについては昭和三七年五月九日付け訓発第一〇六号通達及び昭和四三年四月三〇日付け訓発第一〇八号通達により適切な指導を行い、特に訓練内容の充実に配意するよう指導すること。
二 訓練生の管理及び生活指導の充実強化
訓練生の技能習得意欲の有無は、訓練の成否を決する鍵であるので、都道府県は、訓練生が熱意をもつて訓練を受けいやしくも訓練の途中で技能習得意欲を喪失し、訓練受講を放棄することのないよう適切な訓練生の管理について十分指導すること。また、若年者を対象とする養成訓練にあつては、訓練生に技能者にふさわしい生活態度と習慣を身につけさせるための生活指導が重要であるので、都道府県は、その実施についても指導、援助を行うこと。
(一) 訓練生の管理
訓練生の管理については、担当職員は、訓練生に対し、訓練は個々の訓練生の適性、能力、興味、性格等に合致して行われるべきであり、訓練生に違和感を生じさせるものであつてはならないとの考え方に立つて次の点に留意して訓練を行うよう十分指導すること。
イ 訓練生の出欠状況
担当職員は、訓練担当者に訓練生の出欠簿を整備しておくよう指導すること。また、共同職業訓練の場合の集合訓練への出席については、訓練生の出席に都合の良い場所、時間に訓練が実施できるよう、訓練担当者及び構成事業主の配慮を求めるとともに、集合訓練に欠席する訓練生については、訓練担当者に欠席理由が訓練生側にあるのか事業所側にあるのかを十分は握せしめ、必要に応じ、訓練担当者が事業所に直接訪問して指導し、又は連絡票等を活用することにより指導するよう勧奨すること。
ロ 訓練生指導台帳等の作成
担当職員は、訓練担当者に個々の訓練生について訓練生の出欠、技能の習得度、指導の実施状況等を記録した訓練生指導台帳等を作成しておくよう指導すること。
この場合、特に共同職業訓練団体においては、実技の訓練を担当する職業訓練指導員等の協力も得て個々の訓練生の訓練全般についての記録となるよう留意して作成することがより望ましいこと。
ハ 訓練生に対する補講等
訓練の実施に当たつては、訓練生間に技能習得の程度の差が生じることは、ある程度はやむを得ないが、この場合においても、技能習得が遅れている訓練生に対し、補講等特別な指導をして当該訓練生が訓練から脱落することのないよう訓練担当者に配意せしめること。
ニ 訓練施設等の整備
教室、実習場等の訓練施設を確保、整備することは、計画的な訓練を円滑に行うための不可欠の条件であるばかりでなく、訓練生に訓練受講への魅力を感じさせ、技能習得意欲を向上させる上で重要であるので、認定事業所等に対し、指導援助すること。なお、訓練施設、設備等を整備することにより、訓練生の安全衛生の確保についても配意せしめること。特に、集合訓練に出席する場合など通校時の交通事故防止対策について指導を強化すること。
ホ 生産現場における訓練生の管理
訓練生の管理の要点は、生産現場における実技の訓練の管理にあるので、訓練担当者は生産現場における職業訓練指導員、現場監督者と十分連絡して訓練生としての実体の伴わない名前だけの訓練生がいないよう配意して訓練の効果的実施に努めるとともに生産現場における安全衛生の確保にも留意するよう指導すること。
へ 訓練修了者に対する追跡指導
訓練修了者に対し、その後の技能の向上、職場配置、処遇について追跡調査を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずるよう指導すること。
ト 労働基準法との関係
訓練生はすべて、事業主の指揮命令の下に訓練を受ける者であり、労働基準法及び労働安全衛生法上の各種保護規定の適用があるので、担当職員は、次の点に留意して、事業主等に誤解がないよう、労働基準法及び労働安全衛生法の内容については明確に説明しておくこと。
