◆トップページに移動 │ ★目次のページに移動 │ ※文字列検索は Ctrl+Fキー
ボイラーの自動制御装置の認定制度について
平成29年5月8日基発0508第2号
(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)
標記について、ボイラー及び圧力容器安全規則(昭和47年労働省令第33号)第25条第2項に基づく労働基準監督署長による自動制御装置の認定に関し、「適合自動制御装置の認定実施要領」を別添のとおり定めたので、その適正かつ円滑な運用に遺漏なきを期されたい。
また、別紙1、別紙2及び別紙3のとおり、登録適合性証明機関、ボイラーに係る登録性能検査機関及び関係業界団体あてに通知しているので、了知されたい。
別添
適合自動制御装置の認定実施要領
第1 趣旨等
1 趣旨
本実施要領は、ボイラー及び圧力容器安全規則(昭和47年労働省令第33号。以下「ボイラー則」という。)第25条第2項の規定に基づく所轄労働基準監督署長による自動制御装置の認定(以下単に「認定」という。)に係る基準、手続き等を定めるものである。
認定に当たっては、本要領に定めるところによるほか、「ボイラー及び圧力容器安全規則及び労働安全衛生法及びこれに基づく命令に係る登録及び指定に関する省令の一部改正(指定外国検査機関関係を除く。)等について」(平成28年9月30日付け基発0930第32号)に定めるところによる。
2 認定の対象
認定の対象となる自動制御装置は、次に掲げる条件の全てを満たすものとする。なお、認定の対象には、新たに設置するボイラーに備え付けられる自動制御装置のみならず、すでに設置されているボイラーを改修して新たに備え付けられるものも含まれる。
(1) ボイラーの運転の状態に係る異常があった場合に当該ボイラーを安全に停止させることができる機能その他の機能を有する自動制御装置であって、機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針(平成28年厚生労働省告示第353号。以下「機能安全指針」という。)に適合しているもの(以下「適合自動制御装置」という。)。
(2) 適合自動制御装置が機能安全指針に適合していることを厚生労働大臣の登録を受けた者(以下「登録適合性証明機関」という。)が証明した書面(以下「適合証明書」という。)が添付されているもの。
3 認定の申請に必要な書類
認定の申請に当たっては、次に掲げる書類を所轄労働基準監督署長に提出させること。なお、新たに設置するボイラーに係る認定の申請に当たっては、ボイラー則第10条に定めるボイラー設置届(ボイラー則様式第11号)とその添付書類を同時に提出させるものとする。
(1) 適合自動制御ボイラー認定申請書(ボイラー則様式第17号)
(2) 適合証明書(労働安全衛生法及びこれに基づく命令に係る登録及び指定に関する省令(昭和47年労働省令第44号。以下「登録省令」という。)様式第4号の4)
(3) 適合自動制御ボイラー認定申請書及び適合証明書の内容を補足する書面(必要な場合のみ。)
4 認定の基準
(1) 認定を受けようとする適合自動制御装置に係る適合証明書の期限が設けられている場合、当該適合証明書が当該期限内であること。
(2) 認定を受けようとする適合自動制御装置を備えるボイラーに係る検査証が有効期間内であること。
(3) 認定を受けようとする適合自動制御装置を備えるボイラーの仕様や使用条件等が、当該適合自動制御装置により制御可能なボイラーの仕様や使用条件等の範囲内に含まれること。
第2 認定の審査
1 適合自動制御ボイラー認定申請書の審査基準
(1) 適合自動制御ボイラー認定申請書について、次に掲げる事項が当該申請に係るボイラーのボイラー設置届又はボイラー台帳(以下「設置届等」という。)に記載されている内容と合致するかどうか確認すること。
ア 事業場の名称及び所在地
イ 製造許可番号及び許可年月日
ウ 検査証番号
エ 種類
オ 伝熱面積又は内容積
カ 検査証の有効期間の満了日
(2) 適合自動制御ボイラー認定申請書について、適合証明書の証明書番号及び証明年月日の記載が、添付されている適合証明書と一致することを確認すること。
2 適合証明書の審査基準
添付された適合証明書について、以下の事項を審査すること。
(1) 適合証明書が登録適合性証明機関によって発行されたものであること。
(2) 証明書番号及び証明年月日が記載されていること。
(3) 製造者の名称及び住所が記載されていること。
(4) 品名及び型式欄に、適合性証明の対象となる適合自動制御装置を特定できる品名及び型式が記載されていること。
