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通達:労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令等の施行について

 

労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令等の施行について

令和4年2月24日基発0224第1号

(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)

 

労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令(令和4年政令第51号。以下「改正政令」という。)及び労働安全衛生規則及び特定化学物質障害予防規則の一部を改正する省令(令和4年厚生労働省令第25号。以下「改正省令」という。)については、令和4年2月24日に公布され、令和5年4月1日から施行(一部令和6年4月1日から施行)することとされたところである。その改正の趣旨、内容等については、下記のとおりであるので、関係者への周知徹底を図るとともに、その運用に遺漏のなきを期されたい。

 

第1 改正の趣旨

「職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会報告書」(令和3年7月19日公表)を踏まえ、化学物質のばく露による健康障害を防止するため、労働安全衛生施行令(昭和47年政令第318号。以下「令」という。)、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「安衛則」という。)及び特定化学物質障害予防規則(昭和47年労働省令第39号)について、所要の改正を行ったものである。

 

第2 改正の要点

1 改正政令関係

(1) 労働災害を防止するため注文者が必要な措置を講じなければならない設備の範囲の拡大(令第9条の3関係)

労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「法」という。)第31条の2の規定により、注文者が請負人の労働者の労働災害を防止するために必要な措置を講じなければならない設備の範囲について、危険有害性を有する化学物質である法第57条の2の通知対象物を製造し、又は取り扱う設備に対象を拡大したこと。

(2) 職長等に対する安全衛生教育の対象となる業種の拡大(令第19条関係)

法第60条の職長等に対する安全衛生教育の対象となる業種に、化学物質を取り扱う業種を追加するため、これまで対象外であった「食料品製造業(うま味調味料製造業及び動植物油脂製造業を除く。)」、「新聞業、出版業、製本業及び印刷物加工業」の2業種を追加したこと。なお、「うま味調味料製造業及び動植物油脂製造業を除く。」とされているのは、うま味調味料製造業及び動植物油脂製造業については、従前から職長等に対する安全衛生教育の対象業種となっており、新たに追加されるものではないという趣旨である。したがって、今般の改正により、全ての食料品製造業が職長等に対する安全衛生教育の対象となること。

(3) 名称等を表示及び通知すべき化学物質等の追加(令別表第9関係)

法第57条第1項の規定による化学物質等の名称等の表示(ラベル表示)、法第57条の2第1項の規定による化学物質等の名称等の通知(安全データシート(SDS)の交付)及び法第57条の3第1項の規定による化学物質等の危険性又は有害性等の調査等(リスクアセスメントの実施等)を行わなければならない化学物質等として、令別表第9に234物質を追加したこと。

(4) その他

その他所要の改正を行ったものであること。

(5) 施行期日(改正政令附則第1項関係)

改正政令は、令和5年4月1日((3)については令和6年4月1日)から施行することとしたこと。

(6) 経過措置関係(改正政令附則第2項関係)

ア (1)により新たに令第9条の3に追加された設備に係る法第31条の2に規定する作業に係る仕事であって、改正政令の施行の日前に請負契約が締結されたものについては、令和5年9月30日までの間、同条の規定は適用しないこととすること。

イ (3)により令別表第9に追加された物について、改正政令の施行の日において現に存するものについては、法第57条第1項の表示の規定は、令和7年3月31日までの間、適用しないこととすること。

2 改正省令関係

(1) 表示及び通知対象物の裾切り値の設定(安衛則別表第2関係)

1の(3)により新たに令別表第9に追加された234物質の裾切り値(製剤等について、当該物質の含有量がその値未満の場合に法第57条第1項の表示及び法第57条の2第1項の通知の対象とならない値)を定めたこと。

(2) その他

その他所要の規定の整備を行ったものであること。

(3) 施行期日(改正省令附則関係)

改正省令は、令和5年4月1日((1)については令和6年4月1日)から施行することとしたこと。

 

第3 細部事項

1 改正政令関係

(1) 労働災害を防止するため注文者が必要な措置を講じなければならない設備の範囲の拡大について(法第31条の2、令第9条の3関係)