ⅰ 訓練の実施、訓練生の訓練中の身分処遇等につき、できる限り就業規則等で明確にしておくこと。
ⅱ 訓練は、昼間通常の労働時間内に行うことが好ましいが、やむを得ず夜間等通常の労働時間外に訓練を行う場合は、労働基準法の規定に抵触することがないよう十分に配慮すること。
ⅲ 訓練生の訓練実施中に発生した災害(訓練施設への通校時における災害も含む。)は、労働者災害補償保険法の適用対象となるものであること。
ⅳ 訓練生について必要がある場合は、契約期間、危険有害業務への就業制限等に関する特例が認められているが(労働基準法第七〇条及び労働安全衛生法第六一条)これは訓練を実施する場合の必要やむを得ない場合の例外的措置であることを認識させるとともに、労働基準法施行規則別表第一及び労働安全衛生法施行規則第四二条に定める事業主の講ずべき措置を遵守するよう指導すること。
(二) 訓練生の生活指導
養成訓練においては、訓練生の大多数は青年期に属するものであるから、青年期の特質を十分理解して、適切な生活指導が行われるべきであること。生活指導は、種々の形で実施されるものであるが、共同職業訓練等において、訓練生に対する集団指導の一環として次の行事等を行うことは、訓練生に訓練生としての自覚と喜びを持たせ、その人間関係を深める上で重要であるので、担当職員は訓練担当者に対し、その積極的推進を勧奨し、必要な援助を行うこと。なお、これらの諸行事は、訓練活動の一環として実施される場合は、普通学科の「体育」、「社会」の訓練時間の一部としてこれに含めて差し支えないこと。
イ 訓練生大会
訓練生を一堂に集め講演会、映画会、表彰式等も加えて、訓練生大会を開催しその内容を工夫して訓練生の士気を高めること。この場合、公共職業訓練施設等の施設を利用して、技能コンクール、研究発表会、作品展示会等を併せ行うことも効果的であること。
ロ レクリエーシヨン大会等
訓練生の教養の向上、余暇の善用等に資するため、レクリエーシヨン大会、運動会、ハイキング、旅行、音楽会等を適宜開催すること。この場合、都道府県は、勤労青少年ホーム、中小企業、レクリエーシヨンセンター等公共的福祉施設の利用を積極的にあつせんすることが望ましいこと。なお、これらの行事の実施に当たつては、できる限り、訓練生自身にリーダーシツプをとらせるよう配意せしむること。
ハ 訓練生を励ます会等
訓練生の訓練実施に当たる関係者はもちろん、訓練生の父兄、社会一般の訓練及び訓練生に対する理解と関心を深めることは重要であるので、例えば、父兄等による訓練生を励ます会、訓練生母の会等を設置して、訓練生の生活指導について連絡協議せしめることも効果的であること。
三 公共職業訓練施設の援助の強化
公共職業訓練施設は、その本来の業務として公共職業訓練を行うほか、認定職業訓練はもとより、広く事業内職業訓練についての援助の業務を行うこととなつているが、この面での活動は十分とはいい得ない現状にあるので、都道府県は、事業内職業訓練の推進に当たつては、公共職業訓練施設を関係地域における事業内訓練推進のセンターとして位置付けこれを軸として、次のような援助体制を整備強化すること。
(一) 事業内職業訓練援助計画の樹立
都道府県は、計画的継続的な援助業務の推進を図るため、毎年年度当初に事業内職業訓練援助計画を樹立すること。事業内職業訓練援助計画は各公共職業訓練施設別に、援助の方法、その程度、実施時期、実施場所、援助業務担当職員(職業訓練指導員)等について、具体的に定めること。
(二) 事業内職業訓練援助重点校の指定
事業内職業訓練の援助を効率的に実施するため都道府県においては、例えば、事業内職業訓練を実施している事業所が多い地域の公共職業訓練施設であつて、比較的訓練施設の利用に余裕のあるもの等について、これを事業内職業訓練援助重点校として指定し、計画的、継続的な援助を行わしめることも効果的であること。
