img1 img1 img1

◆トップページに移動 │ ★目次のページに移動 │ ※文字列検索は Ctrl+Fキー  

通達:ボイラー及び圧力容器安全規則及び労働安全衛生法及びこれに基づく命令に係る登録及び指定に関する省令の一部改正(指定外国検査機関関係を除く。)等について

 

ボイラー及び圧力容器安全規則及び労働安全衛生法及びこれに基づく命令に係る登録及び指定に関する省令の一部改正(指定外国検査機関関係を除く。)等について

平成28年9月30日基発0930第32号

(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)

 

ボイラー及び圧力容器安全規則及び労働安全衛生法及びこれに基づく命令に係る登録及び指定に関する省令の一部を改正する省令(平成28年厚生労働省令第149号。以下「改正省令」という。)が平成28年9月20日に、機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針(平成28年厚生労働省告示第353号。以下「機能安全指針」という。)が平成28年9月26日に、ボイラー及び圧力容器安全規則第24条第2項第4号の規定に基づき厚生労働大臣が定める自動制御装置の一部を改正する告示(平成28年厚生労働省告示第354号。以下「改正告示」という。)が平成28年9月27日にそれぞれ公布され、改正省令の一部及び機能安全指針については公布の日から、改正省令のその他の部分及び改正告示については平成29年4月1日から、施行又は適用される。

改正省令(指定外国検査機関に関する部分を除く。以下同じ。)、機能安全指針及び改正告示は、近年の電気・電子技術やコンピュータ技術等の進歩に伴い、機械、器具その他の設備(以下「機械等」という。)に対する高度かつ信頼性の高い制御が可能となってきていることを踏まえ、ボイラーについて、従来の機械式の安全装置等に加え、新たに電気・電子・プログラマブル電子制御(以下「電子等制御」という。)の機能を付加することによって機械等の安全を確保する方策(以下「機能安全」という。)を労働安全衛生関係法令に位置づけ、安全規制の高度化を図ることとしたものである。

改正省令、機能安全指針及び改正告示の趣旨及び内容については、下記のとおりであるので、関係事業者に対する周知を図るとともに、これらの運用に遺漏なきを期されたい。

 

第1 改正の趣旨及び概要

1 ボイラー及び圧力容器安全規則(昭和47年労働省令第33号。以下「ボイラー則」という。)の一部改正

(1) ボイラーの異常時に安全に自動停止する機能を持つ自動制御装置であって、厚生労働大臣の定める機能安全指針に適合しているもの(以下「適合自動制御装置」という。)であると所轄労働基準監督署長が認定したもの(以下「認定適合自動制御装置」という。)を備えたボイラーについては、水面測定装置の点検頻度について、通常1日に1回以上のところ、3日に1回以上とすることができること。

(2) (1)の認定を受けようとする者は、認定の申請書に、当該自動制御装置が機能安全指針に適合することを厚生労働大臣の登録を受けた者が証明した書面を添えて、所轄労働基準監督署長に提出しなければならないこと。

(3) その他所要の改正を行ったこと。

2 労働安全衛生法及びこれに基づく命令に係る登録及び指定に関する省令(昭和47年労働省令第44号。以下「登録省令」という。)の一部改正

1(2)の厚生労働大臣の登録を受けて適合性の証明を行う登録適合性証明機関に関して、登録の方法、登録基準、実施義務、業務規程等必要な規定の整備を行ったこと。

3 機能安全指針の制定

(1) 1(1)の所轄労働基準監督署長の認定の基準となる指針として、機能安全に係る実施事項、要求される安全の水準(要求安全度水準)の決定、要求安全度水準に適合するために設計上求められる事項の決定等及び記録等に関する事項を定めたこと。

(2) 機能安全は、ボイラーのみならず機械等全般に対して有効であり、労働安全衛生法(以下「法」という。)第20条第1号の規定による機械等に係る危険を防止するために事業者が講ずべき措置として適切かつ有効な実施を図るためのものであることから、機能安全指針は、法第28条第1項に基づく技術上の指針として公表されたこと。

4 ボイラー及び圧力容器安全規則第24条第2項第4号の規定に基づき厚生労働大臣が定める自動制御装置の一部改正

ボイラー及び圧力容器安全規則第24条第2項第4号の規定に基づき厚生労働大臣が定める自動制御装置(平成16年厚生労働省告示第131号。以下「自動制御装置告示」という。)に定める、ボイラー取扱作業主任者の選任基準であるボイラーの伝熱面積の合計に伝熱面積を算入しないことができるボイラーに備える自動制御装置の種類に、認定適合自動制御装置を追加したこと。

5 施行日及び経過措置

(1) 改正省令のうち1(3)に関する部分及び機能安全指針は、公布の日から施行又は適用し、改正省令のうち1(3)以外の部分及び改正告示は、平成29年4月1日から施行又は適用すること。