ア 化学物質の製造・取扱設備の改造、修理、清掃等の作業に係る仕事における労働災害を防止するため、化学物質の譲渡・提供時に通知される危険性・有害性情報等が当該仕事の請負人にも伝達されるよう、法第57条の2第1項に規定する通知対象物を製造し、又は取り扱う設備を、対象設備として新たに規定し、対象設備の範囲を拡大したものであること。

イ 「附属設備」とは、従前、平成18年2月24日付け基発第0224003号「労働安全衛生法等の一部を改正する法律(労働安全衛生法関係)等の施行について」の記のⅡ第2の2(1)エにより示したとおりであること。

ウ なお、法第31条の2の対象となる設備は、設備ごとに、その適否が判断されるものである。例えば、解体等を予定している区画において、危険有害性のある化学物質を製造等する設備が複数存在した場合に、法第31条の2の対象となる設備は、請負人が解体等工事を請け負う設備及び当該設備の附属設備に限られ、同じ区画にあるというだけで、予定している解体等工事に一切関わりの無い設備や附属設備まで法第31条の2に基づく措置を講ずる必要は無いことに留意すること。なお、対象設備について、同一生産ライン上にある設備であっても、別区画の遮蔽された設備であれば同様に考えること。

(2) 職長等に対する安全衛生教育の対象となる業種の拡大について(法第60条、令第19条関係)

「食料品製造業(うまみ調味料製造業及び動植物油脂製造業を除く。)」、「新聞業、出版業、製本業及び印刷物加工業」については、近年の化学物質による労働災害の発生状況を鑑み、新たに職長等に対する安全衛生教育の対象としたこと。

(3) 名称等を表示及び通知すべき化学物質等の追加等について(法第57条第1項、法第57条の2第1項、令別表第9関係)

改正政令による令別表第9への追加対象物質は、令和2年度までに国がGHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)に基づく分類を行った物質のうち、発がん性、生殖細胞変異原性、生殖毒性及び急性毒性のいずれかの有害性クラスで区分1相当の有害性を有する物質(既に令別表第9に規定されている物を除く。)を選定したものであること。

ア 令別表第9に追加される物質の留意事項

改正政令で令別表第9に追加される対象物の範囲についての留意事項は以下のとおりであること。

(ア) ダイオキシン類(別表第3第1号3に掲げる物に該当するものを除く。)(改正政令による改正後の令別表第9(以下「新令別表第9」という。)第333号の2)

ダイオキシン類とは、ダイオキシン類対策特別措置法(平成11年法律第105号)第2条に掲げる「ポリ塩化ジベンゾフラン」、「ポリ塩化ジベンゾ―パラ―ジオキシン」及び「コプラナーポリ塩化ビフェニル」をいうものであるが、このうち「コプラナーポリ塩化ビフェニル」は令別表第3第1号「第一類物質」の「3塩素化ビフエニル(別名PCB)」に該当し、既に名称等を表示及び通知すべき化学物質であることから、当該物質を「別表第3第1号3に掲げる物に該当するもの」として令別表第9の追加対象から除外したものであること。

イ 令別表第9から削除等される物質の留意事項

今般の改正に伴い、追加対象物質に包含される等の理由により、以下の物質が令別表第9から削除されるが、これらの物質は引き続きラベル表示及びSDS交付の対象物質であることに留意すること。

(ア) 一・一′―ジメチル―四・四′―ビピリジニウム=ジクロリド(別名パラコート)(改正政令による改正前の令別表第9(以下「旧令別表第9」という。)第296号)及び一・一′―ジメチル―四・四′―ビピリジニウム二メタンスルホン酸塩(同表第297号)一・一′―ジメチル―四・四′―ビピリジニウム塩(新令別表第9第296号)に包含されることから削除したものであること。

(イ) 二・三・七・八―テトラクロロジベンゾ―一・四―ジオキシン(旧令別表第9第362号)