(三) 援助業務
援助業務としては、次のようなものが考えられるが、なお、各地域の実情、事業主の必要に応じ、きめ細かな援助を実施すること。
イ 職業訓練指導員の派遣等
事業内職業訓練、特に共同職業訓練にあつては、優秀な職業訓練指導員の確保が困難な場合が多いので、要請に基づき公共職業訓練施設の職業訓練指導員を派遣すること。また、必要に応じ、各技術的専門的事項につき、工業高等学校、都道府県の試験研究機関、関係企業等の職員を指導員、講師としてあつせんすることもよいこと。このため都道府県は、例えば、都道府県単位又は各公共職業訓練施設単位に、あらかじめ各専門事項別に指導員、講師等を登録させておいて、要請に基づき、適任者をあつせんするなどの制度も工夫することが望ましいこと。
ロ 施設の利用促進等
公共職業訓練施設の教室、実習場その他の施設の利用を促進すること。各公共職業訓練施設においてはできる限り、計画的、恒常的に施設を利用の便に供することとし、このため、事業内職業訓練実施の動向も勘案して、教室等の一部を事業内職業訓練のために開放する方式や、週・月の一定日に集中的に施設を開放する方式も工夫すること。なお、施設を利用させる際には、必要に応じ、当該施設の職業訓練指導員も訓練を担当させることがよい場合もあるので、事前に関係事業所と打ち合わせておくことが望ましいこと。
また、公共職業訓練施設の都合等により、施設利用が困難な場合や、訓練実施上当該施設以外の施設を利用することが好ましい場合は、都道府県は、関係行政機関、市町村、企業等の協力を求め、例えば、学校、公民館、企業施設等他の適当な施設の利用につき、あつせんに努めること。
ハ 受託訓練の実施
受託訓練の実施については、さきに昭和四八年四月二七日付け訓発第九九号通達でもつて指示されたところであるが、事業主等に本制度が周知されないうらみがあるので、制度の普及促進に努めるとともに、公共職業訓練施設においても、公共職業訓練の実施と合わせてその積極的推進に努めること。
このため、例えば、公共職業訓練施設に、受託訓練を主として担当する職業訓練指導員を設置すること。共同職業訓練の集合訓練の実施を専ら受託することとして独立のクラスを編成すること等について工夫することも望ましいこと。
ニ 教材、資料の提供
職業訓練用教材の紹介、あつせん、閲覧及び各種の模範訓練事例、訓練実態調査の結果の公表等を積極的に行うこと。特に、視聴覚教材の活用を促進するため、例えば、公共職業訓練施設に視聴覚ライブラリーを併置して、八ミリ映写機、フイルム等の貸出しを行うことも効果的であること。
ホ 訓練に関する技術的指導
教科の編成の仕方、訓練指導の内容、方法等訓練実施の技術的な部分について助言、指導するため、例えば、公共職業訓練施設に職業訓練相談コーナーを常設し、又は一定の日に開設することも望ましいこと。
第八 職業訓練法人及び職業訓練法人の連合会の結成促進等
認定職業訓練の永続性とその実施のための責任体制を明確にし、訓練内容の向上を図るため、職業訓練法人の設立を勧奨指導するとともに、職業訓練法人を中心に事業内職業訓練を実施する事業所又は団体が一体となつて、自主的に訓練を推進する体制を確立するため、都道府県において職業訓練法人連合会を早急に設立することとする。
一 職業訓練法人の結成促進
都道府県は、新規に共同して訓練を行おうとする団体に対して、なるべく職業訓練法人として発足せしめるよう指導するものとし、既に認定職業訓練を行つている団体で、法人化されていないものについては、法人化促進計画を樹立して逐次、職業訓練法人に切り換えるものとすること。特に、訓練生数が少なく訓練基盤の強固でない団体については、その統合化を指導し、その際職業訓練法人として発足せしめること。
なお、職業訓練法人には、財政面、税制面で各種の助成措置が与えられており今後も更に助成措置が拡大される方向にあるので、その周知徹底を図ること。
