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通達:事業主等の行なう職業訓練の振興について

 

事業主等の行なう職業訓練の振興について

昭和46年2月15日訓発第25号

各都道府県知事あて労働省職業訓練局長通達)

 

事業主等の行なう職業訓練の振興については、従来からご努力願つているところであるが、最近における雇用情勢等の変化に伴い職業訓練の重要性が一層高まりつつある実情にかんがみ、公共職業訓練施設の行なう職業訓練と相まつて事業主等の行なう職業訓練を積極的に振興し、職業訓練の社会的慣行化をはかるため、別添のとおり事業主等の行なう職業訓練の振興策要綱を定めたので、その運営につき特段のご配意をお願いする。

 

別添

事業主等の行なう職業訓練の振興策要綱

一 職業訓練に対する認識の高揚

最近における労働力不足の深刻化、国際経済競争の激化等に対処して事業主にとつては設備の近代化等とならんでその雇用する労働者の技能の開発向上が不可欠となつている。また、労働者にとつても技術革新の進展に即応して高度の技能を身につけるとともに職業の変化に適応する力をも身につけていなければ職業人としての地位の向上をはかることが困難となつている。

したがつて、職業訓練は事業主にとつても労働者にとつてもきわめて重要であることを認識せしめて事業主がその雇用する労働者に、可能な限り、自ら職業訓練を行なうことを慣行化せしめるよう指導すること。なお、職業訓練の認識の高揚にあたつては、テレビ、新聞等のマスメデイアを積極的に活用することは勿論のこと、事業主に対する巡回指導を実施するとともに、中小企業団体中央会、商工会議所等関係機関の協力を得るよう努めるほかあらゆる機会をとらえて啓蒙指導を積極的に推進すること。

二 事業主がすでに行なつている職業訓練の認定化と新たな職業訓練の実施の勧奨

認定職業訓練以外の職業訓練をすでに実施している事業主を的確に把握し、その認定化の促進をはかること。この場合、次の諸点について事業主の理解を十分深めるとともに当該事業主の訓練ニーズを分析し、その事業主からの訓練内容、訓練技法等に関する相談に十分に応じられるように努めること。特にすでに認定基準に適合しているか、認定基準に近い職業訓練を実施している事業主に対しては、個別指導を行なう等により、その認定化を促進すること。また、訓練を休止中の事業主に対しては、その再開を勧奨するよう努めること。

イ 新職業訓練法による訓練基準は旧職業訓練法のそれと比べて弾力性に富み、実情に即し得るようになつていること。

ロ 訓練課程についても専修訓練課程(第一類、第二類)および高等訓練課程(第一類、第二類)があり、多様なコースがあること。

ハ 認定を受けると次の特典があること。

(イ) 訓練修了者は、技能検定の受験資格を得る期間が短縮されること。

(ロ) 技能照査に合格した高等訓練課程修了者は、技能士補の称号が与えられるほか、二級技能検定の学科試験が免除されること。

(ハ) 法定職業訓練の所定の訓練科を修了した者は、電気工事士、溶接士等各種の公的資格が与えられること。

(ニ) 公共職業訓練施設から職業訓練指導員の派遣等四の(二)で述べる各種の援助を受けることができること。

(ホ) 中小企業が共同して認定職業訓練を行なう場合は、四の(一)で述べる各種の助成を受けることができること。

また、まだ職業訓練を行なつていない事業主に対しては、職業訓練に対する認識を十分に喚起し、上記の方法に準じて認定職業訓練を行なうよう指導すること。

三 共同して行なう職業訓練の促進

(一) 職業訓練の共同化の推進

中小企業の職業訓練実施の指導にあたつては原則として共同して職業訓練を行なうよう指導すること。この場合において、従来、主として指導してきた同業種団体等に加え、次に掲げるものも指導の対象に加える等、効果的な指導対象の選定に努め、必要な場合は、当該団体等に対して個別的に指導すること。

イ 同一企業の系列下に属する下請事業所集団(必要がある場合は、元請事業所の協力を要請するよう努めること。)

ロ 同一の地域に存在する同業種の事業所集団

ハ 新たに造成された中小企業団地等にある事業所集団

(二) 職業訓練法人の設立促進

中小企業等が共同して行なう職業訓練の責任体制を明確にし、その訓練の永続性を担保して訓練内容の向上をはかるため職業訓練法人を設立するよう指導すること。この場合、新規に共同して認定職業訓練を行なおうとする団体で容易に法人化ができるものは、これを法人化し、すでに認定職業訓練を行なつている団体で軌道にのつているものについては、計画的に職業訓練法人とするように留意すること。なお、職業訓練法人には、職業訓練施設設置費補助、職業訓練用機械購入費補助および税法上各種の減免税の特典が与えられているので、その周知徹底をはかること。

四 認定職業訓練に対する援助助成

(一) 認定職業訓練実施団体に対する助成の活用

イ 認定職業訓練の運営費に対する助成の拡充

昭和四六年度も運営費の補助対象人員の増員および補助単価の引上げがなされる予定であるので訓練生の増加および訓練内容の質的向上をはかるよう指導すること。

ロ 職業訓練共同施設費およびその機械設備費に対する助成の推進

昭和四六年度は、職業訓練共同施設費の補助単価の引上げがなされる予定であるので、職業訓練共同施設の一層の整備をはかること。また、機械設備の整備については、その補助制度について十分周知されていないうらみがあるのでその徹底に努め、その活用を推進すること。なお、地方公共団体の設置する職業訓練共同施設とその機械設備の整備については、事業主の要望に応じられるよう計画的に行なうよう配意すること。

ハ 雇用促進融資の利用促進

職業訓練を行なうために必要な施設設備を設置するために必要な経費は、雇用促進融資から借り受けることができることとなつているが、その利用が十分でないので公共職業安定所等関係機関と連けいして、その活用の勧奨につき配慮すること。

(二) 公共職業訓練施設が行なう援助体制の整備の強化

認定職業訓練を行なう事業主等に対して次のような援助体制を整備し、その要請に応じ得るようにすること。

(イ) 職業訓練指導員の派遣

(ロ) 教材・資料の提供

(ハ) 認定職業訓練の一部の受託

(ニ) 公共職業訓練施設の使用

五 職業訓練指導員の研修の推進

職業訓練指導員の研修については事業主等の要望に応じ、短期間の研修は総合高等職業訓練校等と密接な関係を保つてその実施にあたるほか、長期の研修は職業訓練大学校の行なう指導員研修課程の指導員訓練に参加できるよう便益をはかられたいこと。