ダイオキシン類(別表第3第1号3に掲げる物に該当するものを除く。)(新令別表第9第333号の2)に包含されることから削除したものであること。

(ウ)ヒドラジン(旧令別表第9第459号)及びヒドラジン一水和物(同表第460号)

ヒドラジン及びその一水和物(新令別表第9第459号)に統合したものであること。

(エ) りん酸トリ(オルト―トリル)(旧令別表第9第625号)

りん酸トリトリル(新令別表第9第626号の3)に包含されることから削除したものであること。

また、一・四・五・六・七・八・八―ヘプタクロロ―二・三―エポキシ―二・三・三a・四・七・七a―ヘキサヒドロ―四・七―メタノ―一H―インデン(別名ヘプタクロルエポキシド)(新令別表第9第524号)は、旧令別表第9同号の物質をより適正な名称に修正したものであり、対象物質の範囲に変更はないこと。

今般の改正に伴い、234物質が令別表第9に追加されるが、上記のとおり追加対象物質に包含される等の理由により削除される物質もあるため、改正後の表示及び通知対象物の数は903物質(令別表第3第1号の7物質を含む。)となること。

2 改正省令関係

(1) 表示及び通知対象物の裾切り値の設定について(安衛則別表第2関係)

改正政令により新たに令別表第9に追加された234物質の裾切り値は、平成27年8月3日付け基発0803第2号「労働安全衛生法施行令及び厚生労働省組織令の一部を改正する政令等の施行について(化学物質等の表示及び危険性又は有害性等の調査に係る規定等関係)」の記の第3の2(2)の考え方により設定されているものであること。これら対象物の裾切り値とCAS登録番号の一覧は、別紙のとおりであり、この一覧は、独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所のホームページ(https://www.jniosh.johas.go.jp/groups/ghs/arikataken_report.html)にて公開していること。

また、従前から表示及び通知対象物であった物質の一部について、令別表第9における物質の名称との関係を明確にする観点から、安衛則別表第2における名称を変更したところであるが、これらの対象物の範囲及び裾切り値に変更はないこと。

 

第4 関係通達の改正

ラベル表示及びSDS交付の義務対象から除外される法第57条第1項ただし書の「主として一般消費者の生活の用に供するためのもの」及び法第57条の2第1項ただし書の「主として一般消費者の用に供される製品」の範囲を明確化するため、平成27年8月3日付け基発0803第2号の記の第3の1(2)を次のとおり改める。

(2) 法第57条第1項ただし書の「主として一般消費者の生活の用に供するためのもの」及び法第57条の2第1項ただし書の「主として一般消費者の用に供される製品」には、以下のものが含まれるものであること。

ア 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)に定められている医薬品、医薬部外品及び化粧品

イ 農薬取締法(昭和23年法律第125号)に定められている農薬

ウ 労働者による取扱いの過程において固体以外の状態にならず、かつ、粉状又は粒状にならない製品

エ 表示対象物又は通知対象物が密閉された状態で取り扱われる製品

オ 一般消費者のもとに提供される段階の食品。ただし、水酸化ナトリウム、硫酸、酸化チタン等が含まれた食品添加物、エタノール等が含まれた酒類など、表示対象物が含まれているものであって、譲渡・提供先において、労働者がこれらの食品添加物を添加し、又は酒類を希釈するなど、労働者が表示対象物又は通知対象物にばく露するおそれのある作業が予定されるものについては、「主として一般消費者の生活の用に供するためのもの」、「主として一般消費者の用に供される製品」には該当しないこと。

カ 家庭用品品質表示法(昭和37年法律第104号)に基づく表示がなされている製品、その他一般消費者が家庭等において私的に使用することを目的として製造又は輸入された製品。いわゆる業務用洗剤等の業務に使用することが想定されている製品は、一般消費者も入手可能な方法で譲渡又は提供されているものであっても、「主として一般消費者の生活の用に供するためのもの」、「主として一般消費者の用に供される製品」には該当しないこと。

 

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