(5) 適用した規格等の欄に、適合性証明に当たって適用した日本工業規格又は国際規格等の名称が記載されていること。ボイラーの場合、機能安全に関する基本的な規格は、国際電気標準会議(IEC)規格61508(日本工業(JIS)規格C0508)であるが、国際標準化機構(ISO)規格13849(日本工業(JIS)規格B9706)も適用可能であることから、最低限、この2つの規格のいずれかが含まれていることを確認すること。その他の関連する国際規格としては、機械安全に関するISO規格(ISO 12100等)、工業炉及び関連設備に関するISO規格(ISO 13577等)、ボイラーに関する欧州規格(EN 50156、EN 12952、EN 12953等)があるが、これらの規格への適合については登録適合性証明機関に委ねられること。
(6) 用途及び仕様欄に、適合自動制御装置の仕様等及び当該適合自動制御装置によって制御することが可能なボイラーの仕様等について、次に掲げる事項が記載されているか、これらを明らかにする書面が添付されていること。
ア 適合自動制御装置が適合する安全度水準(JIS C0508)若しくはカテゴリー及びパフォーマンスレベル(JIS B9705)が記載され、当該安全度水準等を機能安全指針に適合する方法で決定した旨が記載されていること。なお、ボイラーの自動制御装置については、安全度水準(SIL)によることが一般的であり、安全度水準(SIL)には、1から4までの段階があること。
イ 燃焼方式及び燃焼装置
バーナー燃焼、ストーカ燃焼等の別、バス専焼バーナー等
ウ 給水制御方式
比例制御方式等の制御方式
エ 自動制御方式
全自動制御、燃焼制御等の別、比例制御等の制御方式
オ 自動停止の機能
① センサー(温度計、圧力計、火炎検出装置等)
② 論理部(プログラマブル・ロジック・コントロール(PLC)、リレー回路等)
③ アクチュエーター(燃料遮断弁、給水制御弁、圧力調整弁等)
④ ①~③の組み合わせによる自動停止機能の概要
(7) 使用条件の欄に、当該適合自動制御装置によって制御されることが可能なボイラーの使用条件等について、次に掲げる事項が記載されているか、それらを明らかにする書面が添付されていること。なお、各事項は特定のボイラーに限定されている必要はなく、複数のボイラーに対応可能であっても差し支えないこと(例:伝熱面積は5から10平方メートルの範囲、複数の燃料に対応できる等)。
ア ボイラーの種類
丸ボイラー(炉筒煙管ボイラー等)、水管ボイラー(貫流ボイラー等)、鋳鉄ボイラー又は特殊ボイラー(廃熱ボイラー等)等
イ 燃料・熱源の種類
灯油、重油、天然ガス、都市ガス、バイオマス、廃熱等
ウ 伝熱面積、定格蒸発量、蒸気温度等
エ 最高使用圧力、使用温度範囲
オ 使用電圧・電気容量
カ ボイラー運転条件等
① 必要なボイラーの取扱資格(ボイラー技士の級別等)
② 1日あたりの運転時間等の運転条件
キ ボイラー設置場所や設置環境
① 屋内・屋外の別
② ボイラー設置場所でのボイラー取扱者の滞在時間
③ ボイラーの爆発等により影響を受ける範囲に常駐する労働者の人数等(適合自動制御装置の要求安全水準を決定する際、通常、ボイラーの爆発等により複数の作業者が被災することを前提とするが、仮に、被災労働者の人数が最大1人であることを前提としている場合、その人数を担保するための設置条件等(例:ボイラー設置場所の周囲に作業場所等がなく、爆発の影響を受ける範囲内にボイラー運転者以外の作業者等が立ち入らないこと等)について明示されていること。)
ク 保守点検に関する事項
① ボイラーに係る保守点検の内容及び頻度(日常点検、定期自主検査、性能検査)
② 適合自動制御装置の点検項目、方法、頻度等
(8) 適合証明書の期限の末日欄に年月日の記載がある場合、労働基準監督署長が交付する様式第1号で定める適合自動制御ボイラー認定書(以下「認定書」という。)の認定日が適合証明書の期限の末日を過ぎないこと。
3 適合証明書と設置届等に記載されている事項の比較に係る審査基準
(1) 適合証明書の用途及び仕様欄に記載されている事項と、設置届等に記載された事項を比較し、表1に掲げる審査基準により、審査すること。
(2) 適合証明書の使用条件欄に記載されている事項と、設置届等に記載された事項を比較し、表2に掲げる審査基準により、審査すること。
第3 認定書の交付等
1 認定書の交付等
(1) 新規設置のボイラーに係る認定
