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通達:卓越した技能者の表彰制度について

 

卓越した技能者の表彰制度について

昭和42年8月12日発訓第34号

(各都道府県知事あて労働事務次官通達)

 

わが国の経済は、技術革新の進展に伴つてめざましい発展を遂げつつあるが、こうした経済の高度成長に伴い労働力の需要は著しく増大する半面、新規労働力が年々減少していく傾向にあり、このため労働力の不足はいよいよ深刻化する傾向にある。とくに技能労働力の不足数は、ここ数年来常に一〇〇万人をこえ、この不足は慢性化しつつあるものと考えられる。

今後においても、経済の持続的成長による雇用規模の拡大等により、とりわけ技能労働力の需要は増大するものと考えられるが、現状のまま推移すれば、その不足は今後一層強まつていることは必至である。

貿易、資本の自由化がすすみ、はげしい国際経済競争にさらされているわが国としては、技能労働力の確保と技術、技能水準の質的向上が、わが国産業経済の将来を決定する最も重要な要件の一つであるといつても過言でないことから考えると、かかる技能労働力の著しい不足事態は、わが国にとつて解決しなければならない緊要事である。

ひるがえつて、技能労働力の供給の大宗を占める新規学卒者の技能的職種への入職は、進学率の上昇傾向等に伴つて減少していく傾向にある。このことは社会全般に技能尊重の風潮がとぼしく、また、技能労働者の社会的経済的地位がいまだ低いことにその主なる原因があると考えられる。したがつて、このような風潮を是正し、技能尊重の気運を醸成し、もつて技能労働者の社会的経済的地位を高めることによつて、青少年に技能を通じての能力発揮の夢と希望を与え、誇りをもつて技能的職種に入職することを促す必要がある。

労働省としては、かかる事態に対処して、職業訓練及び技能検定の拡大強化を図る一方、以上のような考え方に基づいて、広く社会一般に技能尊重の気風を浸透させ、もつて技術者の地位及び技能水準の向上を図る施策として、今般、卓越した技能者の表彰制度を下記により創設することとし、別紙一のとおり昭和四二年八月一五日付け労働省告示第三八号をもつて技能者表彰規程を定め、別添二のとおり同日付け訓令をもつて技能者表彰審査委員規程を定めたので、御了知のうえ、この制度の実施について特段の御配意をお願いいたしたく、命により通知する。

なお、この制度の実施に関する細目は、別途職業訓練局長から通知するので念のため申し添える。

 

一 目的

表彰は、卓越した技能者を表彰することにより、広く社会一般に技能尊重の気風を浸透させ、もつて技能者の地位及び技能水準の向上を図ることを目的とする。

二 表彰者及び被表彰者

表彰は、労働大臣が、次の各号のすべてに該当する者について行なう。

(一) きわめてすぐれた技能を有する者

(二) 現に表彰に係る技能を要する職業に従事している者

(三) 技能を通じて労働者の福祉の増進及び産業の発展に寄与した者

(四) 他の技能者の模範と認められる者

三 表彰の方法等

表彰は、毎年一回、表彰状及び優秀技能章を授与して行なうものとする。

昭和四二年度の表彰は、一一月二三日に行なうものとする。

四 被表彰候補者の選定等

(一) 表彰を受ける者は、都道府県知事が推薦した者のうちから、労働大臣が選定する。

(二) 労働大臣は、前号の選定を行なうに当たつては、これを公正かつ適切に行なうため、技能者表彰審査委員の意見をきくものとする。

(三) 技能者表彰審査委員は、総合審査委員及び部門別審査委員とし、学識経験のある者のうちから、労働大臣が委嘱する。

五 実施の細目

表彰の実施に関し必要な細目は、職業訓練局長が定める。