(2) ただし、2(1)の登録を受けようとする者は、改正省令の施行前においても、登録申請を行うことができること。

(3) その他申請書等の様式の改正に係る所要の経過措置を定めたこと。

 

第2 詳細事項

1 認定適合自動制御装置に係る点検頻度の特例(ボイラー則第25条関係)

(1) 第25条第2項関係

ア ボイラー則第25条第1項第5号の規定は、自動運転中にボイラーの水位が下がりすぎて空焚き状態になる事故(低水位事故)が多数発生したことに対する対策として、水面測定装置の故障を早期に発見して事故を防止する趣旨のものであるため、自動制御装置の信頼性が高くなることに応じ、点検の頻度を下げることが妥当であること。認定適合自動制御装置は、ボイラーの運転の状態に係る異常があった場合に、当該ボイラーを安全に停止できる高い信頼性(要求安全度水準)を有していると評価されるものであるため、認定適合自動制御装置を備えたボイラーについては、水面測定装置の機能の点検の頻度を、通常1日に1回以上のところ、3日に1回以上としたこと。

なお、「3日に1回以上」は、ボイラーに係る欧州規格(EN 12952、EN 12953等)が、機能安全に適合するボイラーの点検頻度を72時間以下とすることを推奨していることを踏まえたものであること。

イ 適合自動制御装置については、これを備えるボイラーごとに所轄労働基準監督署長の認定を行うこととし、認定の基準として、機能安全指針を定めたこと。

(2) 第25条第3項関係

ア 自動制御装置の設計及び機能が機能安全指針に適合していることをボイラーの設置者が証明することは困難であるため、専門知識を有する第三者機関である、厚生労働大臣の登録を受けた者(以下「登録適合性証明機関」という。)が適合性を証明した書面を所轄労働基準監督署長へ提出する認定の申請書に添付することを求めたこと。

イ 認定の対象となる適合自動制御装置には、新たに設置されるボイラーに備え付けられるもののみならず、すでに設置されているボイラーに新たに備え付けられるものも含まれること。

ウ 適合自動制御ボイラー認定書申請書(様式第17号)のボイラーの「種類」の欄には、ボイラーの種類(丸ボイラー(炉筒煙管ボイラー等)、水管ボイラー(貫流ボイラー等)、鋳鉄ボイラー又は特殊ボイラー(廃熱ボイラー等))及び燃料・熱源の種類(油、ガス、バイオマス、廃熱等)を記載する必要があること。

エ 所轄労働基準監督署長の認定に当たっては、認定を受けようとする適合自動制御装置に係る適合証明書(登録省令様式第4号の4)の「用途及び仕様」及び「使用条件」が、適合自動制御ボイラー認定申請書に記載されているボイラーの種類等に合致している必要があること。

2 免許試験の試験科目等(ボイラー則第102条、第103条及び第111条関係)

(1) 第102条及び第103条関係

免許試験の試験科目及び試験の細目に関する規定を整理したものであること。

(2) 第111条関係

ア 普通ボイラー溶接士免許試験において、実技科目の全部の免除を受けることができる者として、溶接工の技りょうに関する試験の方法等を定める告示(平成10年運輸省告示第417号)第2条の規定による分類による溶接工の技りょうに関する試験のうち、特定のものに合格した者を規定したこと。

イ アに規定する者と同等以上の能力を有する者には、鋼船構造規程(昭和15年逓信省令第24号)第25章第3節に規定する1級A種、2級A種、1級B種、2級B種又は1級D種の溶接技倆試験に合格した者が含まれること。

3 登録適合性証明機関(登録省令第1章の6関係)

(1) 登録(第1条の2の44の2関係)

登録適合性証明機関は、ボイラーの自動制御装置が機能安全指針に適合していることを証明する書面(適合性証明書)を発行する機関として厚生労働大臣の登録を受けるものであるが、ボイラー以外の機械等の電子等制御の機能が機能安全指針に適合していることを証明することを妨げるものではないこと。

(2) 登録基準(第1条の2の44の4関係)

ア 第1号に規定する試験で使用する機械器具その他の設備は、登録適合性証明機関の事務所において所有することを原則とするが、国際標準化機構(ISO)及び国際電気標準会議(IEC)の規格17025に基づく試験機関の認定を受けている試験機関又はそれと同等の機関が所有する設備を使用することも認められること。