新規設置のボイラーに係る認定については、当該ボイラーがボイラー則第59条の落成検査に合格し、検査証を交付する際に、認定書を併せて交付すること。
(2) 既設置のボイラーに係る認定
既設置のボイラーに係る認定に当たっては、以下の事項に留意すること。
ア 既設置のボイラーについて認定を申請するためには、既設置のボイラーの自動制御装置の交換等を行う必要があるが、これに伴い、燃焼装置や附属設備等ボイラー則第41条各号に掲げる部分又は設備についての変更を伴う場合は、ボイラー則第41条に基づく変更届の提出が必要であること。
イ ボイラー則第41条各号に掲げる部分又は設備を変更しない場合であっても、ボイラー設置届又はボイラー明細書に記載された事項に変更が生じる場合、認定の申請時に、ボイラー設置届の変更事項について、任意様式(別紙ひな形参照)により報告を求めること。
ウ 認定の審査に当たっては、ア又はイにより提出又は報告された変更後のボイラーの仕様等に基づいて審査を行うこと。
エ 変更届が提出された場合には、ボイラー則第42条の変更検査に合格し、検査証の裏書をする際に、併せて認定書を交付すること。
(3) 認定後の処理
認定書を交付後、次に掲げる事項を実施すること。
ア 当該ボイラーに係るボイラー台帳の摘要欄に、認定書の交付年月日及び認定番号を記載すること。
イ 当面の間、労働局を通じて本省安全課あてに、認定書、認定申請書及び適合証明書の写しを送付すること。
2 変更の認定
(1) 変更の範囲
認定を受けた者が、次に該当する場合は、所轄労働基準監督署長に認定の変更を申請させること。
ア 認定を受けた適合自動制御装置を変更する場合
イ 認定を受けた適合自動制御装置を備えたボイラーについて、適合証明書の用途及び仕様欄又は使用条件の欄に記載されている仕様等に係る当該ボイラーの部分又は設備を変更しようとする場合
(2) 変更の認定の申請及び審査
変更の認定の申請及び審査は、新規の申請に係る事項を準用すること。
3 認定の廃止
認定を受けた者が、認定を廃止しようとするときには、所轄労働基準監督署長に対し、廃止申出書(様式任意)に認定書を添えて提出させること。
4 認定の取消し等
(1) 取消事由等
所轄労働基準監督署長は、認定を受けた者等について、次に掲げる事由のいずれかに該当するに至った場合は、認定を取り消すことができること。なお、当面の間、認定の取消しを行おうとする場合は、当該事案の概要、処分事由等について、あらかじめ労働局を通じて本省に協議すること。
ア 認定を受けた適合自動制御装置の機能が損なわれ、適合証明書の用途及び仕様欄又は使用条件欄に記載された仕様等に適合しなくなったとき。
イ 認定を受けた適合自動制御装置を備えたボイラーの検査証の有効期間が更新されなかったとき又は当該ボイラーが廃止されたとき。
ウ 認定を受けた適合自動制御装置を備えたボイラーの燃焼装置等が変更され、適合証明書の用途及び仕様欄又は使用条件欄に記載された仕様等に合致しなくなったとき。
エ 虚偽又は不正の手段で認定を受けたとき。
(2) 取消処分等に当たっての留意事項
取消処分又は不認定処分を行うに当たっては、行政手続法(平成5年法律第88号)、厚生労働省聴聞手続規則(平成12年厚生省・労働省令第2号)、「行政手続法の施行に伴う聴聞及び弁明の機会の付与の手続について」(平成6年9月30日付け基発第611号・婦発第272号)、「行政手続法等の施行について」(平成6年9月30日付け基発第612号)に留意し、聴聞、処分通知等を適切に行うとともに、処分通知に当たっては、行政不服審査法(平成26年法律第68号)及び行政事件訴訟法(昭和37年法律第139号)の規定による教示を行うこと。
表1 適合証明書の「用途及び仕様」欄の審査内容
適合証明書に記載すべき項目(例) |
適合証明書に記載すべき内容(例) |
設置届等の記載項目 |
設置届等の記載内容(例) |
審査基準 |
安全度水準又はパフォーマンスレベル |
安全度水準(SIL):2 パフォーマンスレベル(PL):d |
|
|
適合証明書に安全度水準又はパフォーマンスレベルが記載されていること。また、当該安全度水準等が機能安全指針に適合する方法により決定された旨が記載されていること。 |
燃焼方式 |
ガス専焼バーナー |
燃焼方式 |
手だき、ストーカ燃焼、バーナー燃焼 |
適合証明書の燃焼方式が設置届等の燃焼方式と一致すること。 |
給水制御方式 |
比例制御等 |
給水装置 |
種類、給水能力、数 |
適合証明書に制御方式が記載されていること。 |
自動制御方式 |
燃焼制御(比例制御等) |
自動制御方式 |
全自動、燃焼系、その他 |
