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技能検定の実施等について(抄)
昭和34年7月20日発職第106号
(各都道府県知事あて労働事務次官通達)
職業訓練法施行令の一部を改正する政令(昭和三四年政令第二五二号)は昭和三四年七月一〇日公布、即日施行され、また職業訓練法施行規則の一部を改正する省令(昭和三四年労働省令第一九号)は七月二〇日公布、即日施行されることとなつたが、これらの政令及び労働省令は、昨年七月施行された職業訓練法の規定に基いて技能検定を実施するとともに、これに関連して職業訓練指導員免許を受けることができる者の範囲を改正するものである。
技能検定は、労働者の技能の検定を行うことによりわが国産業における技能水準の向上と労働者の地位の向上を図ることを目的とするものであつて、その実施の大要は、中央職業訓練審議会の答申にそつたものである。
技能検定制度は、新しく創設された画期的な制度であるので、周到な準備と配慮のもとにこれが実施の体制をととのえ、公正にして明朗な運用を図るとともに、特に左記事項に留意してその実施に万全を期せられたく、命により通達する。
記
一 技能検定制度の趣旨とその周知徹底について
技能検定制度は、技能労働者の技能の向上を図り、もつてその職業の安定と地位の向上に資するとともに、わが国経済の発展に寄与することを目的として創設されたものである。
本制度は、技能に関する他の試験又は検定制度と異り、いわゆる就業制限を伴うものではなく、受検者の希望に基いて行うものであるから広く本制度の周知徹底を図り、その趣旨を使用者、労働者はもちろん広く一般に理解せしめる必要があること。
二 技能検定実施の基本的態度について
(一) 実施の基本的計画
技能検定の実施にあたつては、常に学識経験者、技術系統及び技能系統の専門家の意見を徴するとともに、各方面の意見をも聴取し、周到な準備のもとに着実に実施することとし、産業界の要請及び技能検定実施準備の進捗状況を勘案しつつ、漸次技能検定を実施する職種及び地域の範囲を拡大するとともに、実施の結果について絶えず検討を加え、研究改善を重ねてよりよき制度の確立とその円滑なる運営を図るものであること。
(二) 運用の基本的方針
技能検定は、技能労働者の地位の向上を図ることをその目的の一とするものであつて、技能労働者の技能を判定することは、その目的達成のための手段である。よつて、受検者の技能が検定水準に達している場合には、合格者数を制限することなく合格とすべきものであり、受検資格を有する者が、真面目に所定の期間実務に従事していた場合には、例えば、試験問題の作成、合否基準の設定等において、かかる受検者が合格できるような配慮のもとに実施されるべきものであること。
また、技能検定は生産及び労務管理面に及ぼす影響が大きいので、生産活動の阻害、職場秩序の混乱等の悪影響を生ぜしめないよう特に配慮すること。
従つて技能検定の実施にあたつては、次の事項に留意し、技能検定制度の円滑な運用を図られたい。
(イ) 受検者が明るく気楽な気持をもつて受検し、不合格となつた場合でも技能を磨いて再び受検するような明朗な気運の醸成に努めること。
(ロ) 経験豊富な比較的高年齢層の労働者に対しては、一級の技能検定が容易に受けられるように一定期間受検資格に特例を設けたのであるが、この暫定期間中においては、特に学科試験に配慮を加えるものとすること。
(ハ) 技能検定の結果を労務管理の手段として不当に利用することのないように指導すること。
(ニ) 試験の実施にあたつては、試験の日程、試験場の設置等について生産活動を阻害しないよう配慮すること。