イ 第2号及び第3号の「適合性証明」には、自己が所属する事業場で製造した機械等に対する適合性証明(いわゆる「自己適合宣言」)が含まれること。

ウ 第2号のハの「同等以上の知識経験を有する者」とは、次に掲げる者が該当するものであること。

① 学校教育法による大学又は高等専門学校において理科系統以外の正規の課程を修めて卒業した者(大学改革支援・学位授与機構により学士の学位を授与された者(当該課程を修めた者に限る。)を含む。以下「大学等卒業者」という。)で、13年以上適合自動制御装置等の研究、設計、製作若しくは検査又は適合性証明の業務に従事した経験を有する者

② 学校教育法による高等学校又は中等教育学校において理科系統以外の正規の課程を修めて卒業した者(以下「高等学校等卒業者」という。)で、17年以上適合自動制御装置等の研究、設計、製作若しくは検査又は適合性証明の業務に従事した経験を有する者

③ ISO・IECの規格17065に基づき認定された製品認証機関において、ISOの規格13849又はIECの規格61508(これと同等の国際規格を含む。)に係る認証の業務に従事した経験を有する者(以下「認証業務経験者」という。)であって、認証の業務の実施を管理する業務に従事した経験を有する者

エ 第3号ハの「同等以上の知識経験を有する者」とは、次に掲げる者が該当するものであること。

① 大学等卒業者で、5年以上適合自動制御装置等の研究、設計、製作若しくは検査又は適合性証明の業務に従事した経験を有する者

② 高等学校等卒業者で、7年以上適合自動制御装置等の研究、設計、製作若しくは検査又は適合性証明の業務に従事した経験を有する者

③ 認証業務経験者

(3) 実施義務(第1条の2の44の6関係)

ア 第1項の適合性証明は、電子等制御に使用される部品、電子等制御に関連する部品を組み合わせた自動制御装置又は自動制御装置を備えた機械等のいずれに対しても実施可能とすること。

イ 第3項の「実施方法」には、原則として以下の事項が含まれること。

① 申請者からの安全確保に関する構想の聴取等

② 機械等による労働者の就業に係る危険性又は有害性の特定、要求安全機能の特定及び安全関連システムの要求安全度水準の決定等の妥当性の評価等

③ 各種試験・検査等の実施、機械等の製造管理の体制等の監査及び報告書作成等

④ ②と③の結果の整合性の確認及び適合証明書の発行等

ウ 第4項の適合証明申請書(様式第4号の3)及び適合証明書(第4号の4)の「使用条件」の欄には、ボイラーの自動制御装置の場合にあっては、当該自動制御装置の要求安全機能の特定及び要求安全度水準の決定の前提となっている、ボイラーの種類(丸ボイラー(炉筒煙管ボイラー等)、水管ボイラー(貫流ボイラー等)、鋳鉄ボイラー又は特殊ボイラー(廃熱ボイラー等))、燃料・熱源の種類(油、ガス、バイオマス、廃熱等)、ボイラーの設置場所・条件、自動制御装置の点検方法・頻度等を記載する必要があること。

4 登録製造時等検査機関からの報告(登録省令第1条の8の5関係)

特別特定機械(ボイラー及び第一種圧力容器)に対する製造時等検査については、当該検査の実施後、速やかに落成検査の申請がなされることがあり、この場合、落成検査実施前に、所轄都道府県労働局において製造時等検査の結果を把握する必要があることから、登録製造時等検査機関からの報告の期限を「速やかに」と改めるとともに、報告の提出先を厚生労働大臣から所轄都道府県労働局長に改めたものであること。

5 機能安全指針の制定

(1) 趣旨及び適用(機能安全指針1関係)

ア 「機械」とは、連結された構成品又は部品の組み合わせで、そのうちの少なくとも1つは機械的な作動機構、制御部及び動力部を備えて動くものであって、特に材料の加工、処理、移動、梱包等の特定の用途に合うように統合されたものをいうこと。

イ 機能安全指針は、新たに電子等制御の機能を付加することによって安全確保を図ることが可能な全ての機械等に対して適用されること。

(2) 要求安全度水準の決定(機能安全指針3関係)

発生状況により、同一の故障が危険側の故障となったり、安全側の故障となったりするような複雑な電子等制御でない場合であって、どのような故障が発生しても危険側の故障とならないように制御できる方策(フェールセーフ)が採用されているときは、要求安全機能及び安全関連システムの特定とそれに対する要求安全度水準の決定を省略することができること。ただし、フェールセーフがコンピュータ制御の機能によって実現している場合は、フェールセーフの故障を想定した要求安全機能の特定及び要求安全度水準の決定が必要であること。

6 自動制御装置告示の一部改正

認定適合自動制御装置は、ボイラーの運転の状態に係る異常があった場合に、当該ボイラーを安全に停止できる高い信頼性を有し、改正前の自動制御装置告示で定める自動制御装置と同等以上の信頼性があることから、自動制御装置告示で定める自動制御装置の種類に認定適合自動制御装置を追加したこと。