適合証明書の自動制御方式が設置届等の自動制御方式と一致すること。 |
自動停止の機能 |
センサー(温度計、圧力計、火炎検出装置等)、ロジック(PLC、リレー回路等)、アクチュエーター(燃料遮断装置、水位調整装置、圧力調整装置等)の組み合わせ |
自動制御装置の概要 |
低水位遮断装置、燃焼安全装置、低水位警報装置、その他 |
適合証明書に記載されている自動停止機能が設置届等に記載されている自動制御装置を含んでいること。 |
表2 適合証明書の「使用条件」欄の審査内容
適合証明書に記載すべき項目(例) |
適合証明書に記載すべき内容(例) |
設置届等の記載項目 |
設置届等の記載内容(例) |
審査基準 |
ボイラーの種類 |
炉筒煙管式蒸気ボイラー |
種類 |
|
適合証明書に記載されているボイラーの種類に、設置届等の種類が含まれること。 |
燃料・熱源の種類、供給能力 |
灯油、重油、天然ガス、バイオマス、廃熱等 |
燃料 |
石油、微粉炭、重油、ガス、その他 |
適合証明書に記載されている燃料・熱源の種類に、設置届等の燃料の種類が含まれること。 |
伝熱面積 定格蒸発量 蒸気温度 |
●~●m3 ●~●kg/h 飽和蒸気 |
伝熱面積 最大蒸発量 |
|
適合証明書の伝熱面積の範囲に、設置届等の伝熱面積が含まれること。 |
最高使用圧力 使用温度範囲 |
●~●MPa ●℃~●℃ |
最高使用圧力 |
|
適合証明書の最高使用圧力の範囲に設置届等の最高使用圧力が含まれること。 |
ボイラー設置場所・条件 |
ボイラー設置場所でのボイラー取扱者の滞在時間(12時間以下)、ボイラーの爆発等で影響を受ける周辺労働者の人数(●人程度)等 |
ボイラー室の位置 |
一階、地階、二階、その他 |
・実際の運用でのボイラー取扱者のボイラー室の滞在時間が、適合証明書の滞在時間の上限を超えないことを確認すること。 ・適合証明書の周辺労働者の人数が0人となっている場合、設置場所の周囲に労働者が常駐する作業場がないことを確認すること。(証明書の周辺労働者の人数が1人以上となっている場合は特段の審査事項なし。) |
ボイラー施設の構造 |
木造・鉄骨等、鉄筋コンクリート造、その他 |
|||
使用電圧・電気容量 |
AC●~●V,●~●kw |
|
|
適合証明書に使用電圧・電気容量が記載されていること。 |
自動制御装置の点検方法・頻度等 |
取扱説明書による。 |
|
|
適合証明書に自動制御装置の点検方法及び頻度が記載されていること。 |
様式第1号<適合自動制御ボイラー認定書>
別紙1
○ボイラーの自動制御装置の認定制度について
平成29年5月8日基発0508第3号
(登録適合性証明機関の長あて厚生労働省労働基準局長通知)
標記について、ボイラー及び圧力容器安全規則(昭和47年労働省令第33号)第25条第2項に基づく労働基準監督署長による自動制御装置の認定を適切に実施するため、別添のとおり、「適合自動制御装置の認定実施要領」を定めましたので、適合性証明業務の参考としてください。
別紙2
○ボイラーの自動制御装置の認定制度について
平成29年5月8日基発0508第4号
(別記のボイラーに係る登録性能検査機関の長あて厚生労働省労働基準局長通知)
標記について、ボイラー及び圧力容器安全規則(昭和47年労働省令第33号)第25条第2項に基づく労働基準監督署長による自動制御装置の認定を適切に実施するため、別添のとおり、「適合自動制御装置の認定実施要領」を定めましたので、ボイラーに係る性能検査の際の参考としてください。
別記
損害保険ジャパン日本興亜株式会社代表取締役社長
一般社団法人日本ボイラ協会会長
公益社団法人ボイラ・クレーン安全協会会長
別紙3
○ボイラーの自動制御装置の認定制度について
平成29年5月8日基発0508第5号
(別記の関係業界団体の長あて厚生労働省労働基準局長通知)
標記について、ボイラー及び圧力容器安全規則(昭和47年労働省令第33号)第25条第2項に基づく労働基準監督署長による自動制御装置の認定を適切に実施するため、別添のとおり、「適合自動制御装置の認定実施要領」を定めましたので、貴会の会員事業場に対し、本要領について周知を図られるようお願いします。
別記
一般社団法人日本ボイラ協会会長
日本暖房機器工業会会長
公益財団法人日本小型貫流ボイラー協会代表理事
一般社団法人日本ボイラ整備据付協会会長
日本ボイラー・圧力容器工業組合理事長
一般社団法人日本機械工業連合会会長
安全技術普及会理事長
一般社団法人エンジニアリング協会理事長
一般社団法人日本電気制御機器工業会会長