二 職業訓練法人連合会等の結成促進等
(一) 職業訓練法人連合会等の結成促進
職業訓練法人連合会が未だ設立されていない都道府県にあつては、早急にその組織化を推進すること。また、認定職業訓練団体の職業訓練法人化が進んでいない等の事情により、職業訓練法人連合会の結成が困難である都道府県にあつては、とりあえず都道府県段階で、職業訓練法人やその他の認定事業所等を会員とする協議会等を結成しておき、逐次これら職業訓練法人連合会に切り換えていくよう努めること。職業訓練法人連合会の会員には、認定職業訓練を実施しているもののほか、職練訓練の推進のための活動を行うものが加入し得るので都道府県は、例えば、関係市町村、関係諸団体等であつて、職業訓練の推進に関し指導援助、情報資料の提供、広報等の諸活動を行うものに対して、加入を呼びかけることも望ましいこと。
(二) 全国共同職業訓練団体中央協議会への加盟促進会
現在、中央に社団法人全国共同職業訓練団体中央協議会が組織されており、昭和四九年度から同協議会に対し国の補助金が交付されることとなつたが、全国的段階における自発的職業訓練推進体制を確立するため、職業訓練法人連合会等をこれに加盟せしめることが望ましいので、都道府県は、その旨積極的に指導すること。
三 職業訓練法人連合会等の育成強化
職業訓練法人連合会等に対しては、現在一部の都道府県においては、都道府県独自に、その運営費、事業費等の補助、都道府県の訓練推進業務の委託等の助成措置を行つているが、その拡充が望まれるとともに、その他の都道府県においても同様の措置をとることが望ましいこと。この場合、職業訓練法人連合会等の行うべき事業として具体的には次のようなものが考えられること。
① 職業訓練大会の開催
② 体育大会、レクリエーシヨン大会等訓練生を対象とする諸行事の実施
③ 職業訓練指導員、訓練担当者等の研修
④ 監督者訓練、その他の成人訓練の実施
⑤ 会員である事業所又は団体に対する巡回指導等の実施
⑥ 教科書、教材等の開発、作成、普及等
なお、職業訓練法人連合会の業務推進に当つては、都道府県技能検定協会との連携を深めるよう指導すること。
第九 職業訓練指導員等の資質向上
事業内職業訓練の適切かつ効果的な実施を図るためには、訓練を直接担当する職業訓練指導員及び訓練担当者その他の訓練業務の管理運営に当たる者の、能力、資質の向上が不可欠であるので、都道府県は、その積極的推進に努めるものとする。
一 職業訓練指導員の資質向上
最近における技能水準の発展、高等学校卒業者を対象とする訓練への移行等に伴い職業訓練指導員の資質向上の必要性が一段と高まつているので、都道府県は次の措置を講ずるよう努めること。
(一) 研修会等の実施
職業訓練指導員に対し、一般教養、生産技術上の知識、技能及び訓練指導技法の向上を図るため、都道府県は、職業訓練法人連合会等との連携を深め、各種研修会講習会等を実施すること。また当該講習会等を事業主が自ら実施するよう勧奨すること。
(二) 国内、県内留学の実施
都道府県は、事業主の協力を求め、事業内職業訓練施設の職業訓練指導員を、国内又は県内の大学、試験研究機関、企業等に、研修に派遣する制度を工夫すること。例えば、下請事業所等の職業訓練指導員の研修については、元請事業所等が、便益を提供するよう協力を求めることも考えられること。
また、事業主が、その雇用する職業訓練指導員を職業訓練大学校における指導員研修課程の訓練等に参加せしむるよう便益を提供することについても指導すること。
(三) 公共職業訓練施設の職業訓練指導員との交流
公共職業訓練施設と事業内職業訓練施設の職業訓練指導員が会合をもち、それぞれの専門分野における知識と経験を交流することは、効果があるので、その推進に努めること。
(四) 訓練指導技法の改善向上
訓練指導技法の改善向上のため、都道府県においては、職業訓練法人連合会等と連携して職業訓練指導員を対象とする研究発表会、研究論文の公募、自作教材のコンクール等を実施することも効果的であること。
二 訓練担当者等の資質の向上
認定職業訓練の円滑な実施を確保するためには、訓練担当者その他訓練の管理運営に当たるものの能力、資質の向上が急務であること。特に共同職業訓練の場合には、訓練の管理運営に当たる者の良否が、訓練実施の成否を決するといつても過言でないので、都道府県は、定期的に、認定事業所等の訓練担当者等を招集して、研修会、講習会、模範事業所等の見学会等を開催して、訓練計画の作成、訓練方法、訓練効果、施設設備の整備、訓練生管理、事務改善等訓練の管理運営に関する事項について研修を実施すること。また、職業訓練法人連合会等が行う研修会等に対し、積極的に協力すること。
第一〇 事業内職業訓練実施状況の点検、報告等
認定職業訓練の推進の実効性を期するために、都道府県においては、本要綱に基づき実施した諸施策の内容とその効果についての点検・確認を常に行うとともに、都道府県の認定職業訓練の推進の実施状況について本省あて報告することとする。
一 点検簿の作成等
都道府県は、本要綱に示す諸施策―各種広報宣伝活動の実施、推進計画の作成、認定職業訓練の実施促進指導、認定職業訓練の指導、援助等―の具体的な実施について、点検簿(様式適宜)を作成し、個々の項目ごとに見直し、点検を行うとともに、定期的又は適宜、反省会(主管課長を長とする。)を開催して、指導上の問題点、目標の達成状況等について検討し、その後における諸施策の進め方についての参考とすること。
二 本省に対する報告
都道府県における認定職業訓練の実施促進指導及び指導援助の状況について、担当職員は別添様式四により当該年度の四月~九月分については一〇月末まで、一〇月~翌年三月分については四月末までに、労働省職業訓練局指導課あて報告を行うべきこと。
別添様式1(参考例)
別添様式2(参考例)
別添様式3(参考例)
別表1
訓練修了による取得資格一覧
1 職業訓練法に基づく取得資格
修了訓練課程 |
取得資格 |
高等訓練課程 専修訓練課程 職業転換訓練課程 |
技能検定の受験資格の実務経験の短縮 訓練指導員免許試験の受験の実務経験の短縮 |
高等訓練課程 |
技能士補の資格の付与 二級技能検定の学科試験の全部免除 |
二級技能士訓練課程 |
二級技能検定の学科試験の全部免除 |
2 他法令に基づく取得資格
(1) 訓練修了により取得できる資格若しくは講習修了資格
修了訓練科 |
取得資格 |
クレーン運転科 |
クレーン運転士免許 移動式クレーン運転士免許 デリツク運転士免許 揚貨装置運転士免許 |
港湾荷役科 |
クレーン運転士免許 移動式クレーン運転士免許 揚貨装置運転士免許 フオークリフト運転技能講習修了 |
ボイラ運転科 |
二級ボイラ技士免許 |
電気工事科 |
電気工事士免状 |
送配電科 |
電気工事士免状 |
フオークリフト運転科 |
フオークリフト運転技能講習修了 |
建設機械整備科 |
車両系建設機械運転技能講習修了 |
建設機械運転科 |
車両系建設機械運転技能講習修了 |
とび科 |
玉掛け技能講習修了 |
玉掛け科 |
玉掛け技能講習修了 |
可燃性ガス及び酸素を用いて金属の溶接、溶断等を行う訓練科 |
ガス溶接技能講習修了証 |
専門学科の主たる学科が工学に関するものである訓練科 |
安全管理者としての資格をうる実務経験の短縮 |
(2) 訓練修了により取得できる受験又は受講資格
修了訓練科 |
試験又は講習 |
衛生検査科 |
衛生検査技師試験の受験資格の実務経験の短縮 |
臨床検査科 |
臨床検査技師試験の受験資格 |
理容科 |
実地習練1年後に理容師試験の受験資格 |
美容科 |
実地習練1年後に美容師試験の受験資格 |
無線通信科 |
第三級無線通信士試験の予備試験の免除 |
無線技術科 |
第二級無線技師試験の予備試験の免除 |
自動車整備科 |
三級自動車整備士技能検定の受験資格 |
溶接科 |
ガス溶接作業主任者試験の受験資格の実務経験の短縮及び試験科目の一部免除 |
ボイラ運転科 |
ボイラ整備士試験の受験資格及び試験科目の一部免除 |
専門学科の主たる学科が工業に関するものである訓練科 |
労働安全コンサルタント試験の受験資格の実務経験の短縮 労働衛生コンサルタント試験の受験資格の実務経験の短縮 |
製材機械整備科 建築科 木工科 木型科 製材科 合板製造科 |
木材加工用機械作業主任者技能講習の受講資格の実務経験の短縮及び受講科目の一部免除 |
板金科 製鑵かん科 金属プレス科 |
プレス機械作業主任者技能講習の受講資格の実務経験の短縮及び受講科目の一部免除 |
建設科 |
地山の掘削作業主任者技能講習、土止め支保工作業主任者技能講習及び型わく支保工の組立て等作業主任者技能講習のそれぞれの受講資格の実務経験の短縮及び受講科目の一部免除 |
ブロツク建築科 |
型わく支保工の組立て等作業主任者技能講習の受講資格の実務経験の短縮及び受講科目の一部免除 |
とび科 |
土止め支保工作業主任者技能講習、型わく支保工の組立て等作業主任者技能講習及び足場の組立て等作業主任者技能講習のそれぞれの受講資格の実務経験の短縮及び受講科目の一部免除 |
さく井科 |
地山の掘削作業主任者技能講習及び土止め支保工作業主任者技能講習のそれぞれの受講資格の実務経験の短縮及び受講科目の一部免除 |
土木科 |
地山の掘削作業主任者技能講習及び土止め支保工作業主任者技能講習のそれぞれの受講資格の実務経験の短縮及び受講科目の一部免除 |
型わく科 |
型わく支保工の組立て等作業主任者技能講習の受講資格の実務経験の短縮及び受講科目の一部免除 |
石材科(採石専攻) |
採石のための掘削作業主任者技能講習の受講資格の実務経験の短縮及び受講科目の一部免除 |
建築科 ブロツク建築科 プレハブ建築科 建築製図科 |
二級建築士試験の受験資格の実務経験の短縮 |
全訓練科 |
衛生管理者試験の受験資格の実務経験の短縮 |
別表2
事業内職業訓練に対する助成状況
1 補助金
名称 |
補助対象者 |
備考 |
共同職業訓練運営費補助 |
中小企業職業訓練実施団体 |
共同して行う認定職業訓練(養成訓練のみ)に要する経費のうちの一部 |
職業訓練共同施設設置費補助 |
都道府県 市町村 職業訓練法人 |
職業訓練共同施設のうち集合訓練のための教室、実習場等の建築に要する経費 |
職業訓練共同施設機械費補助 |
都道府県 市町村 職業訓練法人 |
職業訓練共同施設に設置する訓練用機械等の購入に要する経費 |
2 融資
融資名 |
融資対象者 |
備考 |
雇用促進融資(職業訓練施設融資) |
中小企業の事業主 中小企業の事業主の団体(法人に限る) |
雇用労働者の訓練のための施設及び機械の設置に要する資金 |
3 税制上の措置
名称 |
対象者 |
備考 |
法人税法 |
職業訓練法人 |
収益事業から生じた所得以外の所得及び解散した場合の精算所得について非課税等の措置 |
所得税法 |
職業訓練法人 |
利子等配当金、利益の分配報酬及び料金について非課税 また、認定職業訓練を受ける者を勤労学生控除の対象とする。 |
地方税法 |
職業訓練法人 |
収益事業に係る所得以外の所得について事業税の非課税及び職業訓練施設において直接訓練用に供する不動産について不動産取得税あるいは特別土地保有税の非課税 |
○職業訓練法人に対する寄付金についても、所得税、法人税法上非課税の取扱いが認められている。